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タンス預金は相続税の申告に入れる?自宅の現金も相続財産・亡くなる直前に下ろしたお金・税務署が把握する手がかり・申告しなかったとき・見つけたときにすること
タンス預金(自宅にある現金)も、相続税のかかる財産です。国税庁は、相続税のかかる財産に、現金、預貯金、宝石、土地、家屋などのほか、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものを挙げています(タックスアンサー No.4105)。通帳に載っていなくても、遺産の合計に入れます。申告が要るかどうかは、現金を含めた合計が基礎控除額を超えるかで決まります。見つけたら勝手に使わず、金額と場所を記録して、相続人全員で確かめます。
| 現金のありか | 申告に入れるか | 確かめること |
|---|---|---|
| 被相続人の自宅で見つかった現金(タンス・金庫・仏壇・封筒) | 入れる。国税庁は現金を本来の相続財産に挙げる | 見つけた日・金額・場所を記録する |
| 亡くなる前に口座から下ろして、被相続人の手元に残っている現金 | 入れる | 通帳の引き出しの日付と金額、手元にある額 |
| 亡くなる前に下ろして、生前に相続人へ渡していた現金 | 贈与とされれば、加算対象期間内は相続税の課税価格に加算する | 渡した日、受け取った人、加算対象期間(節3の表) |
| 家族名義の通帳や、家族が貯めた現金 | 被相続人のお金かどうかの判断による | 誰が出し、誰が管理し、贈与の合意があったか |
| 相続人が自宅で保管している、被相続人から預かった現金 | 入れる。国税庁の調査事例①がこの型 | 預かった経緯と金額を相続人全員で共有する |
出典は国税庁のタックスアンサー No.4105・No.4161(令和8年4月1日現在)、相続税法、国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」。個別の判断は、税務署か税理士に確認してください。
自分はどの場合に当てはまるか
- 自宅から現金が出てきた:節2に、相続財産に入る根拠を書きました。申告が要るかは相続税の申告が不要な場合にあります。
- 亡くなる前に口座から多額を下ろしていた:節3に、手元に残っている場合と、家族へ渡した場合を分けて書きました。
- 家族名義の通帳がある、配偶者や子が貯めていた:名義預金とは?にあります。
- 申告をまだしていない、していなかった:節4と節5に、国税庁が公表している範囲を書きました。
- 勝手に使ってしまった、相続放棄も考えている:節6に書きました。
- 申告のあとで見つかった:節6の最後と相続税の修正申告と更正の請求にあります。
自宅の現金は相続財産か:条文と国税庁の説明
- 相続税の範囲:相続税は、相続または遺贈により取得した財産の全部にかかります(相続税法2条1項)。課税価格は、取得した財産の価額の合計額です(11条の2第1項)。価額は、取得の時における時価によります(22条)。
- 国税庁の説明:相続税のかかる本来の相続財産は、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか、貸付金、特許権、著作権など、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものです(No.4105)。保管場所によって扱いが変わるとは書かれていません。
- 民法:相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(896条)。相続人が数人いるときは、相続財産は相続人の共有です(898条1項)。
申告が要るかどうかは、遺産の合計が基礎控除額を超えるかで決まります。基礎控除額は、3,000万円と、600万円に法定相続人の数をかけた金額の合計です(相続税法15条1項)。申告書は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に出します(27条1項)。現金は手元の金額で数えます。古銭や記念硬貨などの収集品は、骨董品・美術品の相続税にあります。
亡くなる直前に下ろした現金の扱い
亡くなる前に口座から下ろされた現金は、今どこにあるかで扱いが分かれます。
- 被相続人の手元にある:現金として相続財産に入ります。
- 被相続人のために使った:残っていないので財産に入りません。被相続人の葬式費用は、取得した財産の価額から差し引けます(相続税法13条1項2号。葬儀費用と相続税の控除)。
- 生前に相続人へ渡した:贈与です。相続や遺贈で財産を取得した人が、被相続人から暦年課税の贈与で取得した財産は、加算対象期間内なら、相続税の課税価格に加算します(19条1項)。
- 相続や遺贈で財産を取得しない人へ渡した:この加算の対象ではありません。贈与税の対象で、1年間に受けた贈与の合計が110万円以下なら贈与税はかかりません(No.4402)。
| 被相続人の相続開始日 | 加算対象期間 | 確かめること |
|---|---|---|
| 令和8年12月31日まで | 相続開始前3年以内 | 死亡の日から3年前の日までの贈与 |
| 令和9年1月1日〜令和12年12月31日 | 令和6年1月1日から死亡の日まで | 令和6年以後の贈与が対象 |
| 令和13年1月1日以後 | 相続開始前7年以内 | 3年を超える部分は合計から100万円を控除(19条1項) |
出典は国税庁のタックスアンサー No.4161(令和8年4月1日現在)、相続税法19条1項。贈与税がかかったかどうかに関係なく加算し、110万円以下の贈与も加算します。計算は暦年贈与の持ち戻しは3年から7年へにあります。
