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住宅ローンが払えなくなったら|滞納から競売までの流れ・払えなくなる前に相談できる先・競売が始まってからの入札と明渡し・自己破産や個人再生との分かれ道
住宅ローンが払えなくなったときは、返済方法の変更の相談、滞納後の一括請求と保証会社の弁済、裁判所の競売手続、入札から明渡しの順に段階が進みます。住宅金融支援機構は、返済でお困りの人に返済方法の変更メニューを用意していて、窓口は返済中の金融機関です。滞納から競売の申立てまでが何か月かは、法令・裁判所・機構の案内のどれにも書かれていないため、このページでは示しません。競売が始まっても、差押えは通常の使用を妨げないと民事執行法46条が定めています。
| 段階 | 起きること | 確かめること |
|---|---|---|
| 払えなくなりそう | 借入先に返済方法の変更を相談できる。機構の融資は3タイプで手数料不要、審査あり | 借入先の窓口。機構の案内 |
| 滞納が続く | 残額の一括返済を求められる段階がある。条件は契約の約款による | 借入契約書。借入先からの書面 |
| 保証会社が弁済 | 弁済した人が債権者に代位し、担保の権利も行使できる | 保証会社からの書面。民法499・501条 |
| 競売の申立て | 債権者が地方裁判所に申し立て、開始決定で差押え。債務者に送達される | 裁判所から届く書面 |
| 入札・開札 | 入札は売却基準価額の8割(買受可能価額)以上。期間入札は1週間以上1か月以内 | 裁判所の案内。BIT |
| 代金納付 | 納付で所有権が買受人に移る。納付期限は確定から1か月以内の適当な日(一例) | 管轄の裁判所 |
| 明渡し | 買受人は代金納付から6か月以内に引渡命令を申し立てられる | 民事執行法83条 |
出典は住宅金融支援機構「月々の返済でお困りになったとき」、裁判所「担保不動産競売」と不動産競売手続のQ&A、民法、民事執行法(e-Gov法令検索)(いずれも2026年10月3日取得)。「確かめること」はこのページの整理で、法令の区分ではありません。
自分はどの場合に当てはまるか
- まだ払えているが、苦しくなりそう:節2に書きました。
- 数か月払えていない、借入先から書面が届いた:節3に書きました。
- 裁判所から競売の書面が届いた:節4と節5に書きました。
- 他にも借金があり、自己破産や個人再生も考えている:自己破産・個人再生をすると持ち家はどうなる?にあります。
- 任意売却と競売の違いを知りたい:オーバーローンの家は売れる?にあります。このページは時系列と相談の時期に絞っています。
- 滞納しているのは固定資産税など税金:差し押さえられた不動産は売れるかにあります。
- 離婚が理由で払えなくなった:離婚で家を売るには?にあります。
払えなくなる前に、どこへ相談できるか
- 機構の融資の場合:住宅金融支援機構は、融資の返済でお困りの人に、返済方法の変更メニューを用意しています。大きく3タイプで、離職や病気等で収入が減って返済が大変になった場合、しばらくの間返済額を減らして返済したい場合、ボーナス返済が負担になっている場合です。手数料はかかりません。申請は返済中の金融機関にします。
- 審査があること:機構は、変更中と変更期間の終了後も返済を続けられるかを確かめるとしています。審査の結果、希望に添えない場合があります。変更の内容によっては総返済額が増えることもあります。
- 銀行などのローンの場合:上は機構の融資の案内です。銀行などのローンは、各行の契約と審査によります。金融庁の監督指針は、中小企業や住宅ローン借入者など個々の借り手の状況をきめ細かく把握し、貸付けの条件の変更等に努めているかを、金融機関の取組みを検証する着眼点に挙げています。条件変更の相談は、借入先の窓口にします。
- 借入先とのやり取りで困ったとき:金融庁の金融サービス利用者相談室は、預金・融資等の相談を受け付け、他機関の紹介や論点の整理などのアドバイスをします。あっせん・仲介・調停はできないとされています。
- 他にも返済があるとき:機構は、返済方法の変更をしても他の返済を抱えて継続が難しいと思われる人には、個人版民事再生法を弁護士など法律の専門家に相談するよう案内しています。自己破産・個人再生と持ち家に、住宅資金特別条項があります。
滞納が続くと、一括請求と保証会社の弁済はどう進むか
- 残額の一括返済を求められる条件:民法137条が、債務者が期限の利益を主張できない場合として挙げるのは、破産手続開始の決定を受けたとき、担保を滅失・損傷・減少させたとき、担保を供する義務を負うのに供しないときの3つです。滞納を理由とする定めは条文にありません。滞納で残額の一括返済を求められる条件は、借入契約書の約款で確かめます。
- 機構の言い方:機構の任意売却パンフレットには、機構が全額繰上償還請求をしていない人が任意売却を申し出ると、返済の継続を断念した意思表示となり、割賦返済中なら機構が残債務全額の繰上償還を催告する、という記載があります。全額繰上償還請求が手続の一段階として出てきます。
