土地の名義変更の費用はいくら?相続・贈与・売買の税金比較
土地の名義変更にかかる費用の中心は、国に納める登録免許税です。同じ評価額の土地でも、名義変更の原因(相続・生前贈与・売買)によって税率が異なり、負担額が大きく変わります。評価額1,000万円の土地なら、相続は4万円、生前贈与は20万円、売買は15万円が目安です。原因ごとの税率の違い、贈与税・不動産取得税がかかるかどうか、司法書士報酬の相場まで、条文と公的な資料の数値で整理します。
名義変更の原因で税率が変わる
土地の名義変更(所有権移転登記)でかかる登録免許税は、登録免許税法別表第一により、名義変更の原因ごとに次の税率が定められています。
- 相続:評価額の0.4%(同法別表第一 一(二)イ)
- 生前贈与:評価額の2%(同 一(二)ハ「その他の原因による移転の登記」)
- 売買:原則は生前贈与と同じ2%ですが、土地については租税特別措置法第72条第1項第1号により1.5%に軽減されています(令和11年3月31日までの登記が対象。建物の売買には軽減がありません)。
同じ評価額の土地でも、相続なら贈与や売買の5分の1の税率で済みます。これは相続が「法律上、当然に発生する移転」であるのに対し、贈与・売買は当事者の意思による移転として扱われるためです。
登録免許税の早見表(相続・贈与・売買)
固定資産税評価額別の登録免許税の目安は次のとおりです(100円未満の端数は切り捨てています)。
| 評価額 | 相続 0.4% | 生前贈与 2% | 売買(土地) 1.5% |
|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 4万円 | 20万円 | 15万円 |
| 2,000万円 | 8万円 | 40万円 | 30万円 |
| 3,000万円 | 12万円 | 60万円 | 45万円 |
評価額は固定資産税評価額(実勢価格とは異なります)。土地と建物の両方を名義変更する場合は、建物分の税額(相続0.4%、贈与・売買2%)を別途加算します。
評価額100万円以下の土地の相続は免税
固定資産税評価額が100万円以下の土地の相続登記は、租税特別措置法第84条の2の2第2項により、2027年3月31日までの登記に限り登録免許税が免除されます(贈与・売買には適用されません)。
あなたの場合の税金と誰が払うか
相続した場合
かかるのは登録免許税(評価額の0.4%)のみです。不動産取得税は地方税法第73条の7第1号により非課税で、相続税は遺産全体の額によって別途かかるかどうかが決まります。費用を誰が払うかに法律上の定めはありませんが、実務上はその不動産を相続する(名義を受け取る)人が負担するのが一般的です。詳しい相場は相続登記の費用の相場で解説しています。
親から生前にもらう(生前贈与)場合
登録免許税(評価額の2%)に加えて、不動産取得税(標準税率4%。宅地は令和9年3月31日までの特例で課税標準が評価額の1/2になり、税率も3%に軽減されるため、実質的な負担が下がる場合があります)がかかります。さらに、受け取る側(子)には贈与税がかかる場合があります。1年間に受け取った財産の合計額から基礎控除110万円(租税特別措置法第70条の2の4)を差し引いた額が課税対象です。登録免許税・不動産取得税・贈与税のいずれも、原則として財産を受け取る側が負担します。
売買で買う場合
登録免許税(土地は1.5%、建物は2%)と不動産取得税(贈与と同じ軽減特例の対象になり得ます)がかかります。適正な価格で取引していれば贈与税はかかりません。登録免許税・不動産取得税は、実務上は買主が負担するのが一般的です。
司法書士報酬の相場
日本司法書士会連合会が2024年(令和6年)3月に実施した報酬アンケートでは、土地1筆・建物1棟(固定資産評価額の合計1,000万円)の所有権移転登記を代理した場合の報酬(税込)の全国平均は、原因によって次のように異なります。
| 原因 | 報酬の全国平均 | 有効回答数 |
|---|---|---|
| 相続 | 74,888円 | 1,109 |
| 生前贈与 | 53,902円 | 1,062 |
| 売買 | 56,678円 | 1,082 |
相続の設例は「法定相続人3名のうち1名が単独相続、戸籍謄本等5通の交付請求を含む」もの、生前贈与・売買の設例は登記原因証明情報の作成と登記申請の代理のみ(本人確認情報の作成など追加業務は含みません)です。相続人・物件数や取引の内容によって報酬は変わります。
自分でやる場合
いずれの原因でも、自分で法務局に申請すれば司法書士報酬はかからず、登録免許税と必要書類の実費だけで済みます。
- 相続:戸籍の収集や遺産分割協議書の作成が必要です。具体的な手順は相続登記を自分でやる方法で解説しています。
- 生前贈与:贈与契約書の作成、登記原因証明情報の準備に加え、贈与税の申告(必要な場合)まで自分で行うことになります。
- 売買:契約書の作成に加え、金融機関の融資を利用する場合は抵当権設定登記や決済への立ち会いが必要になることが多く、司法書士や不動産会社に依頼するのが一般的です。
評価額の確認方法
登録免許税・不動産取得税・贈与税のいずれも、計算のもとになるのは固定資産税評価額です。手元に課税明細書がない場合の取得方法は固定資産税評価額の調べ方で解説しています。評価額が分かれば、相続の場合の総額は相続登記費用計算機(登録免許税0.4%・司法書士報酬・実費を含めた試算。贈与・売買の税率には対応していません)で試算できます。
よくある質問
土地の名義変更の費用はいくらですか?
主な費用は登録免許税で、名義変更の原因によって税率が変わります。固定資産税評価額1,000万円の土地なら、相続は4万円(評価額の0.4%)、生前贈与は20万円(同2%)、売買は15万円(同1.5%、租税特別措置法の軽減)が目安です。司法書士に依頼する場合は、別途5〜7万円程度の報酬がかかります。
親から子への土地の名義変更(生前贈与)の費用は?
登録免許税(評価額の2%)に加えて、不動産取得税(標準税率4%。宅地は令和9年3月31日までの軽減特例で実質的な負担が下がる場合があります)がかかります。さらに、受け取る側(子)に贈与税がかかる場合があります。贈与税は1年間で受け取った財産の合計額から基礎控除110万円(租税特別措置法第70条の2の4)を差し引いた額に課税されるため、評価額がこれを超える土地を無償で贈与すると税額が大きくなりやすい点に注意してください。
土地の名義変更の費用は誰が払いますか?
法律上の定めはなく、当事者間の話し合いで決めます。実務上は、相続ならその不動産を取得する相続人、生前贈与なら財産を受け取る側(受贈者)、売買なら買主が、登録免許税・司法書士報酬を負担するケースが一般的です。
自分で土地の名義変更をすれば司法書士報酬はかかりませんか?
はい。自分で法務局に申請すれば司法書士報酬はかからず、登録免許税と必要書類の実費だけで済みます。相続の場合の具体的な手順は相続登記を自分でやる方法で解説しています。
登録免許税はどうやって計算しますか?
固定資産税評価額×税率(相続0.4%、贈与・売買は原則2%、売買のうち土地は租税特別措置法第72条第1項第1号により1.5%)で計算します。課税標準は1,000円未満、税額は100円未満を切り捨てます。評価額の調べ方は固定資産税評価額の調べ方で解説しています。