売却・活用 読了時間:約8分

空き家バンクに登録するには?|必要書類・費用・登録できない家を、国交省と4自治体の原文で整理

空き家バンクは、空き家がある市区町村に、所有者が登録申込書や登記事項証明書などを出して登録する仕組みです。登録の費用は、無料と書いている自治体があります(函館市・黒部市)。ただし、売買や賃貸の契約で不動産会社に仲介を頼むと、その手数料は別にかかります。必要書類や、登録できない家の条件は自治体ごとに違うため、北杜市・函館市・多治見市・黒部市の公式ページと国土交通省の資料で確かめた内容をまとめました。

空き家バンクと全国版の関係

空き家バンクは、自治体が空き家の売りたい・貸したい所有者から情報を集め、空き家を探す人に紹介する仕組みです。国土交通省のQ&Aによると、空き家バンクは各自治体が空き家対策の一つとして自発的に開設しているもので、開設は義務ではありません。

国土交通省は、自治体ごとにばらばらだった情報を横断して検索できるよう、LIFULLとアットホームの2社による「全国版空き家・空き地バンク」の構築を支援しています。令和8年8月末時点で、1,151自治体が参加し、そのうち744自治体が物件を掲載中です。自治体へのアンケート等によると、約27,000件が成約済みとされています。掲載中の物件は、2社合計で19,804戸(物件の重複あり)です。

押さえておきたい点が3つあります。

登録の流れ

細かい手順は自治体で違いますが、4自治体の原文で共通していたのは次の順番です。

  1. 登録申込書などを出す。窓口に持参するか郵送します。黒部市はオンラインのフォームでも申請できます。北杜市は、先に「空き家バンク物件登録確認シート」を出して、登録できるかの見通しを聞く流れです。
  2. 市が物件を調べる。北杜市は所有者・協力会の不動産会社・市の職員で現地を確認します。黒部市は市が必要な調査を行い、調査結果を所有者に通知します。
  3. 登録・公開される。市のホームページなどに物件が載ります(全国版に載せるかは自治体の判断と所有者の同意で決まります)。登録の期間は、北杜市・函館市が2年間です。
  4. 問い合わせ・内覧に対応する。北杜市は、新しく登録した物件の内覧希望者を期限を設けて募り、情報公開からおおむね3週間以内に内覧を行うとしています。
  5. 交渉・契約をする。市は交渉や契約に関与しません。トラブルを避けるため、宅地建物取引業者の仲介が勧められています。函館市は、不動産団体を通じて選ばれた仲介業者と媒介契約を結ぶ流れで、仲介業者を決めることが登録の前提になっています。

4自治体の登録要件・書類・費用

各自治体の公式ページと、手続きの資料、要綱から読み取れる内容を並べました。自分の空き家がある自治体では、手続きが違う場合があります。

自治体要件と主な書類費用
北杜市市内の居住用の空き家(賃貸・分譲目的は除く)。申込書・登録カード・課税明細書の写し登録料の記載なし
函館市居住者のいない住宅・長屋・店舗兼用住宅。申込書・同意書・図面・登記事項証明書登録は無料。契約時に仲介手数料
多治見市居住していない住宅、または建築可能な土地。申込書・登録カード・登記事項証明書登録料の記載なし。媒介を頼むと報酬
黒部市市内の空家・空地。申込書・同意書・登記に関する誓約書など登録は無料。仲介手数料は別

「記載なし」は、確認したページ・手続き資料・要綱に登録料の記載が見当たらないという意味で、無料とは限りません。

北杜市(山梨県)

登録の申込みは、登録申込書に、直近の固定資産税課税明細書の写し(地目や面積が分かるもの。名寄帳や固定資産評価通知書でも可)と、運転免許証などの本人確認書類の写しを添えて、窓口か郵送で出します。実施要綱では、登録申込書と登録カード、課税明細書の写しまたは固定資産評価証明書が必要書類です。登録するとホームページや窓口で情報が公開され、原則2年間は登録を取り消せないとされています。農地付きの空き家は、空き家に付随する農地に限って登録できます。

函館市(北海道)

