片付け・費用 読了時間:約8分

遺品整理の費用は誰が払う?公式の事例の金額・相続税で差し引けるか・始める時期

遺品整理の費用を「この人が払う」と決めた条文はありません。出発点は、亡くなった人の財産を相続人が引き継ぎ(民法896条)、相続人が数人いるときは遺産分割まで共有になる(民法898条)ことです。そのうえで、相続財産に関する費用はその財産の中から支弁するとされています(民法885条。相続人の過失によるものは除く)。遺品整理の費用がこの「相続財産に関する費用」にあたるかは条文だけでは決まらないため、相続人どうしで先に決めておくのが安全です。金額は、業者の公式サイトにある事例では1K規模で5万〜10万円、4LDK規模で25万〜35万円と、規模と物量で大きく違います。

気になること原文に書かれていること根拠
誰が払う相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし相続人の過失によるものは除く民法885条
遺産分割の前は誰の物相続人が数人のとき、相続財産は共有に属する民法898条1項
金額の目安業者の公式の事例で、1K規模5万〜10万円、4LDK規模の物量多めで25万〜35万円(税込)。公式は「間取りだけで決まるものではありません」と注意している遺品整理のコンシェルジュ
相続税で差し引ける債務と葬式費用は差し引ける。遺品整理の費用が当たるかの記載は国税庁の2ページに見当たらない相続税法13条・国税庁
相続放棄を考えている相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認とみなす。ただし保存行為などは除く民法921条1号

出典:e-Gov法令検索 民法・相続税法、国税庁タックスアンサー No.4126・4129、遺品整理のコンシェルジュ公式サイト(いずれも2026年10月2日取得)。個別の事情で結論が変わることがあるため、実際の手続きは専門家・税務署・事業者にご確認ください。

遺品整理の費用は誰が払うか

あなたの状況によって、費用を考える順番が変わります。

相続人が自分ひとりのとき

相続人が自分ひとりなら、亡くなった人の財産に属した権利義務は相続開始の時から自分が引き継ぎます(民法896条)。遺品整理を依頼するかどうかも、見積もりを取るかどうかも自分で決められます。費用を遺産の中から出すのか自分の財布から出すのかは、民法885条の「相続財産に関する費用」にあたるかで考え方が分かれうるため、専門家に確かめると安心です。

相続人が数人いるとき

相続財産は、遺産分割が済むまで相続人の共有です(民法898条1項)。共有持分は法定相続分などで決まります(同2項)。遺品を捨てる・売る・譲るといった判断は全員に関わるので、業者を決める前に他の相続人へ知らせて、依頼してよい範囲と費用の出し方を話しておきます。誰がいくら払ったかが後で分かるよう、見積書と領収書を残しておくと、精算の話し合いに使えます。

民法885条の読み方

条文は「相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の過失によるものは、この限りでない」です。遺品整理の費用がこれにあたると条文に書かれているわけではありません。相続人どうしで折り合いがつかないときは、家庭裁判所や弁護士・司法書士などの専門家に確かめてください。

費用の目安:公式サイトにある4つの事例

この記事では、公的な統計の値を確認できていません。そこで、提携先の一括見積もりサイト「遺品整理のコンシェルジュ」の公式サイト(2026年10月2日に確認)が「ご利用事例」として載せている、4件の費用目安を挙げます。

事例費用目安(税込)作業人数・作業時間
1K規模の遺品整理5万〜10万円2名・1日間
立ち会いなしの空き家片付け10万〜15万円5名・1日半
マンションの生前整理15万〜25万円7名・2日間
4LDK規模の遺品整理(物量多め)25万〜35万円10名・3日間

出典:遺品整理のコンシェルジュ公式サイト「ご利用事例」(2026年10月2日取得)。公式サイトは「料金や作業内容は、間取りだけで決まるものではありません」「1K規模であっても、物量や処分内容によって料金は大きく変動します」と注意しています。公的な統計ではなく、あなたの家の費用を示すものでもありません。

