相続税 読了時間:約8分

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死亡退職金に相続税はかかる?|非課税枠(500万円×法定相続人の数)・計算例・相続放棄した人・3年以内に支給が確定したもの

死亡退職金は、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものが相続税の対象です。ただし、相続人が受け取った分は、全員の合計が「500万円×法定相続人の数」以下なら課税されません。これを超えた部分が、受け取った人の課税価格に入ります。相続を放棄した人と、相続人以外の人が受け取った分には、この非課税枠が使えません。

場面相続税根拠
死亡後3年以内に額が確定した退職金・功労金相続財産とみなされて課税対象No.4117、相法3①二
相続人全員の受取合計が非課税限度額以下課税されないNo.4117、相法12①七イ
相続人全員の受取合計が非課税限度額を超える超える部分が課税されるNo.4117、相法12①七ロ
相続を放棄した人が受け取った分非課税の適用なしNo.4117
相続人以外の人が受け取った分非課税の適用なしNo.4117
死亡後3年を超えて額が確定したもの3条1項2号の対象外相法3①二、相基通3-30
支給は決まっているが額が決まっていないもの確定したものに当たらない相基通3-30

出典は国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)、相続税法基本通達、e-Gov法令検索(相続税法)。2026年10月3日取得。

相続税の対象になる死亡退職金

相続財産とみなされる退職手当金等

国税庁 No.4117 は、被相続人の死亡によって被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与を「退職手当金等」と呼び、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものを、相続または遺贈により取得したものとみなして相続税の課税対象にするとしています(相続税法3条1項2号)。

勤務先から「弔慰金」の名目で受け取った金品も、一定額を超える部分は退職手当金等として扱われます。その線引きは葬儀費用と香典は相続税でどう扱う?にまとめています。

相続人が受け取った分は、全額が課税されるわけではない

No.4117 は、相続人が受け取った退職手当金等は、その全額が相続税の対象になるわけではないとしています。すべての相続人が取得した退職手当金等を合計した額が、非課税限度額以下のときは課税されません。次の節で、その計算を見ます。

非課税枠の計算と、枠が使えない人

非課税限度額

非課税限度額は、次の式で計算した額です(No.4117、相続税法12条1項7号)。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

各人の非課税金額と、課税される額

相続人全員の受取合計が非課税限度額を超えるときは、非課税限度額を、各人の受取額の割合で分けます(No.4117、相続税法12条1項7号ロ)。

非課税枠が使えない人

国税庁の具体例では、法定相続人3人(うち1人は放棄)で、配偶者2,000万円・長男1,000万円・放棄した長女500万円を受け取ると、非課税限度額は1,500万円、長女の分は非課税なしで500万円が課税価格に入ります。

計算例(当サイトの試算)

次の前提で、上の式を当てはめた当サイトの試算です。実際の申告は、事情に応じて税務署または税理士にご確認ください。

非課税限度額は 500万円×4人=2,000万円です。受取合計の4,000万円が限度額を超えるため、2,000万円を受取額の割合で分けます。

受取人(受取額)非課税金額課税価格に入る額
配偶者(2,400万円)2,000万円×2,400÷4,000=1,200万円1,200万円
長男(1,600万円)2,000万円×1,600÷4,000=800万円800万円
合計(4,000万円)2,000万円2,000万円

課税価格に入る2,000万円に、他の相続財産などを足した正味の遺産額を、基礎控除額(3,000万円+600万円×4人=5,400万円)と比べます(No.4102)。

受取人と、課税の対象外になるもの

受取人が決まっていないとき

誰が受け取った扱いになるかは、相続税法基本通達3-25が次のように定めています。

3年を超えて確定したもの・額が確定していないもの

相続税法3条1項2号の対象は「死亡後3年以内に支給が確定したもの」です。通達3-30は、実際に支給される時期が死亡後3年以内かどうかは問わず、支給されるべき額が死亡後3年以内に確定したかで見るとしています。支給されることは決まっていても額が確定していないものは、確定したものに当たりません。

死亡後に額が決まった賞与、支給日が来ていない給料

被相続人が受けるべきであった賞与の額が死亡後に確定したもの(通達3-32)や、相続開始の時に支給日が来ていない俸給・給料(通達3-33)は、退職手当金等には当たらず、本来の相続財産になります。

所得税との関係

相続税法の規定により相続や遺贈で取得したものとみなされる財産は、所得税が課税されません(所得税法9条1項17号)。相続税の課税対象になる死亡退職金は、この「みなされるもの」に当たります。

申告書をつくるときの確認点

No.4117 は、課税される退職手当金等の計算には、相続税申告書の第10表「退職手当金などの明細書」を使うと分かりやすいとしています。

退職手当金等の非課税分を引いたあと、遺産の合計額が基礎控除額を超えるかで申告の要否が決まります。申告が不要なケースは相続税の申告が不要な場合に、税額の試算は相続税の計算機にあります。

よくある質問

死亡退職金には相続税がかかりますか?

国税庁 No.4117 は、被相続人の死亡によって被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与(退職手当金等)を受け取る場合で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続または遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税対象になるとしています。ただし、相続人が受け取った分は、全員の合計が500万円×法定相続人の数以下なら課税されません。

死亡退職金の非課税枠はいくらですか?生命保険金の非課税枠とは別ですか?

非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」です(国税庁 No.4117、相続税法12条1項7号)。たとえば法定相続人が4人なら2,000万円です。生命保険金にも同じ式の非課税枠がありますが、国税庁 No.4108 は両者を別々の項目として挙げており、相続税法も生命保険金(12条1項6号)と退職手当金等(同項7号)を別の号で定めています。

相続放棄をした人が死亡退職金を受け取った場合は、非課税になりますか?

非課税になりません。国税庁 No.4117 は、非課税の対象となる相続人に、相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれないとしています。放棄した人が受け取った分は、非課税金額がないまま課税価格に算入されます。一方で、非課税限度額を決める法定相続人の数には、放棄した人も、放棄がなかったものとして数えます。

内縁の配偶者や孫など、相続人でない人が受け取った場合はどうなりますか?

国税庁 No.4117 は、相続人以外の人が取得した退職手当金等には非課税の適用がないとしています。取得した金額の全額が相続税の課税対象です。

亡くなってから3年を過ぎて支給が決まった退職金は、相続税の対象ですか?

相続税法3条1項2号が相続により取得したものとみなすのは、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものです。相基通3-30は、実際に支給される時期ではなく、支給されるべき額が死亡後3年以内に確定したかどうかで見るとし、支給されることは決まっていても額が確定していないものは、確定したものに当たらないとしています。3年を超えて確定したものの所得税の扱いは、本記事では扱いません。税務署または税理士にご確認ください。

退職金の受取人が決まっていない場合、誰が受け取ったことになりますか?

相基通3-25が、退職給与規程などで受取人が具体的に定められていない場合や、被相続人が規程の適用を受けない場合について、次のように定めています。申告書の提出時または更正・決定の時までに現実に取得した人がいればその人、相続人全員の協議で受取人を定めたときはその人、どちらでもなければ相続人の全員(各人が均等に取得したものとして取り扱う)です。規程で受取人が具体的に定められているときは、その規程により受け取ることになる人です。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の相続での非課税枠の適用や課税額は、税務署または税理士にご相談ください。

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