相続税 読了時間:約7分

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葬儀費用と香典は相続税でどう扱う?|差し引ける葬式費用・差し引けないもの・香典は課税されるか・誰が払った分を引けるか

葬儀費用のうち「葬式費用」にあたるものは、相続税の計算で遺産総額から差し引けます。お通夜や火葬・埋葬・納骨、お寺への読経料などが当たります。香典返し、墓石・墓地の購入、初七日など法事の費用は、葬式費用に含まれず差し引けません。香典については、国税庁は、個人から受ける社会通念上相当なものには贈与税がかからないとしています。差し引けるのは、費用を負担した相続人や包括受遺者の取得した財産からです。

費目差し引けるか根拠
火葬・埋葬・納骨の費用差し引けるNo.4129、相基通13-4(1)
お通夜など、葬式の前後に通常かかる費用差し引けるNo.4129、相基通13-4(3)
お寺への読経料などのお礼差し引けるNo.4129
遺体・遺骨の回送、捜索・運搬の費用差し引けるNo.4129、相基通13-4(1)(4)
香典返しの費用差し引けないNo.4129、相基通13-5(1)
墓石・墓地の購入、墓地の借入料差し引けないNo.4129、相基通13-5(2)
初七日など法事の費用差し引けないNo.4129、相基通13-5(3)
個人から受けた香典社会通念上相当なら贈与税がかからないNo.4405

出典は国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)と相続税法基本通達。2026年10月3日取得。

差し引ける葬式費用と、差し引けないもの

葬式費用は債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から差し引けます(国税庁 No.4126)。差し引く先は、相続や遺贈で財産を取得した人の財産の価額です。

差し引ける葬式費用

国税庁 No.4129 は、通常次のようなものを挙げています。

相続税法基本通達13-4は、このほかに、葬式に際して施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用も、葬式費用の範囲に含めています。国税庁の「相続税の申告のしかた」は、お寺などへの支払、葬儀社やタクシー会社などへの支払、お通夜に要した費用を例に挙げています。

差し引けないもの

No.4129 と相続税法基本通達13-5は、次の費用を葬式費用として扱わないとしています。

墓の代金が未払のとき

墓地や墓石、仏壇、仏具など日常礼拝をしている物には、相続税がかかりません(国税庁 No.4108、相続税法12条1項2号)。非課税財産の取得のために生じた債務は、債務控除にも入れられません(同法13条3項)。被相続人が生前に墓碑を買い入れて、代金が未払のときも、未払代金は債務として控除しません(通達13-6)。

葬式費用を差し引いた後の遺産の合計額で、相続税の申告が要るかが決まります。申告が要る場合は相続税の申告が不要な場合に、税額の試算は相続税の計算機にあります。

香典は課税されるのか

香典を受け取った側の課税について、国税庁の資料で確認できるのは次の点です。

個人から受ける香典

国税庁 No.4405 は、贈与税がかからない財産の1つに、個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるものを挙げています。

法人(会社)から受ける金品

法人からの贈与は、贈与税ではなく所得税の対象です(No.4405)。被相続人の勤務先から遺族が受ける弔慰金・花輪代・葬祭料は、相続税法基本通達3-20が次のように分けています。

香典返しは葬式費用に入らない

香典を受け取ったあとに送る香典返しの費用は、前の節のとおり葬式費用に含まれません。国税庁のチェックシートも、葬式費用に法要や香典返しの費用が含まれていないかを確認する項目を設けています。

誰が払った葬式費用を、誰の財産から引くのか

差し引けるのは、費用を負担する相続人・包括受遺者

相続税法13条1項2号は、被相続人に係る葬式費用を、相続や遺贈(包括遺贈と、被相続人からの相続人に対する遺贈に限る)で財産を取得した人が、その負担する部分の金額を取得した財産の価額から差し引くと定めています。国税庁 No.4126 は、差し引ける人を、財産を取得した時に日本国内に住所がある人と、住所がなくても日本国籍の人などとしています。これに当てはまらない相続人や包括受遺者は、葬式費用を控除できません。

「負担する部分」の決まり方

国税庁の「相続税の申告のしかた」は、計算例で、各人ごとに相続税がかかる財産の価額から債務・葬式費用の金額を差し引くとしています。差し引いた結果が赤字のときは「0」とし、その上で相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算します。

相続放棄をした人が払ったとき

相続を放棄した人には13条の適用がありません。ただし通達13-1は、その人が現実に被相続人の葬式費用を負担したときは、遺贈によって取得した財産の価額から差し引いても差し支えないとしています。

申告書をつくるときの確認点

国税庁の「相続税の申告のためのチェックシート(令和6年分以降用)」は、申告書の作成にあたって誤りやすい事項をまとめたもので、申告書に添付して提出するよう求めています。葬式費用については、次の2点を確認する欄があります。

申告に必要な書類の全体は相続税の申告に必要な書類に、申告を頼むときの費用は相続税申告の費用にまとめています。

よくある質問

葬儀費用は、相続税の計算でどう扱われますか?

国税庁 No.4129 は、相続税を計算するときは、一定の相続人および包括受遺者が負担した葬式費用を遺産総額から差し引くことができるとしています。差し引いた後の正味の遺産額が、基礎控除額と比べる合計額に入ります(No.4102)。葬式費用は債務ではありませんが、債務と並べて「債務・葬式費用」として差し引きます(No.4126)。

香典返し・初七日などの法事・墓石の費用は差し引けますか?

差し引けません。国税庁 No.4129 は、葬式費用に含まれないものとして、香典返しのためにかかった費用、墓石や墓地の買入れ・墓地を借りるためにかかった費用、初七日など法事のためにかかった費用を挙げています。根拠は相続税法基本通達13-5です。国税庁のチェックシートも、葬式費用に法要や香典返しの費用、墓石や仏壇の購入費用が含まれていないかを確認する欄を設けています。

香典には、相続税や贈与税がかかりますか?

国税庁 No.4405 は、個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるものには贈与税がかからないとしています。法人(会社)からの贈与は贈与税ではなく所得税の対象です。被相続人の勤務先などから受ける弔慰金・花輪代・葬祭料は、相続税法基本通達3-20が、一定の額(業務上の死亡なら普通給与の3年分、業務上の死亡でなければ半年分)までを弔慰金等に相当する金額とし、超える部分を退職手当金等として扱うとしています。

葬儀費用を長男が全額払いました。他の相続人の分まで長男の遺産から差し引けますか?

相続税法基本通達13-3は、差し引ける額を「その者の負担に属する部分の金額」とし、実際に負担する金額をいうとしています。実際の負担額が確定していないときは、民法の相続分や包括遺贈の割合に応じて負担する金額として扱います。ただし、その割合で負担した場合の金額が取得した財産の価額を超えるときに、超える部分を他の共同相続人などの課税価格の計算上差し引くものとして申告したときは、これを認めるとされています。

相続放棄をした人が葬儀費用を払った場合は、差し引けますか?

相続を放棄した人には、債務控除を定めた相続税法13条の適用がありません。ただし、相続税法基本通達13-1は、その人が現実に被相続人の葬式費用を負担したときは、遺贈によって取得した財産の価額から差し引いても差し支えないとしています。遺贈で財産を取得していなければ、差し引く先がありません。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の相続で差し引ける費用の範囲は、税務署または税理士にご相談ください。

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