PR(本記事はアフィリエイト広告を含みます)
根抵当権のある不動産を相続したら|6か月以内の合意の登記・元本確定・債務者変更・相続放棄
債務者や根抵当権者が亡くなったとき、相続の開始後6か月以内に合意の登記をしないと、担保される元本は相続開始の時に確定したものとみなされます。民法398条の8第4項の定めです。根抵当権のついた相続不動産を売って整理したい方は、まず亡くなったのが誰か、6か月がいつ来るか、相続放棄をするかを決めることになります。この記事は、条文と法務局の原文で確認できたことと、確認できなかったことを分けて整理します。
根抵当権とは:登記簿のどこを見るか
民法398条の2は、抵当権を「一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる」と定めています。これが根抵当権です。住宅ローンのように特定の借入を担保する抵当権と違い、継続的な取引で生じる債権を、極度額まで担保する形です。
登記簿では、所有権以外の権利を記録する乙区に載っています。根抵当権の登記事項には、担保すべき債権の範囲と極度額、債務者の氏名・住所などがあります(不動産登記法88条2項、83条1項2号)。相続した家の登記事項証明書で、乙区に「根抵当権設定」とあるか、債務者が誰になっているかを確かめるところから始まります。抵当権の抹消そのものは相続した家の抵当権抹消にまとめています。
債務者が亡くなったときの流れ
根抵当権の債務者が亡くなったとき、民法398条の8第2項は、根抵当権は相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者の合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する、と定めています。条文と不動産登記法92条から読み取れる順番は次のとおりです。
- 債務者の死亡(相続の開始)。民法882条は、相続は死亡によって開始すると定めています。
- 債務者の変更の登記。不動産登記法92条は、合意の登記は、相続による根抵当権の移転または債務者の変更の登記をした後でなければできないとしています。
- 根抵当権者と設定者が、相続開始後に負担する債務を担保する相続人を、合意で定める。後順位の抵当権者などの承諾は要りません(398条の8第3項が398条の4第2項を準用)。
- その合意の登記を、相続の開始後6か月以内にする(398条の8第4項)。
- 6か月以内に登記をしないと、担保すべき元本は相続開始の時に確定したものとみなされる(同項)。
債務者の変更の登記や合意の登記の申請書の様式と必要書類は、法務局の様式一覧に載っていません(根抵当権の様式は抹消と設定のみ)。そのため、書類の一覧はここに載せません。権利に関する登記は共同申請が原則で(不動産登記法60条)、相続人は申請できる(同62条)ところまでが、取得できた原文の範囲です。
なお、398条の8が定めているのは、債務者と根抵当権者の相続です。家の所有者(設定者)だけが亡くなった場合に、同じ6か月の期限があるとは、398条の8には書かれていません。
根抵当権者が亡くなったときとの違い
貸し手が個人で、その人が亡くなった場合は、根抵当権者の相続になります。債務者の相続と並べると、次の違いがあります。
| 項目 | 債務者が亡くなった | 根抵当権者が亡くなった |
|---|---|---|
| 条文 | 民法398条の8第2項 | 民法398条の8第1項 |
| 担保されるもの | 相続開始の時に存する債務と、合意で定めた相続人が開始後に負担する債務 | 相続開始の時に存する債権と、合意で定めた相続人が開始後に取得する債権 |
| 合意する人 | 根抵当権者と根抵当権設定者 | 相続人と根抵当権設定者 |
| 合意の登記の前にする登記 | 債務者の変更の登記 | 相続による根抵当権の移転の登記 |
| 6か月以内に合意の登記をしないと | 元本は相続開始の時に確定したものとみなす | 同左 |
出典:e-Gov法令検索 民法398条の8、不動産登記法92条(2026年10月2日取得)。
期限は、どちらも相続の開始後6か月以内です。違うのは、合意の相手と、先にする登記です。
6か月を過ぎたら:元本確定とその後
元本の確定は、相続の6か月を過ぎたときだけに起きるのではありません。条文が定める主な場面は次のとおりです。
| 場面 | 条文の内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 相続の合意の登記が6か月以内にない | 相続開始の時に確定したものとみなす | 398条の8第4項 |
| 設定者が請求する | 設定の時から3年を経過したとき請求でき、請求から2週間で確定する | 398条の19第1項 |
| 根抵当権者が請求する | いつでも請求でき、請求の時に確定する | 398条の19第2項 |
| 競売の申立て・破産 | 根抵当権者が競売を申し立て手続が開始したとき、債務者または設定者が破産手続開始の決定を受けたとき、などに確定する | 398条の20第1項 |
出典:e-Gov法令検索 民法398条の8・19・20(2026年10月2日取得)。元本の確定すべき期日の定めがあるときは、398条の19の請求の規定は適用されません(同条3項)。
