準確定申告とは?期限は4か月|必要な人・不要な人、必要書類、相続税との関係
準確定申告は、年の途中で亡くなった人の所得税について、相続人が、1月1日から死亡した日までの所得と税額を計算し、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をする手続です(国税庁)。申告が必要なのは、亡くなった人が生きていれば確定申告をしなければならなかった場合です。年金だけの人などは不要なこともあります。納める所得税は、相続税の計算で債務として差し引けます。
準確定申告とは:対象になる期間と期限
所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得について計算し、翌年の2月16日から3月15日までの間に申告と納税をします。年の途中で亡くなった人の場合は、相続人が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額と税額を計算して申告と納税をします。これが準確定申告です(国税庁 No.2022)。
期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。国税庁の質疑応答事例は、この期限を「翌日から4か月を経過した日の前日まで」と書いています。たとえば、5月10日に死亡を知った場合は、5月11日から数えて9月10日が期限です(国税庁の相続税の例「1月6日に死亡した場合は11月6日が期限」と同じ数え方です)。
確定申告をしなければならない人が、翌年の1月1日から確定申告期限(原則として3月15日)までの間に申告書を出さずに亡くなった場合は、前年分も本年分も、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内が期限です。
必要な人と不要な人
準確定申告は、亡くなった人が生きていれば確定申告をしなければならなかった場合に出します。国税庁の確定申告の案内(No.2020・No.1900)から、亡くなった人の収入ごとに整理すると、次のとおりです。
| 亡くなった人の状況 | 申告 | 国税庁の条件 |
|---|---|---|
| 公的年金等だけ | 不要 | 公的年金等の収入が400万円以下、その全部が源泉徴収の対象、公的年金等以外の所得が20万円以下の3つすべてに当てはまる |
| 給与を1か所から受けていた | 不要 | 給与の収入が2,000万円以下、全部が源泉徴収され、給与と退職金以外の所得が20万円以下 |
| 事業・不動産の賃貸・不動産の売却などの所得があった | 必要 | 所得金額の合計が所得控除の合計を超え、その超える額に対する税額が、配当控除額などを超える |
| 上の「不要」の条件を1つでも超えた | 必要 | 給与が2,000万円超、給与と退職金以外の所得が20万円超、公的年金等が400万円超 など |
出典:国税庁 No.2020「確定申告」、No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」。給与を2か所以上から受けていた場合など、ほかにも条件があります。当てはまるか分からないときは、税務署に確認してください。
相続人が2人以上いるときの出し方は2通りです。各相続人が連署して1通の準確定申告書を出す方法と、他の相続人の氏名を付記して各人が別々に出す方法があります。別々に出した場合は、申告した内容を他の相続人に通知します(国税庁 No.2022)。
納める所得税は、相続人が承継します。相続人が2人以上いるときは、各相続人が承継する額は、納める額を相続分で按分した額です(国税通則法5条)。
必要書類と提出の方法
準確定申告書は、被相続人の死亡当時の納税地の税務署長に出します。準確定申告書に加えて、次の書類が必要です(国税庁 No.2022)。
| 書類 | 内容 | 必要になる場合 |
|---|---|---|
| 準確定申告書の付表 | 各相続人等の氏名、住所、被相続人との続柄などを書く。様式名は「死亡した者の_年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(兼相続人の代表者指定届出書)」 | 必ず |
| 委任状(準確定申告書用) | 還付金の受領を相続人の代表者等に任せる書類 | 還付金を代表者が受け取るとき |
| 収入・控除の資料 | 申告書に添付・提示する書類は、国税庁の「所得税及び復興特別所得税の手引き」に載っている | 所得と控除の内容による |
出典:国税庁 No.2022、No.2020、申告書・申告書付表と税額計算書等一覧。付表と委任状の様式は、国税庁のサイトでダウンロードできます。
e-Taxで出すときの注意が、国税庁のe-Tax対応の案内に書かれています。
- 確定申告書等作成コーナーでは作れない:準確定申告書は、国税庁の確定申告書等作成コーナーから作成できません。e-Taxソフト等を使います。
- 付表も電子で出す:相続人が1人の場合でも、付表をe-Tax(XML形式)で出す必要があります。
