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家の解体を自分でするには|所有者にも要る届出・石綿の事前調査・廃材の処分・業者に頼む場合との費用の比べ方
家の解体を自分でしても、床面積が80平方メートル以上なら、所有者は「自主施工者」として、工事に着手する7日前までに都道府県知事への届出が要ります(建設リサイクル法第10条第1項、同法施行令第2条第1号)。石綿の事前調査も自主施工者の義務で、解体では原則、有資格者に行わせます。廃材は、自治体の案内では自分で施工した分を一般廃棄物として受け入れる例がありますが、事前の確認が前提です。手続きと廃材の処分まで含めて、業者の見積もりと同じ項目で並べてから決めるのが確実です。
| やること | 届出先・窓口 | 誰が |
|---|---|---|
| 建設リサイクル法の届出(床面積80平方メートル以上)。着手の7日前まで | 都道府県知事。窓口は自治体で異なる | 発注者または自主施工者 |
| 石綿の事前調査。原則、有資格者が行う | 結果の報告(80平方メートル以上)は都道府県または大防法政令市 | 元請業者または自主施工者 |
| 吹付け石綿などがあるときの作業の届出。開始の14日前まで | 都道府県知事 | 発注者または自主施工者 |
| 建築物除却届(床面積10平方メートル超) | 建築主事等を経由して都道府県知事 | 除却の工事を施工する者 |
| 騒音・振動の特定建設作業の届出(指定地域で対象の機械を使うとき)。開始の7日前まで | 市町村長 | 工事を施工しようとする者 |
| 出た廃材の処分 | 市区町村の清掃担当課(自治体の案内の一例は節4) | 廃材を出す人 |
建設リサイクル法、大気汚染防止法、建築基準法、騒音規制法、振動規制法と環境省・国土交通省・自治体の案内から作成(2026年10月3日取得)。
自分はどの場合に当てはまるか
- 延べ床面積が80平方メートル以上の木造の家や古民家:節2の届出と節3の石綿の報告が、どちらも対象になります。
- 80平方メートル未満の小さな家や離れ:節2の届出は対象外ですが、節3の事前調査と節4の廃材は残ります。
- 家族や知人に手伝ってもらう、一部だけ業者に頼む:請負にあたるかで扱いが変わります。節2の最後と、よくある質問の2問目に書きました。
- 自分でやるか業者に頼むか迷っている:節6の表で、同じ項目に両方の費用を並べられます。
建設リサイクル法の届出は、自分で壊しても所有者が出す
建設リサイクル法第9条第1項は、対象建設工事の受注者または「これを請負契約によらないで自ら施工する者(自主施工者)」に、分別解体等をする義務を課しています。第10条第1項は、対象建設工事の「発注者又は自主施工者」が、着手の7日前までに、解体する建築物の構造、工事着手の時期と工程の概要、分別解体等の計画などを都道府県知事に届け出る、と定めています。業者に頼めば発注者が、自分で壊せば自主施工者であるあなたが、届出者になります。
対象になる解体工事は、同法施行令第2条第1号で、建築物の床面積の合計が80平方メートルのものです。特定建設資材の1つに木材があるため、木造の家も対象に入ります。罰則は、届出をしなかったり虚偽の届出をしたりした者への20万円以下の罰金です(同法第51条)。
| 立場 | 建設リサイクル法で負うこと | 根拠 |
|---|---|---|
| 発注者(業者に頼む) | 着手の7日前までに届け出る。実務では業者が書類を作って代行することが多い | 第10条第1項 |
| 自主施工者(自分で壊す) | 着手の7日前までに届け出る。分別解体等をする | 第9条第1項、第10条第1項 |
| 受注者(業者) | 分別解体に加え、特定建設資材廃棄物の再資源化をする。解体工事業の登録か建設業許可が要る | 第9条第1項、第16条、第21条 |
建設リサイクル法(2026年10月3日取得)から作成。
再資源化の義務(第16条)は「対象建設工事受注者」に課されていて、自主施工者には条文上ありません。国土交通省の質疑応答集(案)は、自主施工者には分別解体等実施義務のみが課されているが、再資源化等についても可能な限り果たす努力が必要、としています。解体工事業の登録は、解体工事業を営む者が受けるもので、所有者が自分の家を壊すだけなら要りません(同Q23)。
届出の窓口と添付書類は自治体で違います。兵庫県の例では、届出書と別表1、案内図、外観写真(A4の台紙に添付)、工程表を出し、代理人が出すなら委任状が要ります。特定行政庁の市で工事をするなら、県でなく市の窓口に出す扱いです。工事場所の自治体で確かめてください。
