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形見分けはいつ・誰に・何を渡す?|四十九日などの時期は慣習・遺産分割の前に渡してよいか・アクセサリーや現金は・孫に渡すと贈与税か・相続放棄を考えているとき
形見分けの時期は、法律で決まっていません。四十九日のあとなどとされるのは宗教や地域の慣習で、公的な決まりではありません。遺産分割が済むまで、家の中の品は相続人全員の共有です(民法898条1項)。全員が知らないまま渡すと、あとで争いになります。相続放棄を考えているなら、相続財産の一部を処分すると単純承認とみなされる(921条1号)ので、渡す前に家庭裁判所か弁護士に確かめてください。
| 品物 | 渡してよいか | 確かめること |
|---|---|---|
| 衣類・日用品・文房具 | 相続人全員が知っていれば渡しやすい | 家庭用動産で1個5万円以下は一括で評価できる(通達128) |
| 指輪・ネックレス・時計 | 相続人全員で、誰が取得するかを決めてから | 宝石は相続税のかかる財産と国税庁が挙げる。価値は査定で |
| 現金・預貯金 | 遺産分割の対象。先に渡すなら相続人全員の合意で | 国税庁は現金・預貯金を相続税のかかる財産に挙げる |
| 骨董品・美術品・高価な品 | 評価を確かめ、相続人全員の合意のうえで | 売買実例価額・精通者意見価格等で評価(通達129) |
| 仏壇・仏具・神棚 | 形見として配る対象ではない | 祭祀を主宰する人が承継(民法897条)。日常礼拝の物は相続税がかからない |
| 遺言で渡す先が決まっている品 | 遺言のとおり | 遺言執行者がいれば、相続人は妨げる行為ができない(1013条1項) |
出典は民法・国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在)・財産評価基本通達。個別の品の扱いは、家庭裁判所・弁護士・税務署・税理士に確認してください。
自分はどの場合に当てはまるか
- 四十九日が近い、いつ渡すか決めたい:節2に書きました。
- 遺産分割がまだ、きょうだいに話していない:節3に、民法の条文を書きました。
- アクセサリー・現金・高価な品を渡したい:節4に、品物ごとの扱いを書きました。
- 孫や友人に渡したい:節5に、贈与税と相続税の扱いを書きました。
- 相続放棄も考えている、借金が心配:節6に書きました。
- 形見分けは済んだ、残りを片付けたい:節7に書きました。売れそうな物があるときは遺品の買取を先に見ます。
いつ渡すか:時期は慣習で、法律の決まりはない
形見分けの時期を定めた条文は、民法・相続税法の確かめた範囲に見当たりません。一般に、仏式では四十九日の法要のあと、神式では五十日祭のあとなどといわれますが、宗教・地域・家で違い、公的な決まりではありません。この記事では、この慣習の原典は確認していません。
法律に関わる時期は、次の2つです。
- 遺産分割:共同相続人は、遺言で禁じられた場合などを除き、いつでも協議で遺産の全部または一部を分割できます(民法907条1項)。
- 相続放棄・承認:相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純承認・限定承認・放棄のどれかを決めます。期間は、利害関係人などの請求で、家庭裁判所が伸ばせます(915条1項ただし書)。
四十九日の法要は、亡くなってから約1か月半後で、この3か月の途中にあたります。放棄か承認かが決まる前に形見分けをすることになるので、先に節3と節6を読んでください。
先に遺言書を探すことも大切です。遺言で品物の行き先が決まっていれば、そのとおりになります。遺言執行者がいる場合、相続人は、相続財産の処分など遺言の執行を妨げる行為ができません(1013条1項)。
遺産分割の前に渡してよいか
- 遺産は共有:相続人が数人いるときは、相続財産は相続人の共有です(民法898条1項)。遺産分割が済むまで、家の中の品は、誰か1人のものではありません。
- 共有物の変更には同意:共有物に変更を加えるには、他の共有者の同意が必要と定められています(251条1項)。形見の品を渡すことがこの変更に当たるかどうかは、条文には書かれていません。
- 分割の基準:遺産の分割は、遺産に属する物の種類や性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態、生活の状況などの事情を考慮してします(906条)。
- 先に処分されたとき:共同相続人は、全員の同意で、処分された財産が遺産分割のときに遺産として存在するものとみなせます。処分した本人の同意は要りません(906条の2)。
揉めないためには、渡す品、渡す人、渡す時期を、相続人の全員で先に決めて、メールなどに残しておくのが確実です。話合いがつかない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を使えます。裁判所の案内では、申立ての費用は被相続人1人につき収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手です。
品物ごとの扱い:アクセサリー・現金・高価な品・仏壇
アクセサリー・現金・高価な品
