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相続税の税務調査|いつ来る?(期限から5年・不正は7年)・来る確率(公表値の割り算で約5%)・一般家庭にも来るか・調べられること・申告しなかったとき
相続税の実地調査は、令和6事務年度に9,512件あり、その82.3%(7,826件)で申告漏れ等が見つかっています。公表値で当サイトが割ると、申告書が出された被相続人の4.6〜5.7%に当たります。調査ができるのは、法定申告期限から5年(偽りその他不正の行為は7年)までです。いくら以上で来るという金額の基準は、国税庁の資料にも条文にもありません。
| 知りたいこと | 公表値・条文 | 出どころ |
|---|---|---|
| 来る確率 | 実地調査÷申告書提出の被相続人数で4.6〜5.7%(当サイト計算) | 国税庁の2資料 |
| 調べられた結果 | 9,512件のうち7,826件(82.3%)で申告漏れ等 | 令和6事務年度 |
| いつまで | 法定申告期限から5年。不正は7年 | 国税通則法70条 |
| いくら以上 | 金額の基準は載っていない | 国税庁の資料・条文 |
国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」と「令和6年分 相続税の申告事績の概要」から。2026年10月3日取得。
何件あるのか:令和6事務年度の公表値
国税庁は毎年12月に「相続税の調査等の状況」を公表しています。令和6事務年度(令和7年12月公表)の主な数字は次のとおりです。
- 実地調査:9,512件。申告漏れ等の非違があったのは7,826件(非違割合82.3%)、重加算税が課されたのは1,065件(非違件数の13.6%)。追徴税額は合計824億円
- 実地調査1件当たり:申告漏れ課税価格3,093万円、追徴税額867万円(平均)
- 簡易な接触:21,969件。非違は5,796件、追徴税額は合計138億円。国税庁は、文書・電話による連絡または来署依頼による面接で、申告漏れや計算誤りのある申告を是正するものと説明しています
- 無申告事案の実地調査:650件。申告漏れの非違は562件
実地調査の件数は、新型コロナウイルス感染症の影響で令和2事務年度に大きく減ったあと、増え続けています。
| 事務年度 | 実地調査件数 | 非違割合 |
|---|---|---|
| 令和元 | 10,635件 | 85.3% |
| 令和2 | 5,106件 | 87.6% |
| 令和3 | 6,317件 | 87.6% |
| 令和4 | 8,196件 | 85.8% |
| 令和5 | 8,556件 | 84.2% |
| 令和6 | 9,512件 | 82.3% |
出典:国税庁「相続税の調査等の状況」令和2〜6事務年度の各年版。令和2事務年度は新型コロナウイルス感染症の影響で大幅に減少したと同資料に書かれています。
国税庁は、実地調査を「資料情報等から申告額が過少であると想定される事案」や「無申告であると想定される事案」等について実施するとしています。非違割合は調査された事案の中での割合で、申告した人の8割強に誤りがあるという意味ではありません。
来る確率は?公表値で割ると
国税庁は「申告した人のうち何%が調査を受ける」という確率を公表していません。そこで、令和6事務年度の調査件数を、令和6年分の相続税の申告書提出に係る被相続人数で割りました。当サイトの計算です。
| 割る数(被相続人数) | 実地調査 9,512件 | 実地調査+簡易な接触 31,481件 |
|---|---|---|
| 税額のある申告書 166,730人 | 5.7% | 18.9% |
| 税額のない申告書39,755人を加えた 206,485人 | 4.6% | 15.2% |
分母は令和6年分(令和7年10月31日までに提出された申告書)の被相続人数、分子は令和6事務年度の件数です。小数第2位を四捨五入。
この割り算には、次の前提があります。
- 分子は事務年度、分母は年分で、期間が一致しません。
- 実地調査は、過去に申告された年分の事案も含みます。
- 実地調査9,512件には、申告書が出ていない無申告事案の650件も入っています。
- 簡易な接触は、文書・電話による連絡や来署依頼による面接で申告を是正するものです。電話で申告の見直しを求める連絡は、調査ではなく行政指導にあたる場合があります(国税庁のFAQ問2)。
したがって「申告した人が調査を受ける確率」そのものではなく、規模をつかむための目安です。
一般家庭にも来るのか
国税庁の資料に、一般家庭かどうかの区分はありません。公表されているのは、相続税の申告書が出される被相続人の割合と、調査の平均の数字です。
- 令和6年分の被相続人数(死亡者数)は1,605,378人で、相続税の申告書(税額のあるもの)が出されたのは166,730人です。課税割合は10.4%で、亡くなった人の約10人に1人です。
- 実地調査1件当たりの申告漏れ課税価格は3,093万円、追徴税額は867万円です。これは平均で、調査を受ける目安の金額ではありません。
調査事例の数字は基準ではない
令和6事務年度の資料には、4つの調査事例が載っています。増差課税価格と追徴税額は、事例①が約2億5千万円・約1億2千万円、事例②が約7億2千万円・約4億3千万円、事例③が約4億4千万円・約1億8千万円、事例④が約1億円・約3百万円です。調査の結果として出た金額であり、「この金額を超えると来る」という基準ではありません。
申告漏れが見つかった財産
| 財産の種類 | 申告漏れの金額 | 構成比 |
|---|---|---|
| その他 | 1,247億円 | 43.3% |
| 現金・預貯金等 | 837億円 | 29.1% |
| 有価証券 | 393億円 | 13.6% |
| 土地 | 353億円 | 12.3% |
| 家屋 | 50億円 | 1.7% |
出典:国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」の参考計表「申告漏れ相続財産の金額」。合計2,879億円。
いつ来る?時効は?
