相続税 読了時間:約10分

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相続税の修正申告と更正の請求|申告後に財産が見つかった・多く払っていた・期限(更正の請求は5年、分割や遺言書の発見は4か月)・延滞税と加算税・自分で書けるか・e-Tax

申告したあとで財産の漏れや計算の誤りが分かって税額が足りなければ「修正申告」、多く納めていたら「更正の請求」を出します。修正申告は、更正があるまでなら出せると国税通則法19条にあります。更正の請求は法定申告期限から5年以内(同法23条)で、遺産分割や遺言書の発見のような事由は、知った日の翌日から4か月以内(相続税法32条)です。

場面出すもの期限
申告後に財産の漏れや計算の誤りが分かり、税額が足りない修正申告書更正があるまで出せる(通則法19条)
申告した税額が多すぎた(計算の誤りなど)更正の請求書法定申告期限から5年以内(通則法23条1項)
未分割で申告し、あとで分割が決まった。遺言書が見つかった。遺留分侵害額が確定した取得が減った人は更正の請求書、増えた人は修正申告書更正の請求は、知った日の翌日から4か月以内(相続税法32条)
判決で、計算の基礎となった事実が変わった更正の請求書確定の翌日から2か月以内(通則法23条2項)

国税庁「B1-27 相続税及び贈与税の更正の請求手続」、国税通則法、相続税法から。2026年10月3日取得。

修正申告と更正の請求、どちらを出すか

分かれ目は、申告した税額が本来より少ないか、多いかです。

相続税には、遺産分割のように、申告のあとに税額が変わる事由が起きやすいという特徴があります。同じ相続でも、取得する財産が増えた人は修正申告、減った人は更正の請求と、相続人ごとに出すものが分かれることがあります。

修正申告をしたあとで、その修正申告に誤りがあったと分かったときも、更正の請求はできます。ただ、修正申告は税務当局の処分ではないので、不服申立てはできません(国税庁の税務調査手続FAQ 問26)。

財産が見つかった・税額が足りないとき(修正申告)

修正申告書の出し方

国税庁の相続税の申告書第1表の記載要領(令和8年分用)には、修正申告の場合の注意が書かれています。

修正申告書には、申告後の課税標準等と税額等、申告前に納付すべき税額が増える部分の税額などを書く決まりがあります(国税通則法19条4項)。

かかるお金:延滞税と加算税

修正申告で納付すべき税額があるときは、延滞税(同法60条1項2号)がかかります。加算税は、条件によってかかるかどうかが変わります。

税割合条文・出どころ
延滞税令和8年は年2.8%(納期限の翌日から2か月を経過する日まで)、その翌日以後は年9.1%国税庁 No.9205
過少申告加算税10%。調査で更正を予知する前の修正申告は5%。調査の通知がある前の修正申告は課されない通則法65条
重加算税事実を隠蔽・仮装した場合に、過少申告加算税に代えて35%通則法68条

65条の10%には、納付すべき税額が期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分に5%を加える規定(同条2項)があります。68条1項は、調査で更正を予知する前にされた修正申告を対象から除いています。

税務署から連絡が来たとき

申告書に誤りがあるのではないかと思われるとき、税務署が電話などで自発的な見直しを求め、修正申告書の提出を要請することがあります。これは調査ではなく行政指導にあたり、自主的に修正申告書を出した場合は、延滞税は納付する場合がありますが、過少申告加算税は課されません(国税庁のFAQ 問2)。調査のあとに修正申告を勧められた場合の扱いは、相続税の税務調査にまとめています。

多く払っていたとき(更正の請求)

期限は5年

更正の請求は、法定申告期限から5年以内に限ってできます(国税通則法23条1項)。相続税の法定申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項)。国税庁の手続の案内(B1-27)も、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する相続税の申告は5年以内としています。

請求書に書くこと・添えるもの

同法23条3項は、更正請求書に、次のことを書くよう定めています。

国税庁の案内では、添付書類は「更正の請求の理由の基礎となる事実を証明する書類等」です。

請求したあと

税務署長は、請求に係る課税標準等や税額等を調査し、更正をするか、更正をすべき理由がない旨を請求した人に通知します(同条4項)。更正の請求があっても、請求に係る納付すべき国税の徴収は猶予されません(同条5項。税務署長が相当の理由があると認めるときは、全部または一部を猶予できます)。

分割・遺言書・遺留分で変わったとき(4か月)

相続税法32条1項は、次の事由で課税価格と相続税額が過大になったとき、事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内に限り、更正の請求ができると定めています。通常の5年とは別の期限です。

