相続登記・手続 読了時間:約9分

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住所変更登記の義務化|いつから・2年以内・過料5万円・スマート変更登記と相続した家の場合

不動産の所有者が住所や氏名を変えたときの変更登記は、令和8年4月1日から義務になりました。変更から2年以内に申請しないと、正当な理由がない場合は5万円以下の過料の対象です。令和8年4月1日より前に変わっていて登記していない場合も対象で、期限は令和10年3月31日です。「検索用情報の申出」をしておけば、法務局が職権で変更登記をする「スマート変更登記」が使えます。この記事は、名義や住所を整えて相続した家を売りたい方に向けて、法務省・法務局の案内に書かれている範囲を整理します。

何が義務になったか・いつから

不動産登記法76条の5は、所有権の登記名義人の氏名・名称または住所に変更があったときは、変更があった日から2年以内に変更の登記を申請しなければならないと定めています。法務省は、この義務化の理由を、登記簿を見ても所有者や連絡先が分からない所有者不明土地が全国で増え、環境の悪化や取引・公共事業の妨げになっているためと説明しています。

項目内容出典
義務の中身所有権の登記名義人の氏名・名称または住所が変わったら、変更日から2年以内に変更登記を申請する不動産登記法76条の5
いつから令和8年4月1日法務省Q&A、e-Gov(令和8年4月1日施行の版から掲載)
違反したとき正当な理由がなければ5万円以下の過料不動産登記法164条2項

出典:不動産登記法、法務省「住所等変更登記の義務化特設ページ」「Q&A」(2026年10月2日取得)。

変更登記の対象は、個人なら引っ越しによる住所の変更や結婚などによる氏名の変更、法人なら本店の移転や社名の変更です(法務省Q&A)。

期限は2年以内・令和10年3月31日

住所や氏名が変わった時期で、期限が変わります。

変わった時期期限出典
令和8年4月1日以降変更があった日から2年以内不動産登記法76条の5
令和8年4月1日より前(まだ変更登記をしていない)令和10年3月31日まで法務省Q&A

出典:不動産登記法、法務省「住所等変更登記の義務化に関するQ&A」(2026年10月2日取得)。

法務省は、令和8年4月1日より前に住所等を変更していて変更登記がされていないものも、義務化の対象になると案内しています。以前に引っ越したまま登記を直していない不動産も含まれます。一般的には、後の章で説明する「かんたんな申出等」をするだけで足りるとされています(法務省Q&A)。

相続した家を売るとき、住所が登記と違う場合

相続した家を売るときに、住所に関わる手続が出てくる場面を、法務省・法務局の案内から整理します。

場面案内されていること出典
親名義のまま、相続登記をする申請人になる相続人は、氏名のふりがな・生年月日・メールアドレスも申請書に書く。これが検索用情報の申出になる法務局ハンドブック(令和8年4月)
親の登記上の住所が、戸籍に載っている本籍と違う同一人であることを示すため、本籍と登記上の住所が載った住民票の写し・除票・戸籍の附票のいずれかを添付する法務局ハンドブック
相続登記のあとに、自分が引っ越した自分が登記名義人なので、変更日から2年以内の変更登記の義務がある不動産登記法76条の5
売るときに、登記の住所が今の住所と違う本来は、所有権の移転の登記の前に住所変更の登記が必要。急ぐなら自分で申請する法務省Q&A

出典:法務局「登記手続ハンドブック(相続登記/法定相続編)」、法務省「住所等変更登記の義務化に関するQ&A」(2026年10月2日取得)。

法務省のQ&Aは、検索用情報の申出をしている人が不動産を売ることになっても、スマート変更登記を個別のタイミングで前倒しにしてもらうことはできないと説明しています。売却を急ぐときは、自分で住所変更の登記を申請します。住所の変更登記が済んでいない状態で売買の登記を進めるとどうなるかは、司法書士か法務局の手続案内に確かめてください。

名義が亡くなった親のままの家なら、先にそちらの相続登記が必要です。相続登記の義務は相続登記の義務化の解説に、自分で申請する場合の書類は相続登記を自分でやる方法にまとめています。

