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家・土地をタダで譲るには|個人に無償で譲る手続き・もらう側の贈与税・登記の費用は誰が払う・隣の人に譲る・法人に譲るとみなし譲渡
家や土地をタダで譲ることは、民法でいう「贈与」です。贈与は、譲る側の意思表示ともらう側の受諾で成立します(民法第549条)。書面にしない贈与は各当事者が解除でき(第550条)、不動産は登記をしなければ第三者に対抗できません(第177条)。もらう個人には贈与税、不動産取得税、登録免許税が関わります。法人に譲ると、譲る側に時価で譲渡があったものとみなされます(所得税法第59条)。
このページは、家や土地を個人または法人に無償で譲りたい方向けです。自治体・NPOへの寄付は空き家を自治体・NPOに寄付できるかのページに、相続した土地を国に引き取ってもらう制度は相続土地国庫帰属制度のページに任せ、ここでは「個人や法人に譲るときの手続きと税金」を原文で確かめます。
タダで譲る手続きの流れ
家や土地を譲る側ともらう側の間で贈与の合意をし、法務局で所有権移転の登記をする流れです。条文で決まっている点は次のとおりです。
| 手順 | 根拠 | 原文の内容 |
|---|---|---|
| 贈与の合意 | 民法第549条 | 一方が財産を無償で与える意思を表示し、相手方が受諾すると効力を生ずる |
| 書面にする | 民法第550条 | 書面によらない贈与は各当事者が解除できる。履行の終わった部分は除く |
| 土地の一部だけ譲る | 不動産登記法第39条 | 分筆の登記は、所有権の登記名義人以外は申請できない |
| 登記を申請する | 不動産登記法第60条・第61条・第22条 | 登記権利者と登記義務者が共同で申請する。登記原因を証する情報と、登記義務者の登記識別情報を提供する |
| 第三者への主張 | 民法第177条 | 不動産の物権の得喪は、登記をしなければ第三者に対抗できない |
| その後の固定資産税 | 地方税法第343条・第359条 | 課税されるのは登記簿に所有者として登記されている者。賦課期日は1月1日 |
出典:e-Gov法令検索 民法(令和8年6月24日施行版)・不動産登記法(同)・地方税法(令和8年10月1日施行版)、2026年10月2日取得。
贈与契約書の書式や、手続きを司法書士に頼むときの報酬は、条文に書かれていません。法務局の窓口や司法書士に確かめてください。
もらう側にかかる税金|贈与税・不動産取得税・登録免許税
タダで譲ったつもりでも、もらう側には3つの税金が関わります。税額は評価額で決まりますので、このページでは計算例を作らず、原文で決まっている点だけを並べます。
| 税金 | 原文の内容 | 確かめること |
|---|---|---|
| 贈与税 | 個人から贈与で取得したときにかかる。1年間にもらった財産の合計から基礎控除110万円(租税特別措置法第70条の2の4)を引いた残りに課税。合計が110万円以下なら申告は不要(国税庁No.4402) | もらう人の税率区分(国税庁No.4408)。申告期限は取得した年の翌年2月1日から3月15日 |
| 不動産取得税 | 不動産の取得に対し、取得者に課する(地方税法第73条の2)。課税標準は取得時の不動産の価格(第73条の13)で、固定資産課税台帳に価格がある不動産はその価格で決める(第73条の21)。標準税率は100分の4(第73条の15)。令和9年3月31日までの住宅・土地の取得は100分の3(附則第11条の2)。課税標準が土地16万円に満たないときは課税できない(第73条の15の2) | 減額の特例(第73条の24など)が使えるか、都道府県税事務所に確かめる |
| 登録免許税 | 登記等を受ける者が納める(登録免許税法第3条)。別表第一第1号(二)は、所有権の移転の登記の税率を、相続・合併と共有物の分割は1000分の4、その他の原因は1000分の20と定める。課税標準は登記の時の不動産の価額(第10条) | 贈与は相続・合併・共有物の分割に挙がっていないので、その他の原因にあたる |
出典:国税庁 タックスアンサー No.4402・No.4408(令和8年4月1日現在法令等)、e-Gov法令検索 租税特別措置法・地方税法・登録免許税法(令和8年10月1日施行版)、2026年10月2日取得。
