相続登記・手続 読了時間:約9分

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所有不動産記録証明制度とは|亡くなった親の不動産を一覧で調べる・請求できる人・手数料・いつから

亡くなった親がどこに不動産を持っていたか分からないとき、法務局に「所有不動産記録証明書」を請求すると、親が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧にしてもらえます。令和8年2月2日に始まった制度で、相続人が請求できます。手数料は検索条件1件につき1通当たり、書面請求で1,600円、オンライン請求で1,470〜1,500円です。この記事は、親の不動産を調べて、整理・売却を考えている方に向けて、法務省の案内に書かれている範囲を整理します。

所有不動産記録証明制度とは・いつから

法務省は、この制度を次のように説明しています。登記記録は土地や建物ごとに作られており、全国の不動産から「特定の人が所有権の登記名義人になっているもの」を取り出す仕組みがありませんでした。そのため、所有者が亡くなったときに、どんな不動産があるかを相続人が把握しきれず、見逃された土地の相続登記がされないまま放置される事態が指摘されていました。

項目内容出典
制度の中身特定の人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を、登記官がシステムで検索し、一覧にして証明書として交付する法務省
条文不動産登記法119条の2(所有不動産記録証明書の交付等)e-Gov法令検索
施行日令和8年2月2日法務省通達 民二第81号

出典:法務省「所有不動産記録証明制度について」、不動産登記法、法務省民二第81号通達(2026年10月2日取得)。

法務省は、令和6年4月1日からの相続登記の義務化に伴い、被相続人名義の不動産を相続人が把握しやすくすることで、相続登記の手続の負担を軽くし、登記漏れを防ぐ制度だとしています。

何が分かるか・名寄帳との違い

法務省通達は、証明書で証明する事項を、登記記録に記録されている事項のうち不動産所在事項と不動産番号(記録がないときは、その旨)としています。パンフレットでは、証明書には管轄登記所、種別、不動産の所在などが載ると説明されています。

不動産の一覧という点では、固定資産税の名寄帳と似ています。比べると次のとおりです。

比べる点所有不動産記録証明書名寄帳(固定資産税)
作る・出す所法務局(全ての法務局・地方法務局・支局・出張所で請求できる)市町村(地方税法387条)
範囲登記官が氏名・住所の検索条件で検索した、所有権の登記名義人の不動産その市町村内の土地と家屋
基になる帳簿登記記録固定資産課税台帳

出典:法務省通達 民二第81号、法務省「所有不動産記録証明制度について」、地方税法387条(2026年10月2日取得)。

地方税法387条は、市町村が「その市町村内の土地及び家屋」について、固定資産課税台帳に基づいて土地名寄帳と家屋名寄帳を備えると定めています。名寄帳は市町村ごとの帳簿なので、親の不動産が複数の市町村にあるときは、市町村ごとに取ることになります。一方、所有不動産記録証明書は、請求先の登記所の所在地にかかわらず、検索条件に合う不動産を一度に調べるものです。

評価額が必要なときは、固定資産税評価額の調べ方にある課税明細書・評価証明書・名寄帳の使い分けを見てください。

請求できる人

請求できる人は、条文と法務省の案内で次のとおりです。

請求する人根拠追加で要るもの
所有権の登記名義人(本人)不動産登記法119条の2第1項印鑑証明書または本人確認書類の写し
相続人その他の一般承継人同条第2項所有権の登記名義人との相続関係・承継関係を証する情報(戸籍謄本など)
代理人法務省の案内(代理人による請求もできる)委任状(請求人の実印と印鑑証明書)

出典:不動産登記法119条の2、法務省「所有不動産記録証明制度について」(2026年10月2日取得)。

亡くなった親の不動産を調べる場合は、2行目の相続人としての請求です。請求書の様式には、証明書の交付を受けることができる資格として「本人」「相続人」「承継会社」の欄があります。法務省は、相続人が請求する場合の請求書の記載例も公開しています。

