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離婚で家を売るには?売るか残すかの分かれ道・離婚前と後のどちらで売るか・財産分与で渡すと税金は出るか・ペアローンの家
離婚で家を売るときは、売却額とローン残高の関係、名義とローンの契約、売る人が受けられる税の特例、財産分与での渡し方の順に確かめます。民法768条は財産分与を請求できると定めていますが、住宅の価値からローン残高をどう引くかの定めは条文にありません。売ったときの3,000万円控除は、売る人がその家に住んでいたか、誰に売ったかで変わります。財産分与で家を渡した側にも、税の上では譲渡の扱いが出ます。売値は示しません。
| 状況 | 売るときの論点 | 確かめること |
|---|---|---|
| 売却額がローン残高以上 | 売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消して引き渡す | ローン残高証明。売却額の見込み |
| 売却額がローン残高に届かない | 差額をどう用意するか。損失が出たときの特例がある | オーバーローンのページ。国税庁 No.3390 |
| 夫婦の共有名義 | 自分の持分だけか、家全体かで必要な同意が違う | 登記事項証明書の持分。共有持分のページ |
| ペアローン・連帯債務 | 債務者の変更・脱退・持分の変更は金融機関の審査。売るなら完済が前提 | 契約書。取扱金融機関 |
| 一方が住み続ける | 持分を移すと財産分与=譲渡。名義とローンの審査も要る | 国税庁 No.3105。税務署か税理士 |
出典は民法768条(e-Gov法令検索)、国税庁タックスアンサー No.3105・3302・3390、住宅金融支援機構 フラット35 よくある質問(いずれも2026年10月3日取得)。「確かめること」はこのページの整理で、法令の区分ではありません。
自分はどの場合に当てはまるか
- ローンが残っていて、売っても足りないかもしれない:節2に書きました。抵当権の外し方、差額の扱い、任意売却と競売の違いはオーバーローンの家は売れる?にあります。
- 家が夫婦の共有名義になっている:自分の持分だけを売る方法は共有持分は売却できる?、共有を解消する手続は共有名義の解消方法にあります。
- 売ったときの税金が知りたい:節3と節4に書きました。税額の全体は家を売る税金はいくら?にあります。
- ペアローンや連帯債務で借りている:節5に書きました。
- 売る順序が知りたい:節6に書きました。
売るか残すかは、何を見て分かれるか
- 条文にあること:民法768条1項は、協議上の離婚をした者の一方は、相手方に財産の分与を請求できると定めています。3項は、家庭裁判所が分与の可否と額・方法を定めるときの考慮要素として、婚姻中に取得・維持した財産の額、各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、協力及び扶助の状況、年齢、心身の状況、職業、収入その他一切の事情を挙げています。寄与の程度が異なることが明らかでないときは、相等しいものとされます。
- 条文にないこと:家を売るか残すかや、住宅の価値からローン残高をどう引くかを定めた文言は、768条にはありません。話し合いと、必要なら家庭裁判所の手続で決めます。
- 請求できる期間:協議が調わないときの家庭裁判所への請求は、離婚の時から5年を経過すると、できなくなります(768条2項)。法務省の案内では、この期間は離婚後2年から5年になり、令和8年4月1日に施行されました。施行前に離婚した夫婦は離婚後2年です。
- 売るか残すかを分ける材料:売却額とローン残高の差、名義とローンの契約(節5)、売ったときの税(節3・節4)です。ローン残高が売却額を上回る見込みなら、まずオーバーローンの家は売れる?を見ます。
- 住み続ける場合:一方が住み続けるときは、名義とローンの債務者を変えるかどうかが問題になり、金融機関の審査が要ります(節5)。持分を移すことは、税の上では譲渡にあたります(節4)。
- ローンの名義・連帯債務・連帯保証の整理:契約の種類ごとの違いは、会社員向けサイトの離婚したら住宅ローンはどうなる?にあります。このページは売却と税に絞っています。
離婚前に売るか、離婚後に売るか。3,000万円控除は使えるか
- 控除の対象になる家:国税庁のタックスアンサー No.3302(居住用財産の3,000万円特別控除)は、売る資産を「現に自分が住んでいる家屋」「以前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合)」とその敷地などとしています。
- 離婚で家を出た人と住み続ける人:この要件は、売る人ごとに見ます。家を出て住まなくなった人は「以前に住んでいた家屋」の期限が、住み続ける人は「現に住んでいる家屋」が問題になります。要件に書かれているのは住まい方と日付で、離婚の前か後かは書かれていません。
