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アパート売却の税金はいくら?計算・減価償却・相続した場合の3年以内の特例|譲渡所得の取得費、長期と短期の税率、居住用3,000万円控除、消費税、固定資産税の精算を国税庁の原文で
アパートを売ったときの税金は、売った金額から取得費と譲渡費用を引いた「譲渡所得」に、所有期間で決まる税率を掛けて計算します。税率は、譲渡した年の1月1日に所有期間が5年を超える長期が所得税15%・住民税5%、5年以下の短期が所得税30%・住民税9%で、所得税には復興特別所得税が別にかかります(国税庁、令和8年4月1日現在)。建物の取得費は減価償却費相当額を引いた額で、相続したアパートは、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売ると、相続税の一部を取得費に加算できます。仮の数字で計算例も作りました。
| 確かめたいこと | 国税庁・e-Govの原文 | この記事の節 |
|---|---|---|
| 税額の計算の式 | 収入金額-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得。他の所得と分けて計算 | 節2 |
| 建物の減価償却 | 取得費は、購入代金から所有期間中の減価償却費相当額を引く | 節3 |
| 長期と短期の税率 | 1月1日に所有5年超は15%+5%、5年以下は30%+9% | 節4 |
| 相続したアパートの特例 | 相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ると、相続税の一部を取得費に加算 | 節5 |
| 居住用3,000万円控除 | 対象は自分が住んでいた家屋など。貸している一棟は挙げられていない | 節6 |
| 消費税 | 非課税の一覧に土地の譲渡はあるが建物の譲渡はない。納税義務の免除の基準は課税売上高1,000万円以下 | 節7 |
| 固定資産税の精算 | 固定資産税は譲渡費用にならない。精算金の扱いは記載なし | 節8 |
出典は国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月4日取得)、e-Gov法令検索の租税特別措置法・相続税法。
自分はどの場合に当てはまるか
- 自分で買って貸してきたアパートを売る:取得費と減価償却の引き方を節2・節3、税率を節4に書きました。
- 親から相続したアパートを売る:取得の時期の引き継ぎと、相続税を取得費に加算する特例を節4・節5に書きました。
- 自分が住んでいた部屋があるアパートを売る:居住用の3,000万円控除は節6に書きました。
- 売った年の消費税や固定資産税が気になる:節7・節8に書きました。
- 入居者がいるまま売れるか、立ち退きは必要か:入居者がいる賃貸物件を売るにはに書きました。
- アパートの相続後の管理や賃料収入の課税も知りたい:相続したアパート・収益物件の管理・税金・売却のポイントに書きました。
譲渡所得はどう計算するか。取得費・譲渡費用・5%の概算
- 式:土地や建物を売ったときの譲渡所得は、売った金額(収入金額)から取得費と譲渡費用を引いて計算します。事業所得や給与所得などと分けて計算する分離課税です(No.3202)。特別控除がある場合は、さらに引きます(No.3208)。
- 取得費:買い入れたときの購入代金や購入手数料などに、その後に支出した改良費・設備費を加えた合計額です。建物は、所有期間中の減価償却費相当額を引きます(No.3202)。
- 取得費に入る税金:購入(相続・贈与による取得を含む)したときに納めた登録免許税・不動産取得税・印紙税などが、取得費に含まれる主なものとして挙げられています。ただし、業務の用に供される資産の場合は含まれないとされています(No.3252)。貸しているアパートがこれに当たるかは、税務署か税理士に確かめてください。
- 譲渡費用:売るために直接かかった費用です。仲介手数料、売主が負担した印紙税、借家人に家屋を明け渡してもらうときの立退料、建物を取り壊して売るときの取壊し費用などが挙げられています(No.3255)。
- 譲渡費用にならないもの:修繕費や固定資産税など、その資産の維持や管理のためにかかった費用は、譲渡費用になりません(No.3255)。
- 取得費が分からないとき:取得費が分からないとき、または実際の取得費が売った金額の5%より少ないときは、売った金額の5%を取得費(概算取得費)にできます。3,000万円で売って取得費が不明なら、150万円です(No.3258)。
