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差し押さえられた不動産は売れるか|固定資産税の滞納から差押えまでの流れ・解除・公売・相続した家
固定資産税を滞納すると、督促状を発した日から10日を過ぎても完納しないときは、市町村は滞納者の財産を差し押えなければならないと条文にあります(地方税法第373条)。差押えのあとも、通常の用法で住み続けることはできます(国税徴収法第69条)。差押えは、全額が納付などで消滅したときに解除されます(第79条)。差押えのまま売れるかを明記した条文は、取得できた範囲では見つかりませんでした。
このページは、固定資産税を滞納した相続物件を手放したい方向けです。固定資産税の計算は固定資産税のページ、相続放棄の手続きは相続放棄のページに任せ、ここでは「滞納するとどうなるか」「差押えのある物件を売れるか」を条文の原文で確かめます。
滞納から差押えまでの流れ
固定資産税を納期限までに納めないときの条文の順序は次のとおりです。
| 段階 | 条文 | 原文の内容 |
|---|---|---|
| 納期限を過ぎる | 地方税法第369条 | 延滞金がかかる。本則は年14.6%(納期限の翌日から1月を経過する日までは年7.3%) |
| 督促状 | 地方税法第371条 | 納期限後20日以内に督促状を発しなければならない(条例で異なる期間を定められる) |
| 差押えの要件 | 地方税法第373条第1項 | 督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないとき、滞納者の財産を差し押えなければならない |
| 不動産の差押え | 国税徴収法第68条 | 滞納者への差押書の送達で行い、差押えの登記を関係機関に嘱託する |
出典:e-Gov法令検索 地方税法・国税徴収法(2026年10月2日取得)。固定資産税の滞納処分は、地方税法第373条第7項で国税徴収法の滞納処分の例によると定められています。
延滞金の実際の割合は、本則どおりではありません。千代田区の延滞金の案内(区税)には、令和8年1月以降は年2.8%(納期限の翌日から1か月以内)と年9.1%(1か月を経過した日以降)と載っており、特例基準割合で決まると書かれています。固定資産税の割合は、お住まいの市区町村の案内で確かめてください。
条文が定めているのは、差押えの要件までです。納期限から実際に差押えまでが何か月かかるのか、何年かかるのかは、条文にも、取得できた資料にもありません。このページでは期間を示しません。
滞納した税の時効は、地方税法第18条で法定納期限の翌日から5年間ですが、督促があると、督促状を発した日から10日を経過した日までは完成せず、その後に新たに進行します(第18条の2第1項)。時効を待つ前提では考えないでください。
差押えのあとの暮らしと売却
差押えを受けた不動産について、条文で確かめられるのは次の点です。
| 確かめたいこと | 条文 | 原文の内容 |
|---|---|---|
| 住み続けられるか | 国税徴収法第69条第1項 | 通常の用法に従い、使用または収益をすることができる。価値が著しく減耗する行為がされると認められるときに限り、制限できる |
| 登記に載るか | 国税徴収法第68条第3項 | 不動産を差し押えたときは、差押えの登記を関係機関に嘱託しなければならない |
| 売却を禁じる定め | 見つからず | 地方税法・国税徴収法の全文で、差押えのある不動産の売却を禁じる、または許すと明記した条文は見つからなかった |
出典:e-Gov法令検索 国税徴収法(令和8年5月25日施行版)・地方税法(令和8年10月1日施行版)、2026年10月2日取得。
差押えの登記が付いた物件を、そのまま買ってくれる人がいるか、いくらになるかは、条文から分かりません。このページでは相場を示しません。売るために、納付と差押えの解除をどの順で進めるかは、市区町村の徴収担当の窓口と、売却を頼む不動産会社・司法書士に確かめてください。
差押えの解除
差押えが解除される場合の条文は、次のとおりです。
| 条文 | 原文の内容 | 関わる点 |
|---|---|---|
| 国税徴収法第79条第1項第1号 | 納付、充当、更正の取消などで差押えに係る税の全額が消滅したときは、差押えを解除しなければならない | 全額を納めたときの解除 |
