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相続した不動産の価値の調べ方|評価額と売れる値段の違い・固定資産税評価額・路線価・相続税評価額・公示価格・取引価格の使い分け
固定資産税評価額・路線価・相続税評価額は、税金を計算するための「評価額」で、売れる値段ではありません。売れる値段に近づくには、近くで実際に取引された価格と、不動産会社の査定を見ます。調べたい中身で見る値が変わるので、6つの値の使い道と調べ方を、法令と国税庁・国土交通省の原文で並べます。
| 調べる値 | 使い道 | 調べ方 |
|---|---|---|
| 固定資産税評価額 | 固定資産税の課税標準の基になる。家屋の相続税評価の元 | 課税明細書、市区町村の評価証明書 |
| 路線価 | 路線価地域の土地の相続税評価の元 | 国税庁のサイトの路線価図 |
| 相続税評価額 | 相続税・贈与税の財産の価額 | 路線価方式か倍率方式で計算 |
| 公示価格 | 土地取引の目安。相続税評価や固定資産税評価の目安 | 国土交通省の地価公示の検索 |
| 取引価格 | 近くで実際にいくらで取引されたかを見る | 不動産情報ライブラリ |
| 査定額 | その不動産をいくらで売れそうかの見込み | 不動産会社への査定の依頼 |
地方税法・国税庁・国土交通省の原文から作成(2026年10月3日取得)。上3つが評価額、下3つが売れる値段に近い値です。
自分はどの値を見ればよいか
「相続した不動産の価値」は、何のために知りたいかで、見る値が違います。
- 相続税の申告が要るかを知りたい:相続税評価額です(節3)。土地は路線価、家屋は固定資産税評価額から出します。
- 毎年の固定資産税や、相続登記の費用の見当をつけたい:固定資産税評価額です(節2)。
- 売ればいくらになるかを知りたい:取引価格と査定額です(節4・節5)。評価額を見ても、売れる値段は分かりません。
- きょうだいで分けるために金額をそろえたい:決まった一つの価額はなく、相続人どうしの合意が要ります。評価額と査定額の両方を並べて話すのが現実的です。
不動産がどこにあるか分からないときは、先に所有不動産記録証明制度や名寄帳で一覧にします。
固定資産税評価額:課税明細書と評価証明書
固定資産税評価額は、市町村が固定資産税を課すために付ける価格です。地方税法341条5号は、価格を「適正な時価」と定めています。「時価」とは書かれていますが、売れる値段そのものではなく、評価の基準に沿って市町村が決めた税のための値です。
| 見る点 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 価格の意味 | 適正な時価 | 地方税法341条5号 |
| 見直し | 基準年度の価格を翌年度・翌々年度も原則使う。次の基準年度は令和9年度 | 同法349条、341条6号 |
| 例外 | 地目の変換・家屋の改築や損壊など特別の事情があるときは、類似の土地・家屋の価格に比準できる | 同法349条2項ただし書 |
| どこに載るか | 市町村が備える土地課税台帳・家屋課税台帳 | 同法381条 |
地方税法(2026年10月3日、e-Gov法令検索で取得)。次の基準年度は、341条6号の「昭和33年度から3の倍数年度ごと」を数えると令和9年度です。
手元の確かめ方は、毎年届く固定資産税の課税明細書です。なければ市区町村(東京23区は都税事務所)で評価証明書を取ります。誰が取れるか、手数料はいくらかは、固定資産税評価額の調べ方にまとめています。
路線価と相続税評価額:土地と家屋の計算
相続税評価額は、相続税や贈与税を計算するときの財産の価額です。相続税法22条は、相続で取得した財産の価額を、取得の時における時価と定めています。国税庁の財産評価基本通達が、土地と家屋の時価の出し方を決めています。
| 対象 | 評価の方法 | 根拠 |
|---|---|---|
| 土地(路線価地域) | 路線価を、形状などに応じた補正率で補正して、面積を乗じる | 通達13・14、国税庁No.4602 |
| 土地(倍率地域) | 固定資産税評価額に、国税局長が定める倍率を乗じる | 通達21、国税庁No.4602 |