申告から何年後に来るか
国税庁の資料に、申告から何年後に調査が来るという統計はありません。条文が決めているのは、更正・決定ができる期間の上限です。
- 申告期限:相続税の申告書は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に出します(相続税法27条1項)。
- 5年:国税通則法70条1項は、更正・決定は、法定申告期限から5年を経過した日以後はできないと定めています。
- 7年:同条5項1号は、偽りその他不正の行為によって税額の全部または一部を免れた国税の更正決定等は、同じ期限から7年を経過する日までできるとしています。
申告書を出さなかった場合も、数え始めるのは法定申告期限です。72条の国税の徴収権の消滅時効(法定納期限から5年)は、これとは別の規定です。これらは条文の定める期間で、何年経てば安全といった目安をこのページでは示しません。個々の事案の期間は、税務署または税理士にご確認ください。
一度調査を受けたあとは
国税庁のFAQ(問28)は、ある税目・課税期間について実地の調査を行った場合、更正決定等をすべきと認められなかったときも含め、原則として同じ税目・課税期間の再調査はしないとしています。ただし、新たに得られた情報に照らして非違があると認めるときは、調査することがあります(国税通則法74条の11第5項)。
調査の流れと、調べられること
事前通知
実地の調査は、原則として事前に通知されます。国税通則法74条の9は、通知する事項として、調査を開始する日時、調査を行う場所、調査の目的、対象の税目、対象の期間、対象の帳簿書類その他の物件を挙げています。納税義務者から合理的な理由を付して日時・場所の変更を求められたときは、協議するよう努めるものとされています(同条2項)。
国税庁のFAQでは、事前通知は原則として電話による口頭で行い(問12)、時期は「調査までに相当の時間的余裕を置いて」とされ、何日前かは一律には示されていません(問13)。ただし、違法・不当な行為を容易にし、正確な課税標準等の把握を困難にするおそれなどがあると認める場合は、事前通知をしないこともあります(74条の10、FAQ問20)。
調べられること
国税通則法74条の3は、相続税に関する調査では、納税義務がある人または納税義務があると認められる人のほか、その人に債権・債務のあった人、その人の財産を保管したと認められる人などに質問し、財産や帳簿書類を検査できると定めています。公証人が作成した公正証書の閲覧を求めることもできます(同条2項)。相続税法59条は、生命保険金や退職手当金等を支払った会社などに、税務署への調書の提出を求めています。
令和6事務年度の調査事例には、次のものがあります。
- 事例①:相続開始前に引き出された多額の現金が、相続人の自宅の金庫に保管され、申告から除外されていた事案(増差課税価格 約2億5千万円)
- 事例②:被相続人の口座から相続人やその家族名義の口座へ多額の預金が移され、基礎控除以下になるようにして無申告だった事案(約7億2千万円、重加算税有)
- 事例③:国外法人への貸付金の返済先を国内法人の口座にして、申告から除外していた事案(約4億4千万円)
家族名義の預金が相続財産に当たるかどうかの判断は、名義預金とは?にまとめています。
調査が終わったとき
国税通則法74条の11は、調査の結果、更正決定等をすべきと認められない場合はその旨を書面で通知し、すべきと認める場合は調査結果の内容を説明するとしています。説明のとき、修正申告や期限後申告を勧奨されることがあります。修正申告をすると不服申立てはできませんが、更正の請求はできると、説明を受け書面が交付されます。勧奨に応じるかどうかは任意で、応じなかったからといって、応じた場合と比べて不利な取扱いを受けることは基本的にないとされています(FAQ問25・問26)。
申告しなかったとき・少なく申告したとき
調査で申告漏れが見つかると、本税のほかに加算税がかかります。国税通則法の割合は次のとおりです。
| 加算税 | 割合 | 条文 |
|---|---|---|
| 過少申告加算税 | 10%(調査で更正を予知する前の修正申告は5%)。50万円などを超える部分は5%上乗せ | 65条 |
| 無申告加算税 | 15%(予知前の期限後申告は10%)。50万円超は20%、300万円超は30% | 66条 |
| 重加算税 | 過少申告に代えて35%、無申告に代えて40% | 68条 |
65条は、納付すべき税額が、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分に、5%を加えると定めています。66条の20%・30%は、納付すべき税額の50万円を超え300万円以下の部分、300万円を超える部分に適用されます。累積した税額の扱いなど細かい条件は条文をご覧ください。
重加算税は、税額の計算の基礎となる事実の全部または一部を隠蔽し、または仮装し、その隠蔽・仮装したところに基づいて申告した場合に課されます(68条)。ほかに、納付が遅れた期間について延滞税がかかります。
税務署の担当者から電話で申告内容の見直しを求められ、自主的に修正申告書を出した場合は、延滞税は納付する場合がありますが、過少申告加算税は課されません(国税庁のFAQ問2。当初の申告が期限後申告の場合は、無申告加算税が原則5%)。
ほかの手続き
- 家族名義の預金が相続財産に当たるかは、名義預金とは?にあります。
- 申告が要るかどうかの見方は、相続税の申告が不要な場合にあります。
- 期限に遅れたときの延滞税は、相続税の延滞税の計算で試算できます。
- 税額の試算は、相続税の計算機にあります。
よくある質問
相続税の税務調査は、申告からいつ来ますか?
