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借地契約を更新しないと建物はどうなる?地主が更新を拒む正当事由・更新後の期間・建物買取請求・更地で返す義務・旧借地法の契約
借地借家法は、借地の期間が満了しても、借地人が更新を請求するか土地の使用を続けるときは、建物がある場合に限り、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなしています(5条)。地主が更新を拒むには遅滞なく異議を述べる必要があり、その異議には「正当の事由」が要ります(6条)。更新がないまま終わったときは、借地人は建物を時価で買い取るよう地主に請求できます(13条)。ただし、定期借地権では更新も買取請求もしない旨を定められます(22条)。旧借地法の時代の契約は、更新などが従前の例によるとされています。条文の範囲と、条文に書かれていない範囲を分けて整理します。
| 今の状況 | 借地借家法の答え | 最初に確かめること |
|---|---|---|
| 期間が満了した。住み続けたい | 建物があれば、更新を請求するか使用を続けると、従前と同じ条件で更新とみなされる(5条)。地主が遅滞なく異議を述べたときは別 | 契約書の期間と特約。地主の異議の有無 |
| 地主が更新を拒んでいる | 異議には正当の事由が要る。双方の土地の使用の必要、従前の経過、利用状況、明渡しの条件の給付の申出を考慮する(6条) | 異議を述べた時期と理由。契約書の種類 |
| 更新がないまま終わった | 借地人は建物その他を時価で買い取るよう請求できる(13条)。定期借地権は、買取請求をしない旨を定められる(22条) | 普通の借地権か定期借地権か |
e-Gov法令検索 借地借家法(2026年10月3日取得)。条文に書かれていない金額や期間は載せていません。
自分はどの場合に当てはまるか
- 期間が近づいていて、更新するか迷っている:節2にあります。
- 地主から更新しないと言われた:節3と節4にあります。
- 契約が終わったあと、建物をどうするか知りたい:節4と節5にあります。
- 契約書に「定期借地権」とある:節6にあります。
- 契約が古い(借地借家法の施行前に設定された):節7にあります。
- 借地権を売りたい。地主の承諾や承諾料が気になる:借地権・底地の売却のページにあります。相続した借地の家を売る場合も同じページです。
- 借りているのは建物で、貸している建物を売る:入居者がいる賃貸物件を売るページにあります。
期間が満了すると、借地契約は自動で終わるのか
借地借家法は、借地人が建物を持って土地を使い続けているときに、期間の満了だけで契約が終わらないようにしています。
- 存続期間(3条):30年です。契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間になります。
- 更新の請求(5条1項):期間が満了する場合に、借地人が更新を請求したときは、建物がある場合に限り、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなします。期間は次の4条によります。
- 使用の継続(5条2項):期間が満了したあとも借地人が土地の使用を続けるときは、建物がある場合に限り、同じ扱いです。
- 更新後の期間(4条):更新の日から10年です。借地権の設定後の最初の更新は20年です。当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間になります。
- 特約の効力(9条):この節の規定に反する特約で借地人に不利なものは、無効です。
例外は、地主が遅滞なく異議を述べたときです(5条1項ただし書)。その異議が通るかは、次の節です。更新料については、本文に「更新料」の語がなく、条文に定めは見当たりません。契約書の定めを確かめてください。
地主が更新を拒むには、何が要るのか
借地借家法6条は、地主の異議を、正当の事由があると認められる場合でなければ述べることができない、としています。判断で考慮するものは、条文に次のとおり並んでいます。
| 考慮するもの | 6条の文言 | 注意点 |
|---|---|---|