- 誰に売るか:No.3302は、親子や夫婦など特別の関係がある人に売ったものでないことを要件にしています。「特別の関係がある人」には、生計を一にする親族、売った後その家屋で同居する親族、内縁関係にある人なども含まれます。離婚後の元配偶者への売却や、財産分与での移転がこれに当たるかは、国税庁のこの説明だけでは分かりません。
- 前の年に使っていないか:売った年の前年と前々年に、この特例、またはマイホームの譲渡損失についての損益通算と繰越控除の特例の適用を受けていないことも要件です。
- 共有の家に一人が住んでいたとき:国税庁の質疑応答事例には、甲所有の土地の上の甲と乙の共有家屋に、甲が居住し乙は別居という場合に、甲は家屋の共有持分と敷地の全部に控除を適用して差し支えないとした例があります。土地を甲が持つ事案で、事実関係が同じとは限りません。
- 手続:この特例を受けるには確定申告が必要です(No.3302)。相続した空き家を売る場合の控除は別の制度で、空き家の3,000万円特別控除にあります。
- 損失が出たとき:住宅ローンが残るマイホームを、残高を下回る額で売って損失が出たときは、国税庁のタックスアンサー No.3390に、損益通算と繰越控除の特例があります(令和9年12月31日までの譲渡)。売った年の1月1日で所有期間5年超、償還期間10年以上のローン残高があること、売却価額が残高を下回ることなどが要件です。
どの特例が使えるかは、売る人の住まい方と日付で変わります。申告の前に、税務署か税理士に確かめます。
財産分与で家を渡した側に、譲渡所得の課税は出るか
- 譲渡に含まれる:国税庁のタックスアンサー No.3105は、譲渡を「有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為」とし、通常の売買のほか、財産分与なども含まれるとしています。
- どう計算するか:国税庁の質疑応答事例は、離婚に伴い土地を財産分与した場合、分与者に対しては分与した土地の時価(通常の取引価額)を基にして譲渡所得課税が行われるとしています。この事例は、値下がりして時価で計算すると譲渡損失が出る場合で、その損失は他の土地建物等に係る譲渡所得と通算できるとしています。
- 課税が出るかどうか:取得費と時価の差で変わります。計算の全体は家を売る税金はいくら?の「離婚で家を渡す場合」にあります。
ペアローン・連帯債務の家は、どう売るか
- 売るときの前提:売るときは、抵当権を抹消してから引き渡す形になります。住宅金融支援機構のQ&A 292は、フラット35では、完済すると抵当権を抹消するために必要な書類が渡され、法務局で抹消手続をするとしています。売却額で完済できないときはオーバーローンの家は売れる?を見ます。
- 売らずに債務者を変えたいとき:フラット35のQ&A 276は、離婚による債務者の変更や融資物件の持分の変更に、機構の審査が必要としています。審査の結果、認められない場合、融資金の一部の繰上返済を求められる場合、新たに債務者を追加するよう求められる場合があります。
- 債務者から抜けたいとき:Q&A 279も、脱退に機構の審査が必要としています。Q&A 4280は、借りた本人または連帯債務者は、返済中必ず持分を持つ必要があるとしています。
- 銀行などのローン:上のQ&Aはフラット35の案内です。銀行などのローンは、各行の契約と審査によります。借入先に、離婚を理由にした売却と債務者の扱いを確かめます。
- 名義人の一人が応じないとき:必要な同意が、自分の持分だけを売るか家全体を売るかで違います。共有持分は売却できる?と共有名義の解消方法にあります。
売ると決めたら、何を順に確かめるか
- 1 売却額とローン残高:残高証明と売却額の見込みを並べます。足りなければ節3の損失の特例と、オーバーローンのページを見ます。
- 2 名義人と持分:登記事項証明書で、誰がどの持分を持つかを確かめます。ペアローンや連帯債務なら、借入先の扱いを確かめます(節5)。
- 3 財産分与との関係:売った代金を誰がどう受け取るか、売らずに渡す場合の税(節4)は、先に決めておく論点です。協議が調わないときは家庭裁判所の手続があります(768条2項)。
- 4 売り方:不動産会社に仲介を頼む方法のほか、買取業者に直接売る方法があります。ラクウルの公式サイト(raku-uru.org、2026年10月3日取得)は、買い取れる物件に「共有持ち分物件」「紛争物件」を挙げています。一覧に説明文はなく、離婚の記載もないため、この家が対象になるかは問い合わせて確かめます。
- 5 売った後:3,000万円控除などの特例を使うときは、確定申告をします(節3)。
よくある質問
離婚前と離婚後、どちらで家を売ったほうが税金は安くなりますか?
