相続税 読了時間:約9分

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骨董品・美術品の相続税|評価の方法(売買実例価額・精通者意見価格)・鑑定書は必要か・5万円以下は一括で評価できるか・売ってから分けるときの所得税(1個30万円超)・寄付したとき

骨董品・美術品も相続税の対象で、評価は財産評価基本通達135により、売買実例価額、精通者意見価格などを参酌して行います。通達には、鑑定書の添付を求める定めは書かれていません。5万円以下の一括評価は、家具・食器などの一般動産の定めです。買取業者の査定額は、評価額そのものを決めるものではありません。相続した品を売ると、1個または1組が30万円を超えるものは所得税(譲渡所得)の対象になり、国や公益法人に寄付する特例もあります。

場面評価や税の扱い根拠
書画骨とう品の評価(持ち主が販売業者でない)売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価財産評価基本通達135
家具・食器などの家庭用の動産1個または1組が5万円以下なら、一世帯ごとに一括して評価できる通達128
鑑定書添付を求める定めは通達の文面にない。評価の材料にはなる通達135
売る(書画・こつとう・美術工芸品で1個または1組が30万円超)非課税から除かれ、譲渡所得として総合課税所得税法施行令25条
国・地方公共団体・特定の公益法人に寄付申告期限までなら、寄付した財産は相続税の対象としない租税特別措置法70条

国税庁の財産評価基本通達・タックスアンサー、e-Gov(相続税法・租税特別措置法・所得税法・同施行令)から作成(2026年10月3日取得)。

自分はどの場合に当てはまるか

骨董品・美術品の評価の方法と、5万円以下の一括評価

相続税法22条は、相続で取得した財産の価額を、取得の時における時価によるとしています。骨董品や美術品の時価の考え方は、財産評価基本通達の第6章(動産)にあります。国税庁のタックスアンサーNo.4105も、相続税のかかる財産を、宝石、土地、家屋などのほか、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの、と説明しています。

品物評価の方法通達
書画骨とう品(持ち主が販売業者でない)売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価135(2)
書画骨とう品(販売業者が持っているもの)たな卸商品等の定めで評価135(1)・133
家具・食器などの一般動産原則として売買実例価額、精通者意見価格等を参酌。明らかでなければ、同種同規格の新品の小売価額から償却費などを引く129
家庭用動産で1個または1組が5万円以下一世帯ごとに一括して評価できる128ただし書

国税庁「財産評価基本通達」第6章 動産(第1節 一般動産・第4節 書画骨とう品)から作成(2026年10月3日取得)。

売買実例価額は、同じような品が実際に売買された価額、精通者意見価格は、その分野に詳しい人の意見による価格と読めます。通達は、どちらも「参酌して」評価するとしており、1つの方法に決めてはいません。

5万円以下の一括評価は、通達128のただし書にある定めです。128は、一般動産を、132から136までの定めで評価するものを除いた動産としており、書画骨とう品の評価を定めた135はその中に入ります。このため、掛軸や焼き物は、一括ではなく135で評価する形です。一括にできるのは、家具や食器のような一般動産で、1個または1組の価額が5万円以下のものです。

鑑定書は必要か・買取業者の査定額との違い

鑑定書

通達135の文面には、鑑定書の添付や提出を求める定めは書かれていません。書かれているのは、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する、という点です。鑑定書や査定書、購入したときの書類は、この評価の材料として使えます。

評価額の決め方は、品物ごとに違います。迷う品は、税務署か、相続税に詳しい税理士に相談してください。

買取業者の査定額

買取業者が出す査定額は、業者がその品を買い取る価格です。相続税の評価は、相続で取得した時の時価で考えます(相続税法22条)。通達も「参酌して」と書いており、買取の査定額をそのまま評価額とするとは定めていません。査定額は、相続税評価そのものではありません。評価を考える材料の1つとして扱い、評価額の決め方は税務署か税理士に確認してください。

出張査定を受けるとき

骨董品・美術品の買取専門店の日晃堂は、公式サイト(2026年10月3日取得)で、査定費・相談費・出張費を無料としています。査定だけの依頼も受け付けており、売るかどうかは査定を見てから決められます。納得した品だけが買取の対象で、1点からでも査定を頼めます。

同社のサイトには、ひな人形、仏壇、石灯篭、箪笥、神棚、家電製品などの買取不可の品が挙げられています。このほかにも、オペレーターのヒアリングで買い取れない品があるとされています。買取には、古物営業法による本人確認書類の確認が必要です。

申告しないとどうなるか

骨董品や美術品も、相続税のかかる財産に入ります。相続税がかかるかどうかは、品物1点ではなく、遺産の合計額が基礎控除を超えるかどうかで決まります。評価に使った資料(査定書、購入したときの書類など)は、あとで説明できるよう残しておくと安心です。

