不動産を親から子へ生前贈与すると税金はいくら?評価額2,000万円の宅地で計算
評価額2,000万円の宅地を、親から18歳以上の子へ暦年課税で生前贈与すると、贈与税585.5万円+登録免許税40万円+不動産取得税30万円で、合計655.5万円です。同じ宅地を相続すると、登録免許税は8万円で、不動産取得税はかかりません。相続時精算課税を選べば、この例の贈与税は0円ですが、親が亡くなったときに相続税の計算へ加算されます。贈与のあとで売る場合は、取得費と取得の時期を親から引き継ぎます。
評価額2,000万円の宅地を贈与するとかかる税金
贈与税の評価額も固定資産税評価額もともに2,000万円の宅地を、親から18歳以上の子へ贈与する場合と、相続する場合を並べます。
| 税金 | 生前贈与(暦年課税) | 相続 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 40万円(評価額の2%) | 8万円(0.4%) |
| 不動産取得税 | 30万円 | かからない |
| 贈与税・相続税 | 贈与税 585.5万円 | 相続税 0円 |
| 合計 | 655.5万円 | 8万円 |
相続は、遺産が2,000万円の宅地だけで、相続人が子1人の場合(基礎控除3,600万円)。不動産取得税は、宅地の価格の2分の1に3%(令和9年3月31日までの特例)。司法書士報酬は含みません。
土地の贈与税の評価額は、路線価方式か倍率方式で決まり、固定資産税評価額と同じとは限りません。家屋は固定資産税評価額がそのまま評価額です(国税庁 No.4602)。登録免許税と不動産取得税は固定資産税評価額を基にし、贈与税は上の方法で評価するため、土地では2つの額が別々になることがあります。
贈与税:暦年課税と相続時精算課税
贈与税には、暦年課税と相続時精算課税の2つの計算方法があります。同じ2,000万円の贈与でも、その年にかかる贈与税が大きく変わります。
| 項目 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 控除 | 基礎控除110万円 | 基礎控除110万円+特別控除2,500万円 |
| 税率 | 速算表で10〜55% | 特別控除を超えた部分に一律20% |
| 2,000万円の贈与税 | 585.5万円 | 0円 |
| 使える人 | 直系尊属から18歳以上の人が受け取る場合は特例税率 | 贈与者は60歳以上の父母・祖父母、受け取る人は18歳以上の子・孫 |
| 親の相続のとき | 相続開始前の一定期間の贈与は、相続税の計算に加算される | 贈与時の価額(基礎控除後)を相続財産に加算して相続税を計算する |
| 選んだあと | 贈与のたびに暦年課税で計算 | 暦年課税に戻せない |
出典:国税庁 No.4408・No.4103・No.4161。暦年課税の例は特例税率で、(2,000万円−110万円)×45%−265万円=585.5万円。
暦年課税の贈与が相続税の計算に加算される期間は、相続開始日が令和8年12月31日までなら3年以内、令和9年1月1日から令和12年12月31日までなら令和6年1月1日から死亡の日まで、令和13年1月1日以後なら7年以内です(国税庁 No.4161)。
相続時精算課税を選んだ場合、この例では特別控除2,500万円のうち1,890万円を使い、残りは610万円です。贈与税がかからなくても、親が亡くなったときに、基礎控除後の1,890万円が相続財産に加算されます。贈与額を自分で入れて確かめるときは、贈与税(暦年課税)の計算機と相続時精算課税の計算機が使えます。
登録免許税と不動産取得税
登録免許税
名義変更の登記にかかる登録免許税は、贈与なら固定資産税評価額の2%、相続なら0.4%です(国税庁 No.7191。土地も建物も同じ)。評価額2,000万円なら、贈与は40万円、相続は8万円です。
不動産取得税
相続による不動産の取得は、不動産取得税を課さないと地方税法73条の7第1号に定められています。贈与は、この非課税に挙がっていないため、取得した子に不動産取得税がかかります。
- 標準税率は4%です(地方税法73条の15)。
- 住宅または土地の取得は、令和9年3月31日までは3%です(地方税法附則11条の2)。
- 宅地は、令和9年3月31日までは課税標準が価格の2分の1です(同附則11条の5)。
評価額2,000万円の宅地なら、2,000万円×1/2×3%=30万円です。建物にかかる不動産取得税の計算や、司法書士に頼む場合の報酬を含めた名義変更の費用は、土地の名義変更の費用はいくら?相続・贈与・売買の税金比較で説明しています。