過料5万円以下になる場合・ならない場合

過料の条文は、不動産登記法164条2項です。変更登記の申請をすべき義務がある者が、正当な理由がないのに申請を怠ったときは、5万円以下の過料に処するとされています。

法務省のQ&Aは、過料が科される流れを次のとおり予定しているとしています。

登記官が義務違反を把握する場面として、法務省は、所有権の登記名義人が表示に関する登記を申請した際に、申請の住所が登記記録と合っていなかったときなどを挙げています。

「正当な理由」があると一般に認める予定とされている例は、次のとおりです。

これらに当たらない場合でも、個別の事情で理由に正当性が認められれば「正当な理由」があるとされます。個別の事案での判断は、法務局や司法書士に確認してください。

義務を果たす2つの方法

変更登記をする方法は、自分で申請するか、スマート変更登記を使うかの2つです。

方法やること費用
自分で申請する登記申請書を作成し、住所の移転が分かる住民票の写し(複数回の移転なら戸籍の附票の写しなど)を添えて法務局へ。オンライン申請もできる不動産1物件につき1,000円(登録免許税)
スマート変更登記検索用情報の申出をする。その後、住所・氏名の変更が確認されると、法務局から意思確認の通知が届き、希望を回答する申出に登録免許税などの費用はかからない

出典:法務局「住所変更の登記の申請手続のご案内」、法務省「スマート変更登記について」「検索用情報の申出について」(2026年10月2日取得)。

法務省は、「速やかに住所等変更登記をするためには、従来どおり、登記申請をしていただく必要があります」と案内しています。スマート変更登記は、法務局が2年に1回程度、住基ネットに照会して変更を確認する仕組みなので、すぐに登記したいときには向きません。

法務局では登記申請書の作成を代行できません。住所変更の登記のような権利に関する登記の申請手続の代理や、申請書の作成の相談を業として行えるのは、司法書士と弁護士に限られています(法務省)。

スマート変更登記(個人)の流れと注意

不動産登記法76条の6は、登記官が職権で氏名・住所の変更の登記をすることができると定め、所有権の登記名義人が自然人のときは、その申出があるときに限るとしています。この申出が「検索用情報の申出」です。法務省が案内している個人の流れは次のとおりです。

注意点は次のとおりです。

場面法務省の記載読み方
令和8年度の対象令和8年3月31日までに検索用情報の登録が完了した人。通知は令和8年12月中旬以降に順次令和8年4月1日以降に登録が完了した人は、令和9年度以降の対象
海外に住んでいる住基ネットで確認できないため、対象にならない自分で申請する
登記の途中回答後、変更登記が完了するまで、対象の不動産の登記事項証明書は取れない。途中で中止はできない売却の予定があるときは、時期に注意する
住所が複数回変わった登記される住所は、住基ネットに照会した時点の住所になる最新の住所でないことがあり、次回の照会で直る

出典:法務省「スマート変更登記について」「住所等変更登記の義務化に関するQ&A」「検索用情報の申出について」(2026年10月2日取得)。

令和8年10月5日以降に検索用情報を申し出るときは、国籍等の情報も申し出る必要があるとされています(法務省)。登記簿に載っている住所から複数回引っ越している場合の追加書類や、申出の手続の詳細は、法務省の「検索用情報の申出について」のページで確認できます。

法人が所有している場合

法人も、本店の移転や社名の変更があれば、変更から2年以内の変更登記が必要です。所有権の登記に会社法人等番号が登記されている法人は、商業・法人登記の内容と不動産登記の住所・名称が異なるときに、法務局が職権で変更登記をします(法人のスマート変更登記。令和8年5月15日から。登録免許税などの費用はかからず、意思確認や完了連絡もありません)。会社法人等番号の登記がない法人は、法務局で変更を確認できないため対象外で、自分で変更登記を申請します。会社法人等番号の登記は、「会社法人等番号の申出」をすることでできます(法務省)。