登録の対象は、現在居住者のいない住宅・長屋・店舗兼用住宅です(土地付きも対象)。出す書類は、登録申込書、同意書・誓約書、図面(付近見取図・配置図・平面図)、土地と建物の登記事項証明書(発行から3か月以内)です。市が不動産団体に通知して仲介業者を選び、所有者がその中から媒介契約を結んだうえで登録されます。登録期間は2年間です。

多治見市(岐阜県)

登録できるのは、市内にあって現に居住していない住宅(おおむね半年以内に退去する場合を含む)と、住宅を建築できる建築物のない土地です。出す書類は、登録申込書、登録カード、登記事項証明書で、共有名義の場合は共有名義者の同意書も必要です。不動産会社に媒介を頼んでいない場合は、市が協力事業者に物件の調査を依頼し、その事業者と媒介契約を結ぶと契約の媒介を行ってもらえます。

黒部市(富山県)

市内の空家・空地が対象で、申込みは登録フォームか、申請書の窓口提出・郵送です。市のページには、登録申込書、同意書、登記に関する誓約書、写真の台紙といった様式が並んでいます。登録は無料で、民間の不動産仲介業者への仲介手数料は別にかかります。空き家バンクを利用して契約した場合に、補助金(空家情報バンク活用促進事業補助金は最大20万円など)の対象になる制度もあります。

登録できない家の例

登録の申込みをしても、調査や審査で登録できないと判断される場合があります。4自治体の原文で挙げられていた例は次のとおりです。

北杜市は、現地調査の結果によって登録できない場合もあるとしています。相続登記が済んでいないなど、権利関係が整っていない家は、まず登記を整理する必要があります。相続登記義務化の期限診断で、登記の期限を確かめられます。

メリットとデメリット

メリット

デメリット

売れない・時間がかかるときの選択肢

登録できなかった場合や、登録しても動きがない場合は、別の手段に切り替えます。

よくある質問

空き家バンクに登録すれば、必ず売れますか?

必ず売れるわけではありません。黒部市は「現在のマッチング率 約59%(147件/250件)」(令和8年8月25日時点)と公表しています。北杜市は登録の期間を2年とし(実施要綱第6条)、函館市も登録期間は2年間です。北杜市・多治見市・黒部市は、市が売買の交渉や契約に関与しないとしており、価格を下げる、買取を使うといった別の手も並べて考える必要があります。

登録に費用はかかりますか?

自治体によります。函館市は「登録は無料」、黒部市も「登録は無料」と書いたうえで、どちらも仲介業者(不動産会社)の手数料は別にかかるとしています。北杜市と多治見市は、確認したページ・手続き資料に登録料の記載がありませんでした。多治見市は、協力事業者に媒介を頼むと宅地建物取引業法の範囲で報酬が発生するとしています。お住まいの自治体の窓口で確認してください。

不動産会社にすでに売却を頼んでいても登録できますか?

自治体で扱いが分かれます。北杜市は「すでに不動産業者等で賃貸・売却されている物件を、空き家バンクへ同時に登録することはできません」としています。函館市は、専属専任媒介契約・専任媒介契約をすでに結んでいる物件を対象外としています。多治見市は、すでに宅地建物取引業者に媒介を頼んでいる場合の手順を別に設け、その不動産業者から登録の承諾を得ることを最初の手順にしています。

自分の市区町村に空き家バンクがない場合は、全国版に直接登録できますか?

直接はできません。国土交通省のQ&Aは、全国版空き家・空き地バンクは各自治体が持つ空き家情報を掲載する仕組みなので、必ず自治体を介して登録しているとしています。また、空き家バンクを開設するかどうかは各自治体の任意で、開設の義務はありません。バンクがない自治体では、窓口で空き家の相談先を聞くか、買取業者や仲介会社への相談になります。

自治体の空き家バンクに登録すると、全国版にも載りますか?

載るとは限りません。国土交通省のQ&Aは、全国版に載せるには売りたい方・貸したい方の同意が必要で、登録時に同意がないと掲載されない可能性があり、各自治体の判断で載らない場合もあるとしています。全国版に参加している自治体は、アットホームとLIFULLそれぞれの参加自治体一覧で確認できます。

参考・出典

運

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