- 保証会社が弁済したとき:民法499条は、債務者のために弁済をした者は債権者に代位するとし、501条は、代位した者は債権者が持っていた担保に関する権利を、求償できる範囲内で行使できるとしています。借金がなくなるのではなく、請求する相手が代わる形です。
- 保証会社の弁済のあとの期限:民事再生法198条2項は、保証会社が保証債務の全部を履行した日から6月を経過する日までに再生手続開始の申立てがされたときも、住宅資金特別条項を定められるとしています。
- 月数は示せません:滞納から一括請求、保証会社の弁済、競売の申立てまでの月数は、民法・民事執行法・裁判所・機構の案内のどれにも書かれていませんでした。契約と借入先の書面で確かめます。
競売は、申立てから明渡しまでどう進むか
- 申立て:担保権を持つ債権者が、目的不動産の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てます。民事執行法180条は、担保不動産競売か担保不動産収益執行かを債権者が選ぶとしています。
- 開始決定・差押え:裁判所は開始決定で不動産を差し押さえる旨を宣言し、法務局に差押えの登記を嘱託します。開始決定の正本は債務者と所有者に送達されます。差押えの効力は、送達された時に生じます(民事執行法45条・46条。188条が担保不動産競売に準用)。
- 差押え後の使用:民事執行法46条2項は、差押えは債務者が通常の用法に従って使用し、または収益することを妨げないとしています。
- 売却の準備:裁判所は執行官や評価人に調査を命じ、買受希望者が見る三点セット(現況調査報告書・評価書・物件明細書)を作ります。評価人の評価に基づいて売却基準価額を定めます。
- 入札:入札は、売却基準価額から10分の2を引いた買受可能価額以上でしなければなりません(60条)。第1回目の売却は期間入札が一般的で、裁判所のQ&Aによれば、1週間以上1か月以内の入札期間を定め、別に定めた開札期日に開札します。物件情報は、入札期間が始まる日の2週間前までに公告され、情報サイトBITに載ります(運用の一例)。
- 売却許可から代金納付:最高価で落札した人に売却が許可されると、買受人は期限までに代金を納付します。代金の納付期限は、売却許可の決定の確定の日から1か月以内の適当な日と定められます(運用の一例)。所有権の移転登記は裁判所が行います。
- 明渡し:買受人は、債務者や占有者に不動産の引渡しを命じる引渡命令を申し立てられます。申立ての期限は代金納付から6か月以内です(民事執行法83条)。命令に応じないときは、執行官に強制的な明渡しの手続を申し立てられると、裁判所は案内しています。
- 配当:売却代金は、法律上の順位に従って債権者に分配されます。抵当権を持つ債権が優先します。
- 書かれていないこと:申立てから引渡しまでの全体の期間と、売却代金で足りなかった分の扱いは、裁判所の案内にありません。借入先か弁護士に確かめます。
競売の途中で、他に取れる道はあるか
- 債権者が取り下げる:裁判所のQ&Aは、競売事件の取下げを、債権者が取下書で行う手続として案内しています。開札後の取下げには、最高価買受申出人などの同意が必要になります。債権者が取り下げるかどうかは、案内に書かれていません。
- 個人再生で実行手続を止める:民事再生法197条は、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあるとき、裁判所が住宅の抵当権の実行手続の中止を命じることができるとしています。条件と手続は自己破産・個人再生をすると持ち家はどうなる?にあります。
- 任意売却:機構は、返済の継続が困難になったとき、競売のような強制的な処分ではない任意売却で残債務を圧縮することも検討してほしいと案内しています。競売との違いはオーバーローンの家は売れる?にあります。機構の案内では、媒介契約から6か月で買い手が現れないなどの場合に、競売手続に着手することがあります。
相談の前に、何を手元に揃えるか
- 1 借入契約書:滞納で残額の一括返済を求められる条件は、約款に書かれています。保証会社が付いているかも、ここで確かめます。
- 2 借入先からの書面:督促や一括返済の通知が届いていれば、日付を控えます。月数の基準が原文に無い以上、書面の日付が手続の位置を知る手がかりです。
- 3 ローン残高と家の登記事項証明書:残高と、抵当権を持つ債権者を確かめます。後ろに別の抵当権や差押えがないかも、登記で見ます。
- 4 売り方:不動産会社に仲介を頼む方法のほか、買取業者に直接売る方法があります。ラクウルの公式サイト(raku-uru.org、2026年10月3日取得)は、買い取れる物件に「債務整理物件」を挙げています。一覧に説明文はなく、住宅ローンや競売の記載もないため、この家が対象になるかは問い合わせて確かめます。
- 5 裁判所から書面が届いたら:開始決定の正本が届いた時点で差押えの効力が生じています(民事執行法46条)。書面は捨てずに、借入先と弁護士などの専門家への相談に持参します。
よくある質問
住宅ローンを何か月滞納すると、競売になりますか?
