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限定承認の費用はいくら?申述の収入印紙800円と郵便切手・官報公告の掲載料・鑑定人の選任・競売の手数料・先買権で家を残す支払い・準確定申告
限定承認で裁判所に払うのは、申述のときの収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です。そのあとに、官報公告の掲載料(会社等の区分で1行3,589円+消費税)、家を競売にかけるなら申立ての手数料4,000円などが加わり、鑑定人を選ぶなら申立て手数料800円と鑑定料がかかります。家を残す先買権は、鑑定人の評価額を払う方法です。鑑定料と競売の予納金は、決まった額が原典にありません。総額の相場は、このページでは作りません。
| 費用 | 額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 申述の収入印紙 | 800円分 | 裁判所 |
| 連絡用の郵便切手 | 裁判所ごとに異なる | 裁判所 |
| 官報公告の掲載料 | 1行(22文字)本体3,589円、税込3,947円。行数は公告文で決まる | 官報の料金表 |
| 鑑定人選任の申立て | 800円 | 家事事件手続法別表第一93項、民事訴訟費用等に関する法律別表第一15項 |
| 鑑定料 | 決まった額なし。裁判所が相当と認める額 | 民事訴訟費用等に関する法律26条 |
| 競売の申立て | 手数料4,000円、予納金(裁判所ごと)、差押登記の登録免許税 | 裁判所、民事執行法195条 |
| 先買権で家を残す | 鑑定人の評価額を弁済する | 民法932条ただし書 |
| 税金 | 時価で譲渡したものとして、亡くなった人の準確定申告で計算 | 所得税法59条 |
2026年10月3日、e-Gov法令検索・裁判所・全国官報販売協同組合のサイトで取得。専門家の報酬は、公的な資料に限定承認の額が見つからなかったため、表に入れていません。
自分はどの場合か
- これから申述する:節2にあります。申述のときに払う収入印紙と郵便切手です。
- 受理されたあと、官報に公告を出す:節3にあります。掲載料の単価と、公告の期限です。
- 家を競売にかけるか、残すか迷っている:節4と節5にあります。競売の手数料と、先買権で払う評価額です。
- 税金がかかるかを知りたい:節6にあります。限定承認だけに付く、時価で譲渡したものとする扱いです。
- 専門家に頼むといくらか:節7にあります。
- 限定承認の仕組みそのものを知りたい:限定承認とはのページに、相続放棄との違いと流れがあります。放棄の費用は相続放棄の費用のページ、借金が理由の場合は親の借金と相続放棄のページにあります。
申述にかかる費用(収入印紙・郵便切手・書類)
限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続財産の目録を作って家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述します(民法915条1項・924条)。相続人が複数のときは、全員が共同して行います(民法923条)。
| 項目 | 裁判所の案内 | 読み方 |
|---|---|---|
| 収入印紙 | 800円分 | 相続放棄の案内にある「申述人1人につき」は、限定承認の案内にはない |
| 連絡用の郵便切手 | 申述先の裁判所ごとに異なる。保管金として納付することもできる | 申述先の「家庭裁判所」のページで確認する |
| 申述先 | 被相続人の最後の住所地の家庭裁判所 | — |
| 添える書類 | 被相続人の出生から死亡までの戸籍、住民票除票または戸籍附票、申述人全員の戸籍謄本など | 続柄で増える。同じ書類は1通でよい |
| 相続財産の目録 | 作成して提出する(民法924条) | 様式と記載例は裁判所の案内にある |
裁判所「相続の限定承認の申述」、民法(2026年10月3日取得)。
- 戸籍などの発行手数料:通数で変わります。1通の手数料は相続放棄の費用のページにあります。
- 3か月で決められないとき:家庭裁判所が期間を伸ばせます(裁判所)。申立ての費用は親の借金と相続放棄のページにあります。
- 受理されると、相続人が複数のときは清算人が選ばれる:家庭裁判所が職権で、相続人の中から選びます(民法936条1項、家事事件手続法201条3項)。申立てではなく職権のため、この選任に別の手数料は案内に出てきません。
官報公告の掲載料と債権者への催告
