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生命保険金(死亡保険金)に相続税はかかる?|相続税・所得税・贈与税の分かれ方・非課税枠(500万円×法定相続人の数)・相続放棄した人・相続人以外が受け取ったとき
死亡保険金の税金は、亡くなった人が保険料を負担していれば受取人に相続税、受取人自身が保険料を負担していれば所得税、被保険者・保険料の負担者・受取人がすべて別の人なら贈与税です。相続税になる場合、受取人が相続人なら「500万円×法定相続人の数」までは非課税です。相続を放棄した人と、相続人以外の人が受け取った分には、この非課税枠がありません。
| 被保険者・負担者・受取人 | かかる税 | 根拠 |
|---|---|---|
| 被保険者と保険料の負担者が同じ人(亡くなった人)で、受取人は別の人 | 相続税(相続人は相続、相続人以外は遺贈で取得したとみなす) | No.1750、相法3①一 |
| 保険料の負担者と受取人が同じ人で、被保険者(亡くなった人)は別の人 | 所得税(一時金は一時所得、年金は雑所得) | No.1750 |
| 被保険者・保険料の負担者・受取人がすべて別の人 | 贈与税(保険料を負担した人からの贈与とみなす) | No.1750、No.4417、相法5① |
| 亡くなった人が保険料の一部を負担し、残りは別の人が負担 | 亡くなった人が負担した割合の部分が相続税の対象 | 相法3①一 |
| 保険金を年金で受け取る(上のどの組み合わせでも) | 税の種類は同じ。相続税・贈与税は年金を受け取る権利にかかる | No.1750、相基通3-6 |
出典は国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)、相続税法基本通達、e-Gov法令検索(相続税法)。2026年10月3日取得。
相続税・所得税・贈与税のどれになるか
国税庁 No.1750 は、被保険者が死亡して保険金受取人が死亡保険金を受け取った場合、被保険者、保険料の負担者、保険金受取人が誰であるかにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかの対象になるとしています。
相続税になるとき
被相続人の死亡により受け取る生命保険金のうち、被相続人が保険料を負担していた部分が対象です(相続税法3条1項1号、No.4114)。
- 取得のしかた:受取人が相続人なら相続で、相続人以外なら遺贈で取得したものとみなされる(No.1750)
- 保険料を分けて負担していたとき:保険金のうち、被相続人が負担した保険料の割合に相当する部分が対象(相続税法3条1項1号)
- 年金で受け取るとき:一時金だけでなく、年金の方法で支払を受けるものも含まれる(相基通3-6)。相続税は年金を受け取る権利に課税される(No.1750)
- 遺産分割の対象ではない:保険金は相続税法上のみなし相続財産で、本来の相続財産ではないため、遺産分割の対象にならない(No.4114のQA)
所得税になるとき
保険料の負担者と保険金の受取人が同じ人のときです(No.1750)。たとえば、妻が自分で保険料を払い、夫の死亡で自分が保険金を受け取った場合です。
- 一時金で受け取ったとき:一時所得。受け取った保険金の総額から、払い込んだ保険料と特別控除50万円を引き、さらに2分の1にした額が課税の対象(他に一時所得がない場合)
- 年金で受け取ったとき:公的年金等以外の雑所得
贈与税になるとき
保険料を負担していない人が、被保険者の死亡などで保険金を受け取ると、保険料を負担した人からの贈与があったものとされます(No.4417、相続税法5条1項)。被保険者・保険料の負担者・受取人がすべて別の人のケースです。けがや病気によるものは除かれます(No.4417)。
相続税の非課税枠と、法定相続人の数え方
非課税限度額
受取人が相続人のとき、相続人全員が受け取った保険金の合計額が次の式の額以下の部分は、相続税の課税価格に入りません(相続税法12条1項6号、No.4114)。
500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
退職金にも同じ式の非課税枠がありますが、No.4108 は生命保険金と死亡退職金を別々の項目として挙げています。死亡退職金の側は死亡退職金に相続税はかかる?にまとめています。
法定相続人の数え方
民法は、配偶者は常に相続人になるとし(890条)、子が相続人になり(887条)、子がいなければ直系尊属、直系尊属もいなければ兄弟姉妹の順に相続人になるとしています(889条)。この相続人の数に、相続税法15条2項が次の2つを定めています。
- 放棄した人も数える:相続の放棄があったときは、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数(No.4114の注1)
- 養子の数に制限がある:数に含める養子は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人まで(No.4114の注2)
特別養子縁組の子、配偶者の実子で被相続人の養子になった人、子などに代わって相続人になった孫などは、実の子供として扱われ、養子の人数制限を受けません(No.4170)。
数え方の例(当サイトの整理)です。