- 相続で5%を使うとき:相続したアパートで5%を使う場合は、相続人が支払った登記費用などを取得費に含められません(No.3270)。
建物の減価償却は、売るときにどう引くか
- 引く理由:建物は使ったり期間が経ったりすると価値が減るため、取得費は、購入代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を引いた額になります(No.3261)。
- 事業に使われていた場合:建物を取得してから売るまでの毎年の減価償却費の額を合計します。毎年の減価償却費を必要経費にしていない部分があっても、合計することに変わりはないとされています。
- 事業に使われていなかった場合:次の算式で計算します。取得価額×0.9×償却率×経過年数=減価償却費相当額で、取得価額の95%が限度です。経過年数は、6か月以上の端数を1年とし、6か月未満は切り捨てます。
- どちらに当たるか:貸していたアパートがどちらに当たるかは、毎年の確定申告の内容と合わせて、税務署か税理士に確かめてください。
| 建物の区分 | 非業務用の償却率 | 備考 |
|---|---|---|
| 木造 | 0.031 | ― |
| 木骨モルタル | 0.034 | ― |
| (鉄骨)鉄筋コンクリート | 0.015 | ― |
| 金属造① | 0.036 | 軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3ミリメートル以下 |
| 金属造② | 0.025 | 軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3ミリメートル超4ミリメートル以下 |
国税庁タックスアンサー No.3261(令和8年4月1日現在法令等)。事業に使われていた場合は、この表ではなく毎年の減価償却費の合計を使います。
長期と短期の税率はいくらか。仮の数字で計算する
- 長期と短期の分け方:譲渡した年の1月1日の所有期間が5年を超えるものが長期、5年以下が短期です(No.3202)。
- 相続したアパートの所有期間:相続や贈与で取得したものは、原則として被相続人や贈与者が取得した日から数えます。相続してすぐに売っても、親が5年を超えて持っていれば長期になります(No.3202・No.3270)。
- 復興特別所得税:平成25年から令和29年までの各年分は、所得税と併せて申告・納付します。基準所得税額に2.1%を掛けて計算します(No.3208)。
| 区分 | 国税庁の原文の税率 | 3つの税の合計(当サイトの計算) |
|---|---|---|
| 長期(所有5年超) | 所得税15%・住民税5%、所得税額に2.1%の復興特別所得税 | 20.315%(15%+0.315%+5%) |
| 短期(所有5年以下) | 所得税30%・住民税9%、所得税額に2.1%の復興特別所得税 | 39.63%(30%+0.63%+9%) |
出典は国税庁タックスアンサー No.3208・No.3211。合計の列は、原文の率を足した当サイトの計算です。
計算例(当サイトの仮定。実際の額は個々の事情で変わります)
相続した木造アパートを、被相続人が取得してから5年超経った後に、6,000万円で売った場合の仮の数字です。被相続人の購入代金は、土地2,500万円・建物3,000万円、建物の減価償却費の合計は1,800万円、譲渡費用(仲介手数料など)は250万円とします。
| 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| 売った金額 | 6,000万円 | 仮定 |
| 取得費 | 3,700万円 | 土地2,500万円+建物(3,000万円-1,800万円)1,200万円 |
| 譲渡費用 | 250万円 | 仮定 |
| 譲渡所得 | 2,050万円 | 6,000万円-(3,700万円+250万円) |
| 所得税 | 307万5,000円 | 2,050万円×15% |
| 復興特別所得税 | 6万4,575円 | 307万5,000円×2.1% |
| 住民税 | 102万5,000円 | 2,050万円×5% |
| 3つの税の合計 | 416万4,575円 | 2,050万円×20.315% |
同じ仮定で取得費が分からず概算取得費(売った金額の5%=300万円)を使うと、譲渡所得は5,450万円、3つの税の合計は1,107万1,675円です。実際の取得費が分かるなら、5%より多い額を使えます。同じ譲渡所得2,050万円が短期なら、合計は812万4,150円です。
相続したアパートは、3年以内に売ると何が変わるか