- 相続人が2人以上のとき:各相続人が申告内容を確認して署名した確認書のPDFを作り、e-Taxで送ります。代表者が他の相続人の還付金も受け取るときは、各相続人が署名した委任状のPDFも出します。
所得控除の扱い
準確定申告の所得控除は、通常の確定申告と数え方が違う点があります(国税庁 No.2022)。
- 医療費控除:対象は、死亡の日までに被相続人が支払った医療費です。死亡後に相続人が支払った分は、準確定申告の医療費控除に含められません。
- 社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除:対象は、死亡の日までに被相続人が支払った保険料等の額です。
- 寄附金控除:対象は、死亡の日までに被相続人が支出した特定寄附金です。
- 配偶者控除・扶養控除など:適用の有無の判定は、死亡の日の現況で行います。配偶者控除額・配偶者特別控除額・扶養控除額・特定親族特別控除額の月割計算は行いません。
還付になる場合
国税庁の還付申告の案内(No.2030)によると、給与などから源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が、年間の所得について計算した所得税額より多いときは、確定申告をすると納め過ぎの所得税の還付を受けられます。源泉徴収された所得税額や予定納税の額がない場合は、申告しても還付される所得税額はありません。
準確定申告で還付がある場合に、相続人や包括受遺者が受け取る還付金の受領を相続人の代表者等に任せるときは、準確定申告書の付表とは別に、還付金の受領に関する委任状を出します(国税庁 No.2022)。
確認した国税庁の案内には、還付申告だけをする場合の期限の扱いや、還付金が相続税の計算でどう扱われるかは書かれていませんでした。この記事では説明しません。税務署に確認してください。
相続税の債務控除との関係
相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金などの債務を、遺産総額から差し引けます。国税庁 No.4126によると、被相続人に課される税金で、被相続人の死亡後に相続人などが納付または徴収されることになった所得税などは、被相続人が死亡したときに確定していないものでも、債務として遺産総額から差し引けます。準確定申告で納める所得税は、これにあたります。
ただし、相続人などの責任に基づいて納付したり徴収されたりすることになった延滞税や加算税などは、差し引けません。債務を差し引けるのは、その債務を負担する相続人や包括受遺者です。
| 申告 | 期限 | 出典 |
|---|---|---|
| 準確定申告(所得税) | 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内 | 国税庁 No.2022 |
| 相続税の申告 | 死亡を知った日の翌日から10か月以内 | 国税庁 No.4205 |
準確定申告の期限が先に来ます。相続税の申告に必要な書類は相続税の申告に必要な書類、基礎控除を超えるかの試算は相続税の計算機で確認できます。
遺産分割の期限と、相続登記・相続放棄などほかの期限は遺産分割に期限はあるかで一覧にしています。亡くなった人の口座の手続は口座の凍結と解除で説明しています。
よくある質問
準確定申告は、だれが出しますか?
相続人(包括受遺者を含みます)です。相続人が2人以上いるときは、各相続人が連署して1通の準確定申告書を出します。他の相続人の氏名を付記して各人が別々に出すこともできます。この場合、申告書を出した相続人は、他の相続人に申告した内容を通知しなければなりません(国税庁 No.2022)。
申告書はどこの税務署に出しますか?
被相続人の死亡当時の納税地の税務署長に出します。相続人の住所地とは限りません(国税庁 No.2022)。
死亡したあとに相続人が払った医療費は、医療費控除に入れられますか?
入れられません。準確定申告の医療費控除の対象は、死亡の日までに被相続人が支払った医療費です。死亡後に相続人が支払った分は含められません(国税庁 No.2022)。
納める所得税は、だれが負担しますか?
国税通則法は、相続人が、被相続人が納めるべき国税を納める義務を承継すると定めています。相続人が2人以上いるときは、各相続人が承継する額は、民法900条から902条までの相続分で按分した額です。限定承認をした相続人は、相続によって得た財産の限度で納めます(国税通則法5条)。
亡くなった年の1月から3月に亡くなりました。前年分の確定申告はどうなりますか?
前年分の確定申告をしなければならない人が、翌年1月1日から確定申告期限(原則として3月15日)までの間に確定申告書を出さずに亡くなった場合、準確定申告の期限は、前年分も本年分も、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です(国税庁 No.2022)。
民法上の相続人がいないときは、だれが出しますか?
国税庁の質疑応答事例では、包括受遺者がいる場合は包括受遺者が、いない場合は相続財産法人が出すとされています。相続財産法人の期限は、清算人が確定した日(裁判所から清算人に通知された日)の翌日から4か月を経過した日の前日までです。