請負契約を結ばない知人に無償で解体してもらう場合は、自主施工として扱ってよいとされています(国土交通省の質疑応答集(案)Q23)。ただし兵庫県のページには、工事の一部でも他者に請け負わせる場合は自主施工には該当しない、とあります。重機の操作だけを業者に頼む、といった形になる場合は、先に工事場所の自治体に聞くのが確実です。
石綿の事前調査は自主施工者の義務
大気汚染防止法第18条の15第4項は、解体等工事の自主施工者に、その工事が特定工事(石綿の飛散を防ぐ作業基準の対象)にあたるかどうかの調査をし、記録を作って保存することを義務づけています。調査の結果は、現場に記録の写しを備え置いて掲示し(同条第5項)、遅滞なく都道府県知事に報告します(同条第6項)。報告の対象は、解体では床面積の合計が80平方メートル以上の工事で、原則として石綿事前調査結果報告システムから電子で行います(施行規則第16条の11、環境省)。
| 場面 | 決まっていること | 根拠 |
|---|---|---|
| 調査を誰が行うか | 環境大臣が定める者に行わせる。令和5年10月1日から、建築物の解体・改修では建築物石綿含有建材調査者等 | 施行規則第16条の5第2号、環境省 |
| 書面で足りる建築物 | 平成18年9月1日以後に設置の工事に着手したことが設計図書などで明らかなら、調査者に行わせる義務の対象から外れる | 施行規則第16条の5第1号ただし書、環境省通知 |
| 個人の自主施工者が自ら調査できる場合 | 改造・補修の軽微な工事のみ。条文に解体は入っていない | 施行規則第16条の5第2号ただし書、環境省通知 |
| 吹付け石綿・石綿含有断熱材などがあるとき | 作業開始の14日前までに、発注者または自主施工者が届け出る。作業基準を守る | 第18条の17第1項、第18条の19 |
大気汚染防止法と同法施行規則、環境省の案内と通知(2026年10月3日取得)から作成。
個人が自分で解体する場合の調査について、環境省の通知は、個人の自主施工者が自ら調査できるのは「建築物の改造又は補修の作業であって、粉じんの量が著しく少ないもののみを伴う軽微な建設工事」を施工するときだけで、個人であっても作業基準の遵守義務など法の規制の対象である、と説明しています。東広島市の案内にも、自己施工であっても、解体前に有資格者によるアスベスト含有の調査が必要、とあります。調査は、石綿の調査を行う会社に見積もりを頼む形になります。調査の記録は工事が終わった日から3年間保存します(施行規則第16条の8)。
厚生労働省の石綿障害予防規則も、解体の前の事前調査(第3条)と、80平方メートル以上の解体の労働基準監督署への報告(第4条の2)を定めています。こちらの宛先は「事業者」で、労働安全衛生法第2条第3号は事業者を「事業を行う者で、労働者を使用するもの」と定めています。人を雇って手伝わせる場合などは、所轄の労働基準監督署の案内もあわせて見てください。
出た廃材は誰がどう処分するか
廃棄物処理法第2条第4項第1号は、産業廃棄物を「事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち」政令で定めるものとし、第2項は、産業廃棄物以外を一般廃棄物としています。業者に解体を頼んだ場合は、第21条の3第1項で元請業者が事業者として扱われ、廃材は元請業者の産業廃棄物です。そのマニフェストの流れは、家の解体で出る産業廃棄物とマニフェストのページにあります。
所有者が自分で解体して出した廃材をどちらに区分するかを、直接定めた条文は、今回取れた範囲では見つかりませんでした。区分と持ち込み方は市区町村が案内していて、取れた2市の案内(一例)では次のとおりです。
| 誰が壊したか | 廃材の扱い(自治体の案内) | 持ち込み |
|---|---|---|
| 市民が自分で施工 | 一般廃棄物として受け入れが可能な場合がある(東広島市)。小さな小屋などを自分で解体した廃材は一般廃棄物(むつ市) | 事前に市職員が施工場所や現物を確認し、申請書を出す(東広島市)。搬入確認証が要り、解体前の相談が必要(むつ市) |
| 業者が一部でも施工 | 産業廃棄物。市の処理施設では受け入れできない(東広島市) | 施工した業者に処理を頼む |
| 家主か同居家族以外 | 産業廃棄物の扱いで、受け入れできない(むつ市) | むつ市の案内による。他の市は個別に確認 |