| 国税徴収法第79条第2項 | 差押財産の価額が税額などを著しく超過するとき、他に適当な財産が提供されたときなどは、全部または一部を解除することができる | 解除は「することができる」。条件がそろえば自動で外れるとは書かれていない |
| 国税徴収法第80条第3項 | 不動産など登記をした財産の差押えを解除したときは、登記のまつ消を関係機関に嘱託しなければならない | 解除後に登記から差押えが消える |
出典:e-Gov法令検索 国税徴収法(令和8年5月25日施行版、2026年10月2日取得)。固定資産税には地方税法第373条第7項により、滞納処分の例による。
第79条は国税の条文で、固定資産税に当てはめるときの読み替えは条文だけでは確かめきれません。納付額の確定、解除の時期、登記の抹消までの日数は、市区町村の窓口で確かめてください。
公売と任意売却
差押えをした不動産を換価するときの条文は、次のとおりです。
| 方法 | 条文 | 原文の内容 |
|---|---|---|
| 公売 | 国税徴収法第94条・第95条 | 差押財産を換価するときは公売に付す。入札または競り売りで行い、公売の日の少なくとも10日前までに公告する |
| 随意契約による売却 | 国税徴収法第109条 | 公売に付しても入札等がないときなどは、公売に代えて随意契約で売却できる |
| 任意売却 | 語が見つからず | 地方税法・国税徴収法の全文に「任意売却」の語はなかった |
出典:e-Gov法令検索 国税徴収法(令和8年5月25日施行版、2026年10月2日取得)。
公売で買い手が付いたとき、その不動産にある抵当権などは、買受人が買受代金を納付した時に消滅します(第124条第1項)。自分で買い手を探して売りたいときの扱いは、条文からは分かりません。市区町村の窓口に確かめてください。
裁判所の競売は民事執行法の別の手続きで、このページでは扱いません。
相続した家に差押えがある場合
民法第896条は、相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると定めています(一身専属のものを除く)。地方税法第9条第1項も、相続人は被相続人が納付すべき地方団体の徴収金を納付する義務を承継すると定めています。
| 条文 | 原文の内容 | この場合に関わる点 |
|---|---|---|
| 地方税法第9条第1項・第2項 | 相続人は被相続人の徴収金を納付する義務を承継する。限定承認は得た財産が限度。相続人が2人以上は相続分であん分 | 親の滞納分が相続人に移る |
| 民法第915条第1項 | 相続の開始を知った時から3箇月以内に、単純承認、限定承認、放棄のどれかをする | 期間は家庭裁判所で伸長できる(同項ただし書) |
| 民法第921条第1号 | 相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなす | 放棄を考えるなら売却の前に専門家へ |
| 民法第939条 | 相続の放棄をした者は、初めから相続人とならなかったものとみなす | 放棄をすれば相続人としての承継はない |
出典:e-Gov法令検索 地方税法・民法(2026年10月2日取得)。
相続放棄の手続き・費用・管理義務は、相続放棄は自分でできる?のページ、相続放棄をしたあとの管理義務のページ、借金のある家を残す限定承認は限定承認のページにあります。
仲介で動かないときの選択肢
固定資産税を滞納して差押えのある物件は、一般の仲介で買い手を探しにくい場合があります。そのようなときは、事情のある物件の買取を扱う業者に査定を頼む方法があります。ラクウルは公式サイトで、買い取れる物件の種類に「債務整理物件」「紛争物件」などを挙げ、自社買取のため仲介手数料などの諸費用がかからないと説明しています。査定は無料で、一部対象外があるとされています。
差押え中の物件がその種類に当たるかは、公式サイトの説明からは分からないため、査定の申込みで確かめてください。差押えの解除には納付が要ります。買取の代金で納付するときの段取りも、市区町村の窓口と買取業者の両方に確かめてください。買取価格は市場価格より低くなるのが通常です。ほかの業者も含めた選び方は空き家買取業者の選び方、ラクウルの対象物件の全体は訳アリ物件買取ラクウルの記事にあります。
よくある質問
固定資産税を滞納すると、いつ差し押さえられますか?
