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相続税の障害者控除と未成年者控除とは?|対象(等級・手帳がない場合)・控除額の計算(85歳・18歳までの年数)・控除しきれない分・2回目・相続放棄した人
障害者控除は「満85歳になるまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)」、未成年者控除は「満18歳になるまでの年数×10万円」を、相続人本人の相続税額から差し引く制度です。どちらも、相続や遺贈で財産を取得した法定相続人が対象で、本人の税額から引き切れない分は扶養義務者の相続税額から引けます。
| 控除 | 対象 | 控除額 |
|---|---|---|
| 未成年者控除 | 財産を取得したとき18歳未満の法定相続人 | 18歳までの年数×10万円 |
| 障害者控除(一般障害者) | 財産を取得したとき85歳未満で障害者の法定相続人 | 85歳までの年数×10万円 |
| 障害者控除(特別障害者) | 障害者のうち重度の障害がある人 | 85歳までの年数×20万円 |
出典は国税庁のタックスアンサー No.4164・No.4167(令和8年4月1日現在法令等)、e-Gov法令検索の相続税法19条の3・19条の4。年数は1年未満を切り上げます。2026年10月3日取得。
障害者控除の対象と控除額
受けられる人の要件
国税庁 No.4167は、障害者控除を受けられる人を、次のすべてに当てはまる人としています。
- 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除く)
- 財産を取得したときに障害者である人
- 法定相続人(相続の放棄があった場合は、放棄がなかったものとした場合における相続人)であること
海外に住んでいる場合の細かい条件は、国税庁 No.4138(相続人が外国に居住しているとき)に載っています。
等級による区分
国税庁 No.4167のQAは、手帳などによる一般障害者と特別障害者の区分を、次のように示しています。
| 手帳・判定 | 一般障害者 | 特別障害者 |
|---|---|---|
| 精神障害者保健福祉手帳 | 2級・3級 | 1級 |
| 身体障害者手帳 | 3級〜6級 | 1級・2級 |
| 知的障害者の判定(児童相談所など) | 知的障害者 | 重度の知的障害者 |
戦傷病者手帳、原子爆弾被爆者の認定を受けている人などもQAに載っています。最終的な区分は、税務署または税理士にご確認ください。
控除額
相続税法19条の4第1項は、障害者控除の額を、10万円(特別障害者は20万円)に、その人が85歳に達するまでの年数(1年未満のとき、または1年未満の端数があるときは1年とする)を掛けた金額と定めています。
手帳がない場合
手帳を持っていなくても、障害者に当たる場合があります。国税庁 No.4167のQAは、手帳以外に次の人を挙げています。
- 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人:特別障害者になります
- 児童相談所・知的障害者更生相談所・精神保健福祉センター・精神保健指定医の判定で知的障害者とされた人:重度と判定された人は特別障害者になります
- 常に就床を要し、複雑な介護を要する人:精神または身体の障害の程度が、上の手帳などに準ずるものとして市町村長等の認定を受けている人
- 精神または身体に障害のある65歳以上の人:障害の程度が、上の手帳などに準ずるものとして市町村長等の認定を受けている人。特別障害者に準ずるものとして認定を受けている人は特別障害者になります
認定の申請先や手続きは、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
未成年者控除の対象と控除額
受けられる人の要件
国税庁 No.4164は、未成年者控除を受けられる人を、次のすべてに当てはまる人としています。
- 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(日本国内に住所がない場合も、国籍などによって対象になる場合があります。詳しくは国税庁 No.4164・No.4138)
- 財産を取得したときに18歳未満である人
- 法定相続人(相続の放棄があった場合は、放棄がなかったものとした場合における相続人)であること
控除額
控除額は、その未成年者が満18歳になるまでの年数1年につき10万円です。年数の計算で1年未満の期間があるときは、切り上げて1年とします。
国税庁の例では、15歳9か月の未成年者は、9か月を切り捨てて15歳で計算し、18歳までの年数は3年、控除額は10万円×3年で30万円です。
引き切れない分は扶養義務者から引ける
控除額が、その未成年者や障害者本人の相続税額より大きく、全額を引き切れないことがあります。国税庁 No.4164・No.4167は、この場合、引き切れない部分の金額を、その人の扶養義務者の相続税額から差し引くとしています。
扶養義務者は、配偶者、直系血族、兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者です。
相続税法施行令4条の3は、控除を受けられる扶養義務者が2人以上いる場合について、次のように定めています。
- 扶養義務者の全員が協議して、控除を受ける金額の総額を各人に配分し、その金額を記載した申告書を提出したときは、その金額
- それ以外のときは、控除を受けられる総額を、各人が取得した財産について算出した金額であん分した金額
2回目の相続での適用
その人が、今回の相続より前の相続でも未成年者控除や障害者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあると、国税庁 No.4164・No.4167に記載されています。
相続税法19条の3第3項は、すでに控除を受けたことがある場合、その人または扶養義務者が受けられる金額は、すでに控除を受けた金額の合計が、本来受けられる金額(2回以上受けた場合は最初の相続での金額)に満たなかった場合の、その満たなかった部分の範囲内に限ると定めています。
具体的な金額の出し方は人によって異なるため、2回目の相続で控除を使う場合は、税務署または税理士にご確認ください。
相続放棄した人・相続人でない人
どちらの控除も、国税庁の要件に「法定相続人であること」があります。
