空き家の防犯対策は何から?狙われる理由・防犯カメラは要るか・電源がないとき・センサーライト・補助金・放火
この記事は、住んでいない家や実家を持っていて、防犯カメラを付けるか迷っている方に向けています。空き家で起きた窃盗は令和7年に1万3,971件で、統計を取り始めた令和2年(3,425件)の約4倍です(警察庁)。防犯カメラの設置を求める条文は、空家法にありません。千葉・埼玉・茨城の県警は、カメラを窓の補助錠や防犯フィルム、見回りと並べて案内しています。あなたの家が電気を止めている家か、遠くて月に一度も行けない家かで、選べる方法が変わります。
| 知りたいこと | 原文に書かれていること | 出典 |
|---|---|---|
| 空き家の窃盗 | 令和7年は1万3,971件。令和2年から307.9%増加 | 警察庁 令和7年の犯罪情勢 |
| 防犯カメラの設置義務 | 空家法の全文に「防犯」「カメラ」の語は無い。5条は「適切な管理に努める」 | e-Gov 空家法 |
| 警察の案内 | カメラ・センサーライトを、窓の補助錠・防犯フィルム・見回りと並べて挙げている | 千葉・埼玉・茨城県警 |
| 自治体の補助 | 空き家の所有者を明記して対象にする例は武豊町(上限3,000円)。下関市・北区は居住中の住宅が対象 | 各自治体のページ |
出典:警察庁、e-Gov法令検索、各県警・自治体のページ(いずれも2026年10月2日取得)。
空き家の窃盗はどれくらい起きているか
警察庁は、窃盗犯を発生場所別に集計しています。「空き家」は、居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物及びその敷地(国・地方公共団体が所有・管理するものを除く)と注記されています。
| 年 | 窃盗犯の認知件数 | うち侵入窃盗 |
|---|---|---|
| 令和2年 | 3,425件 | 3,180件 |
| 令和3年 | 3,781件 | 3,436件 |
| 令和4年 | 4,548件 | 4,074件 |
| 令和5年 | 8,996件 | 8,189件 |
| 令和6年 | 10,814件 | 9,314件 |
| 令和7年 | 13,971件 | 11,958件 |
出典:警察庁「令和7年の犯罪情勢」(令和8年2月)図17・図18。窃盗犯の認知件数は、侵入窃盗・乗り物盗・非侵入窃盗の合計。
令和7年の空き家の窃盗は、令和2年から1万546件、307.9%増えました。内訳は、建物に入って盗む侵入窃盗が1万1,958件(前年比28.4%増)、敷地内などから盗む非侵入窃盗が1,934件(同34.3%増)です。全国の侵入窃盗は4万7,233件なので、このうち約4分の1が空き家で起きています(11,958÷47,233=25.3%、当ページの計算)。検挙は5,723件で、検挙率は41.0%(前年比2.4ポイント減)です。
何が盗まれているか
警察庁の本文では、空き家の侵入窃盗で被害品に含まれるものが、貴金属・宝石等1,053件(前年比32.8%増)、家電製品類391件(同18.5%増)、金属類330件(同27.4%増)と大きく増えています。敷地内から盗む非侵入窃盗では、室外機を含むものが702件、金属類を含むものが227件です。警察庁は、室外機や金属類が増えた要因を「銅等の金属価格の高騰により、その一部に銅等が使用されているこれら物品を金属くずとして売却するために窃取されているものと考えられる」と書いています。
どこから入られているか
茨城県警のページ(2026年8月13日更新)は、空き家を狙った窃盗の特徴を「被害の8割以上が、ガラス破りによる侵入」「被害品は、現金、宝飾品類などの貴重品、家電類が多い」と書いています。同県の空き家対象の侵入窃盗は、令和8年6月末現在で321件(前年同月比155件減)で、「減少したが、以前、高水準」とされています。茨城県の数字なので、全国の傾向と同じとは限りません。
狙われる理由と、所有者に求められていること
埼玉県警のページ(2025年11月20日更新)は、「泥棒は、人の気配がなく、管理されていない空き家を狙いやすい傾向があります」と書き、草抜きや庭木の剪定、郵便物の整理、定期的な換気で、人の出入りがあるように見せることを勧めています。
空家法が所有者に求めていること
空家法5条は、空家等の所有者又は管理者に、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう「空家等の適切な管理に努める」ことを求めています。「努める」とあるので努力義務です。防犯の方法には触れていません。
国土交通省のガイドラインは、不法侵入について、次の状態を「管理不全空家等」「特定空家等」かどうかの判断の参考にするとしています。
| 区分 | 不法侵入についての「状態の例」 | 市町村長ができること |
|---|---|---|
| 管理不全空家等 | 開口部等の破損等 | 指導(13条1項)。改善されなければ勧告(13条2項) |
