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違反建築・既存不適格の家は売れるか|違いの見分け方・検査済証がない・建ぺい率オーバー・相続した家

違反建築と既存不適格は別のものです。既存不適格は、法令の施行や改正の際に現に存した建築物が新しい規定に適合しなくても、その規定を適用しない扱いです(建築基準法第3条第2項)。違反建築は、特定行政庁が除却や使用禁止などを命ずることができる建築物です(第9条第1項)。どちらも、売却を禁じる条文は、取得できた建築基準法の中には見つかりませんでした。売るときは、宅地建物取引業者が法令上の制限の概要を説明する決まりがあります(宅地建物取引業法第35条)。

このページは、相続した違反建築・既存不適格の家を手放したい方向けです。再建築不可の家は再建築不可物件のページ、相続放棄の手続きは相続放棄のページに任せ、ここでは「何が違うのか」「どう見分けるのか」「売るときに何が説明されるのか」を条文と国土交通省の原文で確かめます。

違反建築と既存不適格の違い

建築基準法の条文に、「既存不適格」という語はありません(取得した全文で0件)。国土交通省のガイドラインが、第3条第2項が働いている状態をこう呼んでいます。違いは次のとおりです。

見る点既存不適格(第3条第2項)違反建築(第9条第1項)
条文の定め法令の施行・適用の際に現に存する建築物が規定に適合しなくても、その規定は適用しない建築基準法令の規定に違反した建築物について、特定行政庁が是正の措置を命ずることができる
是正の命令その規定は適用されないため、その規定への違反としては扱われない除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限などを命ずることができる
適用除外が外れる場合第3条第3項:改正前の規定に違反していた建築物、施行・適用の後に着手した増築・改築・移転・大規模の修繕・模様替には第2項が働かない―

出典:e-Gov法令検索 建築基準法(令和8年5月27日施行版、2026年10月2日取得)、国土交通省「既存建築物の現況調査ガイドライン(第5版)」。

つまり分かれ目は、いまの規定に合っていないことそのものではなく、建てた時点(または規定が変わる前)の規定に合っていたかです。建築時の規定に合っていて、あとから法令や都市計画が変わって合わなくなったのが既存不適格にあたります。自分の家がどちらにあたるかは、条文だけでは決まらず、特定行政庁や建築士の判断が要ります。

見分け方:検査済証と台帳記載事項証明書

建築基準法第7条は、建築主に工事完了時の検査の申請を義務づけ、検査実施者が建築基準関係規定に適合していると認めたときに検査済証を交付すると定めています。国土交通省のガイドラインは、既存不適格かどうかを、次の書類で調べるとしています。

確かめる書類わかること書類が見当たらないとき
検査済証直近の建築等の工事に検査済証が交付されたか。交付後に規定に適合しなくなる改変がなければ既存不適格と確認できる特定行政庁に処分等概要書の閲覧を請求、または台帳記載事項証明書の発行を受ける
確認済証・確認申請書の副本第三面の工事着手予定年月日から、直近の建築等の工事の着手時がわかる同等の図書(設計住宅性能評価申請書の副本など)を使える
現況調査(建築士・指定確認検査機関)検査済証がなくても、着手時の法令に適合していると確認できれば、既存不適格であることが確認できる着手時が特定できないときは、建築物の全体を現行の規定に適合させることとされる

出典:国土交通省「既存建築物の現況調査ガイドライン(第5版)」令和8年9月、同「既存建築物の活用の促進について」(2026年10月2日取得)。

注意点が2つあります。1つは、検査済証がないこと自体を違反と定めた条文は見つからなかったことです。ガイドラインは、検査済証がない場合に着手時の適合を調べる手順を示しています。もう1つは、このガイドラインが増築・改築・大規模の修繕や用途変更をしようとする場合の現況調査の手順で、売却のために作られたものではないことです。売却の場面でそのまま使えるかは、原文には書かれていません。なお、検査済証のない建築物を対象にしていた旧ガイドラインは、令和7年4月1日にこのガイドラインへ統合されています。