下ろした現金の使い道は、あとで聞かれることがあります。国税庁の調査事例①では、相続人らが引き出した現金の使途を聞かれ、「寄付しており、残っていない」と答える一方で、寄付先を答えないなど、あいまいな回答を繰り返したとあります。領収書や通帳の記録など、使い道を説明できる資料は、申告の前にそろえておきます。
申告しなかったとき:国税庁が公表している把握の手がかり
税務署がタンス預金をどう把握するかを、網羅して説明した公表資料は確かめた範囲にありません。国税庁の「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」と条文から言えるのは、次の範囲です。
| 項目 | 書かれていること | 書かれていないこと |
|---|---|---|
| 調査の対象 | 資料情報等から申告額が過少と想定される事案や、無申告と想定される事案等を実地調査。無申告事案の把握のため資料情報を収集・活用 | 金額や資料の中身などの基準 |
| 口座の動き | 事例①は、被相続人の口座から相続開始前に多額の現金が引き出されていたことから、使途の解明のため調査に着手 | 何年さかのぼるか、いくらから見るか |
| 調査の場所 | 事例①は、被相続人宅に続き相続人宅を調査し、金庫内の多額の現金を発見 | どの場合に相続人宅まで調べるか |
| 質問できる相手 | 納税義務がある人のほか、財産を保管したと認められる人、債権・債務のあった人にも質問できる(国税通則法74条の3) | 実際に誰にどこまで聞くか |
| 調書の請求 | 法人は、税務署長の請求があれば、相続税の納税義務者の財産・債務の調書を提出する(相続税法59条4項) | どの法人にどの範囲で請求するか |
出典は国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」(令和7年12月)、国税通則法、相続税法。
事例①の相続人らは、被相続人の生前に一緒に現金を引き出して自宅の金庫に保管し、申告が必要であることを認識しながら、「相続人の自宅で保管しておけば税務署に容易に把握されることはないだろう」という考えで、税理士にも伝えず申告から除外したと、国税庁の資料に書かれています。増差課税価格は約2億5千万円、追徴税額は約1億2千万円(重加算税有)でした。
公表されている件数
- 令和6事務年度の相続税の実地調査は9,512件で、うち7,826件(82.3%)で申告漏れ等が見つかり、追徴税額は合計824億円でした。
- 申告漏れ相続財産は合計2,879億円で、うち現金・預貯金等は837億円(29.1%)です。
「現金・預貯金等」は預貯金を含む区分で、タンス預金だけの件数や金額は公表されていません。調査が来る確率、いつ来るか、更正できる期間(5年・不正は7年)は相続税の税務調査にまとめています。
加算税・延滞税・罰則
申告しなかった、または少なく申告したことが分かると、本税のほかに加算税がかかります。国税通則法の割合は、過少申告加算税が10%(65条)、無申告加算税が15%(66条)、事実を隠蔽・仮装していたときの重加算税が過少申告で35%、無申告で40%(68条)です。納付が遅れた期間には延滞税もかかります。割合の細かい条件と申告後の手続きは、相続税の修正申告と更正の請求と相続税の税務調査にあります。
偽りその他不正の行為により相続税を免れた人は、10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科すると定められています(相続税法68条1項)。
見つけたときに相続人がすること
- 手を付けない:遺産分割の前は、現金も相続人全員の共有です(民法898条1項)。相続放棄を考えている人が処分すると、単純承認とみなされます(921条1号)。放棄のあとでも、相続財産を隠したり私に消費したりすると、単純承認とみなされます(同条3号)。
- 記録して全員に知らせる:見つけた日、金額、場所を記録し、写真を撮ります。相続人の一人が使ったときは、他の共同相続人の全員の同意で、その現金が遺産分割のときに遺産として存在するものとみなせます。使った本人の同意は要りません(906条の2)。
- 遺言書を確かめる:遺言に現金の行き先があれば、そのとおりに進みます。
- 遺産分割で誰が取得するかを決める:決めた内容は遺産分割協議書に載せます。書き方は遺産分割協議書の書き方にあります。
- 申告書の財産に入れる:期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項)。
- 申告のあとで見つけたとき:税額が足りなくなるときは、修正申告書を提出できます(31条1項)。調査の通知がある前に、更正があるべきことを予知せずに出した修正申告には、過少申告加算税はかかりません(国税通則法65条6項)。ただし延滞税は納める場合があります。
申告書づくりを任せるとき
見つかった現金を含めた財産の一覧づくりと、申告書の作成は、税理士に任せる方法があります。相続アシスト(税理士法人SWATSとSWATS法律事務所が運営)の公式サイト(2026年10月3日取得)には、複雑な相続税申告の手続きを最初から最後まで対応する、戸籍や残高証明などの書類収集もすべて代行する、とあります。
- 対応エリア:東京・神奈川・大阪・京都・兵庫の案件です。
- 無料相談:電話かオンラインで、相続の概要や今後の流れの説明を、15分程度で受けられます。
- 手続き面談:サービス内容と料金プランの説明を受けます。ご契約までは無料と書かれています。
- 期限が近いとき:期限ギリギリの特急対応も相談できると書かれています。
公式サイトに、タンス預金や現金についての案内はありません。見つかった現金の金額と経緯は、相談のときに伝えます。
よくある質問
タンス預金は、相続税の申告に入れますか?