元本が確定しても、根抵当権が消えるとは条文に書かれていません。確定した元本と利息等を、極度額を限度に担保するものとして残ります(398条の3第1項)。確定後にできることとして、条文にあるのは次のとおりです。
| できること | 条文の内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 極度額の減額請求 | 設定者が、極度額を「現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息等の額」を加えた額に減額するよう請求できる | 398条の21第1項 |
| 根抵当権の消滅請求 | 現に存する債務の額が極度額を超えるとき、他人の債務のために設定した者や、所有権などを取得した第三者が、極度額に相当する金額を払い渡しまたは供託して請求できる | 398条の22第1項 |
出典:e-Gov法令検索 民法398条の3・21・22(2026年10月2日取得)。
元本確定の登記は、398条の19第2項と398条の20第1項3号・4号の場合に、根抵当権の登記名義人が単独で申請できると定められています(不動産登記法93条)。6か月経過による確定は93条に挙がっていないため、その場合の申請人は、取得した原文では確かめられませんでした。
元本確定後の抹消
債務を整理して、根抵当権者が根抵当権を解除したら、抹消の登記を申請します。法務局の記載例は、根抵当権者(金融機関等の法人)と設定者(個人)の間で解除により消滅した場合に、書面で申請する例です。
| 申請書の欄 | 記載例の内容 | 注意 |
|---|---|---|
| 登記の目的 | 根抵当権抹消(順位番号後記のとおり) | 順位番号は乙区で確認する |
| 原因 | 解除の年月日と「解除」 | 根抵当権者が作成した解除証書が登記原因証明情報にあたる |
| 権利者 | 現在の所有者の住所・氏名 | 登記記録の所有者と一致している必要がある。一致しないときは事前に変更の登記が必要 |
| 義務者 | 根抵当権者。金融機関等は会社法人等番号 | 登記識別情報(又は登記済証)は根抵当権者のもの |
| 添付情報 | 登記識別情報(又は登記済証)、登記原因証明情報、会社法人等番号、代理権限証明情報 | 金融機関等では、解除証書や委任状は通常送られてくる。送られていなければ金融機関に尋ねる |
| 登録免許税 | 1個につき1,000円 | 条文は不動産の個数1個につき1,000円 |
出典:法務局「根抵当権抹消登記申請書 記載例」(2026年10月2日取得)。
登記簿の所有者が亡くなった人のままだと、権利者欄が一致しません。相続登記との関係は相続した家の抵当権抹消と同じ整理で、相続登記の費用は相続登記の費用の相場、義務化の期限は相続登記の義務化にまとめています。根抵当権者が個人で亡くなっている場合の抹消の書類は、記載例が法人の場合だけのため、載せません。
登録免許税
登録免許税法別表第一の、根抵当権に関係する区分は次のとおりです。
| 登記 | 登録免許税 | 別表第一 |
|---|---|---|
| 登記の抹消 | 不動産1個につき1,000円。同一の申請書で20個を超える不動産なら、申請件数1件につき2万円 | 一(十五) |
| 付記登記、登記事項の更正・変更の登記 | 不動産1個につき1,000円 | 一(十四) |
| 抵当権の移転の登記(相続・合併) | 債権金額または極度金額の1,000分の1 | 一(六)イ |
出典:e-Gov法令検索 登録免許税法 別表第一(2026年10月2日取得)。
債務者の変更の登記、合意の登記、根抵当権の相続による移転の登記が、この表のどの区分に当たるかは、別表に書かれていないため断定しません。申請する段階で、法務局か司法書士にご確認ください。
相続放棄をすれば引き継がない
民法939条は、相続の放棄をした者は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなす、と定めています。債務者の地位を引き継がない代わりに、家などの財産も引き継ぎません。注意点は次の3つです。
- 期限は3か月:放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にします。この期間は、家庭裁判所で伸長できます(915条1項)。根抵当権の合意の登記の6か月より、先に来る期限です。
- 処分すると単純承認:相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされます(921条1号。保存行為などは除く)。家を売ると決めて進める前に、放棄するかどうかを決める必要があります。
- 調査はできる:相続人は、承認または放棄をする前に、相続財産の調査をすることができます(915条2項)。登記簿の確認はこの段階でできます。
手続の流れは相続放棄は自分でできる?、費用は相続放棄の費用、放棄したあとの管理は実家を相続放棄したら管理義務はどうなる?、借金だけ整理する方法は限定承認とはにまとめています。
相続した家を売って整理する