相続より高くなりやすい理由
同じ不動産を子に渡す場合、贈与のほうが費用が重くなりやすい理由は、次の4つです。
- 登録免許税が5倍:贈与は2%、相続は0.4%です。
- 不動産取得税がかかる:相続は非課税、贈与は課税です。
- 贈与税は基礎控除が小さい:贈与税の基礎控除は年110万円です。相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、子1人なら3,600万円です(国税庁 No.4152)。
- 小規模宅地等の特例が使えない場合がある:相続や遺贈で取得した宅地等の評価額を減らす特例です。相続時精算課税に係る贈与で取得した宅地等には適用できません(国税庁 No.4124)。使える場面は小規模宅地等の特例の計算機で確かめられます。
一方、相続税がかかるかどうかは、遺産全体の額で決まります。贈与するかどうかは、不動産だけでなく遺産の総額を見てから考えます。
贈与のあとで売ったときの税金
贈与された不動産を子が売ると、売った利益には譲渡所得の税金がかかります。国税庁 No.3270の説明は次のとおりです。
- 取得費:贈与した親がその土地建物を買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算します。
- 取得の時期:親の取得の時期がそのまま子に引き継がれます。親が取得した時から、子が売った年の1月1日までの所有期間で、長期か短期かを判定します。
- 子が支払った費用:業務に使われていない土地建物の場合、受け取った子が支払った登記費用や不動産取得税も取得費に含まれます。
- 取得費が分からないとき:売った金額の5%を取得費にできますが、この場合は、子が支払った登記費用などを取得費に含められません。
取得費の探し方と、5%を使った場合の税額の差は相続した土地・家の取得費が分からないときで説明しています。
空き家を売ったときの3,000万円の特別控除は、相続または遺贈で取得した被相続人居住用家屋と、その敷地等が対象と説明されています(国税庁 No.3306)。贈与で取得した家屋は、対象に挙がっていません。条件は相続した空き家を売るときの3,000万円特別控除で説明しています。
よくある質問
不動産を親から子へ生前贈与すると、税金はいくらかかりますか?
贈与税、登録免許税、不動産取得税の3つがかかります。贈与税の評価額と固定資産税評価額がともに2,000万円の宅地を、親から18歳以上の子へ暦年課税で贈与する例では、贈与税が585.5万円、登録免許税が40万円(評価額の2%)、不動産取得税が30万円(評価額の2分の1に3%)で、合計655.5万円です。相続時精算課税を選ぶと、この例の贈与税は0円になりますが、親が亡くなったときに相続税の計算へ加算されます。
生前贈与と相続では、どちらが税金が安いですか?
この例では、相続のほうが登録免許税と不動産取得税が小さくなります。相続の登録免許税は評価額の0.4%で、不動産取得税は課されません。相続税は遺産全体の額で決まり、遺産が2,000万円の宅地だけで相続人が子1人なら、基礎控除が3,600万円のため相続税はかかりません。遺産が多く、相続税がかかる人は別の計算になるため、相続税の計算機で確かめてください。
生前贈与でもらった不動産を売ると、税金はどうなりますか?
売った利益には譲渡所得の税金がかかります。取得費は贈与した親が買い入れたときの購入代金などを基に計算し、取得の時期も親の取得の時期を引き継ぎます(国税庁 No.3270)。取得費が分からないときの計算は取得費が分からないときで説明しています。
生前贈与の名義変更の費用はいくらですか?
主な費用は登録免許税で、贈与は評価額の2%です。司法書士に頼む場合の報酬を含めた費用は、土地の名義変更の費用はいくら?で説明しています。
親子間の贈与でも、不動産取得税はかかりますか?
相続による取得は不動産取得税を課さないと地方税法73条の7第1号に定められていますが、贈与による取得は、同条に挙がっていません。親子間でも、贈与で不動産を取得すると不動産取得税の対象になります。標準税率は4%で、住宅と土地は令和9年3月31日まで3%、宅地は課税標準が価格の2分の1です。
贈与税は自分で計算できますか?
暦年課税なら、1年間にもらった財産の合計から基礎控除110万円を引き、速算表に当てはめて計算できます。贈与税(暦年課税)の計算機に贈与額と、贈与者との関係・年齢を入れると、一般税率と特例税率を自動で計算します。