固定資産税評価額の調べ方|課税明細書・評価証明書・名寄帳
固定資産税評価額を調べる方法は、主に「課税明細書」「固定資産評価証明書」「名寄帳(または固定資産課税台帳の閲覧)」の3つです。ただし、誰でもネットで調べられるものではなく、閲覧や証明書の交付を受けられる人は地方税法で限定されています。相続人・借地人・借家人が取れる条件、手数料の目安、評価額から相続登記の登録免許税を出す方法まで、条文と自治体の案内の原文で整理しました。
固定資産税評価額を調べる3つの方法
- 課税明細書:毎年4〜6月頃に届く固定資産税の納税通知書に同封されています。手元にあれば最も早く、無料で確認できる方法です。
- 固定資産評価証明書:課税明細書が手元にない場合、固定資産が所在する市区町村の窓口(東京23区は都税事務所)で申請すると交付を受けられます(地方税法第382条の3)。相続手続きや金融機関への提出など、公的な証明が必要な場面ではこちらを使います。
- 名寄帳・固定資産課税台帳の閲覧:同じ市区町村内に複数の土地・家屋を所有している場合、所有物件を一覧で確認したいときに使います(地方税法第387条・第382条の2)。
いずれも、固定資産が所在する市区町村(23区内は都税事務所)が窓口です。全国共通のオンライン一括照会サービスはありません。
あなたの立場で取得できるか
固定資産課税台帳の閲覧・証明書の交付を受けられる者は、地方税法施行令第52条の14・第52条の15で次のように定められています。
- 固定資産税の納税義務者(持ち主本人):自分が所有する固定資産について取得できます。
- 相続人:東京都主税局の案内では、法定相続人(先順位の方がご存命の場合、後順位の方は対象外)と、遺言により指定された方(遺贈を受けた方・遺言執行人)が対象です。必要書類は法定相続情報一覧図、または被相続人の死亡が分かる書類と相続人の戸籍謄本などです。
- 借地人・借家人:土地または家屋について「賃料等の対価が支払われている」賃借権などを有する場合に限り、その対象物件について取得できます。契約書など対価の支払いが確認できる書類が必要で、無償で借りている場合は対象外です。
- それ以外の第三者:上記のいずれにも該当しない場合、原則として取得できません。
必要書類や運用は自治体ごとに定められている部分があるため、実際に申請する前に、固定資産が所在する市区町村の窓口に確認することをおすすめします。
ネットでは調べられない理由
「住所を入力するだけで固定資産税評価額が分かる」という無料の公式サービスは存在しません。固定資産課税台帳に記載された事項の閲覧・証明書の交付を受けられる者は、地方税法第382条の2・第382条の3とその施行令第52条の14・第52条の15によって「納税義務者」「対価を支払っている賃借人」などに限定されているためです。他人の固定資産の評価額を無条件に公開すると、この制限の趣旨に反することになります。
なお「路線価」は国税庁が毎年7月にネットで公開しており、誰でも無料で見られます。ただし路線価は相続税・贈与税の計算に使う別の指標で、固定資産税評価額とは金額も算定主体も異なります(次の項で解説)。
路線価・公示地価との違い
土地の価格には目的の異なる複数の公的評価が存在します。
| 種類 | 公表主体 | 目安 |
|---|---|---|
| 公示価格 | 国土交通省 | 実勢価格に近い基準 |
| 相続税路線価 | 国税庁 | 公示価格等の80%程度を目途 |
| 固定資産税評価額 | 市区町村 | 公示価格等の70%程度を目途(宅地) |
路線価はネットで公開されているため調べやすいですが、固定資産税評価額とは別の金額です。固定資産税評価額そのものが必要な場合は、課税明細書か評価証明書で確認してください。
土地・建物・マンション・新築の違い
- 土地と建物:評価証明書は「土地」「家屋」の種類ごとに申請します。両方の評価額が必要な場合は、両方を申請します。
- マンション(敷地権付き区分所有建物):建物(専有部分)と敷地権それぞれに評価額があります。証明書の記載方法は自治体によって異なる場合があるため、内容の見方が分からない場合は申請窓口に確認してください。
- 新築:新築した年度は評価が完了していない時期があり、市区町村の評価が終わって最初の課税明細書が届くまで評価額が確定しないことがあります。
評価額から登録免許税を計算する