何か月という基準は、民法・民事執行法・裁判所の案内・住宅金融支援機構の案内のいずれにも書かれていませんでした。民法137条が期限の利益を主張できない場合として挙げるのは、破産手続開始の決定を受けたとき、担保を滅失・損傷・減少させたとき、担保を供する義務を負うのに供しないときの3つで、滞納を理由とする定めは条文にありません。滞納でいつ残額の一括返済を求められるかは、借入契約書の約款と、借入先から届く書面で確かめます。競売の申立てをするのは債権者で、民事執行法180条は、担保不動産競売か担保不動産収益執行かを債権者が選ぶとしています。
競売が始まったら、すぐに家を出なければなりませんか?
民事執行法46条は、差押えの効力は開始決定が債務者に送達された時に生じるとしたうえで、差押えは債務者が通常の用法に従って使用し、または収益することを妨げないとしています(188条が強制競売の規定を担保不動産競売に準用しています)。家の所有権が移るのは、買受人が代金を納付したときです。買受人は、債務者や占有者に引渡しを命じる引渡命令を、代金納付から6か月以内に申し立てることができ(83条)、命令に応じないときは、執行官による強制的な明渡しの手続を申し立てられると、裁判所は案内しています。開始決定から退去までの期間は、案内に書かれていません。
競売の手続が始まってからでも、止める方法はありますか?
裁判所のQ&Aは、競売の申立てを債権者が取下書で取り下げる手続を案内しています。開札後の取下げには、最高価買受申出人などの同意が必要になります。債権者が取り下げるかどうかは、案内には書かれていません。このほか、個人再生では、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあるとき、裁判所が住宅の抵当権の実行手続の中止を命じることができます(民事再生法197条)。詳しくは自己破産・個人再生のページにあります。
保証会社が代わりに払ったら、ローンはなくなりますか?
民法499条は、債務者のために弁済をした者は債権者に代位するとし、501条は、代位した者は債権の効力と、債権者が持っていた担保に関する権利を、求償できる範囲内で行使できるとしています。借金そのものがなくなるのではなく、請求する相手が代わる形です。また、民事再生法198条2項は、保証会社が保証債務の全部を履行した日から6月を経過する日までに再生手続開始の申立てがされたときも、住宅資金特別条項を定められるとしています。自分の契約で保証会社が付いているかは、契約書で確かめます。
競売では、家はいくらで売られますか?
裁判所は、評価人の評価に基づいて売却基準価額を定め、入札は、売却基準価額から10分の2を引いた買受可能価額以上でしなければならないと案内しています(民事執行法60条)。実際の落札額が相場より高いか低いかは、案内に書かれていません。売却代金で足りなかった分の扱いも案内にないため、借入先か弁護士に確かめます。
参考・出典
- e-Gov法令検索 民事執行法(第45・46・60・83・180・188条)
- e-Gov法令検索 民法(第137・499・501条)
- e-Gov法令検索 民事再生法(第197・198条)
- 裁判所 担保不動産競売
- 裁判所 民事事件のQ&A(不動産競売手続)
- 住宅金融支援機構 月々の返済でお困りになったとき
- 住宅金融支援機構 融資住宅等の任意売却
- 住宅金融支援機構 任意売却パンフレット(令和8年4月)
- 金融庁 中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針(Ⅱ-4-2)
- 金融庁 金融サービス利用者相談室
- ラクウル(買い取れる物件)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の借入契約や滞納の状況に対する法的助言ではありません。競売の開始や時期、返済方法の変更の可否、売却や買取の可否を保証するものではありません。個別の事情は、借入先の金融機関・弁護士・司法書士などにご確認ください。