- 特例の中身:相続や遺贈で取得した土地・建物などを一定期間内に売ったとき、相続税額のうち一定金額を、売った資産の取得費に加算できます(No.3267)。取得費が増えるぶん、譲渡所得が減ります。
- 要件:①相続や遺贈で財産を取得した人であること、②その人に相続税が課税されていること、③相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ることの3つです(No.3267)。租税特別措置法第39条にも同じ趣旨の定めがあります(e-Gov法令検索で確認)。
- 加算される額:その人の相続税額に、売った財産の相続税評価額が取得財産の価額などの合計に占める割合を掛けた額です。算式の全文は国税庁のページにあります。ただし、特例を使わずに計算した譲渡益を超える場合は、その譲渡益相当額までです。譲渡した財産ごとに計算します。
- 申告期限と売る期限の目安:相続税の申告は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です(相続税法第27条)。例として、2024年6月10日に相続の開始を知った場合、申告期限は2025年4月10日、特例の期限は2028年4月10日になります(当サイトの計算)。実際の期限は相続税の申告書で確かめてください。
- 手続き:確定申告書に「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」と「譲渡所得の内訳書(土地・建物用)」などを添えて、所轄の税務署へ提出します(No.3267)。
節4の仮の例で、加算される相続税額が300万円だった場合は、取得費が3,700万円から4,000万円になり、譲渡所得は1,750万円です。3つの税の合計は355万5,125円で、加算がない場合より60万9,450円少なくなります(当サイトの仮定と計算)。
居住用の3,000万円特別控除は使えるか
- 特例の中身:マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます(No.3302)。
- 対象になる資産:現に自分が住んでいる家屋、以前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合)、これらの敷地などです。別荘のように趣味・娯楽・保養のために持つ家屋は適用されません。
- 貸している一棟のアパート:入居者に貸している一棟のアパートそのものは、国税庁の対象の説明には出てきません。自分が住んでいた部屋がある場合の扱いは原文から判断できないため、税務署か税理士に確かめてください。
- 親が住んでいた家を相続して売る場合:別の特例があります。空き家の3,000万円特別控除に書きました。
アパートの売却に消費税はかかるか
- 非課税の一覧:国税庁の主な非課税取引(No.6201)には、土地の譲渡・貸付けと、住宅の貸付けが載っています。建物の譲渡は載っていません。
- 住宅の貸付け:契約で人の居住の用に供することが明らかなものは非課税です。一方、駐車場など施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税に当たらないとされています。
- 納税義務の免除:事業者は、基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として納税義務が免除されます(No.6501)。
- 免除されない場合:適格請求書発行事業者の登録を受けている場合、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合、課税事業者選択届出書を提出している場合などです。相続で事業を承継した場合の特例もあります。
- 売主がどちらか:免税事業者か課税事業者かで、建物の売却代金に消費税を上乗せするかが変わりえます。契約の前に、税務署か税理士に確かめてください。
売った年の固定資産税の精算はどう扱うか
- 譲渡費用になるか:固定資産税は、修繕費などと並んで、その資産の維持や管理のためにかかった費用として、譲渡費用になりません(No.3255)。
- 買主との精算金:売った年の固定資産税を買主と精算した場合の譲渡所得上の扱いは、今回確かめた国税庁の項目(譲渡所得の計算・取得費・譲渡費用)には載っていませんでした。
- 確かめる先:精算の有無と額は売買契約書に書かれます。確定申告の前に、契約書を持って税務署か税理士に確かめてください。
- 確定申告:譲渡所得は、売った年の翌年に確定申告をします。貸していたアパートの不動産所得の申告は、相続した家を貸したときの確定申告に書きました。
よくある質問
アパートを売ったときの税金は、いくらですか?