| 使う必要 | 地主と借地人(転借地人を含む)が土地の使用を必要とする事情 | どちらの必要が重いかの基準は書かれていない |
| これまでの事情 | 借地に関する従前の経過、土地の利用状況 | どの事情を重く見るかは書かれていない |
| 地主の給付の申出 | 明渡しの条件として、または明渡しと引換えに財産上の給付をする旨の申出 | 金額の決め方は書かれていない |
出典:e-Gov法令検索 借地借家法6条(2026年10月3日取得)。
- 書かれていないこと:正当の事由が認められる具体例、立退料の額や計算は、条文にも、取得した原典にもありません。この記事では目安を載せません。
- 異議の時期:5条は、異議を「遅滞なく」述べるとしています。何日以内、とは書かれていません。
- 進め方:地主と話し合いがつかないときの手続や、正当の事由が認められるかは、事情によって変わります。弁護士にご相談ください。
更新がないまま終わったら、建物を買い取ってもらえるのか
借地借家法13条1項は、借地権の存続期間が満了した場合で、契約の更新がないときは、借地人は地主に対し、建物その他、借地人が権原によって土地に附属させた物を、時価で買い取るべきことを請求できる、と定めています。場面ごとの扱いは次のとおりです。
| 場面 | 条文の答え | 注意点 |
|---|---|---|
| 更新がないまま満了した | 建物その他を時価で買い取るよう請求できる(13条1項) | 時価の算定は書かれていない |
| 満了前に、承諾なく残存期間を超える建物を新築した | 地主の請求で、裁判所が代金の支払いに相当の期限を許与できる(13条2項) | 期限の長さは書かれていない |
| 転借地人がいる | 転借地人と地主の間にも準用される(13条3項) | 借地人との関係は契約書で確かめる |
| 特約で請求しないと定めた | 借地人に不利な特約は無効(16条)。ただし定期借地権は別(22条・23条) | 節6で整理 |
出典:e-Gov法令検索 借地借家法13条・16条(2026年10月3日取得)。
- 解除で終わった場合:13条は「存続期間が満了した場合」「契約の更新がないとき」と書いています。債務不履行による解除の場合に使えるかは、条文に書かれておらず、取得した原典では確かめられませんでした。民法612条2項は、賃借人が無断で賃借権を譲り渡したり転貸したりしたとき、賃貸人は契約の解除をすることができる、と定めています。
- 建物を第三者が取得した場合:借地権者の建物を第三者が取得して地主が賃借権の譲渡を承諾しないときの、第三者からの買取請求(14条)は、借地権・底地の売却のページにあります。
更地にして返す義務はあるのか
借地借家法の本文に、「更地」「収去」「原状」の語はありません。借地契約が終わったあとの建物の扱いは、借地権が地上権か賃借権かで、民法の条文が分かれます。
- 賃借権のとき:民法622条が使用貸借の599条1項・2項を準用します。599条1項は、借主が借りた物に附属させた物がある場合、終了時にそれを収去する義務を負う、としています。分離できない物や、分離に過分の費用を要する物は除かれます。
- 地上権のとき:民法269条1項は、地上権者は権利が消滅した時に、土地を原状に復して工作物や竹木を収去することができる、としています。ただし、地主が時価相当額を提供して買い取る旨を通知したときは、地上権者は正当な理由がなければ拒めません。慣習が異なるときは、慣習によります(2項)。
- 書かれていないこと:借地上の建物が、599条の「附属させた物」に当たるか、更地にする義務の範囲、解体費用を誰が持つかは、取得した原典にありませんでした。
- 先に確かめること:契約書の、返還のときの建物の扱いの条項です。13条の買取請求ができる場面で、借地人に不利な特約は無効です(16条)。
建物の解体や、地主との交渉にかかる費用の負担は、取得した原典に書かれていませんでした。見積もりや契約書の読み方は、弁護士や、解体業者にご相談ください。
定期借地権の契約は、何が違うのか
定期借地権は、更新や建物買取請求がない旨の特約を、書面などで定められる借地権です。契約書に「定期借地権」や「更新しない」旨の特約があるかを確かめてください。
| 種類 | 条文の内容 | 手続 |
|---|---|---|