建ぺい率・容積率オーバーの場合

建ぺい率や容積率の超過は、違反建築と既存不適格のどちらにもなり得ます。条文は次のとおりです。

制限条文原文の内容
建蔽率建築基準法第53条第1項建築面積の敷地面積に対する割合は、地域ごとに都市計画で定められた数値(各号に定める数値)を超えてはならない
容積率建築基準法第52条第1項延べ面積の敷地面積に対する割合は、地域ごとに都市計画で定められた数値(各号に定める数値)以下でなければならない
あとから制限が変わった場合建築基準法第3条第2項・第3項第2号都市計画の決定・変更で制限が変わり適合しなくなったときは、規定を適用しない。変更前の制限に違反していた建築物には適用除外が働かない

出典:e-Gov法令検索 建築基準法(令和8年5月27日施行版、2026年10月2日取得)。第52条・第53条には防火地域内の緩和など例外の規定があり、上の表は原則の要約です。

建築した時点で数値を超えていたのなら、あとから都市計画が変わっても適用除外にはなりません(第3条第3項第2号)。建築した時点では収まっていて、あとから数値が下がったのであれば、第3条第2項が働く場合があります。増築で超えたときは、第3条第3項第3号(施行・適用の後に着手した増築)により規定が適用されます。どれにあたるかは、建築時期、増築の有無、都市計画の変更時期を確かめる必要があり、建築士や特定行政庁の窓口で調べてください。

売れるか:売るときに説明される点

取得できた建築基準法の全文には、「売買」「売却」の語が1つもなく、違反建築物や既存不適格建築物の売却を禁じる条文は見つかりませんでした。また、売れるか・いくらで売れるかは条文から分かりません。このページでは相場を示しません。条文で確かめられるのは、売るときに何が説明されるかです。

説明される点条文原文の内容
法令上の制限宅地建物取引業法第35条第1項第2号建築基準法その他の法令に基づく制限の概要を、契約が成立するまでの間に宅地建物取引士が説明する
検査済証などの保存状況同法第35条第1項第6号の2ロ、施行規則第16条の2の3既存の住宅の売買で、確認の申請書や建築基準法第7条第5項の検査済証などの書類の保存の状況を説明する
是正命令の相手建築基準法第9条第1項命令の相手に、建築主・請負人・現場管理者のほか、建築物や敷地の所有者・管理者・占有者が挙げられている

出典:e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(令和8年4月1日施行版)・同法施行規則・建築基準法(2026年10月2日取得)。

上の説明の義務は、宅地建物取引業者が売買に関わる場合の条文です。買主が住宅ローンを組めるかについては、建築基準法・宅地建物取引業法・国土交通省のガイドラインのいずれにも書かれていなかったため、このページでは書きません。買主側の金融機関に確かめる事項です。

相続した家が違反建築・既存不適格だった場合

民法第896条は、相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると定めています(一身専属のものを除く)。家を相続して所有者になった人は、建築基準法第9条第1項が命令の相手に挙げる「所有者」にあたります。実際に命令をするかどうかは特定行政庁の判断で、条文から断定はできません。

条文原文の内容この場合に関わる点
民法第896条相続人は、相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する家の所有者としての立場が相続人に移る
民法第921条第1号相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなす放棄を考えるなら、売却の前に専門家へ
民法第939条相続の放棄をした者は、初めから相続人とならなかったものとみなす放棄をすれば相続人としての承継はない

出典:e-Gov法令検索 民法(2026年10月2日取得)。

相続放棄の手続きと期間は相続放棄は自分でできる?のページ、放棄後の管理義務は相続放棄をしたあとの管理義務のページにあります。登記が未了の建物は未登記建物を相続したときのページ、建て替えができない土地は再建築不可物件のページを参照してください。

仲介で動かないときの選択肢

違反建築や既存不適格の家は、一般の仲介で買い手を探しにくい場合があります。そのようなときは、事情のある物件の買取を扱う業者に査定を頼む方法があります。ラクウルは公式サイトで、買い取れる物件の11種類に「違反建築物件」を挙げ、自社買取のため仲介手数料などの諸費用がかからないと説明しています。査定は無料で、一部対象外があるとされています。

公式サイトの買取対象の一覧に「既存不適格」という名称はなく、既存不適格の家が買取の対象になるかは公式の説明からは分かりません。査定の申込みで確かめてください。同サイトのコラムには「既存不適格建築物は売却できる?」という記事も載っています。買取価格は市場価格より低くなるのが通常です。ほかの業者も含めた選び方は空き家買取業者の選び方、ラクウルの対象物件の全体は訳アリ物件買取ラクウルの記事にあります。

よくある質問

違反建築と既存不適格は何が違いますか?