請求先と方法

請求先は、全ての法務局・地方法務局(支局・出張所を含む)です(法務省告示第11号、法務省民二第81号通達)。不動産の所在地を管轄する登記所でなくても請求できます。

方法やり方受け取り
書面(窓口)請求書と添付書類を登記所に提出。収入印紙で手数料を納付窓口で受け取り、または郵送
書面(郵送)請求書と添付書類を郵送で請求できる返送用封筒と切手を同封して郵送で受け取り
オンライン申請用総合ソフトで「所有不動産記録証明書交付請求書」を選び、電子署名をして請求郵送または窓口(返送用封筒と切手は不要)

出典:法務省「所有不動産記録証明制度について」(2026年10月2日取得)。

オンライン請求では、必要書類もすべてオンラインで提供する必要があり、添付書類の補完はできません。請求書の様式(Excel・PDF)は法務省のページにあります。

請求から交付までの日数は登記所ごとに異なるため、請求先の登記所に問い合わせるよう法務省は案内しています。制度開始当初は込み合うことも予想されるため、交付まで2週間程度かかる場合があるとされています。

手数料

手数料は、検索条件1件につき、1通当たりの金額です。

請求方法交付方法手数料(1件・1通)
書面請求(収入印紙)窓口・郵送1,600円
オンライン請求郵送交付1,500円
オンライン請求窓口交付1,470円

出典:法務省「所有不動産記録証明制度について」、パンフレット【R8.5版】(2026年10月2日取得)。

法務省の例では、検索条件を4件指定し、書面で1通を請求すると、4件×1通×1,600円=6,400円です。現在の住所と過去の住所の両方で調べたいときは、検索条件が2件になるため、手数料も2件分になります。

該当する不動産がない場合は、その旨の証明がされます。この場合も手数料はかかり、返還されません。

相続人が請求するときの必要書類

法務省の案内にある書類を、相続人が請求する場合に絞って並べます。原則として原本の提出が必要です。

書類例補足
請求人の印鑑証明書、または本人確認書類の写し(どちらか一方)マイナンバーカード、運転免許証など印鑑証明書に発行期限はない。請求書には実印を押す。本人確認書類は窓口で請求する書面請求のみで、原本の提示も必要
被相続人との相続関係を証する情報戸籍謄本、法定相続情報一覧図の写し法定相続情報番号や戸籍電子証明書提供用識別符号を取得している場合は、その提供で代えられる
被相続人の過去の氏名や住所を検索条件にする場合に、それを証する情報除籍謄本、除かれた戸籍の附票の写し必要となる場合がある書類
代理人に頼む場合の委任状請求人の実印を押したもの請求人の印鑑証明書を添付

出典:法務省「所有不動産記録証明制度について」、パンフレット【R8.5版】(2026年10月2日取得)。

添付書類に不足があると補完が必要になり、一定の期間内に補完されないと、証明書が交付されないことがあります。法定相続情報一覧図の取り方は法定相続情報一覧図の取り方にまとめています。

検索の仕組みと注意点

登記官は、請求書に書かれた検索条件をシステムに入力して検索します。法務省が示す抽出のルールは次の2つです。

この検索で抽出された不動産から、検索条件に合うものを選んで証明書に載せます。法務省が挙げている注意点は次のとおりです。

場面法務省の記載読み方
登記記録と検索条件の氏名・住所が違う所有不動産があっても抽出されないことがある昔の住所のままの登記があり得るので、過去の氏名・住所も検索条件にできる
同じ名前の別人検索条件が一致する同名異人の不動産も抽出される場合がある。網羅性には限界がある載った不動産が親のものかは、別に確かめる
表示に関する登記だけの不動産検索対象にならない(所有権の登記がされた不動産に限る)所有権の登記がない不動産は出ない
コンピュータ化されていない登記簿検索結果として抽出されないこの制度では調べられない
審査中の登記申請検索時点で登記に反映されていない不動産の情報は含まれない直近に名義が動いた不動産は載らないことがある

