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火災保険の値上げはなぜ続く?長期契約は今も結べる?参考純率の改定の経緯・途中解約で戻るお金・更新前に見直せること
値上げが続いている主な理由は、自然災害による保険金の支払いの増加です。保険料の基になる損害保険料率算出機構の参考純率は、2014年から2023年の届出で5回引き上げられました(平均3.5%・5.5%・4.9%・10.9%・13.0%)。ただし平均の率は、自分の保険料の値上げ率とは限りません。長期契約については、参考純率が適用できる期間が2014年に「10年まで」、2021年に「最長5年」とされました。保険会社がいま何年までの契約を扱うかは、取得した原文には書かれていないので、契約の期間は保険証券で、これから結ぶ契約の期間は見積もりで確かめます。
| 届出 | 参考純率の平均 | あわせて示されたこと |
|---|---|---|
| 2014年6月 | 3.5%引上げ | 参考純率は保険期間10年までの契約に適用できる |
| 2018年5月 | 5.5%引上げ | 自然災害や水濡れ損害による保険金の支払いの増加が背景 |
| 2019年10月 | 4.9%引上げ | 築浅住宅(築10年未満)の割引を導入 |
| 2021年5月 | 10.9%引上げ | 参考純率が適用できる期間を、最長10年から最長5年に |
| 2023年6月 | 13.0%引上げ | 水災の料率を市区町村別の5区分に細分化 |
出典は損害保険料率算出機構「火災保険参考純率」と各改定案内。率は参考純率の平均で、実際の保険料の改定率とは異なります。各回の率を足したり掛けたりした合計は、原文に書かれていないので載せません。
自分はどの場合に当てはまるか
- 更新の案内で保険料が上がっていた:節2に値上げの理由、節3に平均の率と自分の保険料の違い、節6に見直せることを書きました。
- 10年・5年などの長期契約が満期に近い、または契約中:節4に最長年数、節5に途中解約、節6に満期の前にすることを書きました。
- 自分の契約が何年なのかわからない:節4に、保険証券で確かめる根拠を書きました。
- 構造別・保険期間別の平均保険料を知りたい:火災保険の相場のページにあります。
- 築年数が古くて保険料が高い:築40年以上・古い家の火災保険のページにあります。
- 水災補償を付けるか迷っている:火災保険の水災補償のページにあります。
- 誰も住んでいない空き家の火災保険:空き家の火災保険のページにまとめました。
なぜ火災保険の値上げは続くのか
参考純率の改定案内と金融庁の報告書に書かれていた理由を、届出の順に並べます。
- 2018年の改定(平均5.5%):自然災害や水濡れ損害による保険金の支払いの増加を挙げています。前回の改定以降の例として、2013年度の大規模な雪災(関東甲信に被害)と、2015年度の台風15号(九州に被害)が書かれています。
- 2019年の改定(平均4.9%):2018年度までに発生した自然災害(風水災)の影響を踏まえ、収支の均衡を確保する観点から改めて引き上げるとしています。
- 2021年の改定(平均10.9%):2017年度から2020年度に大規模な風水災が続いたことを挙げています。日本損害保険協会調べの支払保険金の例として、平成30年台風21号は9,202億円と書かれています。自然災害のリスクは将来にわたり大きく変化すると見込まれ、長期的なリスク評価が難しくなったとも説明しています。
- 2023年の改定(平均13.0%):自然災害に加えて、住宅の老朽化の進展と修理費の高騰を、火災保険金の支払いが増加傾向にある背景に挙げています。リスク評価も、近年の台風データを重視する手法に見直したとあります。
- 金融庁の報告書(令和4年3月31日):多くの損害保険会社の火災保険では、自然災害の多発・激甚化に伴う保険金支払いの増加により、保険料率の引上げが続いていると書いています。
築年数による較差は築40年以上・古い家の火災保険のページに、水災の料率の5区分は火災保険の水災補償のページにあります。
参考純率の「平均○%」は、自分の保険料の値上げ率か
同じ値上げでも、自分に届く率は同じとは限りません。改定案内に、次の注記があります。
