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相続した家の抵当権抹消|相続登記との関係・必要書類・登録免許税・古い抵当権
抵当権の登記を消すには、ローンを完済したうえで、抹消の登記を申請する手続が要ります。登録免許税は不動産1個につき1,000円です。所有者が亡くなっている家は、相続登記との順番が気になるところですが、法務局の案内と条文には、先にしなければならないかを書いた箇所はありませんでした。この記事は、原文で確認できたことと、確認できなかったことを分けて整理します。抵当権を消して相続した家を売りたい方に向けた内容です。
抵当権の抹消は、完済後に申請する登記
抵当権は、ローンの返済が滞ったときに金融機関が不動産を競売にかけられる権利で、登記簿に載っています。完済しても、この登記を消すには申請が要ります。不動産登記法60条は、権利に関する登記の申請は、登記権利者と登記義務者が共同でしなければならないと定めています。抹消登記の当事者は、法務局の案内では次のとおりです。
| 立場 | 誰か | 登記申請書の欄 |
|---|---|---|
| 登記権利者 | 抵当権設定者=不動産の所有者。夫婦で所有しているなど複数なら全員 | 「権利者」 |
| 登記義務者 | 抵当権者=金融機関等 | 「義務者」 |
出典:不動産登記法60条、法務局「住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)」(2026年10月2日取得)。
実際の手続は、金融機関等から完済後に送られる書類をそろえ、所有者が登記申請書を作って、不動産の所在地を管轄する法務局に出す流れです。案内は、一般的・定型的なケースを説明したもので、事案によっては抹消の前提として別の登記が必要になるなど、手続が複雑になる場合があると書いています。次の節が、その「別の登記」にあたる場面です。
所有者が亡くなっているとき:相続登記との関係
登記簿上の所有者が亡くなった人のままだと、案内の前提とずれます。案内は、権利者欄の住所・氏名は、登記簿上の現在の所有者の住所・氏名と一致している必要があると説明し、引っ越しなどで住所が変わっているのに変更登記をしていない例では、抹消の前に変更登記が別に必要になるとしています。所有者が亡くなっている場合について、取得できた原文でわかる範囲は次の表のとおりです。
| 知りたいこと | 原文でわかること | 出典 |
|---|---|---|
| 相続人は抹消を申請できるか | 登記権利者について相続があったときは、相続人が権利に関する登記を申請できる | 不動産登記法62条 |
| 相続登記を先にしないと抹消できないか。同時(連件)で申請できるか | 書かれていない。案内は「事案によっては前提の別登記が必要」とだけ説明している | 法務局の案内 |
| 売るときは | 相続した不動産を売却したり抵当権を設定したりする場合は、相続登記をする必要がある(相続人申告登記では足りない) | 法務省Q&A |
| 相続登記の期限 | 相続で所有権を取得したと知った日から3年以内。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の可能性 | 不動産登記法76条の2、法務省Q&A |
出典:e-Gov法令検索 不動産登記法、法務局の案内、法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(2026年10月2日取得)。
順番については、原文で確認できなかったため断定しません。ただ、抹消の先に家を売るつもりなら、どのみち売る前に相続登記が要ります(法務省Q&A)。相続登記の費用と手順は相続登記の費用の相場、自分で申請する方法は相続登記を自分でやる方法、期限が迫るときの相続人申告登記は相続人申告登記とはにまとめています。抹消と相続登記をどの順で出すかは、管轄の法務局の手続案内(予約制)か司法書士に、登記簿の内容を見せて確認してください。
相続人の一人から申請できるか
不動産登記法62条は、「相続人その他の一般承継人は、当該権利に関する登記を申請することができる」と定めています。相続人が複数いるとき、一人だけで抹消を申請できるかは、取得した条文・法務局の原文に書かれていません。ここは断定せず、確認先を示すにとどめます。
参考になるのは、相続登記のほうの説明です。法務局のハンドブック(法定相続編)は、複数の相続人のうちの一人が申請人となって相続登記を申請することもできると説明しています。ただし、申請人とならなかった相続人には、登記識別情報は通知されません。
相続した家を売る場面では、相続人どうしの協力が要ります。遺産分割の前は共有になる点と、売ったあとの申告は換価分割とは、共有名義のままの売却は共有名義の不動産を売却・分割するにはで整理しています。
金融機関から受け取る書類と、自分で作る書類
法務局の案内では、抹消の申請に添付する書類は次の4つで、いずれも完済後に抵当権者の金融機関等から送られるのが一般的です。申請書は、所有者が自分で作ります。
| 書類 | 入手先 | 確認すること |
|---|---|---|
| 登記識別情報(または登記済証) | 金融機関等から送付 | 古い抵当権では、設定契約書に「登記済」の押印があるもの(登記済証)のことがある。提出は原本 |
| 登記原因証明情報(解除証書・弁済証書) | 金融機関等から送付 | 日付や不動産の表示に記載漏れがないか。あれば金融機関等に先に尋ねる |
| 会社法人等番号 | 金融機関等の送付文書に記載。登記事項証明書でも確認できる | 申請書の「義務者」欄に書く |
