相続税申告の費用はいくら?税理士・自分で・支援サービス比較
相続税の申告が必要なのは、亡くなった人のうち約10人に1人(課税割合10.4%)です。申告が必要な場合の費用は、依頼先によって仕組みが大きく異なります。税理士に頼めば報酬(全国一律の公的な相場はなく、事務所ごとの見積り)がかかり、自分で申告すれば専門家報酬はゼロで実費のみ、申告支援サービスは書類収集まで含めたパッケージ料金です。まずは自分の遺産が申告の対象になるかどうか(基礎控除額の判定)から、申告期限、依頼先ごとの違いまで整理します。
相続税の申告が必要な人は約1割
国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」によると、令和6年分の被相続人数(死亡者数)は1,605,378人でした。このうち相続税の申告書を提出したのは166,730人で、課税割合(申告書の提出に係る被相続人数÷死亡者数)は10.4%です。課税割合は年々上昇しており、平成27年の基礎控除引き下げ以降の推移は次のとおりです。
| 年分 | 課税割合 |
|---|---|
| 平成27年 | 8.0% |
| 平成30年 | 8.5% |
| 令和3年 | 9.3% |
| 令和6年 | 10.4% |
令和6年分の課税割合10.4%は、平成27年(8.0%)から2.4ポイント上昇しています。遺産の平均額・相続税の平均納税額は相続の平均額はいくら?で解説しています。
あなたの場合は申告が必要か(基礎控除の判定)
相続税法第15条により、遺産の総額(課税価格の合計額)が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」(遺産に係る基礎控除額)以下であれば、申告も納税も不要です。法定相続人の数ごとの基礎控除額は次のとおりです。
- 法定相続人1人:3,600万円
- 法定相続人2人:4,200万円
- 法定相続人3人:4,800万円
- 法定相続人4人:5,400万円
遺産総額がこの範囲内であれば、この記事で説明する費用(税理士報酬・申告支援サービスの料金)も一切かかりません。基礎控除を超えるかどうかを自分で判断しづらい場合や、不動産の評価が絡んで遺産総額が見えにくい場合に、税理士や申告支援サービスへの相談が検討対象になります。
依頼先で費用は変わる
相続税の申告は、大きく分けて「税理士に依頼する」「自分で申告する」「申告支援サービスを使う」の3通りがあります。それぞれの費用の性質は次のとおりです。
| 依頼先 | かかる費用 | 相場の目安 | 書類収集 |
|---|---|---|---|
| 税理士に依頼 | 税理士報酬+実費 | 事務所ごとの個別見積り(全国一律の公的統計なし) | 事務所により異なる |
| 自分で申告する | 証明書発行手数料などの実費のみ | 専門家報酬はゼロ | すべて自分で対応 |
| 申告支援サービス | パッケージ料金(着手金制) | 事業者ごとの個別見積り | 書類収集も含めて代行 |
税理士報酬は、かつて日本税理士会連合会が会員向けの報酬規定を定めていましたが、平成14年4月に廃止され、以降は事務所ごとの自由な見積りになっています。全国一律の相場を示す公的な統計は存在しません。複数の事務所から見積りを取って比較するのが実務上の確認方法です。
申告支援サービスは料金体系がパッケージ化されている
相続アシストのような申告支援サービスは、税理士・弁護士・司法書士が連携し、戸籍や残高証明などの書類収集も代行するパッケージです。無料相談・手続き面談を経て契約し、着手金の支払いで業務が始まる流れが一般的です。個別の税理士事務所に依頼する場合との違いは、書類収集まで含めて代行してもらえる点と、相続トラブルが起きた際に弁護士へもつなげられる点です。
申告期限は10か月
相続税法第27条第1項により、相続税の申告期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」です。国税庁タックスアンサーNo.4205の例では、1月6日に死亡したことを知った場合、その年の11月6日が申告期限になります(期限が土日祝日にあたる場合は翌日が期限)。
申告書の提出先は、被相続人の住所地を所轄する税務署です(相続人の住所地の税務署ではありません)。提出方法は、e-Tax(電子申告)・郵送・税務署の時間外収受箱への投函のいずれかを選べます。期限までに申告をしなかった場合や、実際に取得した財産の額より少ない額で申告した場合は、本来の税金のほかに加算税・延滞税がかかることがあります。
自分で申告する場合の手順
相続税の申告に税理士への依頼は法律上の義務ではなく、自分で申告することもできます。国税庁タックスアンサーNo.4205が示す提出方法は次の3通りです。
- e-Tax(電子申告):国税庁ホームページから申告書を作成・送信します。令和6年度の相続税申告のe-Tax利用率は50.3%(前年度比13.2ポイント上昇)でした。
- 郵送・信書便:被相続人の住所地を所轄する税務署宛てに送付します。
- 税務署の時間外収受箱への投函:窓口が開いていない時間帯でも提出できます。
自分で申告する場合、税理士報酬はかかりませんが、戸籍謄本など添付書類の発行手数料(実費)は必要です。財産の評価(土地の評価額の算定、小規模宅地等の特例の適用可否など)は専門的な判断が必要になる場面が多く、判断に迷う場合は税理士や申告支援サービスへの相談も選択肢になります。
よくある質問
相続税の申告費用はいくらですか?
依頼先によって大きく変わり、全国一律の相場を示す公的統計はありません。税理士に依頼する場合は、日本税理士会連合会が平成14年4月に会員向けの報酬規定を廃止して以降、事務所ごとの自由な見積りです。自分で申告すれば専門家報酬はかからず、戸籍謄本などの証明書発行手数料といった実費のみで済みます。書類収集まで含めて任せたい場合は、相続アシストのような申告支援サービスもあります。
相続税の申告はそもそも必要ですか?
国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」によると、令和6年中に亡くなった166万5,378人のうち、相続税の申告書を提出したのは16万6,730人(課税割合10.4%)でした。約10人に1人が申告の対象で、残りの9割は遺産が基礎控除額以下で申告自体が不要でした。
自分で相続税の申告をすることはできますか?
できます。法律上、税理士への依頼は義務ではありません。国税庁のタックスアンサーNo.4205によれば、申告書は被相続人の住所地を所轄する税務署へ、e-Tax(電子申告)・郵送・税務署の時間外収受箱への投函のいずれかで提出します。令和6年度の相続税申告のe-Tax利用率は50.3%でした。財産の評価や特例の判断が複雑な場合は、税理士や申告支援サービスに相談したほうが安全なケースもあります。
相続税の申告期限はいつまでですか?
相続税法第27条第1項により、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。たとえば1月6日に亡くなったことを知った場合、その年の11月6日が期限になります。期限までに申告をしなかった場合や、実際より少ない額で申告した場合は、本来の税金のほかに加算税・延滞税がかかることがあります。
相続税の申告が必要かどうかはどうやって判定しますか?
遺産の総額(課税価格の合計額)が、相続税法第15条の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかで判定します。たとえば法定相続人が3人なら基礎控除額は4,800万円で、遺産総額がこれ以下であれば申告も納税も不要です。都道府県ごとの課税割合の違いは都道府県別 相続税の課税割合ランキングで確認できます。