- 平均の意味:2023年の13.0%や2021年の10.9%といった率は、都道府県・構造・築年数・補償内容などすべての契約条件の改定率を平均した数値で、契約条件によって異なります。2021年の案内では、改定率の最大は+36.6%(沖縄県・H構造・築10年以上)、最小は▲13.8%(山口県・H構造・築5年未満)です。
- 保険会社の判断:参考純率をそのまま使うか、修正して使うか、使わず独自に算出するかは、保険会社ごとの判断です。
- 付加保険料率:事業経費などにあたる部分は、保険会社が独自に算出します。
案内は、実際に支払う保険料の改定内容は参考純率の改定率とは異なる、と明記しています。このページでは保険会社ごとの改定率は書きません。自分の更新でいくら上がるかは、更新の案内と、同じ補償内容での他社の見積もりで確かめます。
長期契約は最長何年か・今も結べるのか
- 2014年の届出:火災保険の参考純率は、保険期間が10年までの契約に適用できることとされました。地球温暖化の研究で自然災害の将来予測の不確実性が増し、火災保険でも長期のリスク評価が難しくなったためと説明されています。
- 2021年の届出:参考純率が適用できる期間を、現行の最長10年から最長5年にするとされました。
- 保険会社の販売年数:この2つは参考純率を適用できる期間の話で、保険会社がいつから何年までの商品を売るかは、案内に書かれていません。このページでも、会社ごとの年数は書きません。
- 統計に残る10年契約:損保料率機構「火災保険・地震保険の概況(2025年度版)」では、2024年度の住宅物件の新契約12,766,984件のうち、5年契約が7,279,636件、10年契約が136,209件(1.1%)です(証券件数)。10年契約の新契約が全く結べなくなったとは、この統計から言えません。理由も書かれていません。
保険期間ごとの新契約の割合と平均保険料は火災保険の相場のページにあります。
自分の契約が何年かは、保険証券で確かめます。保険法6条は、保険会社が契約締結時に交付する書面に、保険事故による損害をてん補する期間、保険料とその支払の方法などを記載すると定めています。
長期契約を途中で解約すると、戻るお金はあるのか
保険法の定めと、原文で確かめられなかったことを分けます。
- 解約できるか:保険法27条は、保険契約者はいつでも損害保険契約を解除することができると定めています。
- 解約の効力:31条は、解除は将来に向かってのみ効力を生ずると定めています。解約が過去にさかのぼることはありません。
- 返す保険料:32条は、詐欺・強迫を理由に取り消した場合など、保険会社が保険料を返す義務を負わない場合を定めています。解約したときに返す保険料の額の算式を定めた条文は、損害保険の章には見当たりませんでした。
つまり、戻るお金があるか、いくらかは、保険法からはわかりません。保険証券・約款・契約している保険会社で確かめます。
更新・満期の前に見直せることは何か
- 長期契約は見直しの機会が少ない:金融庁の報告書は、契約見直しの機会が少ない長期契約の顧客に、保険会社側から積極的に情報提供することが期待されるとしています。脚注には、長期契約の契約者に年に一度、契約内容の確認と見直しを目的としたハガキを送る取組みと、水災補償を付ける場合に新しい契約へ切り替える必要があることが多いという意見が書かれています。
- 補償内容:水災を付けるかどうかは、火災保険の水災補償のページにあります。
- 保険金額:新価(再調達価額)か時価かは、築40年以上・古い家の火災保険のページにあります。
- 保険期間:何年契約にするかは、保険会社と補償内容によって選べる範囲が変わります。見積もりを同じ補償内容で並べて比べます。
- 複数社の見積もり:インズウェブの案内ページには、不要な特約が付いていたり、住宅ローン附帯の火災保険で高かったりと、見直す事で安くなる事がある、現在ご加入中の火災保険の契約期間が終了する場合にも対応している、とあります。見積もりは数日中に保険会社や保険代理店から届き、比較検討したうえで申し込むと案内されています。安くなるかどうかは、補償内容と保険会社によります。
インズウェブは保険会社・代理店ではなく、保険の媒介・募集・販売は行いません。
よくある質問
火災保険は、なぜ値上げが続いているのですか?