東広島市「自己施工による建築廃材の直接搬入について」(2024年8月1日更新)、むつ市「建築廃材(家屋等の解体ごみ)の搬入について」から作成(2026年10月3日取得)。他の市区町村は異なることがあります。
東広島市の案内では、コンクリート殻・瓦・レンガ・便器・洗面台の陶器部分・アスベスト含有製品(含有が不明なものを含む)は60キログラムを超える場合、それ以外の建築廃材は350キログラムを超える場合に、現地確認と申請書が要ります。アスベスト含有製品は、処理施設に搬入できるのが50センチメートル四方以内で、二重袋で密封する決まりです。この数字は東広島市のもので、他の市には当てはまりません。
家の中に残った家具や家電などの残置物は、廃材とは別に、所有者が処分する必要があります。扱いは空き家の片付けのページにあります。
重機・足場・近隣の手続き
建築基準法第15条第1項は、「建築物の除却の工事を施工する者」が建築物を除却しようとするときに、建築主事等を経由して都道府県知事に届け出る、と定めています。床面積の合計が10平方メートル以内なら不要です。自分で施工するなら、届出者は施工する自分になります。
重機を使う場合は、騒音規制法と振動規制法の特定建設作業の届出があります。指定地域内で特定建設作業を伴う建設工事を施工しようとする者は、開始の7日前までに、騒音の防止の方法などを市町村長に届け出ます(騒音規制法第14条第1項、振動規制法第14条第1項)。解体に関わる作業は、騒音規制法施行令別表第二では、原動機の定格出力が80キロワット以上のバックホウ(環境大臣が指定するものを除く)、70キロワット以上のトラクターショベル、40キロワット以上のブルドーザー、さく岩機などです。振動規制法施行令別表第二では、鋼球で建築物を破壊する作業と、手持式を除くブレーカーを使う作業が挙がっています。借りる機械が表の数字に届くかは、レンタル会社の仕様で確かめてください。
足場については、労働安全衛生規則第518条が、高さ2メートル以上の箇所で作業を行う場合に、墜落の危険があるときは足場を組み立てるなどして作業床を設けることを、事業者に求めています。宛先は節3と同じく事業者です。自分と家族だけで行う場合にこの規則がどう当てはまるかは、条文だけでは決まりません。
近隣への挨拶そのものを定めた条文は、今回取れた範囲では見つかりませんでした。法令で決まっているのは上の届出で、騒音の届出には防止の方法を書く欄があります。届出には特定建設作業の場所と実施の期間も書くので、近隣へはその日程に合わせて伝えられます。
自分でやる場合と業者に頼む場合の費用の比べ方
金額の相場は載せません。比べるときは、同じ項目に両方の数字を入れます。自分でやる場合の欄は、レンタル会社、石綿の調査会社、市の手数料表などで見積もりを取って埋め、業者に頼む場合の欄は、複数社の見積書で埋めます。
| 項目 | 自分でやる場合 | 業者に頼む場合 |
|---|---|---|
| 解体作業 | 重機・工具のレンタル代、手伝いの人手、作業の日数 | 見積書の解体工事費 |
| 石綿の事前調査 | 有資格者に行わせるため、調査会社の見積もり | 調査を業者が行うか、費用が見積書に入っているか |
| 廃材の処分 | 市の手数料表と廃材の量。事前確認の手間 | 見積書の運搬費・処分費の項目 |
| 届出の準備 | 建設リサイクル法などの届出書を自分で用意する | 業者が代行することが多い。見積もりに含むかを聞く |
| 近隣への対応 | 日程と時間帯の連絡を自分で行う | 養生や挨拶が見積もりに含まれるかを聞く |
建設リサイクル法、大気汚染防止法、自治体の案内と空き家の解体ガイドから作成。
業者側の欄は、1社だけでは比べようがありません。見積もりを複数社から取って内訳を並べる方法は、一括見積もりのページに書きました。補助金が使えるかは解体費用と補助金のページで確かめられます。
解体工事比較ナビの公式ページは、解体を住宅メーカーや工務店に頼むと下請けに出すため中間マージンが生じ費用が高くなるので、できるだけ費用を抑えるには直接解体業者に依頼するのが一番の方法、複数の業者から見積もりを受けることが大切で、2倍近く金額が違うこともある、と案内しています(2026年10月3日に取得)。自分でやる場合の欄を埋める前に、業者側の数字を先にそろえておくと、自分でやる分の手間と費用を比べやすくなります。
よくある質問
床面積が80平方メートル未満なら、何も手続きはいりませんか?