地方税法第371条は、納期限後20日以内に督促状を発しなければならないと定め、第373条第1項は、督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、滞納者の財産を差し押えなければならないと定めています。差押えの要件は条文でここまでです。実際にいつ差押えをするかは市区町村の運用で、条文から「何か月後」「何年後」とは言えません。督促状が届いたら、納税の窓口に連絡して相談してください。
差し押さえられた不動産は売れますか?
取得した地方税法と国税徴収法には、差押えのある不動産の売却を禁じる、または許すと明記した条文が見つかりませんでした。条文で確かめられるのは、差押えが登記されること(国税徴収法第68条)、全額が納付などで消滅すると差押えが解除されること(第79条第1項第1号)、解除すると登記の抹消が嘱託されること(第80条第3項)です。差押えのまま売れるか、納付と解除をどの順で進めるかは条文から断定できず、市区町村の徴収担当の窓口と、不動産会社・司法書士に確かめてください。
差し押さえられたら、家に住み続けられませんか?
国税徴収法第69条第1項は、滞納者は差し押えられた不動産について、通常の用法に従い使用または収益をすることができると定めています。不動産の価値が著しく減耗する行為がされると認められるときに限り、その使用または収益を制限できます。固定資産税には地方税法第373条第7項で、滞納処分は国税徴収法の滞納処分の例によると定められています。
滞納した固定資産税は、時効で消えますか?
地方税法第18条は、地方税の徴収権は法定納期限の翌日から5年間行使しないことによって時効により消滅すると定めています。ただし第18条の2第1項は、督促があったときは督促状を発した日から10日を経過した日までの間は時効が完成せず、その後新たに進行を始めると定めています。時効が成立しているかは個別の経過で決まるため、時効を待つ前提では考えず、弁護士に相談してください。
公売と任意売却は何が違いますか?
公売は国税徴収法第94条に定める、入札または競り売りによる売却です。「任意売却」の語は、取得した地方税法と国税徴収法の全文に見つかりませんでした。条文にあるのは、公売に代えて随意契約で売却できる場合(国税徴収法第109条)で、入札がなかったときなどが挙げられています。自分で買い手を探して売る場合の手続きは、市区町村の窓口に確かめてください。
親が滞納していた固定資産税は、相続人が払うのですか?
地方税法第9条第1項は、相続があった場合、相続人は被相続人が納付すべき地方団体の徴収金を納付する義務を承継すると定めています。限定承認をした相続人は、相続によって得た財産を限度とします。相続人が2人以上のときは、相続分であん分した額を各相続人が納付します(第2項)。相続放棄をした人は、民法第939条により、初めから相続人とならなかったものとみなされます。
売ってから相続放棄をしても大丈夫ですか?
民法第921条第1号は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなすと定めています(保存行為などを除く)。相続放棄の期間は、民法第915条第1項で、相続の開始があったことを知った時から3箇月以内です。放棄を考えているなら、売却の前に弁護士か司法書士に相談してください。
参考・出典
- e-Gov法令検索 地方税法(第9条・第18条・第18条の2・第369条・第371条・第373条)
- e-Gov法令検索 国税徴収法(第68条・第69条・第79条・第80条・第94条・第95条・第109条・第124条)
- e-Gov法令検索 民法(第896条・第915条・第921条・第939条)
- 千代田区 延滞金について
- 訳アリ物件の買取専門「ラクウル」公式サイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の物件・納税状況について差押えの可否や売却の可否、時効の成否を示すものではありません。滞納処分の手続きは市区町村の納税担当窓口に、相続放棄や法的な判断は弁護士・司法書士に、税金は税務署や税理士にご確認ください。サービスの内容と条件は変更される場合があるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。