- 配偶者と子2人:3人
- 配偶者と子2人のうち1人が相続を放棄:3人のまま
- 子がなく、配偶者と父母:3人
- 子も直系尊属もなく、配偶者と兄弟姉妹2人:3人
- 実子がなく、配偶者と養子3人:養子は2人までなので、3人
各人の非課税金額と、課税される額
相続人全員の受取合計が非課税限度額以下なら、受け取った保険金は全額が非課税です。限度額を超えるときは、非課税限度額を、各人の受取額の割合で分けます(相続税法12条1項6号ロ)。
- 各人の非課税金額= 非課税限度額 ×(その相続人が受け取った額 ÷ すべての相続人が受け取った額の合計)
- 課税される額= その相続人が受け取った額 - その相続人の非課税金額
国税庁は、この計算には相続税の申告書第9表「生命保険金などの明細書」を使うと分かりやすいとしています(No.4114)。
計算例(当サイトの試算)
次の前提で、上の式を当てはめた当サイトの試算です。実際の申告は、事情に応じて税務署または税理士にご確認ください。
- 法定相続人は3人(配偶者と子2人)、放棄した人・養子はいない
- 亡くなった人が保険料を負担していた生命保険金を、配偶者が1,200万円、長男が800万円受け取った(合計2,000万円)
- 受取人はいずれも相続人。他の財産は含めない
非課税限度額は 500万円×3人=1,500万円です。受取合計の2,000万円が限度額を超えるため、1,500万円を受取額の割合で分けます。
| 受取人(受取額) | 非課税金額 | 課税価格に入る額 |
|---|---|---|
| 配偶者(1,200万円) | 1,500万円×1,200÷2,000=900万円 | 300万円 |
| 長男(800万円) | 1,500万円×800÷2,000=600万円 | 200万円 |
| 合計(2,000万円) | 1,500万円 | 500万円 |
受取合計が1,500万円以下なら、全額が非課税です。課税価格に入る500万円に他の相続財産を足した合計を、基礎控除額(3,000万円+600万円×3人=4,800万円)と比べます(No.4102)。
相続人以外・相続放棄した人・契約上の受取人でない人が受け取ったとき
受取人が相続人以外のとき
内縁の配偶者や代襲相続人ではない孫など、相続人でない人が受取人のときは、遺贈で取得したものとみなされます(相続税法3条1項、No.1750)。No.4114 は、相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用がないとしています。非課税枠の差し引きがないため、受け取った額が課税価格に入ります。
相続人以外の人が財産を受け取ると、税額が2割増しになる場合があります。対象になる人は相続税の2割加算とは?にまとめています。
相続を放棄した人が受け取ったとき
- 遺贈で取得したものとみなされる:放棄した人が取得した保険金は、遺贈による取得とされる(相基通3-3)
- 非課税枠はない:非課税の対象となる相続人に、放棄した人や相続権を失った人は含まれない(No.4114)
- 放棄といえるのは家庭裁判所に申述した人だけ:正式な手続をとらず、事実上相続で財産を取得しなかっただけの人は含まれない(相基通3-1)
- 法定相続人の数には入る:非課税限度額の計算では、放棄がなかったものとして数える(No.4114の注1)
契約上の受取人でない人が受け取ったとき
保険金を取得したとみなされるのは、保険約款などで保険金を受け取る権利を持つ「保険金受取人」です(相基通3-11)。国税庁の質疑応答は、受取人の子がいったん受け取ってから妻と分けたケースを、子から妻への贈与として贈与税の対象にしています(No.4114のQA)。
ただし、受取人の変更手続がなされなかったことにやむを得ない事情があるなど、現実に取得した人が取得することに相当な理由があるときは、その人を保険金受取人とするとされています(相基通3-12)。
申告が要るかと、納付までの順番
申告が要るか
非課税枠を差し引いたあとの保険金を、他の遺産に足した合計額が、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかで決まります(相続税法15条1項、No.4102)。申告が不要なケースと、税額が0円でも申告が要るケースは相続税の申告が不要な場合にあります。
申告から納付までの順番
- 保険金を受け取る:契約上の受取人が取得したものとみなされ、遺産分割の対象にはならない(No.4114のQA)
- 課税される額を出す:受取人が相続人なら非課税枠を差し引く(相続税法12条1項6号)
- 遺産の合計と基礎控除額を比べる:上回れば申告が必要(相続税法15条1項、27条1項)
- 申告書を出す:相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内(相続税法27条1項)。保険金の明細は第9表に書く(No.4114)
- 納付する:期限内申告書を提出した人は、提出期限までに、申告書に記載した相続税額を納付する(相続税法33条)
納付の期限は申告書の提出期限と同じで、保険金の振込時期によって動きません。受け取った保険金を納税に充てるかどうかを定めた記述は、今回取得した国税庁・e-Govの原文には見つかりませんでした。
よくある質問
親が亡くなって生命保険金を受け取りました。相続税がかかりますか?