建設リサイクル法の届出は、解体工事では床面積の合計が80平方メートル以上のものが対象です(同法施行令第2条第1号)。80平方メートル未満ならこの届出は要りません。ただし、石綿の事前調査は床面積にかかわらず自主施工者の義務で、報告が要るのが80平方メートル以上です。建築物除却届(建築基準法第15条第1項)は床面積10平方メートル以内なら不要で、それを超えれば要ります。廃材の処分も自治体の案内に沿う必要があります。
家族や知人に手伝ってもらっても、自分で解体したことになりますか?
建設リサイクル法では、請負契約を結ばない知人などに無償で解体してもらう場合は自主施工として扱ってよい、とされています(国土交通省の質疑応答集(案)Q23)。一方、兵庫県のページには、工事の一部でも他者に請け負わせる場合は自主施工に該当しない、とあります。また廃材の扱いは自治体で異なり、むつ市の案内では、家主か同居家族以外が解体した場合は産業廃棄物の扱いになります。手伝いを頼む前に、工事場所の自治体に聞いてください。
石綿の事前調査は、自分で行ってもよいですか?
解体では、原則として有資格者に行わせることになっています。大気汚染防止法施行規則第16条の5第2号は、調査を環境大臣が定める者に行わせるとし、自ら調査できる例外を、個人の自主施工者が「改造又は補修」の軽微な工事をするときに限っています。環境省は、令和5年10月1日から、建築物の解体・改修では建築物石綿含有建材調査者等による事前調査が義務付けられると案内しています。平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した建築物で、それが設計図書などの書面で明らかなら、この対象から外れます。
届出をしないと、どうなりますか?
建設リサイクル法の届出をしなかった、または虚偽の届出をした者は、20万円以下の罰金です(同法第51条)。吹付け石綿などがある工事の作業開始14日前の届出をしなかった者は、3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です(大気汚染防止法第34条第1号)。石綿の事前調査の結果の報告をしなかった場合も30万円以下の罰金です(同法第35条第4号)。個別の事案は、工事場所の都道府県・市の担当課にご相談ください。
解体が終わったあとの手続きはありますか?
建物を壊したあとの建物滅失登記があります。滅失の日から1か月以内の申請義務や、自分でするときの手順と必要書類は、建物滅失登記のページにまとめました。法務局の記載例は、取り壊した工事請負人の証明書を添付する形です。自分で取り壊した場合に代わりに何を出すかは、法務局の案内から取れませんでした。管轄の法務局の登記相談で確かめる流れを、そのページに書いています。
解体のあとの建物滅失登記は、建物滅失登記のページに書きました。
参考・出典
- e-Gov法令検索 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(第9条、第10条、第16条、第21条、第51条)
- e-Gov法令検索 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行令(第2条)
- e-Gov法令検索 大気汚染防止法(第18条の15、第18条の17、第18条の19、第34条、第35条)
- e-Gov法令検索 大気汚染防止法施行規則(第16条の5、第16条の8、第16条の11)
- e-Gov法令検索 建築基準法(第15条)
- e-Gov法令検索 騒音規制法(第14条)
- e-Gov法令検索 騒音規制法施行令(別表第二)
- e-Gov法令検索 振動規制法(第14条)
- e-Gov法令検索 振動規制法施行令(別表第二)
- e-Gov法令検索 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第2条、第21条の3)
- e-Gov法令検索 労働安全衛生法(第2条)
- e-Gov法令検索 労働安全衛生規則(第518条)
- e-Gov法令検索 石綿障害予防規則(第3条、第4条の2)
- 環境省 建物を壊すときにはどうしたら良いの?
- 環境省 石綿事前調査結果の報告について
- 環境省 大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行等について(令和2年11月30日 環水大大発第2011301号)
- 国土交通省 建設リサイクル法 質疑応答集(案)
- 国土交通省 建設リサイクル法の対象となる建設工事では届出が必要です
- 兵庫県 建設リサイクル法(届出先と添付書類の一例)
- 東広島市 自己施工による建築廃材の直接搬入について(一例)
- むつ市 建築廃材(家屋等の解体ごみ)の搬入について(一例)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案の判断は、工事場所の都道府県・市区町村の担当課、石綿の調査会社、解体業者などにご確認ください。