相続で不動産の名義を変更する(相続登記をする)場合、国に納める登録免許税は「固定資産税評価額×0.4%」です(登録免許税法別表第一)。課税標準は1,000円未満を切り捨て、税額は100円未満を切り捨てます。
| 固定資産税評価額 | 登録免許税 |
|---|---|
| 500万円 | 2万円 |
| 1,000万円 | 4万円 |
| 2,000万円 | 8万円 |
司法書士報酬まで含めた相続登記費用の全国相場は相続登記の費用の相場、物件数を入れた自分の総額は相続登記費用計算機で試算できます。固定資産税そのものの仕組みは固定資産税の計算方法と軽減措置で解説しています。
手数料の目安(東京都・大阪市の例)
手数料は自治体ごとに定められており、全国一律ではありません。2026年9月30日時点で確認できた例を挙げます。
| 自治体 | 証明・閲覧の種類 | 手数料 |
|---|---|---|
| 東京都(23区) | 評価証明書 | 1件目400円・2件目以降100円 |
| 東京都(23区) | 固定資産(補充)課税台帳・名寄帳 | 1件300円 |
| 大阪市 | 固定資産課税台帳の閲覧 | 1件200円 |
東京都主税局の案内では、評価証明書・名寄帳ともに窓口での申請が基本です。課税台帳・名寄帳は郵送(都税証明郵送受付センター)にも対応していますが、評価証明書の郵送可否や大阪市など他自治体の詳しい手数料は、固定資産が所在する市区町村の窓口・ホームページで確認してください。
よくある質問
固定資産税評価額はネットで無料で調べられますか?
いいえ、原則として調べられません。固定資産課税台帳の閲覧・記載事項の証明書の交付を受けられる者は、地方税法第382条の2・第382条の3とその施行令第52条の14・第52条の15で「納税義務者」「対価を支払っている賃借人」などに限定されており、住所を入力するだけで誰でも見られる公式サービスは存在しません。誰でもネットで見られるのは「路線価」(国税庁)で、これは固定資産税評価額とは別の指標です。
相続人は固定資産評価証明書を取れますか?
取れます。東京都主税局の案内では、法定相続人(先順位の方がご存命の場合、後順位の方は対象外)と、遺言により指定された方(遺贈を受けた方・遺言執行人)が申請できるとされています。必要書類は「法定相続情報一覧図」があれば1点、無ければ被相続人の死亡が分かる書類と相続人の戸籍謄本などです。自治体によって必要書類や運用が異なる場合があるため、詳細は固定資産が所在する市区町村(東京23区は都税事務所)に確認してください。
借地人・借家人でも評価証明書を取れますか?
取れる場合があります。地方税法施行令第52条の14・第52条の15により、土地または家屋について「賃料等の対価が支払われている」賃借権などを有する者は、その権利の対象となっている土地・家屋に限り閲覧・証明書の交付を受けられます。無償で借りている(使用貸借の)場合は対象になりません。東京都主税局の案内では、賃貸借契約書など対価の支払いが確認できる書類の提出が必要です。
固定資産税評価額から相続登記の登録免許税はいくらになりますか?
評価額×0.4%(1,000円未満を切り捨てた額に0.4%を掛け、税額の100円未満を切り捨て)です。登録免許税法別表第一で定められています。評価額1,000万円なら4万円が目安です。物件数を含めた総額は相続登記費用計算機で試算できます。
新築の家は固定資産税評価額がいつ分かりますか?
新築した年度は評価そのものが完了していない時期があり、市区町村による評価が終わって最初の課税明細書が届くまで評価額が確定しないことがあります。急ぎで金額を知りたい場合は、固定資産が所在する市区町村の資産税担当に評価の進捗を確認してください。
参考・出典
- e-Gov法令検索 - 地方税法(第382条の2 台帳の閲覧、第382条の3 証明書の交付、第387条 名寄帳)
- e-Gov法令検索 - 地方税法施行令(第52条の14 閲覧できる者、第52条の15 証明書を受けられる者)
- e-Gov法令検索 - 登録免許税法 別表第一(相続による所有権移転登記の税率)
- 東京都主税局 - 【土地・家屋】相続人・受遺者(評価証明の申請できる方・必要書類・手数料)
- 東京都主税局 - 【土地・家屋】賃借人・地上権者等(対価が支払われる場合に限り申請可)
- 東京都主税局 - 固定資産に関する証明書等の手数料について
- 大阪市 - 固定資産課税台帳の閲覧を申請される方へ(手数料1件200円)