一軒家・マンション・アパートの違いは

公式サイトの事例は上の4件で、一軒家とアパートに分けた金額は載っていません。事例の説明では、マンションは共用部の養生や搬出ルールへの対応が重要になるとされ、管理規約や作業条件を踏まえて見積もりを比べたと書かれています。見積もりの申込フォームには、建物の種類(戸建て・マンション・アパートなど)と間取りを任意で入力する欄があります。

見積もりは何社で比べるか

同じ公式サイトの「よくある質問」は、相見積もりについて「2〜3社程度を比較するのがおすすめ」「4社以上になると情報の整理が大変になり、かえって判断に迷ってしまうケースが多い」と説明しています。一括見積もりの依頼は無料で、実際に作業を依頼するときは各業者へのお支払いが発生すると書かれています。見積もり段階ならキャンセルでき、正式な契約後のキャンセルは各業者の規約で手数料がかかる場合があります。

相続税で差し引けるか

相続税には、遺産総額から債務と葬式費用を差し引ける仕組みがあります。相続税法13条は、控除するものとして「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)」と「被相続人に係る葬式費用」を挙げ、14条は、控除する債務は「確実と認められるものに限る」と定めています。国税庁の記載は次のとおりです。

項目国税庁の記載出典
差し引ける債務被相続人が死亡したときに現に存在した債務(借入金や未払金など)で確実と認められるものNo.4126
差し引ける葬式費用火葬・埋葬・納骨の費用、遺体や遺骨の回送の費用、お通夜などの費用、読経料などのお礼、死体の捜索や運搬の費用No.4129
葬式費用に含まれないもの香典返し、墓石や墓地の買入れ・借りる費用、初七日など法事の費用No.4129

出典:国税庁タックスアンサー No.4126「相続財産から控除できる債務」、No.4129「相続財産から控除できる葬式費用」(令和8年4月1日現在法令等。2026年10月2日取得)。

この2ページの本文に、遺品整理の費用が差し引けるかどうかの記載は見当たりません。葬式費用に含まれないものの例に「初七日など法事の費用」が挙がっていますが、遺品整理がこれにあたるとも書かれていません。記載がないため、差し引けるとも差し引けないとも言えません。相続税の申告を考えているときは、遺品整理の見積書や領収書を残したうえで、税務署や税理士にご確認ください。

相続税の申告が必要な場合の期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です(国税庁 No.4205)。

いつから始めるか:相続放棄との関係

遺品整理は早く始めたくなる作業ですが、相続放棄を考えているうちは注意が要ります。

遺品を業者に処分してもらう行為が、処分にあたるのか保存行為にあたるのかは、条文だけでは決まりません。放棄を考えているうちは、業者への依頼や処分の前に、家庭裁判所や専門家に確かめてください。手続きは相続放棄は自分でできる?にまとめています。

放棄を考えていない場合でも、捨ててしまった物は戻せません。業者を決める前に、残す物・売る物・処分する物を相続人で分けておくと、見積もりも取りやすくなります。立ち会いなしで頼むときは、公式の事例の説明にあるとおり、鍵預かりや完了報告の対応実績がある業者かを見積もりの段階で確かめます。

自分でやる場合・よくある疑問

自分で片付けるときの粗大ごみ・不用品の出し方は

市区町村の粗大ごみの出し方と、自分で運ぶ場合・業者を使う場合の違いは空き家の片付けは誰に頼む?にまとめています。自分で片付ける場合も、相続放棄を考えているうちは処分を控える点は同じです。

一軒家・アパートの相場や平均は分かりますか

公的な統計や公式の原文では確認できなかったため、この記事に相場や平均は載せていません。目安として載せた4件は、1つの一括見積もりサイトの公式サイトにある事例です。

参考・出典

運

空き家計算機 運営事務局

本サイトは個人が運営する情報提供サイトです。空き家・相続不動産の活用・売却・管理について、国土交通省・法務省・農林水産省などの公開情報をもとに記事を編集・公開しています。お問い合わせは お問い合わせフォーム よりお願いします。