売ってから分けるときの所得税

どの品が課税の対象になるか

売る品物所得税の扱い根拠
家具・食器・衣服など、生活に通常必要な動産非課税所得税法9条1項9号
書画、こつとう、美術工芸品、貴石、貴金属、真珠などで、1個または1組が30万円超非課税から除かれる。譲渡所得の対象施行令25条
同じ種類で、1個または1組が30万円以下生活に通常必要な動産にあたる限り、非課税施行令25条

e-Gov 所得税法9条1項9号・所得税法施行令25条、国税庁タックスアンサーNo.3105から作成(2026年10月3日取得)。

30万円の判定は「1個または1組」ごとです。家中の品を合計した金額ではありません。30万円前後の品や、生活に通常必要な動産にあたるかどうか判断に迷う品は、税務署か税理士に確認してください。

譲渡所得の計算

売ってから代金を分けるとき

国税庁の質疑応答事例(照会は土地の換価)は、換価のときに代金の取得割合が決まっていなければ、譲渡所得は換価時の所有割合、つまり法定相続分で申告するとしています。申告期限までに代金が分けられ、共同相続人の全員が代金の取得割合で申告した場合は、その申告が認められます。申告期限までに代金を分けていない場合は、法定相続分で申告したあとに代金が分けられても、更正の請求はできません。

遺産分割が終わっていない品を売るときは、ほかの相続人の同意を先に取ってください。

国や公益法人に寄付したとき

寄付先相続税所得税
国・地方公共団体申告期限までに寄付した財産は、相続税の対象としない譲渡所得は課税されない。要件や手続は不要
特定の公益法人(公益社団・公益財団法人、学校法人、社会福祉法人など)同じ。寄付から2年以内に公益目的事業に使わないと、課税対象に戻る国税庁長官の承認を受けたとき課税されない

国税庁タックスアンサーNo.4141・No.3108、e-Gov 租税特別措置法70条から作成(2026年10月3日取得)。

寄付を受け入れるかどうかは寄付先が決めます。先に寄付先へ打診してから、手続を進めてください。

よくある質問

骨董品や美術品は、いくらから相続税がかかりますか?

品物1点ごとの金額に基準はありません。国税庁は、相続税のかかる財産を、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの、としています。相続税がかかるかどうかは、骨董品や美術品も含めた遺産の合計額が基礎控除を超えるかどうかで決まります。基礎控除以下なら申告が要らない場合は、相続税の申告が不要な場合のページにあります。

骨董品や美術品は、どうやって評価しますか?

財産評価基本通達135は、書画骨とう品の販売業者が持っているものは「たな卸商品等」として133の定めで、それ以外の書画骨とう品は売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する、としています。相続税法22条は、相続で取得した財産の価額を、取得の時における時価によるとしています。評価額の相場はこのページでは示していません。

鑑定書がないと、相続税の申告はできませんか?

通達135の文面には、鑑定書の添付や提出を求める定めは書かれていません。書かれているのは、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する、という点です。鑑定書や査定書、購入したときの書類は、評価の材料として使えます。評価額の決め方に迷う品は、税務署か税理士に相談してください。

買い取り業者の査定額を、そのまま相続税の評価額にしてよいですか?

通達は「参酌して評価する」と書いており、買取の査定額をそのまま評価額とするとは定めていません。査定額は、業者が買い取る価格です。相続税の評価は、相続で取得した時の時価で考えます(相続税法22条)。査定額は評価を考える材料の1つとして扱い、評価額の決め方は税務署か税理士に確認してください。

家にある家具や食器は、1点ずつ評価するのですか?

財産評価基本通達128は、一般動産は原則として1個または1組ごとに評価するとしたうえで、家庭用動産、農耕用動産、旅館用動産等で1個または1組の価額が5万円以下のものは、一世帯、一農家、一旅館ごとに一括して評価することができる、としています。書画骨とう品は通達の括弧書きで一般動産から外れ、135で評価する定めです。

骨董品を売ったら、所得税はかかりますか?

生活に通常必要な動産の譲渡による所得は非課税ですが、書画、こつとう、美術工芸品、貴金属、宝石などで、1個または1組の価額が30万円を超えるものは非課税から除かれます(所得税法9条1項9号・施行令25条)。30万円を超えるものは譲渡所得として、総合課税の対象です。1個または1組が30万円以下の品は、生活に通常必要な動産にあたる限り、非課税です。判断に迷う品は、税務署か税理士に確認してください。

遺産分割の前に骨董品を売って、代金を分けるとき、税金は誰にかかりますか?

国税庁の質疑応答事例(照会は土地の換価)は、換価のときに代金の取得割合が決まっていなければ、譲渡所得は換価時の所有割合、つまり法定相続分で申告する、と回答しています。申告期限までに代金が分けられ、共同相続人の全員が代金の取得割合で申告した場合は、その申告が認められます。遺産分割の前に売るときは、ほかの相続人の同意を先に取ってください。

相続した美術品を美術館に寄付したら、税金はどうなりますか?

相続税は、申告期限までに国、地方公共団体、特定の公益法人に寄付した財産を、相続税の対象としない特例があります(租税特別措置法70条)。所得税は、国や地方公共団体への寄付なら譲渡所得が課税されません。公益法人などへの寄付は、国税庁長官の承認を受けたときに課税されません。寄付を受け入れるかどうかは寄付先が決めますので、先に打診してください。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案の判断は、税務署、税理士などにご確認ください。

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