贈与税の評価は、相続税法第22条で「取得の時における時価」と定められています。国税庁No.4602によると、土地は路線価方式(路線価をもとに計算)か倍率方式(固定資産税評価額に一定の倍率を乗じる)で評価し、家屋は固定資産税評価額で評価します。ローンなどの負担を引き受ける条件が付いた贈与は、通常の取引価額で評価するとされています。不動産取得税が相続の取得を課税しない取得として挙げている(第73条の7)一方、「贈与」はその条文に出てきません。
登記の費用はどちらが払うか
登録免許税は、条文では「登記等を受ける者」が納めると定められています(登録免許税法第3条)。司法書士の報酬や、評価証明書などの書類の取得費をどちらが持つかを定めた条文は、今回確認した範囲で見つかりませんでした。
売買には、売買契約に関する費用は当事者双方が等しい割合で負担するという定めがあります(民法第558条)。贈与にあたる同じ定めは見当たりません。当事者で決めてよく、贈与契約書に、誰が何を払うかを書いておくと、後で揉めません。
隣の人に譲る・安く売る場合
隣の人は、通常は直系尊属ではない他人です。国税庁No.4408は、贈与税の一般税率(「一般贈与財産用」)を使う場合として、「直系尊属以外の親族(夫、夫の父や兄弟など)や他人から贈与を受けた場合」を挙げています。親から子への贈与で使う特例税率は、隣の人からの贈与には使えません。
土地の一部だけを譲るときは、先に分筆の登記が必要です。分筆は所有権の登記名義人しか申請できません(不動産登記法第39条)。
「タダは相手が受け取りにくいので、1円や安い値段で売る」という方法を考える方もいます。相続税法第9条は、著しく低い価額の対価で利益を受けた場合に、利益を受けた者が贈与により取得したものとみなすと定めています。安く売っても、贈与とみなされる場合があります。「著しく低い」の具体的な基準は、条文に書かれていません。
法人に譲ると、譲る側に税金がかかる
個人が不動産を法人に贈与すると、譲る側に譲渡所得の課税が生じる場合があります。所得税法第59条第1項は、贈与(法人に対するもの、と公益信託の受託者である個人に対するもの)と、著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するもの)があったときは、その時の価額で資産の譲渡があったものとみなすと定めています。
| 譲る相手 | 原文の内容 | 譲る側の課税 |
|---|---|---|
| 一般の個人 | 所得税法第59条第1項第1号の贈与は、法人等に対するものに限られる | みなし譲渡の対象に挙がっていない |
| 法人(営利法人など) | 法人に対する贈与や、時価の2分の1未満の価額による譲渡は、時価で譲渡があったものとされる(国税庁No.3105) | 時価で譲渡があったものとして譲渡所得を計算 |
| 国・地方公共団体、承認を受けた公益法人等 | 寄附はなかったものとみなされる。公益法人等は国税庁長官の承認が要る(国税庁No.3108) | 課税されない場合がある |
出典:e-Gov法令検索 所得税法(令和8年10月1日施行版)、国税庁 タックスアンサー No.3105・No.3108(令和8年4月1日現在法令等)、2026年10月2日取得。
法人側の税金は法人税の分野で、このページでは扱いません。自治体・NPOへの寄付の条件は寄付のページにまとめています。
もらい手が見つからないとき
相手が見つからないときの選択肢は、次の3つです。
- 自治体・NPOへの寄付:空き家を自治体・NPOに寄付できるか
- 相続した土地を国に引き取ってもらう:相続土地国庫帰属制度
- 買取専門業者に買い取ってもらう
買い取ってもらう場合は、無償の贈与ではなく売買になります。売主には譲渡所得の税金の問題が出ます(空き家の3,000万円特別控除のページに、相続した家の場合の控除があります)。
ラクウルの公式サイトには、「他社に断られた物件でも大丈夫ですか?」への答えが「はい、問題ありません」とあり、査定は無料(一部、対象外あり)とされています。買い取れる物件として、事故物件、再建築不可物件、共有持ち分物件、違反建築物件、旧耐震・築古物件、借地権などが挙がっています。自社買取のため、仲介手数料などの諸費用はかからないと書かれています。
無償に近い土地に値が付くか、いくらになるかは、公式サイトに書かれていません。査定で確かめてください。
よくある質問
家や土地をタダであげるのに、契約書は要りますか?