亡くなった人が保険料を負担していた契約なら、受取人が受け取った保険金は相続で取得したものとみなされ、相続税の対象になります(国税庁 No.1750・No.4114、相続税法3条1項1号)。ただし受取人が相続人のときは、相続人全員の受取合計が「500万円×法定相続人の数」以下なら課税されません。超えた部分と、遺産の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかで、申告の要否と税額が決まります。
生命保険金の非課税枠はいくらですか?
500万円に法定相続人の数を掛けた額です(相続税法12条1項6号、国税庁 No.4114)。法定相続人が3人なら1,500万円です。法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとして数えます。養子は、実子がいれば1人、実子がいなければ2人までしか数に含めません。非課税になるのは、受取人が相続人であるときだけです。
自分で保険料を払っていた保険の保険金を、夫の死亡で受け取りました。相続税ですか?
国税庁 No.1750 の表では、保険料の負担者と保険金の受取人が同じ人のときは所得税の対象です。一時金で受け取ると一時所得になり、受け取った保険金の総額から払い込んだ保険料と特別控除50万円を引き、さらに2分の1にした額が課税の対象になります(他に一時所得がない場合)。年金で受け取ると雑所得です。保険料を夫と自分で分けて負担していたときは、夫が負担した割合の部分が相続税の対象です(相続税法3条1項1号)。
相続放棄をした人が生命保険金を受け取った場合は、非課税になりますか?
非課税になりません。国税庁 No.4114 は、非課税の対象となる相続人に、相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれないとしています。相続基本通達3-3は、放棄した人が取得した保険金は遺贈で取得したものとみなすとしています。一方で、非課税限度額を決める法定相続人の数には、放棄した人も、放棄がなかったものとして数えます。
内縁の配偶者や、代襲相続人ではない孫など、相続人でない人が受取人のときは、どうなりますか?
受取人が相続人以外の人のときは、遺贈で取得したものとみなされて相続税の対象になります。国税庁 No.4114 は、相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用がないとしています。
契約上の受取人ではない家族が、話し合って保険金を受け取った場合はどうなりますか?
国税庁の質疑応答(No.4114 のQA)は、夫の死亡保険金の受取人が子で、子がいったん受け取ったあと妻と話し合って分けたケースを、子から妻への贈与として贈与税の対象としています。保険金は遺産分割の対象にならず、契約上の受取人が取得したものとみなされるためです(相続税法3条、相続税法基本通達3-11)。ただし、受取人の変更手続がなされなかったことにやむを得ない事情があるなど、現実に取得した人が取得することに相当な理由があるときは、その人を受取人とする取扱いがあります(同3-12)。
相続税の申告と納付の期限はいつですか?
申告書の提出期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項)。期限内申告書を提出した人は、提出期限までに申告書に記載した相続税額を納付します(同33条)。保険金の振込時期とは関係なく、この期限は動きません。
参考・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1750 死亡保険金を受け取ったとき
- 国税庁 タックスアンサー No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
- 国税庁 タックスアンサー No.4417 贈与税の対象になる生命保険金
- 国税庁 タックスアンサー No.4170 相続人の中に養子がいるとき
- 国税庁 タックスアンサー No.4108 相続税がかからない財産
- 国税庁 タックスアンサー No.4102 相続税がかかる場合
- 国税庁 相続税法基本通達 第3条関係(3-1・3-3・3-6・3-11・3-12)
- e-Gov法令検索 相続税法(第3条・第5条・第12条・第15条・第27条・第33条)
- e-Gov法令検索 民法(第887条・第889条・第890条)
- 相続アシスト(税理士法人SWATS) 公式サイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の相続での課税関係や非課税枠の適用は、税務署または税理士にご相談ください。