| 一般定期借地権 | 存続期間50年以上。更新・建物築造による延長がなく、13条の買取請求をしない旨を定められる(22条1項) | 公正証書による等、書面。電磁的記録も書面とみなす(22条) |
| 事業用借地権(30年以上50年未満) | 専ら事業用の建物(居住用を除く)の所有が目的。同様の特約を定められる(23条1項) | 公正証書(23条3項) |
| 事業用借地権(10年以上30年未満) | 3条から8条まで、13条、18条は適用しない(23条2項) | 公正証書(23条3項) |
| 建物譲渡特約付借地権 | 設定後30年以上を経過した日に、建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定められる(24条1項) | 建物の使用を続ける借地権者等の請求で、期間の定めのない賃貸借とみなす(24条2項) |
| 一時使用目的の借地権 | 臨時設備の設置その他一時使用のために設定したことが明らかな場合、3条〜8条、13条などを適用しない(25条) | ― |
出典:e-Gov法令検索 借地借家法22条〜25条(2026年10月3日取得)。法務省「借地借家法等の改正(定期借地権・定期建物賃貸借関係)について」(令和4年5月18日)は、一般定期借地権の設定の手続等の電子化を案内しています。
地主として、相続した土地を定期借地で貸す活用は、相続した土地の活用法のページにあります。
旧借地法の時代の契約は、どう扱われるのか
借地借家法(平成3年法律第90号)の附則2条は、借地法・建物保護に関する法律・借家法を廃止しました。古い借地契約の扱いは、附則に次のように書かれています。
- 原則(附則4条):この法律の規定は、施行前に生じた事項にも適用します。ただし、廃止前の借地法などの規定により生じた効力は妨げません。
- 更新(附則6条):施行前に設定された借地権に係る契約の更新は、なお従前の例によります。
- 建物の朽廃(附則5条):施行前に設定された借地権の、建物の朽廃による消滅は、なお従前の例によります。
- 建物の滅失後の再築(附則7条):再築による期間の延長は、なお従前の例によります。8条(更新後の建物の滅失による解約等)は適用しません。
- 建物買取請求(附則9条1項):13条2項(代金の支払の期限の許与)は、施行前に設定された借地権には適用しません。
旧借地法の本文は、e-Govの検索では取得できませんでした。そのため、旧法の存続期間や更新のルールは、この記事には載せていません。契約を設定した日と、更新の経緯を、契約書で確かめたうえで、弁護士にご相談ください。
更新や終了で行き詰まった借地の家は、どう売るか
地主と話がつかない、更新の見通しが立たない借地の家でも、売る道がなくなるわけではありません。借地権や底地を専門に扱う買取業者に、現状のまま相談する方法があります。
- ラクウルの公式サイトの記載:買い取れる物件の一覧に「借地権」と「底地」があります。自社で直接買い取るため仲介手数料がかからない、とも書かれています。
- 断られた物件:よくある質問の「他社に断られた物件でも大丈夫ですか?」に、「はい、問題ありません」とあります。
- 注意点:公式サイトに、借地の更新や契約の終了に関する記載はありません。更新を控えた借地権や、更新を拒まれた借地権が対象になるか、いくらになるかは、物件ごとに相談して確かめることになります。
借地権付きの建物を売るときの地主の承諾や承諾料、裁判所の許可は、借地権・底地の売却のページにあります。申し込みは、開いた画面のいちばん上の「メール相談」から、名前・電話番号・メールアドレスと、物件の種別・都道府県・市区町村の6項目で進められます。
よくある質問
地主が更新を拒むとき、立退料は必ず払ってもらえますか?
借地借家法の本文に「立退料」の語はなく、必ず払う、とも書かれていません。6条が、地主が異議を述べるときの正当の事由の判断で考慮するものとして挙げているのは、双方が土地の使用を必要とする事情、借地に関する従前の経過、土地の利用状況、そして地主が土地の明渡しの条件として、または明渡しと引換えにする財産上の給付の申出です。金額の決め方は書かれていないため、この記事では目安を載せません。
契約の期間が満了したあと、そのまま住み続けるとどうなりますか?