建築基準法第3条第2項は、法令の施行・適用の際に現に存する建築物がその規定に適合しなくても、その規定は適用しないと定めています。国土交通省のガイドラインは、改正や都市計画の変更で規定に適合しなくなり規定が適用されていない状態を「既存不適格」と呼んでいます。一方、第9条第1項は、建築基準法令の規定に違反した建築物について、特定行政庁が除却や使用禁止などの措置を命ずることができると定めています。ただし第3条第3項により、改正前の規定に違反していた建築物や、施行後に着手した増築・改築などには、第2項の適用除外が働きません。

検査済証がないと、違反建築になりますか?

検査済証がないことだけで違反建築物にあたるとは、取得した建築基準法の条文にもガイドラインにも書かれていません。ガイドラインは、検査済証の交付を受けていなくても、建築等の工事の着手時の法令に適合していることが現況調査で確認できれば、既存不適格であることが確認できるとしています。ただし着手時を特定できないときは、計画建築物の全体を現行の規定に適合させることとされています。このガイドラインは増築等や用途変更をする場合の手順で、売却のためのものではありません。個別の家は、特定行政庁や建築士に確かめてください。

建ぺい率や容積率をオーバーしている家は売れますか?

建築基準法第53条第1項は建蔽率を、第52条第1項は容積率を、それぞれの数値を超えてはならない(以下でなければならない)と定めています。取得した建築基準法の全文に、超過している建築物の売却を禁じる条文は見つかりませんでした。超過の理由が、建築当時は適合していたのに後から制限が変わったことなのか、建築時から超えていたのかで、第3条の扱いが分かれます。売れるか、いくらになるかは条文から分からないため、不動産会社や建築士に確かめてください。

売るとき、違反建築や既存不適格であることを買主に説明しますか?

宅地建物取引業法第35条第1項第2号は、宅地建物取引業者が、契約が成立するまでの間に、建築基準法その他の法令に基づく制限の概要を宅地建物取引士に説明させなければならないと定めています。同項第6号の2ロと同法施行規則第16条の2の3は、既存の住宅の売買で、建築基準法第7条第5項の検査済証などの書類の保存状況の説明も求めています。これは宅地建物取引業者が関わる取引の条文です。個人どうしの売買の扱いは、このページでは取り上げていません。

違反建築・既存不適格の家を、買主は住宅ローンで買えますか?

建築基準法、宅地建物取引業法、国土交通省のガイドラインのいずれにも、買主の住宅ローンの審査の扱いは書かれていませんでした。金融機関ごとに条件が異なるため、このページでは可否を書きません。買主側の金融機関、または買い手を探す不動産会社に確かめてください。

相続した家が違反建築だったとき、自分が是正命令を受けますか?

建築基準法第9条第1項は、命令の相手に、建築物の所有者、管理者、占有者を挙げています。民法第896条により、相続人は相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するため、相続で家の所有者になった人は、この「所有者」にあたります。実際に命令がされるかは特定行政庁の判断で、条文から断定できません。相続放棄をした人は、民法第939条により、初めから相続人とならなかったものとみなされます。放棄を考えるなら、売却や処分の前に弁護士か司法書士に相談してください。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の建築物について違反建築・既存不適格にあたるか、売却できるか、是正命令が出るかを示すものではありません。建築基準法の適合は特定行政庁の窓口や建築士に、相続放棄や法的な判断は弁護士・司法書士にご確認ください。サービスの内容と条件は変更される場合があるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。

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