| 特定空家等 | 不法侵入の形跡/不特定の者が容易に侵入できるほどの著しい開口部等の破損等 | 助言・指導(22条1項)、勧告(同条2項)、命令(同条3項) |
出典:国土交通省 空家等対策特措法ガイドライン 別紙4「2.不法侵入の発生」、e-Gov法令検索 空家法(2026年10月2日取得)。
割れた窓や壊れた扉のような開口部の破損は、泥棒に入られやすいだけでなく、市町村から指導を受ける材料にもなります。勧告を受けたときの固定資産税への影響は、管理不全空家とは?と空き家を放置するとどうなる?にまとめています。
他人に損害を与えたときの責任
民法717条1項は、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対して損害を賠償する責任を負う」と定め、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者が賠償しなければならない、としています。防犯設備の有無でこの責任が決まるという定めはありません。具体的な場面は、弁護士にご確認ください。
防犯カメラは要るのか
空家法の全文(2026年9月3日施行の版)に、「防犯」「カメラ」「施錠」の語はありません。設置を義務づける条文は見当たりません。一方、警察は次のように案内しています。
| 出典 | カメラについての記載 | 並べて挙げている対策 |
|---|---|---|
| 千葉県警 | 「防犯カメラやセンサーライトなどの防犯機器を活用する」 | 窓の施錠、割れにくいガラスへの交換、庭木の手入れ、郵便受けの片づけ、定期的な訪問と近隣との連携 |
| 埼玉県警 | 「ダミーカメラでも一定の効果はありますが、実際に録画できるタイプや、遠隔で監視できるタイプがより効果的です」 | 定期的な管理、防犯フィルム・防犯ガラス、センサーライト、補助錠、防犯砂利、管理サービス |
| 茨城県警 | 「防犯カメラやセンサーライトの設置など防犯対策を実施」 | 現金や貴重品の回収、窓の補助錠・防犯フィルム、定期的な見回り、庭の手入れ、郵便物の回収 |
| 政府広報(警察庁取材) | 「ダミーのものではなく、実際に録画機能があるものを選びましょう」。死角が出ないよう複数取り付けるとなお良い | CP部品(防犯性能の高い建物部品)、センサーライト。住まい全般向けの記事 |
出典:千葉県警「空き家の防犯対策」、埼玉県警「空き家を狙った侵入窃盗に注意!」、茨城県警「空き家が狙われています!」、政府広報オンライン(2026年10月2日取得)。
3つの県警はいずれも、カメラを単独ではなく、窓の対策や見回りと並べて挙げています。「カメラさえ付ければ足りる」と書いた案内は、確認した範囲にはありません。録画できるものを勧めているのは、埼玉県警と政府広報です。
付ける前に確かめること
撮影する範囲には配慮が要ります。武豊町の補助の条件は、「自己の住宅敷地内及び必要最低限の隣接する道路等の公共空間を撮影する範囲で設置すること」「設置にあたっては、プライバシーに十分配慮すること」です。隣の家の窓や庭を映さない向きにしてください。
相談の前に、玄関・窓・裏口のうち、どこを映したいかを決めておくと話が早くなります。
電源やネット回線が無い空き家のとき
電気を止めている空き家は少なくありません。電気の停止と再開は空き家の電気・ガス・水道の管理方法にまとめています。ここでは、防犯カメラ設置110番の解説記事(2024年3月12日)に書かれている内容を整理します。
- 屋外のカメラ:家庭用の設置の大半を占める屋外の監視では、室内から電源ケーブルを引けない場合も多く、別途電源を確保しなければならないことがあると書かれています。
- 電源不要のタイプ:電力源は、電池式、バッテリーの充電式、ソーラーパネルによる自家発電式があります。「私有している山林の中や、敷地の端など、電源をとれる場所が近くにないときに便利」とされています。
- 長時間の録画は難しい:電源不要タイプは長時間の撮影が困難で、多くの場合、センサーと連動して人が範囲内に入ったときなどに、決まった秒数だけ録画します。
- 電池の交換:電池式は定期的な交換が必要で、短いものではひと月ほどで電池が空になるそうです。アクセスの悪い場所では、この手間が一番のデメリットかもしれないとされています。
- ソーラー式:交換の手間がかからないように思えるものの、天候で発電量が大きく変わり、日照量次第では映像にノイズが入ったり、録画ができなかったりする可能性があるとされています。
ネット回線が無い空き家で設置できるかどうかは、公式サイトと上の解説記事に記載を見つけられませんでした。この記事では可否を書きません。相談のときに、電気の契約が生きているか、ネット回線があるか、現地までの距離を伝えて、あなたの家で付けられる方法を確かめてください。
センサーライト・窓・見回り
警察の案内で、カメラのほかに挙がっている対策です。価格は、確認できた公的な原文に無いため載せません。
- センサーライト:埼玉県警は、人感センサー付きのライトで不審者が近づくと自動で点灯するようにすると、「周囲に気付かれやすくし、侵入を諦めさせる効果があります」と書いています。
