相続税 読了時間:約8分

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相続税の申告が不要な場合は?|基礎控除以下なら不要・税額0円でも申告が要るとき・生命保険金・申告しなかったら

相続税の申告が不要なのは、遺産の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下のときです。国税庁は、この範囲内なら申告も納税も必要ありませんとしています。ただし、合計額を数えるときは、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使う前の額で判定します。基礎控除額を超えていれば、これらの特例で税額が0円になる場合でも、特例を使うために申告書を出すことになります。

場面申告は要るか根拠
合計額が基礎控除額以下要らない(申告も納税も不要)国税庁 No.4205
合計額が基礎控除額を超える要る(死亡を知った日の翌日から10か月以内)相続税法27条1項
配偶者の税額軽減で税額が0円基礎控除額を超えるなら要る(軽減は申告書の提出が条件)相続税法19条の2第3項
小規模宅地等の特例で評価額が下がる特例を使う前の額で判定。超えるなら要る(特例は申告書の提出が条件)措置法69条の4第7項
死亡保険金を受け取った500万円×法定相続人の数までは合計に入れない。超えた分は入れる相続税法12条1項6号
遺産分割が終わっていない基礎控除額を超えるなら要る(分割できなくても期限は延びない)国税庁 No.4208

出典は国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)とe-Gov法令検索。2026年10月3日取得。

申告が要るかを決める「合計額」と基礎控除額

相続税の申告は、相続や遺贈で取得した財産などの合計額が、遺産に係る基礎控除額を超えるときに必要です(国税庁 No.4205、相続税法27条1項)。

基礎控除額の計算

合計額に入れるもの

国税庁 No.4102 は、正味の遺産額を次のように説明しています。

判定は「特例を使う前」の額で行う

No.4205 の(注2)は、合計額とは、租税特別措置法69条の4(小規模宅地等の特例)などを適用しない場合の課税価格の合計額だと書いています。特例で評価額を下げた後の額が基礎控除額以下になっても、それだけでは申告が不要になりません。

おおよその要否は国税庁のコーナーで判定できる

国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」は、相続財産の金額などを入力して、申告のおおよその要否を判定するものです。申告書を作るものではありません。小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)と配偶者の税額軽減を適用した場合の税額の計算シミュレーションもできます。基礎控除額の計算と税額の試算は相続税の計算機にあります。

税額が0円になっても申告が要る場合

「配偶者が相続するから税金はかからない」「小規模宅地等の特例で評価額が下がる」という理由だけで、申告をしなくてよいことにはなりません。次の2つは、条文が申告書の提出を適用の条件にしています。

配偶者の税額軽減

小規模宅地等の特例

国税庁が申告も納税も必要ないとしているのは、特例を使う前の合計額が基礎控除額の範囲内のときです。基礎控除額を超えそうかどうかが分かれ目で、不動産が遺産にあると評価額で結果が変わります。不動産の評価額の調べ方は路線価の調べ方にあります。

生命保険金・生前贈与・遺産分割前のとき

死亡保険金

被相続人の死亡で受け取った生命保険金のうち、被相続人が保険料を負担していたものは、相続で取得したものとみなされます(相続税法3条1項1号、国税庁 No.4114)。受取人が相続人のときは、次の枠があります。

法定相続人が3人なら、非課税限度額は500万円×3=1,500万円です。

生前贈与

相続や遺贈で財産を取得した人が、加算対象期間内に被相続人から暦年課税の贈与を受けていれば、その財産は合計額に加わります。相続時精算課税の適用を受けた財産も、合計額に入ります。ただし令和6年1月1日以後の贈与分は、年ごとに、相続時精算課税に係る基礎控除額を引いた残額が入ります(No.4102・No.4161)。相続時精算課税の計算は相続時精算課税の計算機にあります。

遺産分割が終わっていないとき

No.4208 のとおり、分割できていなくても申告期限は延びません。分割協議が成立していなければ、民法の相続分などで取得したものとして計算して申告します。その申告では、小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減が使えません。申告後に分割が成立し、実際の分割に基づく税額が少なければ、分割を知った日の翌日から4か月以内に更正の請求ができます。特例を使えるのは、原則として申告期限から3年以内に分割した場合です。

申告に必要な書類は相続税の申告に必要な書類に、申告を頼むときの費用は相続税申告の費用にまとめています。

申告しなかった場合と、税務署の調査の件数

国税庁 No.4205 は、申告期限までに申告をしなかった場合や、実際に取得した財産の額より少ない額で申告をした場合には、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合があるとしています。

税務署に関わる数字として、国税庁の「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」(令和7年12月)に、次の件数が載っています。

これらは国税庁が実際に行った件数です。申告した人のうち、何人に1人が調査を受けるのかという割合は、この資料にも他の公表資料にも載っていないため、このページでは示しません。同じ資料は、資料情報等から申告額が過少、または申告義務があるのに無申告と想定される事案を調査していると説明しています。

また、国税庁の申告要否判定コーナーは、税務署から相続についてのお尋ねが届いた人が、税務署への回答を作るときにも使えるとしています。

よくある質問

相続税の申告が不要なのは、どんなときですか?

国税庁のタックスアンサー No.4205 は、取得した財産の価額の合計額が遺産に係る基礎控除額の範囲内であれば、申告も納税も必要ありませんとしています。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。ここでいう合計額は、小規模宅地等の特例などを使う前の課税価格の合計額で、債務や葬式費用を引き、相続開始前3年以内などの暦年課税の贈与財産を加えた額です。

配偶者がすべて相続して、税額が0円になる場合も申告は要りますか?

合計額が基礎控除額を超えているなら、申告書の提出が必要です。配偶者の税額軽減(相続税法19条の2)は、第3項で、申告書に適用を受ける旨と計算の明細を書き、財務省令で定める書類を添付した場合に限り適用されると定められています。国税庁 No.4158 も、税額軽減の明細を書いた申告書に、戸籍謄本や遺産分割協議書の写しなどを添えて提出するとしています。

生命保険金を受け取りました。申告が必要ですか?

被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、相続で取得したものとみなされます(相続税法3条1項1号)。受取人が相続人なら、全員の受取額の合計が「500万円×法定相続人の数」以下の部分は課税の対象になりません(同法12条1項6号、国税庁 No.4114)。この枠を超えた分は、遺産の合計額に加わります。相続人以外の人が受け取った保険金には、この非課税の適用はありません。

遺産分割がまとまっていません。申告はいつまでにすればよいですか?

国税庁 No.4208 は、財産が分割されていなくても、申告期限(被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内)までに申告しなければならず、分割されていないことで期限は延びないとしています。分割協議が成立していないときは、民法の相続分などで取得したものとして計算して申告し、その申告では小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減が使えません。

相続税の申告をしないと、税務調査は来ますか?

来る・来ないを判断できる数字は、国税庁の公表資料にありません。公表されているのは、実際に行った件数です。令和6事務年度は、実地調査が9,512件(うち申告漏れ等の非違が7,826件)、文書・電話・来署依頼による「簡易な接触」が21,969件、無申告事案の実地調査が650件でした。この件数を、申告した人や申告が必要な人の数で割った割合は、資料に載っていないため書けません。申告期限までに申告しなかった場合や、実際より少ない額で申告した場合には、加算税や延滞税がかかる場合があります(No.4205)。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の相続で申告が必要かどうかは、税務署または税理士にご相談ください。

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