| 代理権限証明情報(委任状) | 金融機関等から送付 | 日付等の記載漏れがないか |
| 登記申請書 | 所有者が作成。様式と記載例は法務局のサイトにある | 法務局は作成を代行できない |
出典:法務局「抵当権の抹消の登記の申請に必要な書類とその入手先等」、「住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)」(2026年10月2日取得)。
案内には、金融機関等の住所・名称が、送付された書類と登記簿とで食い違うときは、変更の経緯がわかる書類(商業登記簿謄本など)が別に必要になることがあるとも書かれています。所有者が亡くなっている場合に追加で要る書類は、取得した原文に書かれていないため載せません。
申請の流れは、案内では4段階です。
- 登記申請書を作る
- 登録免許税分の収入印紙を、別の白紙(台紙)に貼って申請書とつづる
- 不動産の所在地を管轄する法務局に、窓口持参か郵送で提出する
- 登記が完了すると交付される登記完了証を受け取る
登録免許税は不動産1個につき1,000円
登録免許税法別表第一は、登記の抹消(土地または建物の表題部の登記の抹消を除く)を、不動産の個数1個につき1,000円と定めています。法務局の案内も、土地1筆と建物1棟なら合計2,000円としています。相続登記は別の登記で、税額の決め方が違います。
| 登記 | 登録免許税 | 根拠 |
|---|---|---|
| 抵当権の抹消 | 不動産1個につき1,000円。同一の申請書で20個を超える不動産なら、申請件数1件につき2万円 | 登録免許税法別表第一 |
| 相続登記(相続による所有権の移転) | 課税価格(固定資産課税台帳の価格)に1,000分の4を乗じた額 | 登記手続ハンドブック(法定相続編) |
出典:e-Gov法令検索 登録免許税法 別表第一、法務局の案内、登記手続ハンドブック(2026年10月2日取得)。相続登記には免税措置があり、条件はハンドブックに載っています。
自分で申請するか、司法書士に頼むか
法務局の案内は、登記申請書の作成を法務局では代行できないこと、法務局での登記手続案内は予約制であることを書いています。専門家に相談したい場合は、司法書士・弁護士に相談するよう案内しています。申請はご自身でもできますし、登記の専門家である司法書士に依頼することもできます。司法書士の報酬は、公的な原文に目安が見つからなかったため、金額は載せません。事務所ごとに見積もりを取って比べてください。
団体信用生命保険(団信)で完済になった場合も、案内が書いている書類は、完済後に金融機関等から送られるものです。団信による完済で書類がいつ届くか、手続が違うかは、取得した原文にないため、借入先の金融機関にご確認ください。
古い抵当権(休眠担保権)の抹消
何十年も前の抵当権が残っていて、金融機関等が見つからない、あるいは連絡が取れないことがあります。このとき、通常の共同申請ができません。不動産登記法70条・70条の2は、そうした場合に登記権利者が単独で抹消を申請できる道を、次のように定めています。
| 場面 | 条文が定める条件 | 条文 |
|---|---|---|
| 抵当権者の所在が知れない | 公示催告の申立てをし、除権決定があれば、登記権利者が単独で抹消を申請できる | 70条1項・3項 |
| 上の場合で、債権が消えた証拠がある | 被担保債権が消滅したことを証する情報(政令で定めるもの)を提供すれば、単独で申請できる | 70条4項前段 |
| 上の場合で、20年たっている | 被担保債権の弁済期から20年を経過し、その後に元本・利息・損害金の全額に相当する金銭を供託すれば、単独で申請できる | 70条4項後段 |
| 抵当権者が解散した法人 | 清算人の所在が調査してもわからず、弁済期から30年かつ解散の日から30年を経過していれば、単独で申請できる | 70条の2 |
出典:e-Gov法令検索 不動産登記法70条・70条の2(2026年10月2日取得)。「政令で定める情報」の中身は、政令の本文を取得できなかったため載せていません。
どの方法が使えるかは、登記簿に載っている抵当権者、弁済期の日付、法人かどうか、相手の所在調査の結果で変わります。供託の手続や公示催告の申立ての細部は、この記事では扱いません。登記簿を確認して、司法書士か法務局にご相談ください。
抹消のあと、相続した家を売る
抵当権の抹消と相続登記の見通しが立ったら、買主を探します。一般の買主に仲介で売る方法と、不動産会社が直接買い取る方法があります。複数社の査定で比べるのが基本です。査定の見方は不動産の売却価格査定の仕組みと複数社比較にまとめています。
買取業者の一つ、ラクウルが公式サイトに書いている内容は次のとおりです(2026年10月2日に確認)。
- 相談の入口:よくある質問に「相続前でも相談できますか?」があり、「はい、問題ありません」と答えています。権利証や関係書類を紛失していても、査定は可能と書かれています。
- 査定:査定は無料(一部対象外あり)、現地調査も無料で、最短当日で査定金額を提示するとしています。
- 費用と決済:自社で直接買い取るため仲介手数料は不要で、決済は最短1日としています。提示金額に納得できない場合は断れると書かれています。
公式サイトには、抵当権の登記が残っている物件や、相続登記が済んでいない物件の買取条件についての記載はありません。登記簿の状況(抵当権が残っているか、所有者が誰になっているか)は、問い合わせの際に伝えて確認してください。訳アリの家の買取全般は訳アリ物件買取ラクウルとはにまとめています。
よくある質問
ローンを完済すれば、抵当権の登記は自動で消えますか?