民法第549条は、贈与を、当事者の一方が財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによって効力を生ずると定めています。契約書そのものを義務づける条文は見当たりませんが、第550条は、書面によらない贈与は各当事者が解除できると定めています(履行の終わった部分を除く)。登記では、登記原因を証する情報を提供する決まりがあります(不動産登記法第61条)。贈与の内容は書面に残してください。
タダでもらった側にも税金はかかりますか?
個人から贈与で財産を取得したときは贈与税の対象です(国税庁No.4402)。暦年課税では、1年間にもらった財産の合計が基礎控除の110万円以下なら贈与税はかかりません。ほかに、不動産取得税(地方税法第73条の2)と登録免許税(登録免許税法第3条)が関わります。不動産取得税の第73条の7が課税しない取得として挙げているのは相続や法人の合併などで、「贈与」の語はありません。評価額や減額の特例は、都道府県税事務所と税務署に確かめてください。
譲る側に税金はかかりますか?
所得税法第59条第1項第1号は、時価で譲渡があったものとみなす贈与を、法人に対するもの(と公益信託の受託者である個人に対するもの)に限っています。一般の個人への贈与は同号に挙がっていません。法人に贈るときは、国税庁No.3105のとおり、時価で資産の譲渡があったものとされます。相続税法や所得税法の適用は個別の事情で変わりますので、税務署か税理士に確かめてください。
1円で売れば、贈与にならず税金もかかりませんか?
相続税法第9条は、対価を支払わないで、または著しく低い価額の対価で利益を受けたときは、利益を受けた者が、利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなすと定めています。「著しく低い」の具体的な基準は、第9条の条文には書かれていません。また所得税法第59条第1項第2号は、法人に対する著しく低い価額の譲渡を、時価で譲渡があったものとみなす対象に挙げています。
登記の費用は、譲る側ともらう側のどちらが払いますか?
登録免許税は、登記等を受ける者が納めると定められています(登録免許税法第3条)。司法書士の報酬や書類の取得費をどちらが持つかを定めた条文は、確認した範囲で見つかりませんでした。売買には、売買契約に関する費用は当事者双方が等しい割合で負担するという民法第558条がありますが、贈与には同じ定めが見当たりません。贈与契約書に、誰がいくら払うかを書いておくのが確実です。
もらい手が見つからないときは、どうすればよいですか?
自治体やNPOへの寄付は、別のページに受け入れ条件と税金をまとめています。相続した土地は、国庫帰属制度の対象になる場合があります。買い取ってもらう方法もあります。この場合は無償の贈与ではなく売買ですので、売主に譲渡所得の税金の問題が出ます。
参考・出典
- e-Gov法令検索 民法(第177条・第549条・第550条・第558条)
- e-Gov法令検索 相続税法(第9条・第21条の5・第22条)
- e-Gov法令検索 租税特別措置法(第70条の2の4)
- e-Gov法令検索 所得税法(第59条)
- e-Gov法令検索 地方税法(第73条の2・第73条の7・第73条の13・第73条の15・第73条の21・第343条・第359条・附則第11条の2)
- e-Gov法令検索 登録免許税法(第3条・第10条・別表第一)
- e-Gov法令検索 不動産登記法(第22条・第39条・第60条・第61条)
- 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
- 国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
- 国税庁 No.4602 土地家屋の評価
- 国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
- 国税庁 No.3108 国や地方公共団体又は公益を目的とする事業を行う法人等に財産を寄附したとき
- 訳アリ物件の買取専門店ラクウル公式サイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の贈与について税額・課税の有無を示すものではありません。契約は弁護士に、登記は法務局・司法書士に、税金は税務署・都道府県税事務所・税理士にご確認ください。サービスの内容と条件は変更される場合があるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。