放棄せずに引き継ぐ場合、売るには相続登記が必要です(法務省Q&A)。根抵当権が残っていれば、債務の整理と抹消の見通しを立てたうえで、買主を探します。一般の買主に仲介で売る方法と、不動産会社が直接買い取る方法があります。複数社の査定で比べるのが基本で、査定の見方は不動産の売却価格査定の仕組みと複数社比較にまとめています。
買取業者の一つ、ラクウルが公式サイトに書いている内容は次のとおりです(2026年10月2日に確認)。
- 相談の入口:よくある質問に「相続前でも相談できますか?」があり、「はい、問題ありません」と答えています。権利証や関係書類を紛失していても、査定は可能と書かれています。
- 査定:査定は無料(一部対象外あり)、現地調査も無料で、最短当日で査定金額を提示するとしています。
- 費用と決済:自社で直接買い取るため仲介手数料は不要で、決済は最短1日としています。提示金額に納得できない場合は断れると書かれています。
公式サイトには、根抵当権の登記が残っている物件や、相続登記が済んでいない物件の買取条件についての記載はありません。登記簿の状況(根抵当権の債務者・極度額、所有者が誰になっているか)は、問い合わせの際に伝えて確認してください。訳アリの家の買取全般は訳アリ物件買取ラクウルとはにまとめています。
よくある質問
親が亡くなって6か月が過ぎました。もう手遅れですか?
民法398条の8第4項は、合意について相続の開始後6か月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は相続開始の時に確定したものとみなす、と定めています。条文が定めているのは元本の確定で、根抵当権が使えなくなる、あるいは消えるとは書かれていません。確定後の根抵当権は、確定した元本と利息等を極度額を限度に担保するものとして残ります(398条の3第1項)。抹消の登記は、債務の整理をして根抵当権者が解除したあとに申請する流れです(法務局の記載例)。
6か月は、いつから数えますか?
民法882条は、相続は死亡によって開始すると定めています。398条の8第4項の文言は「相続の開始後六箇月以内」です。初日を入れるかなど、日数の数え方を書いた原文は取得できませんでした。期限が近いときは、法務局か司法書士に日付を示してご確認ください。
合意の登記は、相続の登記と同時にできますか?
不動産登記法92条は、民法398条の8第1項または第2項の合意の登記は、相続による根抵当権の移転または債務者の変更の登記をした後でなければできない、と定めています。つまり、合意の登記の前に、移転または債務者変更の登記が要ります。家そのものの所有権の相続登記と同時に申請できるかは、取得した原文に書かれていません。
相続放棄をすれば、根抵当権の借金は引き継ぎませんか?
民法939条は、相続の放棄をした者は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなす、と定めています。ただし、放棄は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にする必要があります(915条1項、家庭裁判所で伸長できます)。また、相続財産の全部または一部を処分すると、単純承認をしたものとみなされます(921条1号)。家を売る手続を進める前に、放棄するかどうかを決めておく必要があります。
根抵当権の抹消に、登録免許税はいくらかかりますか?
登録免許税法別表第一は、登記の抹消(土地または建物の表題部の登記の抹消を除く)を、不動産の個数1個につき1,000円と定めています。同一の申請書で20個を超える不動産について抹消を受けるときは、申請件数1件につき2万円です。債務者の変更や合意の登記の税額が別表のどの区分に当たるかは、取得した原文からは確かめられなかったため、法務局にご確認ください。
根抵当権の抹消と相続登記は、どちらを先にしますか?
取得した原文には、どちらを先にしなければならないかを書いたものがありませんでした。法務局の記載例は、申請書の権利者欄を登記記録の所有者と一致させる必要があるとしています。法務省のQ&Aは、相続した不動産を売却するような場合には相続登記をする必要があるとしています。順番は、管轄の法務局の手続案内(予約制)か司法書士にご確認ください。
参考・出典
- e-Gov法令検索 民法(第398条の2〜22、第882条、第915条、第921条、第939条)
- e-Gov法令検索 不動産登記法(第60条・第62条・第83条・第88条・第92条・第93条)
- e-Gov法令検索 登録免許税法(別表第一)
- 法務局 不動産登記の申請書様式について(根抵当権抹消登記申請書)
- 法務局 根抵当権抹消登記申請書 記載例
- 法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A
- 訳アリ物件買取ラクウル 公式サイト
- 訳アリ物件買取ラクウル ご利用の流れ
- 訳アリ物件買取ラクウル よくある質問
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案での登記の順番・期限・必要書類・登録免許税の額は、司法書士・弁護士・法務局にご確認ください。