不動産登記法60条は、権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者と登記義務者が共同でしなければならないと定めています。法務局の案内も、完済後に金融機関等から送られる書類を使って、所有者が登記申請書を作り、法務局に申請する手続として説明しています。完済しただけで登記が書き換わるとは、取得した原文のどこにも書かれていません。
親(所有者)が亡くなっています。相続登記の前に抵当権を抹消できますか?
取得した原文には、相続登記を先にしなければ抹消できるかどうか、同時(連件)で申請できるかどうかを書いたものがありませんでした。不動産登記法62条は、登記権利者に相続があったときは相続人が権利に関する登記を申請できると定めています。法務局の案内は、事案によっては抹消の前提として別の登記が必要になることがあるとしています。どの順番で申請するかは、管轄の法務局の手続案内(予約制)か司法書士にご確認ください。
相続人の一人だけで、抵当権の抹消を申請できますか?
不動産登記法62条は「相続人その他の一般承継人は、当該権利に関する登記を申請することができる」と定めていますが、相続人が複数いるときに一人だけで申請できるかを書いた原文は取得できませんでした。法務局のハンドブックは、相続登記(法定相続分)については、複数の相続人のうちの一人が申請人になる申請もできると説明しています。抹消の申請は、法務局か司法書士にご確認ください。
抵当権の抹消に、登録免許税はいくらかかりますか?
登録免許税法別表第一は、登記の抹消(土地または建物の表題部の登記の抹消を除く)を、不動産の個数1個につき1,000円と定めています。土地1筆と建物1棟なら2,000円です。同一の申請書で20個を超える不動産について抹消を受けるときは、申請件数1件につき2万円です。相続登記の登録免許税は別で、課税価格に1,000分の4を掛けた額です。
何十年も前の抵当権が残っていて、抵当権者が見つかりません。
不動産登記法70条は、抵当権者の所在が知れないために共同で抹消を申請できないとき、公示催告の申立てをし、除権決定があれば登記権利者が単独で抹消を申請できると定めています。被担保債権が消滅したことを証する情報(政令で定めるもの)を提供する方法と、弁済期から20年を経過した後に元本・利息・損害金の全額に相当する金銭を供託する方法も条文にあります。抵当権者が解散した法人のときは、70条の2の要件(弁済期と解散の日からそれぞれ30年など)です。
団体信用生命保険(団信)で完済になった場合は、手続が変わりますか?
法務局の案内は、住宅ローンを完済したことなどによる抹消の書類(登記識別情報、解除証書や弁済証書、会社法人等番号、委任状)は、一般に抵当権者である金融機関等から送付されると説明しています。団信による完済の場合に書類がいつ届くかは、取得した原文に書かれていません。借入先の金融機関にお問い合わせください。
参考・出典
- e-Gov法令検索 不動産登記法(第60条・第62条・第63条・第70条・第70条の2・第76条の2)
- e-Gov法令検索 登録免許税法(別表第一)
- 法務局 住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)
- 法務局 抵当権の抹消の登記の申請に必要な書類とその入手先等
- 法務局 不動産登記の申請書様式について
- 法務局 住宅ローン等を完済した(抵当権抹消の登記をオンライン申請したい方)
- 法務局 登記手続ハンドブック 相続登記②(法定相続編)
- 法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A
- 訳アリ物件買取ラクウル 公式サイト
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- 訳アリ物件買取ラクウル よくある質問
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案での登記の順番・申請できる人・必要書類・登録免許税の額は、司法書士・弁護士・法務局にご確認ください。