受理のあとは、債権者への公告が最初の仕事です。公告を怠ると、そのせいで他の債権者に弁済できなくなった損害を賠償する責任を負うため(民法934条1項)、期限を守ります。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 誰がいつ | 限定承認者が限定承認の後5日以内。相続人が複数なら、清算人が選任後10日以内 | 民法927条1項・936条3項、裁判所 |
| 公告の内容 | 限定承認をしたことと、2か月以上の期間内に請求の申出をすべきこと | 民法927条1項 |
| 知れている債権者 | 公告とは別に、各別に申出を催告する | 民法927条3項 |
| 掲載料 | 1行(22文字詰め)。会社等の区分で本体3,589円、税込3,947円 | 官報の料金表 |
| 計算方法 | 本体価格×行数+消費税。料金表の例は10行で39,479円(税込) | 官報の料金表 |
全国官報販売協同組合「官報公告掲載料金」(令和8年4月1日掲載分以降の料金、2026年10月3日取得)。国立印刷局「官報の書面・公告のお申込み」は、公告の申込みを各都道府県の官報サービスセンター等で受け付けると案内しています。
- 行数は公告の文面で決まります:限定承認の公告が何行になるかは、料金表に書かれていません。上の10行は料金表の計算例で、限定承認の公告の見込みではありません。
- 個人の公告の区分は料金表に書かれていません:料金表は「特殊法人・地方公共団体」と「会社等(上記以外)」に分かれています。申込先の官報サービスセンター等に見積りを頼んでください。料金は全国一律と案内されています。
- 債権者への催告の郵送費:額は案内に書かれていません。知れている債権者の数で変わります。
- 公告の期間中は弁済を拒めます:期間の満了前は、債権者への弁済を拒むことができます(民法928条)。
鑑定人の選任と競売にかかる費用
公告の期間が満了したら、相続財産で債権者に弁済します(民法929条)。弁済のために相続財産を売る必要があるときは、競売にかけます。ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って価額を弁済すれば、競売を止められます(民法932条)。ここで費用がかかるのは、鑑定人の選任と競売の2つです。
| 費用 | 額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 鑑定人選任の申立て | 800円 | 家事事件手続法別表第一93項、民事訴訟費用等に関する法律別表第一15項 |
| 鑑定料 | 一律の額なし。裁判所が相当と認める額。費用を要する行為は、原則として概算額を先に納める | 民事訴訟費用等に関する法律12条・18条2項・26条 |
| 競売の申立ての手数料 | 4,000円 | 民事訴訟費用等に関する法律別表第一9項、裁判所 |
| 民事執行予納金 | 裁判所ごとに異なる | 裁判所 |
| 差押登記の登録免許税 | 確定請求債権額(1000円未満切捨て)の1000分の4。請求債権のない申立ては、物件の評価額から算出 | 裁判所 |
民事訴訟費用等に関する法律・家事事件手続法・民事執行法・裁判所「形式的競売」(2026年10月3日取得)。
- 鑑定人選任の申立て手数料は条文からの読み取りです:家事事件手続法別表第一の93項に掲げられた審判の申立てを、民事訴訟費用等に関する法律別表第一の15項が800円としています。裁判所の限定承認の案内には、鑑定人選任の費用は載っていません。
- 競売の費用は、形式的競売の案内から読んでいます:民法932条の競売は、民事執行法195条の「民法その他の法律の規定による換価のための競売」で、担保権の実行としての競売の例によります。裁判所の形式的競売の案内は、判決などで競売を命じられた場合の手続を前提にしており、限定承認の競売そのものの案内ではありません。予納金の額は、申立先の地方裁判所に確認します。
- 登録免許税の手計算:案内の式に当てはめると、物件の評価額が1,000万円なら1000分の4で4万円です(手計算)。限定承認の競売で同じ式になるかは、案内に書かれていません。
- 債権者も競売や鑑定に参加できます:参加するのは自己の費用です(民法933条)。
先買権で家を残す場合の支払い
民法932条ただし書は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い、相続財産の全部または一部の価額を弁済して、その競売を止められると定めています。家を残すために払うのは、この鑑定人の評価額です。
| 選び方 | 払うもの | 根拠 |
|---|---|---|
| 競売にかける | 競売の申立ての手数料・予納金・登録免許税(節4の表)。売却の代金は、債権者への弁済に充てる | 民法932条本文・929条 |
| 先買権で家を残す | 鑑定人の評価額。鑑定人選任の申立て800円と鑑定料も別にかかる | 民法932条ただし書 |