事由期限条文
未分割で、法定相続分などで計算して申告した財産の分割が行われ、取得額が変わった知った日の翌日から4か月以内相続税法32条1項1号
認知・廃除の裁判の確定や相続の回復などで、相続人に異動が生じた知った日の翌日から4か月以内同2号
遺留分侵害額の請求に基づき、支払うべき金銭の額が確定した知った日の翌日から4か月以内同3号
遺贈に係る遺言書が発見された、または遺贈の放棄があった知った日の翌日から4か月以内同4号
特別縁故者への相続財産の分与、特別寄与料の額の確定知った日の翌日から4か月以内同7号(4条)
判決で、申告の計算の基礎となった事実が変わった確定の翌日から2か月以内通則法23条2項1号

相続税法32条1項には、ほかに物納の許可の取消しに関する事由などもあります。全文は e-Gov 法令検索をご覧ください。

これらの事由で既に確定した相続税額に不足を生じた人は、修正申告書を提出できます(相続税法31条1項)。未分割のときの申告の進め方は、遺産分割に期限はあるかにまとめています。

自分で書けるか・e-Tax

国税庁は、書き方を公開しています。

自分で出すことはできますが、財産の評価や特例の適用が変わるときは、税額に関わる表が複数になることがあります。迷うときは、税務署または税理士にご相談ください。

ほかの手続き

よくある質問

相続税の修正申告に期限はありますか?

国税通則法19条1項は、先の申告で納付すべき税額に不足額があるときなどは、その申告について更正があるまでは、修正する納税申告書を税務署長に提出することができると定めています。提出の期限は書かれていません。ただし延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてかかります(国税庁 No.9205)。更正決定ができる期間の上限は、「相続税の税務調査」のページで整理しています。

相続税の更正の請求は、いつまでできますか?

法定申告期限から5年以内です(国税通則法23条1項。国税庁 B1-27)。相続税の法定申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項)。遺産分割や遺言書の発見のような後発的な事由は、事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内(相続税法32条1項)、判決で計算の基礎となった事実が変わったときは確定の翌日から2か月以内(国税通則法23条2項1号)です。

更正の請求の「4か月」は、いつから数えますか?

相続税法32条1項は、同項各号の事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内と定めています。たとえば遺産分割が行われたことや、遺言書が発見されたことを知った日の翌日が起算日です。個々の事案で何日が期限になるかは、税務署または税理士にご確認ください。

修正申告をすると、加算税はかかりますか?

国税通則法65条の過少申告加算税は、納付すべき税額に10%、調査があったことにより更正を予知してされたものでない修正申告は5%です。調査の通知(調査通知)がある前に、更正を予知せずに出した修正申告には課されません(同条6項)。納付すべき税額が期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分には、5%が加算されます(同条2項)。細かい条件は条文をご確認ください。

修正申告の延滞税は、いくらかかりますか?

令和8年は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、その翌日以後が年9.1%です。修正申告の場合の納期限は、申告書を提出した日とされています(国税庁 No.9205)。期限内申告書の提出後1年以上経過して修正申告をしたときは、法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日までが計算期間から除かれます(重加算税が課された場合を除く)。金額は、当サイトの延滞税の計算で試算できます。

修正申告をしたあとで、やはり税額が多かったと分かったらどうなりますか?

国税庁のFAQ(問26)によると、修正申告は税務当局の処分ではないため不服申立てはできませんが、一定期間内であれば更正の請求はできます。更正の請求では、正しいと考える税額や理由を「更正の請求書」に書き、請求の理由の基礎となる事実を証明する書類を添えて出します。

更正の請求を出せば、税額は減りますか?

請求すれば必ず減るわけではありません。国税通則法23条4項は、税務署長が請求に係る課税標準等や税額等を調査し、更正をするか、更正をすべき理由がない旨を請求した人に通知するとしています。また、更正の請求があっても、請求に係る納付すべき国税の徴収は、原則として猶予されません(同条5項)。

修正申告や更正の請求は、自分で書いて出せますか?e-Taxは使えますか?

国税庁は、修正申告書については相続税の申告書第1表の記載要領で、更正の請求については専用の「相続税の更正の請求書」の様式と記載要領で、書き方を公開しています。更正の請求は、e-Taxソフトで請求書等を作って添付書類(PDF)と併せて提出できます。請求の内容によってはe-Taxを使えない場合があり、その場合は書面で持参または送付します(国税庁 B1-27)。財産の評価や特例の適用が変わる場合は、税務署または税理士にご相談ください。

税務署から「修正申告書を出してください」と連絡が来たらどうなりますか?

国税庁のFAQ(問2)では、申告書に誤りがあるのではないかと思われるとき、行政指導として自発的な見直しや修正申告書の提出を要請することがあります。この要請に基づいて自主的に修正申告書を出した場合は、延滞税は納付する場合がありますが、過少申告加算税は課されません。調査の結果として修正申告を勧められた場合は、応じるかどうかは任意です(問25)。詳しくは「相続税の税務調査」にまとめています。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の相続で修正申告や更正の請求が要るかどうか、期限や税額は、税務署または税理士にご相談ください。

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