- 窓の対策:茨城県警は窓に補助錠や防犯フィルムを取り付けることを勧めています。政府広報は、網入りガラスは防火用に作られたもので侵入防止の効果はないこと、補助錠付近だけに部分的にフィルムを貼っても不十分で、窓ガラスの全面に貼ることを説明しています。
- 防犯性能の高い建物部品(CP部品):5分以上の抵抗が確認されたものが認定され、政府広報によると17種類3,523品目(2025年10月14日現在)です。「侵入を完全に防ぐものではありません」とも書かれています。
- 貴重品の回収:茨城県警は、現金や貴重品等を回収することを挙げています。盗まれる物を置かないことも対策になります。
- 見回りと近所との連携:千葉県警と埼玉県警は、定期的に訪れること、近隣住民に不審な動きを見かけたら連絡してもらう体制を作ることを挙げています。
- 管理サービス:埼玉県警は、自分で管理することが難しいときの手段として、空き家管理サービス(定期的な巡回・清掃・換気・郵便物整理)とホームセキュリティサービス(センサー設置や異常時の駆けつけ)を挙げています。管理の委託費用は空き家の管理を不動産会社に委託する費用相場にまとめています。
侵入された形跡を見つけたときの警察への届け出や、投棄されたごみの扱いは空き家への不法侵入・不法投棄の対策にあります。政府広報は、不審を感じたら、ためらわずに110番通報することを勧めています。
自治体の補助:空き家は対象になるか
個人向けの防犯カメラの補助は多くの自治体にありますが、原文を読むと、対象が「自分が住んでいる家」に限られているものがあります。確認した3つの自治体は次のとおりです。
| 自治体 | 空き家の所有者は | 原文の条件 |
|---|---|---|
| 愛知県 武豊町 | 対象。「住宅(空き家)を所有する個人」と書かれている | 補助は上限3,000円。録画できるもの(ダミー・録画機能なしは対象外)。令和8年4月1日以降の購入。申請は令和8年7月1日〜令和9年3月31日で、予算に達し次第終了 |
| 山口県 下関市 | 原文は「申請者が自ら居住する」市内の住宅が対象 | 申請日に市内に住所があること。購入費と設置工事費の2分の1 |
| 東京都 北区 | 原文は「個人が自ら居住する住宅」への設置が対象 | 現在北区に居住している方。他者に賃貸している物件は対象外 |
出典:武豊町「防犯カメラ設置費補助金(個人向け)」(2026年7月1日更新)、下関市「個人向け防犯カメラ設置費補助金」(令和8年度)、東京都北区「防犯機器等購入緊急補助事業(個人宅向け)」(令和8年度)。2026年10月2日取得。
武豊町の補助は、半田警察署管内(武豊町、半田市、阿久比町、東浦町、南知多町、美浜町)の住宅が対象で、申請先は半田防犯協会連合会の事務局です。半田警察署管内の空き家を持つ方は、原文で期限と予算の残りをご確認ください。
それ以外の地域の方は、「(市区町村名) 防犯カメラ 補助」で検索し、対象が「居住している住宅」に限られていないか、申請が購入前か購入後かを原文で確かめてください。解体の補助は空き家解体工事の費用相場と補助金をご覧ください。
放火が心配なとき
令和7年版消防白書によると、令和6年中の出火件数3万7,141件のうち、放火による出火は2,377件(全火災の6.4%)です。放火の疑いを加えると3,904件(10.5%)で、放火及び放火の疑いによる火災を時間帯別にみると、16時の時間帯が最も多くなっています(不明を除く)。空き家に限った放火の件数は、この白書の本文には載っていません。
消防庁の「放火火災防止対策戦略プラン 別冊」(平成16年12月)には、個人向けの対策集があります。空き家に当てはまりそうなものは次のとおりです。
- 建物や敷地に死角をつくる要因となる物を整理整頓する
- 死角となる箇所に侵入監視センサー等を導入する
- 可燃物は部外者の目に届かない場所に整理整頓する
- 新聞やチラシをこまめに取り込む
- 長期間留守にする場合には、近隣住民への声かけを行う
古い資料なので、機器の種類は今と違う可能性があります。火災で燃えたときの備えは相続した家の火災保険と空き家向け保険にまとめています。
参考・出典
- 警察庁 令和7年の犯罪情勢(令和8年2月)
- e-Gov法令検索 空家等対策の推進に関する特別措置法(第2条・第5条・第13条・第22条)
- e-Gov法令検索 民法(第717条)
- 国土交通省 管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)
- 茨城県警察 空き家が狙われています!
- 埼玉県警察 空き家を狙った侵入窃盗に注意!
- 千葉県警察 空き家の防犯対策
- 政府広報オンライン 空き巣や強盗から命と財産を守る「住まいの防犯対策」
- 武豊町 防犯カメラ設置費補助金(個人向け)
- 下関市 個人向け防犯カメラ設置費補助金
- 東京都北区 防犯機器等購入緊急補助事業(個人宅向け)
- 消防庁 令和7年版消防白書 出火原因
- 消防庁 放火火災の防止に向けて(別冊)
- 防犯カメラ設置110番 電源の取り方と電源不要のカメラ