損害保険料率算出機構の改定案内は、自然災害(風水災)による保険金の支払いの増加を背景に挙げています。2023年の案内は、これに加えて住宅の老朽化と修理費の高騰も挙げています。金融庁の報告書(令和4年3月)も、多くの損害保険会社の火災保険で、自然災害の多発・激甚化に伴う保険金支払いの増加により保険料率の引上げが続いていると書いています。
参考純率が13.0%上がったなら、自分の保険料も13.0%上がりますか?
同じとは限りません。13.0%は、都道府県・構造・築年数・補償内容などすべての契約条件の改定率を平均した数値です。保険会社は参考純率をそのまま使うか、修正して使うか、使わず独自に算出するかを決めることができ、事業経費にあたる付加保険料率も各社が独自に算出します。実際の値上げ率は、更新の案内や見積もりで確かめます。
火災保険の長期契約は、最長何年ですか?
損保料率機構の参考純率が適用できる期間は、2014年の改定で10年まで、2021年の改定で最長5年とされました。ただし、保険会社がどの年数の商品を販売するかは、これらの案内には書かれていません。契約の期間は保険証券で確かめ、これから結ぶ契約の最長年数は見積もりの段階で保険会社・代理店に確かめます。
10年契約は、もう結べないのですか?
取得した原文からは、結べないとも結べるとも言い切れませんでした。損保料率機構「火災保険・地震保険の概況(2025年度版)」の統計では、2024年度の住宅物件の新契約12,766,984件のうち、5年契約が7,279,636件、10年契約が136,209件(1.1%)でした。10年契約の新契約が統計に残っている理由は、この統計には書かれていません。
長期契約を途中で解約すると、お金は戻りますか?
保険法27条は、保険契約者はいつでも損害保険契約を解除できると定め、31条は、解除は将来に向かってのみ効力を生ずると定めています。一方、解約したときに返す保険料の額の算式を定めた条文は、保険法の損害保険の章には見当たりませんでした。戻る額があるか、いくらかは、保険証券・約款・保険会社で確かめます。
更新や満期の前に、何を見直せますか?
補償内容(水災を付けるかなど)、保険金額(新価か時価か)、保険期間、そして複数の保険会社の見積もりです。金融庁の報告書は、長期契約は契約見直しの機会が少ないと指摘しています。インズウェブの案内ページには、見直す事で安くなる事があると書かれていますが、安くなるかどうかは補償内容と保険会社によります。
火災保険は、これからも値上がりしますか?
取得した原文には、今後の改定の有無や率は書かれていません。損保料率機構のページには、参考純率が適正な水準であるかを毎年度検証し、改定の必要があれば届出を行うとあります。取得した時点(2026年10月3日)で、公表されている最新の届出は2023年6月21日付でした。
参考・出典
- 損害保険料率算出機構 火災保険参考純率
- 損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内(2014年7月)
- 損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内(2018年6月)
- 損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内(2019年10月30日)
- 損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内(2021年6月16日)
- 損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内(2023年6月28日)
- 損害保険料率算出機構 火災保険・地震保険の概況(2025年度版・第5表)
- 金融庁 火災保険水災料率に関する有識者懇談会 報告書(令和4年3月31日)
- e-Gov法令検索 保険法(第6条・第27条・第31条・第32条)
- SBIの保険比較インズウェブ 火災保険一括見積もり(案内ページ)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、保険料がいくらになるか、解約したときにお金が戻るか、特定の年数の契約が結べるかを保証するものではありません。個別の契約は、保険会社・保険代理店または日本損害保険協会のそんぽADRセンターなどにご確認ください。