費用:登録免許税1,000円と、かからない場合

場合登録免許税出典
自分で住所・氏名の変更登記を申請する不動産(土地または建物)1個につき1,000円。土地1・建物1なら2,000円登録免許税法 別表第一 一(十四)、法務局の案内
住居表示の実施に伴う住所の変更課されない(住居表示実施証明書などを添付して申請)登録免許税法5条4号、法務局の申請書様式
行政区画・町字の名称変更に伴う変更課されない(証明書を添付して申請)登録免許税法5条5号
検索用情報の申出・スマート変更登記費用はかからない法務省

出典:登録免許税法、法務局「住所変更の登記の申請手続のご案内」、法務省「検索用情報の申出について」「スマート変更登記について」(2026年10月2日取得)。

マンションは、建物のほかに敷地権の土地が複数ある場合、その個数ぶん1,000円ずつ加わります(法務局の案内。例として、建物1物件と土地3物件なら4,000円)。登録免許税のほか、住民票の写しなどの取得費用がかかります。司法書士に依頼すると報酬が別にかかりますが、その金額は取得した原文に記載がありません。

よくある質問

住所変更登記の義務化は、いつからですか?

令和8年4月1日からです。法務省は「住所等変更登記の義務化は、令和8年4月1日から始まります」と案内しています。e-Gov法令検索でも、不動産登記法76条の5(氏名等の変更の登記の申請)と164条2項(過料)は、令和8年4月1日施行の版から載っており、同年2月2日施行の版にはありません。

いつまでに変更登記をすればよいですか?

令和8年4月1日以降に住所や氏名が変わった場合は、変更日から2年以内です(不動産登記法76条の5)。令和8年4月1日より前に変わっていて、まだ変更登記をしていない場合は、令和10年3月31日までに登記する必要があります(法務省)。

変更登記をしないと、いくらの過料になりますか?

正当な理由がないのに申請を怠ったときは、5万円以下の過料です(不動産登記法164条2項)。法務省のQ&Aでは、登記官の催告、期限内に登記や申出がされないときの裁判所への通知、裁判所の裁判という流れを予定しているとしています。重い病気やDV被害での避難、経済的に困窮して費用を負担できない場合などは、一般に正当な理由があると認める予定とされています。

自分で申請すると、費用はいくらですか?

登録免許税が不動産(土地または建物)1物件につき1,000円です。土地1筆と建物1棟なら2,000円になります(法務局の案内)。住居表示の実施や行政区画・町字の名称変更に伴う変更登記は、証明書を添付して申請すると登録免許税が課されません(登録免許税法5条4号・5号)。

スマート変更登記とは何ですか?

検索用情報の申出をしておくと、法務局が住基ネットで住所・氏名の変更を確認し、本人の了解を得たうえで職権で変更登記をする仕組みです。申出は「かんたん登記・供託申請」から無料でできます。法務省は、申出をしておけば、住所等の変更があるたびに自分で申請しなくても義務違反に問われなくなると案内しています。海外に住んでいる個人は対象になりません。

相続した家を売るとき、登記の住所が今の住所と違っていたらどうなりますか?

法務省のQ&Aは、売却で所有権の移転の登記を申請するときに、登記簿上の住所から引っ越していれば、本来は所有権の移転の登記の前に住所変更の登記が必要だとしています。スマート変更登記は法務省が決めたスケジュールで行うため、売却の都合で個別に実施することはできず、お急ぎの場合は自分で住所等の変更登記を申請する必要がある、とも書かれています。

会社が所有している不動産の場合は、どうなりますか?

本店の移転や社名の変更も、変更から2年以内の変更登記の対象です。所有権の登記に会社法人等番号が登記されている法人は、法人のスマート変更登記の対象で、令和8年5月15日から行われています。法人のスマート変更登記には登録免許税などの費用がかからず、意思確認や完了連絡もありません(法務省)。会社法人等番号がない法人は対象外で、自分で申請します。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案での期限・過料の判断・必要書類・費用は、司法書士・法務局にご確認ください。

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