| 家屋 | 固定資産税評価額に別表1の倍率を乗じる(国税庁は1.0と説明) | 通達89、国税庁No.4602 |
国税庁 財産評価基本通達・タックスアンサーNo.4602(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月3日取得)。
路線価は、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額で、路線価図には千円単位で出ています。国税局長が、売買実例価額・公示価格・鑑定評価額・精通者意見価格等を基に評定したものです(通達14)。路線価図の数字の読み方と、どの年分を見るかは、路線価の調べ方にあります。
計算のしくみを、補正を省いた単純な例で見ます。路線価が300(千円)の道路に面した100平方メートルの土地なら、300,000円×100平方メートルで3,000万円が土台です。実際は、奥行きや形に応じた補正率を掛けるので、この額から上下します。家屋は、課税明細書の評価額が800万円なら、800万円×1.0で800万円です。
自分の土地の額は、土地の相続税評価額の計算機で、路線価と面積から試せます。マンションはマンションの相続税評価額の計算機があります。
この額は、税金のために国税局長が定めた路線価から出した値です。同じ土地でも、売れる値段と一致する決まりはありません。
売れる値段に近い値:公示価格と取引価格
売れる値段に近づくには、実際の取引に近い値を見ます。
- 公示価格:国土交通省の地価公示が示す、1月1日現在の標準地の価格です。国土交通省は、一般の土地取引の目安や、相続税評価・固定資産税評価の目安になると説明しています。
- 取引価格:国土交通省の不動産情報ライブラリで、不動産価格(取引価格・成約価格)情報を検索できます。取引価格情報の検索画面は、平成17年7月以降の分です。
公示価格を使うときの注意が、国土交通省の説明にあります。
| 注意点 | 国土交通省の説明 | 読み方 |
|---|---|---|
| 更地の価格 | 建物が建っている現在の土地ではなく、更地としての評価 | 古い家が建っていても、家の価値は含まれない |
| 実際の取引との差 | 実際の取引では、公示価格より高い場合も低い場合もある | 公示価格がそのまま売れる値段とは限らない |
| 時点 | 1月1日現在のもの | それ以降の地価の動きも考える |
国土交通省「ここがポイント地価公示」(2026年10月3日取得)。
不動産情報ライブラリの取引価格は、近くの別の物件の価格です。自分の家と、広さ・築年数・道路との接し方が違えば、そのまま当てはめられません。家の売れる値段の見当をつけるまでです。
査定額:売れる金額を確かめる
評価額や取引価格は、自分の不動産そのものの値段ではありません。自分の不動産がいくらで売れそうかは、不動産会社の査定で確かめます。仲介で売る場合の査定のしくみと、複数社を比べる理由は、不動産の売却価格査定の仕組みにあります。
買取業者の一つ、ラクウルの公式サイト(2026年10月3日に確認)には、次のように書かれています。
- 費用:よくある質問に「査定に費用が掛かりますか?」があり、「査定は無料で行わせていただきます。(一部、対象外あり)」と答えています。
- 築年数:「築年数が古すぎるのですが大丈夫ですか?」に、「築年数については完全に不問です」と答えています。
- 査定の中身:お問い合わせを受けた物件を調査して、買取査定金額を提示するとあります。
ここでいう査定は、業者が買い取る金額です。仲介で買い手を探して売る場合の見込みとは、考え方が違います。評価額と並べて見ると、税金の計算に使う値と、実際に手にできる金額の違いがつかめます。
調べたあとの次の一歩
値が分かったあとの調べものは、次のページにあります。
- 相続登記の費用の見当をつけたい:相続登記の費用の相場。固定資産税評価額から登録免許税を計算する流れが載っています。
- 売ったときの税金を知りたい:家を売る税金の早見表。譲渡所得は、売った金額が基になります(所得税法33条3項)。
- 宅地の相続税を軽くする特例:小規模宅地等の特例の計算機。
- 遺留分の計算で不動産を評価する:遺留分の計算で不動産はどう評価するか。
よくある質問
相続した不動産の価値は、まず何で調べればよいですか?