民法(2026年10月3日、e-Gov法令検索で取得)。
- 評価額の水準は書かれていません:条文にも裁判所の案内にも、評価額が時価の何割かという定めは見つかりませんでした。
- 評価額を弁済しなければ、競売は止まりません:家を残したいときは、評価額を用意できるかが前提です。
- 弁済の順番:期間内に申出をした債権者と知れている債権者に、債権額の割合に応じて弁済します。優先権のある債権者の権利は害せません(民法929条)。受遺者への弁済は、債権者への弁済のあとです(民法931条)。
- 限定承認の手続の中で家を売る方法は、条文からは競売です:任意に売れるかどうかは、条文から読めません。弁護士か司法書士に確認してください。
- 残す家の名義変更:相続登記の費用は相続登記の費用のページにあります。
みなし譲渡所得と準確定申告
限定承認だけに付く税金の扱いがあります。所得税法59条1項1号は、相続のうち限定承認に係るものを、相続開始の時の価額(時価)で資産の譲渡があったものとみなして、譲渡所得を計算すると定めています。国税庁のNo.3105も、限定承認による相続を、時価で譲渡があったものとされる場合に挙げています。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 限定承認で相続した資産 | 相続開始の時の時価で、譲渡があったものとして計算する | 所得税法59条1項1号、国税庁No.3105 |
| 誰の所得か | 条文は、居住者の有する資産の移転があったときに、その者の譲渡所得を計算するとしている。限定承認で移るのは亡くなった人の資産のため、亡くなった人のその年の所得として準確定申告に入ると読める | 所得税法59条・125条 |
| 申告の期限 | 相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内 | 所得税法125条1項、国税庁No.2022 |
| 相続人が後で売るとき | 限定承認に係る相続は、取得費等を引き継ぐ規定から除かれている | 所得税法60条1項1号 |
所得税法(令和8年10月1日施行分まで反映)、国税庁タックスアンサー(2026年10月3日取得)。
- 税額は、このページでは示しません:時価や取得費などで変わり、原典に一律の額はありません。
- 「亡くなった人の所得に入る」は条文からの読み取りです:国税庁のNo.3105は、誰の申告に入るかまで書いていません。税務署か税理士に確認してください。
- 準確定申告の手続:付表と委任状、e-Taxの注意は準確定申告のページにあります。
司法書士や弁護士に頼む場合
限定承認は、財産目録の作成、官報公告、債権者への催告、競売や鑑定人の手続と、手続が続きます。専門家に頼む場合の報酬について、公的な資料から言えることは次のとおりです。
- 金額は見つかりませんでした:日本司法書士会連合会の報酬アンケート(2024年3月実施)にあるのは相続放棄申述書の作成で、限定承認の項目はありません。弁護士の報酬も同アンケートの対象外です。相場は、このページでは作りません。
- 司法書士の業務:司法書士法3条1項4号は、裁判所に提出する書類の作成を業務としています。申述書や財産目録の作成が、これに当たると考えられます。
- 弁護士の職務:弁護士法3条は、訴訟事件・非訟事件その他一般の法律事務を行うことを職務としています。
- 見積りで確かめること:申述だけの金額か、官報公告・債権者対応・競売や鑑定人の手続を含む金額かを確かめます。実費(収入印紙・郵便切手・官報の掲載料・鑑定料)が別かどうかも、あわせて確かめます。
よくある質問
限定承認を自分でするとき、裁判所に払うのはいくらですか?
申述のときは、収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です。郵便切手の額は申述先の家庭裁判所ごとに異なり、保管金として納付することもできます(裁判所)。このほか、申述に添える戸籍などの発行手数料がかかります。申述のあとに官報公告の掲載料、必要になれば鑑定人選任の申立て800円、鑑定料、競売の費用がかかり、総額は相続財産と債権者の数で変わるため、原典に一律の額はありません。
官報公告の掲載料はいくらですか?
全国官報販売協同組合の料金表では、会社等(特殊法人・地方公共団体以外)の各種公告は1行(22文字詰め)で本体3,589円、消費税を含めて3,947円です。計算方法は本体価格×行数+消費税で、料金表の例は10行で39,479円です。限定承認の公告が何行になるかは、料金表に書かれていません。個人の公告が料金表のどの区分に当たるかも書かれていないため、申込先の官報サービスセンター等で見積りを取ってください。
官報公告は、いつまでに誰がしますか?