借地借家法5条2項は、存続期間が満了したあとに借地人が土地の使用を続けるときも、建物がある場合に限り、更新を請求したときと同じに扱うとしています。更新を請求したときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。ただし、地主が遅滞なく異議を述べたときは別で、その異議には正当の事由が要ります(6条)。
更新したあとの契約期間は、何年になりますか?
借地借家法4条は、当事者が借地契約を更新する場合の期間を、更新の日から10年と定めています。借地権の設定後の最初の更新は20年です。当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間になります。契約書に別の期間が書かれているときは、その内容を確かめてください。
更新するとき、更新料を払う義務はありますか?
借地借家法と民法の本文に「更新料」の語はなく、更新料の支払いを定めた条文は見当たりません。契約書に更新料の定めがあるかどうかが、まず確かめるところです。この記事では、更新料の相場は載せません。
地代を滞納して契約を解除された場合も、建物を買い取ってもらえますか?
借地借家法13条が建物の買取りを請求できるとしているのは、借地権の存続期間が満了した場合で、契約の更新がないときです。債務不履行などで契約が解除された場合に使えるかどうかは、条文には書かれておらず、取得した原典では確かめられませんでした。解除をめぐる争いは、弁護士にご相談ください。
借地を返すとき、更地にして返さなければなりませんか?
借地借家法の本文に「更地」「収去」「原状」の語はありません。賃借権の場合、民法622条が準用する599条1項は、借主が借りた物に附属させた物があるとき、賃貸借の終了時にそれを収去する義務を負うとしています(分離できない物・分離に過分の費用を要する物は除く)。建物がこの附属させた物に当たるか、義務の範囲は、取得した原典に書かれていませんでした。地上権の場合は、民法269条1項が、権利が消滅した時に土地を原状に復して建物などを収去することができるとし、地主が時価相当額で買い取る旨を通知したときは、正当な理由がなければ拒めないとしています。いずれも契約書の特約を先に確かめます。
定期借地権の契約は、期間が来たら更新できますか?
借地借家法22条は、存続期間を50年以上とする借地権で、契約の更新と建物の築造による延長がなく、13条の買取りの請求をしないこととする旨を定められるとしています。この特約は、公正証書による等、書面でしなければなりません。法務省の案内によると、一般定期借地権の設定の手続は、令和4年5月18日の施行で電子化も可能になっています。契約書にこの特約があるかを確かめてください。
昔からの借地契約でも、今の借地借家法が当てはまりますか?
借地借家法の附則は、原則として施行前に生じた事項にも適用するとしつつ、旧借地法によって生じた効力は妨げないとしています(附則4条)。施行前に設定された借地権の契約の更新と、建物の朽廃による消滅は、なお従前の例によるとされています(附則5条・6条)。旧借地法の本文は取得できなかったため、旧法の更新のルールはこの記事に載せていません。
更新が近い借地権の家は、ラクウルで買い取ってもらえますか?
ラクウルの公式サイトには、買い取れる物件の一つに借地権と底地が載っています。よくある質問にも「他社に断られた物件でも大丈夫ですか?」「はい、問題ありません」とあります。一方、公式サイトに、更新を控えた借地権や、更新を拒まれた借地権の記載はありません。対象になるか、いくらになるかは、物件ごとに相談して確かめることになります。
参考・出典
- e-Gov法令検索 借地借家法(第3条〜第6条・第9条・第13条・第16条・第22条〜第25条・附則)
- e-Gov法令検索 民法(第269条・第599条・第612条・第622条)
- 法務省 借地借家法等の改正(定期借地権・定期建物賃貸借関係)について
- ラクウル(訳アリ不動産買取専門店)公式サイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の借地契約について、更新が認められるか、正当の事由があるか、建物の買取りを請求できるか、更地にして返す義務があるか、売却や買取ができるかを保証するものではありません。具体的な事案は、弁護士にご相談ください。