調べる目的で変わります。相続税の申告なら、土地は路線価(路線価地域)か固定資産税評価額に倍率を掛けた額(倍率地域)、家屋は固定資産税評価額です(国税庁)。売るときの金額が知りたいなら、近くの取引価格(国土交通省の不動産情報ライブラリ)と、不動産会社の査定を見ます。評価額は税金のための値で、売れる値段ではありません。
固定資産税評価額と相続税評価額は同じですか?
家屋は同じです。国税庁は、家屋を固定資産税評価額に1.0を乗じて評価するので、評価額は固定資産税評価額と同じだと説明しています。土地は、路線価が定められた地域では路線価を補正して面積を乗じて計算するので、固定資産税評価額とは別の計算になります。路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に国税局長が定める倍率を乗じます(財産評価基本通達、国税庁No.4602)。
相続税評価額は、不動産が売れる値段になりますか?
なりません。相続税評価額は、相続税や贈与税を計算するための財産の価額です。路線価は、売買実例価額・公示価格・鑑定評価額・精通者意見価格等を基に国税局長が評定した1平方メートル当たりの価額です(財産評価基本通達14)。実際にいくらで売れるかは、買う人との取引で決まります。国土交通省も、実際の取引は公示価格より高い場合も低い場合もあると説明しています。評価額から売れる値段を割り戻す公的な式は、見つかりませんでした。
路線価は、何年分を見ればよいですか?
相続で取得した日が属する年の分です。国税庁は、令和8年分の財産評価基準を、令和8年1月1日から12月31日までの間に相続・遺贈・贈与で取得した財産の評価に適用するとしています。亡くなった日が令和8年なら、令和8年分の路線価図を見ます。見方は路線価の調べ方のページにあります。
固定資産税評価額は、ネットで調べられますか?
誰でも住所から見られる公式のサービスはありません。毎年届く課税明細書に載っています。手元になければ、市区町村(東京23区は都税事務所)で評価証明書の交付を受けます。取れる人の範囲や手数料の例は、固定資産税評価額の調べ方にあります。
固定資産税評価額は、毎年変わりますか?
原則として変わりません。地方税法349条は、基準年度の価格を、翌年度と翌々年度の課税標準にも使うと定めています。基準年度は、同法341条6号の「昭和33年度から3の倍数年度ごと」の年度で、数えると令和9年度が次の基準年度です。ただし、地目の変換や家屋の改築・損壊など特別の事情があるときは、市町村長が類似の土地・家屋の基準年度の価格に比準する価格にできます(同法349条2項ただし書)。
相続した家を売ったときの税金は、評価額で決まりますか?
評価額では決まりません。所得税法33条3項は、譲渡所得の金額を、総収入金額(売った金額)から、取得費と譲渡に要した費用を引いた残りと定めています。売った金額が基になるので、評価額が低くても、高く売れれば譲渡所得は増えます。実際の計算は、家を売る税金の早見表のページで見られます。
遺留分の計算では、不動産の価値をどう決めますか?
遺留分の計算では、不動産は相続開始の時の価額で入れます(民法1043条1項)。ただし、評価の方法を定めた条文はなく、路線価・固定資産税評価額・鑑定のどれを使うかで額が変わります。くわしくは、遺留分の計算で不動産をどう評価するかのページにあります。
参考・出典
- e-Gov法令検索 地方税法(第341条・第349条・第381条)
- e-Gov法令検索 相続税法(第22条)
- e-Gov法令検索 所得税法(第33条)
- 国税庁 財産評価基本通達
- 国税庁 No.4602 土地家屋の評価
- 国税庁 財産評価基準書 路線価図・評価倍率表
- 国土交通省 ここがポイント地価公示
- 国土交通省 不動産情報ライブラリ
- 訳アリ物件買取ラクウル よくある質問
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の不動産の評価額・相続税の額・売れる金額は、市区町村、税務署、税理士、不動産会社などにご確認ください。