出典:法務省「所有不動産記録証明制度について」(2026年10月2日取得)。

1つの検索条件欄に、複数の氏名・住所をまとめて書くことはできません。それぞれの検索条件欄に1件ずつ書きます。

証明書に載るのは不動産所在事項と不動産番号です。登記簿に誰がどんな持分で載っているかなど、登記記録の中身を確かめるには、別に登記事項証明書の交付を請求することになります(不動産登記法119条1項)。

不動産が見つかったら

証明書に載った不動産の名義が亡くなった親のままなら、相続登記が必要です。不動産登記法76条の2第1項は、相続により所有権を取得した者に、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内の申請を義務づけています。令和6年4月1日より前に相続したことを知った不動産で、登記がされていないものは、令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります(法務省Q&A)。手続の全体は相続登記の義務化の解説にあります。

法務省Q&Aは、相続した不動産を売却したり抵当権を設定したりするときにも、相続登記が必要だと説明しています。売るつもりの不動産でも、先に名義を整える流れになります。

買取業者の一つ、ラクウルが公式サイトに書いている内容は次のとおりです(2026年10月2日に確認)。

公式サイトには、相続登記が済んでいない物件や、名義が亡くなった方のままの物件の買取条件についての記載はありません。証明書で見つけた不動産の所在と、登記上の名義人を手元にそろえて、問い合わせ時に伝えるのが確実です。

よくある質問

所有不動産記録証明制度はいつから使えますか?

令和8年2月2日に施行されています。法務省の通達(法務省民二第81号)は、所有不動産記録証明書の交付等を令和8年2月2日施行としています。e-Gov法令検索でも、不動産登記法119条の2は令和8年2月2日施行の版から載っており、同年1月以前の版にはありません。

亡くなった親名義の不動産は、誰が請求できますか?

不動産登記法119条の2第2項は、相続人その他の一般承継人が、被承継人に係る所有不動産記録証明書の交付を請求できると定めています。代理人による請求もでき、その場合は委任状(請求人の実印と印鑑証明書つき)が必要です(法務省)。共同相続人の一部だけで請求できるかを明記した記載は、取得した原文にはありませんでした。

手数料はいくらですか?

検索条件1件につき、1通当たり、書面請求は1,600円(収入印紙)、オンライン請求は郵送交付で1,500円、窓口交付で1,470円です(法務省)。検索条件を4件指定して1通を書面請求すると、4件×1通×1,600円で6,400円です。該当する不動産がなかった場合も、手数料は返還されません。

固定資産税の名寄帳とは何が違いますか?

名寄帳は、市町村が、その市町村内の土地と家屋について固定資産課税台帳に基づいて備えるものです(地方税法387条)。所有不動産記録証明書は、登記官が、氏名・住所などの検索条件で登記記録を検索し、所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧にするものです。証明書に載るのは、不動産所在事項と不動産番号です(法務省通達)。

亡くなった親が昔の住所で登記していたら、その不動産も出ますか?

検索条件と登記記録上の氏名・住所が異なると、所有する不動産があっても抽出されないことがあります(法務省)。過去の氏名や住所も検索条件にでき、その場合は、それを証する書類(相続人の請求では、除籍謄本や除かれた戸籍の附票の写しなど)が必要になる場合があります。検索条件は1件ずつ別の欄に書きます。

請求してから届くまで、どのくらいかかりますか?

法務省は、請求から交付までにかかる日数は登記所ごとに異なるため、請求先の登記所に問い合わせるよう案内しています。制度開始当初は込み合うことが予想されるため、交付まで2週間程度かかる場合があるとも書かれています。

証明書で不動産が見つかったら、何をすればよいですか?

不動産登記法76条の2第1項は、相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならないと定めています。令和6年4月1日より前に相続したことを知った不動産で未登記のものは、令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります(法務省Q&A)。売却するときも相続登記が必要です。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案での検索条件の選び方・必要書類・手数料・相続登記の期限は、司法書士・法務局にご確認ください。

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