国税庁は、相続税のかかる財産を、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの、としています(タックスアンサー No.4105)。アクセサリーや現金は、形見であっても相続財産で、遺産分割の対象です。誰がどれを取得するかを、相続人全員で決めてから渡します。
評価の方法は、財産評価基本通達にあります。動産の価額は、原則として売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価します(129)。家庭用動産で、1個または1組の価額が5万円以下のものは、一世帯ごとに一括して評価できます(128ただし書)。骨董品・美術品の評価は骨董品・美術品の相続税にまとめています。
仏壇・仏具・神棚
系譜、祭具、墳墓の所有権は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します。被相続人の指定があれば、その人が承継します(民法897条1項)。ほかの遺産と同じように相続人で分けるものではないので、形見として配る前に、誰が祭祀を主宰するかを決めます。
国税庁は、墓地、墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物を、相続税がかからない財産としています。ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや、商品として所有しているものは、相続税がかかります(No.4108)。
誰に渡せるか:孫・友人と、贈与税・相続税
形見分けを受けられる人を定めた条文は、確かめた範囲に見当たりません。ただし、相続人かどうかで、税の扱いが変わります。
| 場面 | かかる税 | 確かめること |
|---|---|---|
| 相続人が、遺産分割で形見の品を取得した | 相続税。取得の時の時価で、遺産の合計に入る(相続税法22条) | 申告が要るかは、遺産の合計が基礎控除を超えるかで決まる |
| 遺言で、孫や友人に品を渡す先が書かれている | 遺贈。相続税の対象(相続税法1条の3第1項1号) | 遺言書の文言と、遺言執行者の有無 |
| 相続人が、取得した品を孫や友人に渡した | 個人から個人への贈与は贈与税の対象。1年間の合計が110万円以下なら申告は不要 | 遺産分割の中で決めた場合の扱いは、税務署か税理士に確認 |
出典は相続税法、国税庁のタックスアンサー No.4402・No.4405(令和8年4月1日現在)。
孫は、親が存命なら相続人ではありません。親が相続の開始以前に亡くなっているときなどは、孫が代襲して相続人になります(民法887条2項)。代襲相続は代襲相続とはにあります。
国税庁の贈与税がかからない場合の一覧(No.4405)には、香典、年末年始の贈答、祝物、見舞いなどのための金品で社会通念上相当と認められるものが挙がっていますが、形見分けという項目はありません。相続税がかかるかどうかは、品物1点ではなく遺産全体で決まります。基礎控除以下の場合は相続税の申告が不要な場合にあります。
相続放棄を考えているとき
- 処分すると単純承認:相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされます。保存行為などは除かれます(民法921条1号)。
- 線引きは条文に無い:どの品なら、いくらまでなら処分に当たるかは、条文に書かれていません。裁判所の相続放棄の案内にも、形見分けの品ごとの扱いは載っていません。
- 放棄のあとも注意:放棄をした後でも、相続財産を隠したり、勝手に使い込んだりすると、単純承認とみなされます(921条3号)。
- 期間:放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ申述します。裁判所の案内では、費用は申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です。
放棄を考えている間は、形見分けや遺品の処分を業者に頼む前に、家庭裁判所か弁護士に確かめてください。手続は相続放棄は自分でできる?にあります。
形見分けのあと残った遺品の片付け
形見分けが済むと、残るのは「誰も取らなかった物」です。業者に処分を頼んだ物は戻せないので、相続人全員が形見を取り終え、放棄を考えていないことを確かめてから頼みます。
- 売れそうな物(掛軸・焼き物・着物・古銭など)があるときは、先に査定を受ける。遺産分割の前に売る注意は遺品の買取にあります。
- 残りの片付けの費用と頼み先は、遺品整理の費用は誰が払う?と空き家の片付けは誰に頼む?に、実家の片付け全体は実家じまいの手順と費用にあります。
- 頼む業者は、1社だけで決めず、複数社の見積もりを取って比べる。
遺品整理のコンシェルジュの公式サイト(2026年10月3日取得)は、遺品整理・空き家片付けなどの業者の中から、条件に合う3社を紹介するとしています。一括見積もりの依頼は完全に無料で、実際に作業を依頼すると各業者へのお支払いが発生します。見積もり段階であれば、いつでもキャンセルできます。サイトに形見分けの案内はありません。対応エリアは関東7都県・関西6府県・静岡県と、北海道の一部の市町村です。
よくある質問
形見分けは、いつするものですか?