限定承認者が、限定承認をした後5日以内に、すべての相続債権者と受遺者に向けて、限定承認をしたことと、一定の期間内に請求の申出をすべきことを官報に掲載します。その期間は2か月以上です(民法927条1項・4項)。相続人が複数のときは、家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人が、選任後10日以内に行います(民法936条3項)。公告を怠ると、そのせいで他の債権者に弁済できなくなった損害を賠償する責任を負います(民法934条1項)。
鑑定人の費用はいくらですか?
一律の額はありません。鑑定人が請求できる鑑定料の額は、裁判所が相当と認めるところによります(民事訴訟費用等に関する法律18条2項・26条)。鑑定人の選任を求める申立て(家事事件手続法別表第一の93項)の手数料は、同法別表第一の審判の申立てに当たるため、民事訴訟費用等に関する法律別表第一の15項で800円と読めます。裁判所の限定承認の案内には、鑑定人選任の費用は載っていません。
競売にかかる費用はいくらですか?
民法932条の競売は、民事執行法195条により、担保権の実行としての競売の例によります。裁判所の形式的競売の案内では、手数料4000円、民事執行予納金(裁判所ごとに異なる)、差押登記のための登録免許税が必要とされています。登録免許税は、確定請求債権額の1000円未満を切り捨てて1000分の4を乗じ、請求債権のない申立ては物件の評価額から算出します。この案内の前提は判決で競売を命じられた場合で、限定承認の競売で同じ式になるかは書かれていません。申立先の地方裁判所に確認してください。
先買権で家を残すには、いくら払えばよいですか?
民法932条ただし書は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い、相続財産の全部または一部の価額を弁済して、競売を止められると定めています。払う額は、鑑定人の評価額です。評価額の水準は条文にも裁判所の案内にも書かれていません。弁済は、債権額の割合に応じて債権者へ行い(民法929条)、受遺者への弁済は債権者への弁済のあとです(民法931条)。
限定承認をすると、税金はかかりますか?
限定承認に係る相続では、亡くなった人の資産が相続開始の時の時価で譲渡されたものとして、譲渡所得を計算します(所得税法59条1項1号、国税庁No.3105)。この所得は、亡くなった人のその年の所得税として、相続人が相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に準確定申告をします(所得税法125条、国税庁No.2022)。税額の計算は取得費などで変わり、このページでは額を示しません。税務署か税理士に相談してください。
相続人が複数のとき、一部の人だけで限定承認できますか?
できません。限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみできます(民法923条)。裁判所のQ&Aも、一部の人だけで申述することはできないとしています。相続人が複数のときは、限定承認の申述を受理した家庭裁判所が、職権で相続人の中から相続財産清算人を選びます(民法936条1項、家事事件手続法201条3項)。
司法書士や弁護士に頼むと、報酬はいくらですか?
公的な資料に、限定承認の報酬の額は見つかりませんでした。日本司法書士会連合会の報酬アンケート(2024年3月実施)にあるのは相続放棄申述書の作成で、限定承認の項目はありません。弁護士の報酬も同アンケートの対象外です。司法書士法は、裁判所に提出する書類の作成を司法書士の業務としています(3条1項4号)。複数の事務所で見積りを取り、何を含む金額かを確かめてください。
参考・出典
- 裁判所 相続の限定承認の申述
- 裁判所 裁判手続Q&A(家事)
- 裁判所 形式的競売
- e-Gov法令検索 民法(第915条・第922条〜第924条・第927条〜第934条・第936条)
- e-Gov法令検索 家事事件手続法(第28条・第201条・別表第一)
- e-Gov法令検索 民事訴訟費用等に関する法律(第12条・第18条・第26条・別表第一)
- e-Gov法令検索 民事執行法(第195条)
- e-Gov法令検索 所得税法(第59条・第60条・第125条)
- e-Gov法令検索 司法書士法(第3条)
- e-Gov法令検索 弁護士法(第3条)
- 全国官報販売協同組合 官報公告掲載料金
- 国立印刷局 官報の書面・公告のお申込み
- 国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
- 国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
- 日本司法書士会連合会 司法書士の報酬と報酬アンケートについて(2024年3月実施)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の限定承認の可否や費用の額は、家庭裁判所、弁護士、司法書士、税務署、税理士などにご相談ください。