入れます。国税庁は、相続税のかかる本来の相続財産に、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものを挙げています(タックスアンサー No.4105)。自宅にあった現金も、通帳に載っている預貯金と同じく、遺産の合計に入ります。申告が要るかどうかは、現金を含めた遺産の合計が基礎控除額(3,000万円と600万円に法定相続人の数をかけた額の合計、相続税法15条1項)を超えるかで決まります。
タンス預金には、相続税がいくらからかかりますか?
タンス預金だけに金額の基準はありません。現金も預貯金も不動産も合わせた遺産の合計が、基礎控除額を超えるかどうかです。法定相続人が3人なら、基礎控除額は3,000万円と1,800万円の合計で4,800万円です(相続税法15条1項)。配偶者の税額軽減などで税額が0円になっても、申告が要る場合があります。くわしくは相続税の申告が不要な場合のページにあります。
亡くなる直前に口座から下ろした現金は、どうなりますか?
被相続人の手元に残っていれば、現金として相続財産に入ります。生前に家族へ渡していた場合は、相続や遺贈で財産を取得した人への暦年課税の贈与が、加算対象期間内なら相続税の課税価格に加算されます。加算対象期間は、相続開始日が令和8年12月31日以前なら相続開始前3年以内、令和9年1月1日から令和12年12月31日なら令和6年1月1日から死亡の日まで、令和13年1月1日以後なら相続開始前7年以内です(No.4161)。贈与税がかかったかどうかに関係なく加算され、基礎控除額の110万円以下の贈与も加算します。
税務署は、タンス預金をどうやって把握しますか?
国税庁は把握の方法を網羅して公表していません。公表されているのは、令和6事務年度の調査で、資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、無申告と想定される事案等を実地調査していること、事例として、被相続人の口座から相続開始前に多額の現金が引き出されていたことをきっかけに調査に着手し、相続人宅の金庫から現金を発見したものがあることです。調査では、納税義務がある人のほか、財産を保管したと認められる人にも質問できます(国税通則法74条の3)。
申告しなかったタンス預金が見つかると、どうなりますか?
本税のほかに加算税がかかります。国税通則法の割合は、過少申告加算税が10%(65条)、無申告加算税が15%(66条)、事実を隠蔽・仮装していたときの重加算税が過少申告で35%、無申告で40%(68条)です。納付が遅れた期間には延滞税もかかります。国税庁の調査事例①では、相続開始前に引き出した現金を申告から除外した事案で、増差課税価格が約2億5千万円、追徴税額が約1億2千万円(重加算税有)でした。くわしくは相続税の税務調査と修正申告のページにあります。
タンス預金を見つけたら、勝手に使ってもよいですか?
遺産分割の前は、現金も相続人全員の共有です(民法898条1項)。相続放棄を考えている人が相続財産の一部を処分すると、単純承認をしたものとみなされます(921条1号)。共同相続人の一人が遺産の現金を使ったときは、他の共同相続人の全員の同意で、その現金が遺産分割のときに遺産として存在するものとみなされます(906条の2)。使う前に、金額と場所を記録し、相続人全員に知らせます。
相続税の申告をしたあとで、タンス預金が見つかったときは?
申告した税額が足りなくなるときは、修正申告書を提出できます(相続税法31条1項、国税通則法19条)。調査の通知がある前に、更正があるべきことを予知せずに出した修正申告には、過少申告加算税はかかりません(65条6項)。ただし延滞税は納める場合があります。手続きと期限は、相続税の修正申告と更正の請求のページにあります。
参考・出典
- e-Gov法令検索 相続税法(第2条・第11条の2・第13条・第15条・第19条・第22条・第27条・第31条・第59条・第68条)
- e-Gov法令検索 国税通則法(第19条・第65条・第66条・第68条・第74条の3)
- e-Gov法令検索 民法(第896条・第898条・第906条の2・第921条)
- 国税庁 タックスアンサー No.4105 相続税がかかる財産
- 国税庁 タックスアンサー No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
- 国税庁 タックスアンサー No.4402 贈与税がかかる場合
- 国税庁 令和6事務年度における相続税の調査等の状況
- 相続アシスト(税理士法人SWATS) 公式サイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の相続で現金が財産に入るか、申告が必要か、税額がいくらかは、税務署または税理士にご確認ください。