相続登記は 2024年4月 から義務化。正当な理由なく3年以内に登記しないと最大10万円の過料対象です
相続登記 読了時間:約10分

相続した不動産の名義変更(相続登記)が2024年4月から義務化。手続きと費用の全解説

2024年4月1日より、相続による不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記(名義変更)を申請することが義務化されました。正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料が課されます。義務化の内容・手続きの流れ・費用目安・簡易手続きの活用法を解説します。

相続登記の義務化とは(2024年4月施行)

相続登記とは、亡くなった被相続人(故人)名義の不動産を、相続人(遺族)の名義に変更する登記手続きです。これまでは相続登記に期限はなく、「いつでもできる」という理由で手続きを放置するケースが多くありました。

その結果、数十年前に亡くなった人の名義のままになっている不動産が全国で大量に発生し、空き家問題・所有者不明土地問題の大きな原因となっていました。このような背景から、2024年4月1日施行の改正不動産登記法により、相続登記が義務となりました。

義務化の内容

相続(遺言も含む)によって不動産を取得した相続人は、不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。

遺産分割協議によって不動産を取得した場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に登記申請が必要です。

3年以内に申請しないと過料

正当な理由なく3年以内に相続登記を申請しなかった場合、10万円以下の過料が課されます。

「過料」は刑事罰(罰金)ではありませんが、裁判所からの通知によって徴収される行政上のペナルティです。

「正当な理由」とは

重病で入院中・外国への居住・遺産分割の調停中・相続人が多数で把握に時間を要するなど、一定の事情がある場合は過料が免除される可能性があります。ただし、「面倒だから」「知らなかった」は正当な理由とはなりません。

相続登記の手続きの流れと必要書類

相続登記の申請は、法務局(登記所)に対して行います。手続きは大きく4つのステップに分かれます。

  1. 相続の事実確認・必要書類の収集

    被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、固定資産税評価証明書などを収集します。

  2. 遺産分割協議書の作成(遺言がない場合)

    相続人全員が合意した内容を遺産分割協議書として作成し、全員の実印で押印します。相続人全員の印鑑証明書も必要です。

  3. 登記申請書の作成

    法務局が公開している書式を使って登記申請書を作成します。オンライン申請も可能です。

  4. 法務局(登記所)への申請

    不動産の所在地を管轄する法務局に申請書と必要書類を提出します。

主な必要書類

法定相続情報一覧図の活用

複数の不動産がある場合や金融機関の相続手続きも同時に行う場合は、「法定相続情報一覧図」を法務局で認証してもらうと、同じ書類を何度も提出する手間が省けます。

費用の目安

相続登記にかかる費用は、登録免許税(国に支払う税金)と司法書士報酬(専門家に依頼する場合)の2種類です。

登録免許税

登録免許税は、相続登記では「固定資産税評価額 × 0.4%」です。

なお、評価額が100万円以下の土地については、2025年3月31日まで登録免許税が免税となる特例があります(延長される可能性あり)。

司法書士報酬

司法書士に手続きを依頼する場合の報酬は、物件数・相続人数・書類の複雑さによって異なりますが、概ね以下が目安です。

自分で申請(本人申請)も可能で、法務局の相談窓口やオンライン資料を活用すれば費用を登録免許税のみに抑えられます。

過去の相続も義務化の対象

2024年4月1日の施行前に相続が発生し、まだ相続登記をしていない不動産も義務化の対象です。

施行前に発生した相続については、2027年3月31日までに相続登記を申請する必要があります(施行日から3年間の猶予)。

注意:数十年前の相続も対象

「20年前に亡くなった親の名義のまま」「祖父母の代から登記していない」という場合も義務化の対象です。2027年3月31日を過ぎると過料の対象となるため、早めに手続きを進めてください。

相続人申告登記という簡易手続き

遺産分割が整っていない場合や、複雑な相続関係ですぐに正式な相続登記ができない場合に利用できる簡易手続きが「相続人申告登記」です。

相続人申告登記の概要

相続人申告登記は、「自分が相続人であること」を登記所に申告することで、相続登記の義務を一時的に履行したとみなされる制度です。

ただし、相続人申告登記はあくまでも仮の措置です。後日、正式に遺産分割が成立したら、改めて所有権移転登記(本登記)を行う必要があります。

「相続土地国庫帰属制度」で手放す選択肢

相続した不動産が不要で、売却もできない場合に利用できる制度が「相続土地国庫帰属制度」です。2023年4月27日に施行されました。

制度の概要

相続(遺贈)によって取得した土地を、一定の条件を満たす場合に国に引き取ってもらえる制度です。申請先は法務局(法務大臣)です。

申請できる土地の主な条件

費用

申請手数料(土地1筆につき1万4,000円)に加え、国に帰属させる際には10年分の土地管理費相当の負担金(最低20万円〜)を支払う必要があります。建物がある土地は対象外なので、事前に解体が必要です。

相続登記・不動産の状況を診断

相続した不動産の登記状況・手続きの優先度を確認できます。

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