法律に、形見分けの時期を定めた条文は見当たりませんでした。一般に、四十九日の法要のあとなどといわれますが、宗教や地域の慣習で、公的な決まりではありません。遺産分割は、共同相続人がいつでも協議でできるとされています(民法907条1項)。ただし、遺言書があるか、相続放棄を考えているかを先に確かめてから渡します。
遺産分割の前に、形見分けをしてもよいですか?
相続人が数人いるとき、相続財産は相続人の共有です(民法898条1項)。共有物に変更を加えるには他の共有者の同意が必要とされています(251条1項)が、形見の品を渡すことがこの変更に当たるかどうかは条文に書かれていません。分割の前に処分された財産は、共同相続人の全員の同意で、遺産分割のときに遺産として存在するものとみなせます(906条の2第1項)。争いを避けるには、渡す品と渡す人を、先に相続人全員で決めておくのが確実です。
アクセサリーや現金も、形見分けで渡せますか?
国税庁は、相続税がかかる財産に、現金、預貯金、宝石などのほか、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものを挙げています(タックスアンサー No.4105)。アクセサリーや現金も相続財産で、遺産分割の対象です。形見分けとして渡す前に、相続人全員で、誰がどれを取得するかを決めます。
孫や友人に形見を渡すと、贈与税がかかりますか?
国税庁は、贈与税を、個人から贈与により財産を取得したときにかかる税金としています。暦年課税では、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計が110万円以下なら贈与税はかからず、申告も不要です(No.4402)。贈与税がかからない場合の一覧(No.4405)に、形見分けという項目は挙がっていません。遺言で孫や友人に渡す先が書かれている場合は、贈与ではなく遺贈で、相続税の対象になります(相続税法1条の3第1項1号)。個別の判断は、税務署か税理士に確認してください。
形見分けで、相続税はかかりますか?
相続で取得した財産の価額は、取得の時における時価によります(相続税法22条)。形見の品も、相続で取得したものなら、ほかの遺産と合わせた合計で、相続税がかかるかどうかが決まります。形見分けの品だけに税がかかる、かからないという決まりは、確かめた国税庁のページにありません。家庭用動産で、1個または1組の価額が5万円以下のものは、一括して評価できます(財産評価基本通達128)。
相続放棄を考えているとき、形見分けをしてもよいですか?
相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされます。保存行為などは除かれています(民法921条1号)。どの品なら、いくらまでなら処分に当たらないかは、条文には書かれていません。放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します(915条1項、裁判所の案内)。放棄を考えている間は、形見分けの前に、家庭裁判所か弁護士に確かめてください。
形見分けのあと、残った遺品はどうすればよいですか?
買取の対象になる物がないかを見てから、残りの片付けを業者に頼むか、自分で片付けます。遺品整理のコンシェルジュの公式サイト(2026年10月3日取得)には、遺品整理や空き家片付けの業者から条件に合う3社を紹介するとあり、一括見積もりの依頼は無料、作業を頼むと各業者へ支払いが発生すると書かれています。見積もり段階ならキャンセルでき、契約後のキャンセルには手数料がかかる場合があります。サイトに形見分けの案内はありません。対応エリアは関東7都県・関西6府県・静岡県と、北海道の一部の市町村です。
参考・出典
- e-Gov法令検索 民法(第251条・第887条・第897条・第898条・第906条・第906条の2・第907条・第915条・第921条・第1013条)
- e-Gov法令検索 相続税法(第1条の3・第12条・第21条の3・第22条)
- 国税庁 タックスアンサー No.4105 相続税がかかる財産
- 国税庁 タックスアンサー No.4108 相続税がかからない財産
- 国税庁 タックスアンサー No.4402 贈与税がかかる場合
- 国税庁 タックスアンサー No.4405 贈与税がかからない場合
- 国税庁 財産評価基本通達 第6章 第1節 一般動産(128・129)
- 裁判所 相続の放棄の申述
- 裁判所 遺産分割調停
- 遺品整理のコンシェルジュ 公式サイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の形見分け・相続放棄・贈与税や相続税の判断は、家庭裁判所、弁護士、税務署または税理士にご確認ください。