実家の荷物・遺品はどこに置く?処分する前に預けるトランクルームの選び方と、預けられない物
実家の荷物をすぐには捨てられないとき、処分を決めるまでの置き場にトランクルームを使う方法があります。ただし、親が亡くなった後に相続人が数人いると、荷物を含む相続財産は遺産分割が済むまで相続人の共有です(民法898条)。置き場を借りる前に、荷物が誰の物かを確かめておくと、あとで揉めにくくなります。また、トランクルームは荷物を預かってもらう場所ではなく、借りたスペースに自分で置いて自分で管理する契約です。遺骨や現金、預貯金の証書などは置けない物として約款に挙がっています。
| 気になること | 原文に書かれていること | 根拠 |
|---|---|---|
| 亡くなった親の荷物は誰の物 | 相続人が数人のとき、相続財産は共有に属する。分け方は共同相続人の協議で決め、調わないときは家庭裁判所に請求できる | 民法898条・907条 |
| 相続放棄を考えているが、荷物を動かしたい | 相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなす。ただし保存行為は除く | 民法921条1号 |
| 置き場の費用は誰が払う | 相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし相続人の過失によるものは除く | 民法885条 |
| トランクルームは荷物を預かってくれる | スペースを一時使用のために提供するもので、収納物を預かるものでも保管するものでもない。管理責任者は契約者 | ハローストレージ 約款 |
| 遺骨・現金・預貯金の証書は置ける | 収納できない物として、遺骨・遺灰、現金、預貯金証書などが挙がっている | ハローストレージ 約款13条 |
出典:e-Gov法令検索 民法(2026年10月2日取得)、ハローストレージ公式 重要事項確認書・契約約款(2026年10月2日取得)。個別の事情で結論が変わることがあるため、実際の手続きは家庭裁判所・専門家・事業者にご確認ください。
置く前に確かめる:その荷物は誰の物か
あなたの状況によって、動かしてよい範囲が変わります。
親が存命のとき
荷物は親の物です。運び出す前に、親本人に何をどこへ置くかを伝えて了解を得てください。置き場を借りる契約の名義と費用を誰が持つかも、このときに決めておくと後で整理しやすくなります。
亡くなった後で、遺産分割がまだのとき
相続人が数人いるとき、相続財産は共有に属し(民法898条)、各相続人の共有持分は法定相続分などで決まります。遺産の分け方は共同相続人の協議で決め、協議が調わないときは家庭裁判所に分割を請求できます(民法907条)。分けるまでの間に、捨てる・売る・誰かに譲るといった判断は、相続人全員に関わります。置き場に移すだけなら話は別に見えますが、何が許されるかは事情で変わるため、移す前に他の相続人へ知らせておくのが安全です。
相続放棄を考えているとき
民法921条1号は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなす、と定めています。ただし保存行為は除かれます。荷物を置き場へ移すことが保存行為にあたるかどうかは、条文だけでは決まりません。放棄を考えているうちは、売却・廃棄・譲渡は止めて、移す前に家庭裁判所や専門家に確かめてください。期限は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内です(民法915条。家庭裁判所が伸ばせる場合があります)。手続きは相続放棄は自分でできる?にまとめています。
遺産分割が済んだあと
分割で自分が取得した荷物は、自分の物として置き場を決められます。まだ決めきれない物を置き場に移して、時間をかけて整理する使い方になります。
トランクルームに置けない物
実家の荷物には、トランクルームに置けない物が混ざっています。ハローストレージの契約約款は、第13条で収納できない物を定めています。実家の荷物に関係しそうなものを抜き出します。
| 実家で出てきやすい物 | 約款に書かれていること | 条項 |
|---|---|---|
| 遺骨・遺灰 | 「法令により所有または所持が禁じられているもの」の例に、大麻・覚醒剤・盗品・銃砲・刀剣類などとともに挙がっている | 13条1項⑤ |
| 現金・通帳・カード・貴金属・美術品 | 現金(通貨)、預貯金証書、クレジットカード、高額貴金属、宝石ならびに美術品 | 13条1項② |
| 書類・証書類 | 稿本、設計書、図案、証書、帳簿、その他これらに準ずるもの | 13条1項⑩ |
| 高価な物 | 収納物の総額(購入価格を基準として時価算定)が40万円を上回り、かつ1個または1組の価額が20万円を超えるもの | 13条1項① |
| 食べ物・湿気た物 | 開封済みの飲食物、水分や皮脂・汗が付着したままの状態の物、カビ・サビ・害虫が発生しやすい物 | 13条1項③⑨⑪ |
| CD・DVDなどの記録媒体 | データ・ソフトウェアまたはプログラム等が記載または記録されたCD、DVD等の媒体その他の有体物 | 13条1項⑧ |