売った金額から、取得費と譲渡費用を引いた譲渡所得に税率を掛けて計算します(国税庁タックスアンサー No.3202)。税率は、譲渡した年の1月1日に所有期間が5年を超える長期が所得税15%・住民税5%、5年以下の短期が所得税30%・住民税9%で、所得税には別に復興特別所得税(所得税額×2.1%)がかかります。取得費・譲渡費用で譲渡所得が変わるため、同じ売却価格でも税額は物件ごとに違います。
アパートの減価償却は、売るときにどう計算しますか?
建物の取得費は、購入代金などの合計額から、所有期間中の減価償却費相当額を引いた額です(No.3261)。建物が事業に使われていた場合は、取得してから売るまでの毎年の減価償却費を合計します。毎年の減価償却費を必要経費にしていなかった部分があっても、合計することに変わりはないとされています。事業に使われていなかった場合は、取得価額×0.9×償却率×経過年数で計算します。
取得費が分からないときは、どうなりますか?
取得費が分からないとき、または実際の取得費が売った金額の5%より少ないときは、売った金額の5%を取得費(概算取得費)にできます(No.3258)。3,000万円で売って取得費が不明なら、150万円です。ただし、相続した資産で5%を使うときは、相続人が支払った登記費用などを取得費に含められません(No.3270)。
相続したアパートを売るとき、「3年以内」の特例とは何ですか?
相続税が課税された人が、相続した土地・建物などを一定期間内に売ると、相続税額のうち売った財産に対応する部分を取得費に加算できる特例です(No.3267、租税特別措置法第39条)。期間は、相続開始の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです。申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内(相続税法第27条)なので、相続の開始からはおおむね3年10か月が目安です。確定申告で適用を受ける旨を書き、明細書を添付します。
居住用の3,000万円特別控除は、賃貸アパートの売却に使えますか?
国税庁の説明(No.3302)が対象にするのは、現に自分が住んでいる家屋、以前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日まで)、その敷地などです。入居者に貸している一棟のアパートそのものは、対象として挙げられていません。自分が住んでいた部屋がある場合の扱いは原文から判断できないため、税務署か税理士に確かめてください。被相続人が住んでいた家屋を売る場合の特例は、別のコラムに書きました。
アパートを売ると、消費税はかかりますか?
国税庁の非課税取引の一覧(No.6201)には、土地の譲渡や住宅の貸付けは載っていますが、建物の譲渡は載っていません。ただし、消費税の納税義務は、基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として免除されます(No.6501)。免除されるのは売主が免税事業者のときで、適格請求書発行事業者の登録をしている場合などは免除されません。売主がどちらかは、契約の前に税務署か税理士に確かめてください。
売った年の固定資産税の精算金は、譲渡費用に入りますか?
国税庁の説明(No.3255)は、修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用は、譲渡費用にならないとしています。買主と日割りで精算した固定資産税の扱いは、今回確かめた国税庁の項目には載っていませんでした。精算の有無と額は売買契約書に書かれているので、確定申告の前に税務署か税理士に確かめてください。
参考・出典
- 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)
- 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算・No.3211 短期譲渡所得の税額の計算
- 国税庁 No.3252 取得費となるもの・No.3255 譲渡費用となるもの・No.3258 取得費が分からないとき
- 国税庁 No.3261 建物の取得費の計算・No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期
- 国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例・No.3302 マイホームを売ったときの特例
- 国税庁 No.6201 非課税となる取引・No.6501 納税義務の免除
- e-Gov法令検索 租税特別措置法(第39条)・相続税法(第27条)
- ウルアパ(清陽通商株式会社)(トップ・よくある質問を2026年10月4日に確認)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税額や申告に対する助言ではありません。計算例の数字は当サイトの仮定です。税額や特例の適用は個々の事情で変わるため、売却の前に税務署や税理士に確かめてください。