相続登記は 2024年4月 から義務化。正当な理由なく3年以内に登記しないと最大10万円の過料対象です
売却・活用 読了時間:約10分

不動産リースバックの仕組みとリスク【売却後も住み続けられる制度の注意点】

不動産リースバックとは、自宅を不動産会社や投資家に売却した後、買主から同じ物件を賃借して住み続ける仕組みです。まとまった資金を得ながら引越し不要で生活を継続できるため、老後の資金調達や相続問題の解決策として注目されています。しかし、売却価格が相場より低い・賃料が高い・退去を求められるリスクなど、注意すべき点も多い制度です。本記事でリースバックの仕組みとリスクを詳しく解説します。

リースバックとは何か

不動産リースバック(セール・アンド・リースバック)とは、自宅や投資用不動産を業者に売却し、その後、買主(業者)との間で賃貸借契約を結んで同じ物件に住み続ける取引形態です。国土交通省の不動産取引価格情報によると、地方の空き家は都市部に比べて流通量が少なく、リースバックは通常売却が難しい物件の資金化手段として注目されています。

取引の流れ

  1. リースバック業者が物件を査定し、買取価格を提示
  2. 売買契約を締結し、売主(元の所有者)が売却代金を受け取る
  3. 同時または直後に、業者(新オーナー)との賃貸借契約を締結
  4. 元の所有者は賃借人として同じ物件に住み続ける
  5. 将来的に買い戻すオプション(再購入権)が付いている場合もある

リースバックと任意売却の違い

任意売却は住宅ローンを返済できなくなった場合に金融機関の同意を得て売却する手法です。リースバックはローンの有無にかかわらず利用でき、「売却後も住み続ける」ことを主目的とする点が異なります。

利用が増えている背景

リースバックの利用者が増えている主な背景を整理します。

老後の資金調達

年金だけでは生活資金が不足する高齢者が、自宅を売却して資金を確保しながら住み続けるための手段として利用するケースが増えています。リバースモーゲージ(自宅を担保に融資を受ける制度)と比較して、手続きが簡単で融資ではないため審査が不要という特徴があります。

相続対策・相続問題の解消

将来の相続において、不動産を巡る兄弟間の争いを防ぐために、生前に売却して現金化しておく目的で利用されるケースもあります。また、相続した実家に住み続けながら相続税の納税資金を確保するためにも活用されます。

住宅ローンの返済困難

住宅ローンの返済が厳しくなった場合に、競売・任意売却を回避しつつ同じ家に住み続ける手段として利用されることもあります。

リースバックのメリット

リースバックには、他の資金調達手段にはない独自のメリットがあります。

まとまった資金を得られる

不動産を売却することで、住宅ローンの残債を上回る場合は手元に現金が残ります。使途は自由で、老後の生活費・医療費・相続税の納税資金など幅広く活用できます。

引越し不要・生活を継続できる

同じ家に住み続けられるため、引越し費用・転居の手間・生活環境の変化がありません。特に高齢者にとっては住み慣れた環境を維持できる点が大きなメリットです。

固定資産税・建物維持費の負担がなくなる

売却後は所有者ではなく賃借人となるため、固定資産税・修繕費・管理費(マンションの場合)の支払い義務がなくなります。建物のオーナーリスクを回避できます。

相続問題の解消

不動産を現金化しておくことで、相続発生時の遺産分割が円滑になります。不動産の共有持分を巡る兄弟間のトラブルを未然に防げます。

リースバックのデメリット・リスク

リースバックは利便性が高い反面、重大なデメリット・リスクがあります。契約前に十分理解しておくことが重要です。

売却価格が相場より低い

リースバックの買取価格は市場価格の60〜80%程度になることが多いです。業者側はその後賃貸収益と再売却益を見込むため、相場より低い価格での買取となります。急いで現金化したい場合はこの乖離を受け入れることになります。

賃料が相場より高い

リースバックの賃料は、業者の投資利回りを確保するために設定されるため、周辺の賃貸相場より高くなる傾向があります。毎月の家賃が高負担となり、長期間では支払いが困難になるリスクがあります。

更新拒絶・退去を求められるリスク

賃貸借契約が定期借家契約(期間満了で更新なし)の場合、契約満了時に退去を求められる可能性があります。業者が物件を転売した場合、新オーナーが賃貸継続に応じないケースもあります。

定期借家契約か普通借家契約かを必ず確認

定期借家契約は契約期間が満了すると賃貸が終了します。住み続けることを希望するなら、普通借家契約(正当事由なく更新拒絶できない)であることを確認してください。

悪質業者の手口

リースバック市場では悪質な業者によるトラブルが報告されています。主な手口を知っておくことが被害防止につながります。

極端に低い買取価格の提示

市場価格の50%以下という極端に低い買取価格を提示し、急いでいる高齢者等に圧力をかけて契約させるケースがあります。複数の業者に見積りを取り、相場との乖離を確認することが重要です。

高額賃料・短期の定期借家契約の組み合わせ

短期(1〜2年)の定期借家契約と高額な賃料を設定し、契約更新時に再契約を強要して賃料をさらに引き上げるという手口があります。最終的に賃料が払えなくなり退去に追い込まれるケースも報告されています。

再購入価格の後出し変更

「将来買い戻せる」という説明で契約させながら、買戻し価格を売却価格より大幅に高く設定したり、条件を変更したりするケースがあります。買戻し特約の条件は契約書に明記されているかを必ず確認してください。

契約前に確認すべきポイント

リースバックを検討する際に、契約前に確認・比較すべき重要事項をまとめます。

確認チェックリスト

第三者に相談する

リースバック契約は専門的な内容が多く、高齢者が不利な条件で契約してしまうケースが後を絶ちません。契約前に不動産に詳しい弁護士・司法書士・ファイナンシャルプランナーなどの第三者に相談することを強くおすすめします。国民生活センターや消費生活センターへの相談窓口も利用できます。

参考・出典

売却・賃貸どちらが有利か試算してみましょう

売却した場合と賃貸に出した場合の収支を比較し、最適な選択を検討できます。

空き家計算機 運営事務局

本サイトは個人が運営する情報提供サイトです。空き家・相続不動産の活用・売却・管理について、国土交通省・法務省・農林水産省などの公開情報をもとに記事を編集・公開しています。お問い合わせは お問い合わせフォーム よりお願いします。