出典:ハローストレージ公式 重要事項確認書・契約約款 第13条(2026年10月2日取得)。ほかに、危険物・動植物・産業廃棄物なども定められており、「その他、レンタルボックスに収納することが相応しくないと当社が定めるもの」(⑭)もあります。全文は公式でご確認ください。
約款は、これらを収納したことで損害が出たときは契約者が賠償責任を負うこと、特に貴重品・高級品が滅失・毀損しても当社は責任を負わないことを定めています。現金・預貯金証書・貴金属・美術品は置けない物に挙がっています。印鑑や権利関係の書類も、なくしたときの影響が大きいので、置き場に移さず手元で管理しておくと安心です。
契約の前に知っておくこと
遺産分割がいつ終わるかが読めないときは、更新と解約の条件を先に見ておくと安心です。ハローストレージ公式の「契約の流れ」と約款から、荷物を置く期間に関わる点を整理します。
| 項目 | 公式に書かれていること | 出典 |
|---|---|---|
| 契約期間と更新 | 契約開始日から1年。解約の連絡がない限り1年ごとに自動更新され、更新料として使用料の0.5か月分がかかる。自動更新の事前連絡はない | 契約の流れ・約款5条 |
| 解約 | 電話またはマイページで通知する。通知が届いた日の翌月末日に終了する。日割りの解約は受け付けていない。申し出たあとに取りやめることはできない | 契約の流れ・約款6条 |
| 申込後のキャンセル | 契約成立後、契約期間の開始前に解約するときは、キャンセル料5,000円(税込) | 約款5条 |
| 申込から利用開始まで | 申込後に必要書類の提出と審査がある。審査の経過や結果への問い合わせには答えてもらえない。書類が利用開始日までに届かないと鍵の案内は出ない。利用開始日は申込日から1か月先まで指定できる | 契約の流れ |
| 利用中の義務 | 契約者は定期的に訪れて収納物の状態を点検し、カビ・サビ・異臭などを見つけたら当社へ報告する | 約款14条3項 |
出典:ハローストレージ公式 契約の流れ・重要事項確認書・契約約款(2026年10月2日取得)。ご契約の内容によって異なる場合があると公式に書かれています。
お申し込みはWEBの物件ページの「お申し込み」ボタンから進みます。申込の前に内覧できる物件も多いと公式に書かれているので、重い家具や大きな荷物を置くときは、搬入の通路を見てから決めると失敗が減ります。実家から運ぶ手段としては、申込時に選べるオプションに運搬サービスがあると公式に書かれています。
形見・遺品を置く前に相続人で決めること
形見や遺品も、遺産分割が済むまでは相続財産の一部として共有の対象です。置き場を借りる前に、相続人どうしで次の点を話しておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。
- 誰が契約者になるか:約款では、収納物の管理責任者は契約者自身です。鍵の案内(ダイヤル錠の暗証番号または交通系ICカードの登録方法)も契約者に届きます。
- 費用を誰が持つか:民法885条は、相続財産に関する費用は財産の中から支弁し、相続人の過失によるものは除く、と定めています。置き場の賃料がこれにあたるかは事情で変わるため、先に取り決めておくのが安全です。
- 誰が出し入れできるか:分けるまで、一部の人だけが持ち出せる状態にならないよう、鍵の持ち方を決めておきます。
- いつまでに分けるか:遺産の分割は、物の種類や性質、各相続人の年齢・職業・心身の状態・生活の状況その他一切の事情を考慮して行います(民法906条)。協議が調わないときは家庭裁判所に請求できます(民法907条2項)。期限を決めておくと、置き場の更新料が積み重なるのを避けられます。
遺品や形見の保管方法そのもの(包み方や温度・湿度の管理など)については、公的な原文を確認できていないため、この記事では扱いません。約款の上では、水分や皮脂・汗が付いたままの物は収納できず(13条1項⑪)、契約者は定期的に点検する義務があります。
荷物の量が多く、置き場だけでは片付かないときの業者の選び方は実家じまいの手順と費用にまとめています。
よくある疑問
重い家具や家電は置けますか
ハローストレージの「よくある質問」には、最大積載量は1㎡あたり500kg程まで可能で、8帖タイプのコンテナは全体で約7トンまでの耐荷重と書かれています(2026年10月2日取得)。家具家電の個別の可否は、物件ごとの条件があるため、申込前に公式や内覧で確かめてください。
住まいや作業場として使えますか
公式の「よくある質問」では、収納物の収納用途のみに限ると書かれています。約款では、居住・事務所・滞在・飲食など収納目的以外の利用が判明したときは即時に契約解除となります。
預けた荷物が壊れたり傷んだりしたときは
約款では、収納物の管理責任者及び直接占有者は契約者自身で、収納物が滅失・毀損して生じた損害は、当社に故意または重過失があった場合を除き、契約者の責任と定められています。補償の範囲は約款第16条・第18条と、申込時の保険・特約の内容で決まるので、契約前に確かめてください。