制度・リスク 読了時間:約8分

PR(本記事はアフィリエイト広告を含みます)

家の解体で出る産業廃棄物とマニフェスト|排出事業者は誰か・交付義務と保存期間・発注者が確かめられること・不法投棄のときの責任

空き家の解体で出る産業廃棄物の排出事業者は、解体を頼む所有者ではなく、所有者から直接工事を請け負った元請業者です(廃棄物処理法第21条の3第1項)。マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付して5年間保存するのも、元請業者の義務です。ただし、写しを発注者に見せる定めは条文にありません。所有者にできるのは、契約の前に、許可・登録、運搬と処分を頼む先、マニフェストの写しの扱い、完了の報告書を確かめておくことです。

確かめることどこでなぜ
解体工事業の登録か建設業許可許可は国土交通省の建設業者検索。登録は工事をする区域の都道府県許可か登録が無いと解体工事業は営めない(建設リサイクル法第21条)
産廃の運搬と処分を頼む先見積書・契約書。元請業者に聞く運搬も処分も許可を持つ業者への委託が必要(廃棄物処理法第12条第5項)。自分で運ぶなら運搬の許可は不要(第14条第1項)
頼む先の許可産廃情報ネットの許可情報検索運ぶ・処分する産廃が、その業者の事業の範囲に入っている必要がある(施行令第6条の2)
マニフェストの写しの扱い元請業者に、契約の前に頼む交付と5年の保存は元請業者の義務。発注者に見せる定めは条文に無い
再資源化の完了報告元請業者から書面で床面積80平方メートル以上の解体は、元請業者が書面で報告する(建設リサイクル法第18条)

廃棄物の処理及び清掃に関する法律と同施行令、建設リサイクル法、国土交通省・環境省の案内から作成(2026年10月3日取得)。

自分はどの場合に当てはまるか

排出事業者は発注者ではなく元請業者

廃棄物処理法第21条の3第1項は、解体工事を含む建設工事が請負で行われる場合、その廃棄物の処理についてこの法律を適用するときは、「当該建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者から直接建設工事を請け負つた建設業を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする」と定めています。解体を注文した所有者から直接工事を請け負った業者が、産業廃棄物の排出事業者です。

排出事業者が産業廃棄物の運搬や処分を他人に委託するときは、運搬は産業廃棄物収集運搬業者などに、処分は産業廃棄物処分業者などに委託しなければなりません(第12条第5項)。一方、排出事業者が自分で運ぶ場合は、収集運搬業の許可は要りません(第14条第1項ただし書)。元請業者が自社の車で運ぶ工事と、運搬を別の業者に頼む工事では、確かめる許可が変わります。

立場廃棄物処理法での役割根拠
発注者(所有者)条文は元請業者を事業者としており、発注者は事業者として挙げていない第21条の3第1項
元請業者排出事業者。委託先を選び、管理票を交付し、写しで処理の終了を確認して保存する第12条、第12条の3、第21条の3
運搬を受託した業者引渡しを受けて運び、終了したら管理票に記載して写しを送る第12条の3第3項
処分を受託した業者処分し、終了したら管理票に記載して写しを送る第12条の3第4項

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(2026年10月3日取得)から作成。

環境省は、廃棄物処理業者に産業廃棄物の処理を委託した場合でも、排出事業者に処理責任があることに変わりはなく、不適正な処理を行う業者に委託していたことが明らかになれば、排出事業者も措置命令の対象になる可能性がある、と案内しています。この「排出事業者」が、解体の工事では元請業者です。

マニフェストは誰が交付し、何年保存するか

紙のマニフェストは、7枚つづりの複写式で、A・B1・B2・C1・C2・D・Eの票があります(JWNETの説明)。排出事業者は、廃棄物の引渡しのときにA票を手元に残し、残りを収集運搬業者に渡します。運搬が終わるとB2票、処分が終わるとD票、最終処分まで終わるとE票が戻り、排出事業者はA票と照合して保存します。保存するのはA・B2・D・Eの4枚です。電子マニフェストは、紙の票を交付する代わりに電子データで同じやり取りをする仕組みです(環境省)。

いつ何が起きるか根拠
廃棄物の引渡しと同時元請業者が管理票を交付する法第12条の3第1項
運搬が終わってから10日以内運搬業者が管理票の写しを元請業者に送る法第12条の3第3項、規則第8条の23
処分が終わってから10日以内処分業者が管理票の写しを元請業者に送る法第12条の3第4項、規則第8条の25
交付から90日(最終処分の終了の写しは180日)以内に届かないとき元請業者が運搬や処分の状況を把握し、適切な措置を講じる法第12条の3第8項、規則第8条の28
写しを交付または受け取ってから5年間保存する規則第8条の21の2、第8条の26
管理票を交付しなかったとき1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金法第27条の2第1号

廃棄物の処理及び清掃に関する法律と施行規則(2026年10月3日取得)から作成。

条文は、元請業者が写しで運搬と処分の終了を確認し(第12条の3第6項)、保存することを定めています。写しを発注者に渡す、見せるとは定めていません。見せてもらえるかは契約と業者次第なので、契約の前に「工事が終わったら、最終処分の終了が書かれた写しを見せてもらえますか」と頼み、できれば契約書か見積書に書いてもらうのが、所有者にできることです。電子マニフェストの場合は紙の票がないため、見せてもらい方も元請業者と相談になります。