一律には言えません。国税庁のタックスアンサー No.3302は、3,000万円の特別控除の対象を、売る人が「現に住んでいる家屋」か「以前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合)」としています。要件に書かれているのは売る人の住まい方と日付で、離婚の前か後かではありません。離婚で家を出た人と住み続ける人では、日付の数え方が人ごとに変わります。あわせて、売った年の前年・前々年に同じ特例などを受けていないこと、親子や夫婦など特別の関係がある人に売ったものでないことも要件です。実際の有利不利は事情で変わるため、税務署か税理士に確かめます。
財産分与で家を配偶者に渡すと、渡した側に税金がかかりますか?
国税庁のタックスアンサー No.3105は、譲渡に含まれるものとして財産分与を挙げています。質疑応答事例では、離婚に伴い土地を財産分与した場合、分与者に対しては分与した土地の時価を基にして譲渡所得課税が行われるとされ、値下がりして損失が出たときは他の土地建物等の譲渡所得と通算できるとされています。実際に課税が出るかは、取得費と時価の差などで変わります。税務署か税理士に確かめます。
住宅ローンが残っていても、離婚で家を売れますか?
売るときは、売却代金などでローンを完済し、抵当権を抹消してから引き渡す形になります。売却額がローン残高に届かないときの扱いは、オーバーローンのページにまとめています。国税庁のタックスアンサー No.3390には、償還期間10年以上のローン残高がある自宅を、残高を下回る額で売って損失が出たときの損益通算と繰越控除の特例があります(令和9年12月31日までの譲渡。売った年の1月1日で所有期間5年超などの要件があります)。当てはまるかは税務署か税理士に確かめます。
ペアローンや連帯債務の家で、離婚したら債務者から抜けられますか?
住宅金融支援機構のフラット35のQ&Aでは、離婚による債務者の変更・債務者からの脱退・融資物件の持分の変更は、機構の審査が必要とされています。審査の結果、認められない場合、融資金の一部の繰上返済を求められる場合、新たに債務者を追加するよう求められる場合があります。借りた本人または連帯債務者は、返済中、必ず持分を持つ必要があるともされています。これはフラット35の案内で、銀行などのローンは各行の契約によります。
財産分与は、離婚からいつまで請求できますか?
民法768条2項は、協議が調わないときは家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できるとし、離婚の時から5年を経過したときはこの限りでないとしています。法務省の案内では、請求期間は離婚後2年から5年になり、令和8年4月1日に施行されました。施行前(令和8年3月31日以前)に離婚した夫婦の請求期間は離婚後2年です。
参考・出典
- e-Gov法令検索 民法(第768条)
- 法務省 父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました(財産分与の請求期間)
- 国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
- 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例
- 国税庁 No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき
- 国税庁 質疑応答事例 財産分与に伴う譲渡損失の他の土地譲渡益との通算
- 国税庁 質疑応答事例 共有で所有している家屋とその敷地を譲渡した場合
- 住宅金融支援機構 フラット35 Q&A 276(離婚による債務者・持分の変更)
- 住宅金融支援機構 フラット35 Q&A 279(債務者からの脱退)
- 住宅金融支援機構 フラット35 Q&A 4280(持分の変更)
- 住宅金融支援機構 フラット35 Q&A 292(抵当権の抹消手続)
- ラクウル(買い取れる物件)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、離婚の個別の事情に対する法的助言ではありません。売却額や買取の可否、税額、ローンの変更の可否を保証するものではありません。個別の事情は、弁護士・税理士・税務署・借入先の金融機関などにご確認ください。