| 立場 | 控除の要件 | 出典 |
|---|---|---|
| 相続放棄をした相続人 | 放棄がなかったものとした場合の相続人かで判断 | No.4164・No.4167 |
| 遺贈を受ける相続人でない人 | 法定相続人でないため当てはまらない | No.4164・No.4167 |
放棄した人が財産を取得せず本人の税額がない場合の扱いは、税務署または税理士にご確認ください。
相続放棄そのものの手続きは、相続放棄は自分でできる?にまとめています。
計算例
次の前提で、国税庁の算式を当てはめた当サイトの試算です。実際の税額は、事情に応じて税務署または税理士にご確認ください。
未成年の子がいる場合(引き切れない分が出る例)
- 相続人は配偶者と、財産を取得したときに13歳7か月の子
- 子の相続税額(税額控除を引く前)は20万円
- 前の相続での控除はない
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 18歳までの年数 | 4年5か月を切り上げ | 5年 |
| 未成年者控除額 | 10万円×5年 | 50万円 |
| 子の納付税額 | 20万円-20万円 | 0円 |
| 引き切れない分 | 50万円-20万円 | 30万円 |
引き切れない30万円は、子の扶養義務者(配偶者など)の相続税額から差し引きます。
障害のある相続人がいる場合
- 相続人のひとりは、財産を取得したときに62歳6か月で、身体障害者手帳に1級と記載されている人(特別障害者)
- この人の相続税額は、控除額より大きいものとする
- 前の相続での控除はない
| 区分 | 計算 | 控除額 |
|---|---|---|
| 特別障害者 | 85歳まで22年6か月を切り上げて23年。20万円×23年 | 460万円 |
| 一般障害者だった場合 | 10万円×23年 | 230万円 |
控除額が本人の相続税額より大きいときは、引き切れない分を扶養義務者から引きます。
申告は要るか・ほかの手続き
国税庁 No.4205は、申告と納税が必要なのは、取得した財産の価額の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合で、基礎控除額の範囲内なら申告も納税も必要ないとしています。この2つの控除は、税額を求めたあとに引く税額控除です。
- 申告が要るかどうかの見方は、相続税の申告が不要な場合にあります。
- 2割加算の対象になる人は、相続税の2割加算とは?にあります。
- 税額全体の試算は、相続税の計算機にあります(この2つの控除は反映していません)。
よくある質問
相続税の障害者控除はいくら引けますか?
満85歳になるまでの年数(1年未満は切り上げて1年)1年につき10万円です。特別障害者の場合は1年につき20万円です(国税庁 No.4167、相続税法19条の4)。
相続税の未成年者控除はいくら引けますか?
満18歳になるまでの年数(1年未満は切り上げて1年)1年につき10万円です(国税庁 No.4164、相続税法19条の3)。国税庁の例では、15歳9か月の人は18歳までの年数が3年なので、控除額は10万円×3年で30万円です。
障害者手帳を持っていない場合は障害者控除を受けられませんか?
手帳がなくても対象になる場合があります。国税庁 No.4167のQAは、児童相談所・知的障害者更生相談所・精神保健福祉センター・精神保健指定医の判定で知的障害者とされた人、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人、常に就床を要し複雑な介護を要する人のうち市町村長等の認定を受けている人、精神または身体に障害のある65歳以上で、市町村長等の認定を受けている人を挙げています。
控除額が本人の相続税額より大きいときはどうなりますか?
本人の相続税額から引き切れない部分は、その人の扶養義務者の相続税額から差し引きます(国税庁 No.4164・No.4167、相続税法19条の3第2項)。扶養義務者は、配偶者、直系血族、兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者です。
相続放棄をした人は未成年者控除・障害者控除を受けられますか?
国税庁は、控除を受けられる人の要件のひとつを「法定相続人であること」とし、相続の放棄があった場合は、放棄がなかったものとした場合における相続人かどうかで判断するとしています(No.4164・No.4167)。
孫や相続人でない人に遺贈した場合、未成年者控除は使えますか?
国税庁の要件には「法定相続人であること」があります(No.4164)。代襲して相続人になっていない孫や、相続人でない人が遺贈を受ける場合は、この要件に当てはまりません。
前の相続で未成年者控除や障害者控除を受けたことがある場合はどうなりますか?
国税庁は、その人が今回の相続以前の相続でも控除を受けているときは、控除額が制限されることがあるとしています。相続税法19条の3第3項は、すでに控除を受けた金額の合計が、本来の控除額に満たなかった場合の、その満たなかった部分の範囲内に限ると定めています。
控除を使えば相続税の申告は不要になりますか?
国税庁 No.4205は、申告が必要なのは、取得した財産の価額の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合で、基礎控除額の範囲内なら申告も納税も必要ないとしています。未成年者控除と障害者控除は、相続税額を求めたあとに税額から差し引く税額控除です(相続税法19条の3・19条の4)。申告が要るかどうかの見方は、別のコラム(相続税の申告が不要な場合)にまとめています。
参考・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.4164 未成年者の税額控除
- 国税庁 タックスアンサー No.4167 障害者の税額控除
- 国税庁 タックスアンサー No.4167 障害者の税額控除の対象となる人の範囲
- 国税庁 タックスアンサー No.4205 相続税の申告と納税
- e-Gov法令検索 相続税法(第19条の3・第19条の4)
- e-Gov法令検索 相続税法施行令(第4条の3・第4条の4)
- 相続アシスト(税理士法人SWATS) 公式サイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の控除の可否や金額は、税務署または税理士にご相談ください。