発注者が契約前と完了後に確かめられること

  1. 契約前に、許可番号か登録番号を聞く。建設業許可なら国土交通省の建設業者検索、解体工事業の登録なら工事をする区域の都道府県で照合します(節6)。
  2. 見積書に、産業廃棄物の運搬費と処分費の項目があるかを見る。項目が無いときは、どこまでが解体費用に含まれるかを元請業者に聞いてください。
  3. 産業廃棄物を誰が運び、どこで処分するかを聞く。元請業者が自社で運ぶのか、別の業者に頼むのか。頼むなら、その業者の名前を聞いて、産廃情報ネットで許可を照合します。
  4. マニフェストの写しの見せ方を、契約の前に頼む。床面積80平方メートル以上の解体で元請業者が出す書面(事前の説明、契約書、完了報告)は、空き家の解体ガイドに書きました。
  5. 工事が終わったら、報告書とマニフェストの写しを受け取る。そのあとの建物滅失登記は建物滅失登記のページで、費用や補助金は解体費用と補助金のページで確かめられます。

不法投棄されたとき、発注者は責任を問われるか

廃棄物処理法第16条は「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」と定め、違反して廃棄物を捨てた者は、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金に処せられます(第25条第14号)。

不適正な処理があり、生活環境の保全上の支障が生じるおそれがあるときの措置命令(第19条の5第1項)は、次の者が相手です。

第19条の6は、これらの者だけでは支障の除去が難しく、排出事業者が適正な対価を負担していないときなどに、排出事業者にも命令できると定めています。解体を発注しただけの所有者は、条文のこの列挙に注文者としては出てきません。ただし、捨てることを頼む形になれば、第5号の対象です。「処分費を浮かせるために、どこかに捨ててきてほしい」といった頼み方は避けてください。

個別の事案で責任を問われるかは、条文だけでは決まりません。問題が起きたときは、都道府県・政令市の廃棄物担当や弁護士にご相談ください。

許可・登録の見分け方

見るもの確認先見るところ
建設業許可(解体工事業など)国土交通省の建設業者検索(商号や許可番号で検索)許可を受けた業種。許可が無い業者は、次の登録を確かめる
解体工事業の登録工事をする区域を管轄する都道府県登録番号と有効期間。登録は5年ごとの更新が必要(建設リサイクル法第21条第2項)
産業廃棄物収集運搬業の許可産廃情報ネットの許可情報検索運ぶ産廃の種類と、許可を受けた区域
産業廃棄物処分業の許可産廃情報ネットの許可情報検索処分する産廃の種類と、処分の方法

国土交通省「建設業の許可とは」、環境省「産業廃棄物処理業者の情報」、産廃情報ネット、建設リサイクル法(2026年10月3日取得)から作成。

国土交通省は、建築一式工事以外の建設工事では、工事1件の請負代金が500万円未満の「軽微な建設工事」だけを請け負う場合、建設業許可を受けなくてもよいとしています。そのため、解体の業者が建設業許可を持たず、解体工事業の登録だけを持っている場合があります。産業廃棄物の許可は、運ぶ・処分する産廃の種類がその業者の事業の範囲に入っているかまで見てください(施行令第6条の2第1号・第2号)。

見積もりを複数社から取る方法は、一括見積もりのページに書きました。

よくある質問

解体のマニフェストは、発注した所有者が書くのですか?

条文では、所有者ではなく元請業者です。廃棄物処理法第21条の3第1項は、解体工事を含む建設工事が請負で行われる場合、注文者から直接工事を請け負った建設業を営む者(元請業者)を事業者とすると定めています。管理票(マニフェスト)の交付を義務づけた第12条の3第1項は、産業廃棄物の運搬や処分を他人に委託する事業者に課されています。

マニフェストは何年保存されますか?

5年です。交付した管理票の写しは施行規則第8条の21の2、運搬や処分の業者から送られてきた写しは第8条の26が、それぞれ5年と定めています。運搬や処分を受託した業者の保存も、日本産業廃棄物処理振興センター(JWNET)の説明では、交付日または送付を受けた日から5年間です。

解体業者がマニフェストを見せてくれないときは、どうすればよいですか?

廃棄物処理法第12条の3には、元請業者が管理票の写しを発注者に見せる、という定めがありません。見せてもらえるかは契約と業者次第なので、契約の前に頼むのが確実です。床面積80平方メートル以上の解体なら、元請業者が再資源化等の完了を書面で報告する義務は建設リサイクル法第18条第1項にあります。その報告が適正でないと認めるときは、同条第2項で都道府県知事に申告できます。

不法投棄されたら、解体を頼んだ所有者が片付けの費用を負担しますか?

個別の事案は、条文だけでは決まりません。廃棄物処理法第19条の5第1項は、措置命令の相手として、基準に適合しない処分などを行った者、違法な委託をした者、管理票の義務に違反した者、元請業者、違反する行為を要求・依頼・唆し・助けた者などを挙げています。解体を発注しただけの所有者は、この列挙に注文者としては出てきません。ただし不法投棄を頼む形になると第5号の対象です。実際に問題が起きたときは、都道府県・政令市の廃棄物担当や弁護士にご相談ください。

家の中に残った家財は、解体業者に頼めますか?

家庭から出る家財は、産業廃棄物とは扱いが違います。環境省は「ご家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の『一般廃棄物処理業許可』や委託が必要です。『産業廃棄物処理業の許可』や『古物商の許可』では回収できません」と案内しています。解体業者に家財の処分まで頼むなら、どの許可か委託で処分するのかを見積もりのときに尋ねてください。出典と確かめ方は、空き家の片付けのページにあります。

家財の扱いは、空き家の片付けは誰に頼む?遺品整理業者・不用品回収・粗大ごみの費用と流れに書きました。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案の判断は、都道府県・政令市の廃棄物担当、弁護士、解体業者などにご確認ください。

運

空き家計算機 運営事務局

本サイトは個人が運営する情報提供サイトです。空き家・相続不動産の活用・売却・管理について、国土交通省・法務省・農林水産省などの公開情報をもとに記事を編集・公開しています。お問い合わせは お問い合わせフォーム よりお願いします。