国税庁の公表資料には、申告から何年後に調査が来るという統計はありません。条文で決まっているのは上限です。国税通則法70条1項は、更正・決定は法定申告期限から5年を経過した日以後はできないとし、同条5項は、偽りその他不正の行為で税額を免れた国税は7年を経過する日までできるとしています。相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項)。
相続税の税務調査が来る確率は?
国税庁は確率を公表していません。公表値で割ると、令和6事務年度の実地調査9,512件は、令和6年分に相続税の申告書が出された被相続人166,730人(税額のある申告書)の5.7%、税額のない申告書の39,755人を含めた206,485人の4.6%です。分子は事務年度、分母は年分で期間が一致せず、無申告事案も分子に入るため、申告した人が調査を受ける確率そのものではありません。当サイトの計算です。
相続税の税務調査は、いくら以上で来ますか?
国税庁の「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」にも、国税通則法の条文にも、金額の基準は載っていません。同資料は、資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるのに無申告と想定される事案等について実地調査をしているとしています。
一般家庭にも税務調査は来ますか?
国税庁の資料に、一般家庭かどうかの区分はありません。相続税の申告書が出される被相続人は、令和6年分で死亡者1,605,378人の10.4%(166,730人)で、実地調査は令和6事務年度に9,512件でした。実地調査1件当たりの申告漏れ課税価格は3,093万円、追徴税額は867万円(いずれも平均)です。
相続税の税務調査に時効はありますか?
条文にあるのは、更正・決定ができる期間の制限(国税通則法70条)と、国税の徴収権の消滅時効(72条、法定納期限から5年)です。70条は5年、不正の場合は7年です。何年経てば安全といった目安をこのページでは示しません。個々の事案は、税務署または税理士にご確認ください。
税務調査は予告なしで来ますか?
実地の調査は、原則として事前に通知されます。国税通則法74条の9は、調査を開始する日時・場所、調査の目的、対象の税目・期間、対象の帳簿書類などを通知するとしています。ただし74条の10により、違法・不当な行為を容易にし、正確な把握を困難にするおそれなどがあると認める場合は通知されません。国税庁のFAQでは、通知は原則として電話による口頭で、時期は相当の時間的余裕を置くとされ、何日前かは決まっていません。
調査でどんなことを調べられますか?
国税通則法74条の3は、相続税に関する調査で、納税義務がある人のほか、その人に債権・債務のある人、財産を保管したと認められる人などに質問し、帳簿書類を検査できるとしています。国税庁の調査事例には、相続開始前に被相続人の口座から多額の現金が引き出されていた事案、家族名義の口座へ預金が移されていた事案があります。
申告しなかった場合や、少なく申告した場合はどうなりますか?
国税通則法で加算税が決まっています。過少申告加算税は10%(調査で更正を予知する前の修正申告は5%)、無申告加算税は15%(予知前の期限後申告は10%)で、50万円を超える部分は引き上げられます。事実を隠蔽・仮装した場合の重加算税は、過少申告に代えて35%、無申告に代えて40%です。ほかに延滞税がかかります。
参考・出典
- 国税庁 令和6事務年度における相続税の調査等の状況
- 国税庁 令和5事務年度における相続税の調査等の状況
- 国税庁 令和4事務年度における相続税の調査等の状況
- 国税庁 令和3事務年度における相続税の調査等の状況
- 国税庁 令和2事務年度における相続税の調査等の状況
- 国税庁 令和6年分 相続税の申告事績の概要
- 国税庁 税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)
- e-Gov法令検索 国税通則法(第65条・第66条・第68条・第70条・第72条・第74条の3・第74条の9〜第74条の11)
- e-Gov法令検索 相続税法(第27条・第59条)
- 相続アシスト(税理士法人SWATS) 公式サイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の相続で調査の対象になるかどうかや税額は、税務署または税理士にご相談ください。