相続手続き 読了時間:約9分

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ネット銀行・ネット証券の相続手続き|亡くなった親の口座の探し方・相続時預貯金口座照会・必要書類・貸金庫がある場合

通帳が無くても、亡くなった人のネット銀行の口座を調べる公的な仕組みはあります。ただし使えるのは、亡くなった人が生前に口座へマイナンバーを付番していた場合だけです。預金保険機構の相続時預貯金口座照会は、相続人が1人で申し込めて、手数料は1件5,060円(税込)、結果は1か月程度で郵送されます。証券口座は対象外で、株は証券保管振替機構(ほふり)の開示請求で調べます。結果に出なかったからといって、口座が無いとは限りません。

探したいもの手がかり照会先
ネット銀行など、通帳の無い預貯金口座取引のお知らせのメール、郵便物、スマホのアプリ、確定申告書の控え、他の口座に残る振込・引落しの記録手がかりのある銀行に直接。手がかりが無いときは、預金保険機構の相続時預貯金口座照会(付番済みの口座だけ)
ネット証券など、証券会社の口座取引報告書や配当のお知らせ、メール、アプリ、確定申告書の控え手がかりのある証券会社に直接。手がかりが無いときは、ほふりの開示請求
貸金庫鍵、専用カード、契約書類、利用料の引落し契約している銀行の窓口。取扱いは銀行によって異なる

預金保険機構、デジタル庁、全国銀行協会の案内から作成(2026年10月3日取得)。手がかりの欄は、探すときの目安です。

自分はどの場合に当てはまるか

口座があるかを探す手がかり

通帳が無くても、取引の記録はメールや郵便物、スマホの中などに残っていることがあります。公的な照会に進む前に、次を見ておきます。

手がかり分かること注意
メール・郵便物取引のある金融機関名。残高や取引のお知らせ、年間の取引報告書などメール内のリンクは開かず、金融機関名だけを控える
スマホ・パソコンのアプリやブックマーク使っていた金融機関名ログインや操作はせず、名前の確認にとどめる。本人以外の利用の扱いは各社の規約による
他の口座の記録給与・年金・カードの引落し・振込で出入りのあった口座金融機関名と口座の番号を控えておく
確定申告書の控え利子や配当を受けた金融機関申告していない年は載らない
相続時預貯金口座照会付番済みの預貯金口座の所在付番していない口座は出ない(節3)

探すときの目安として作成(2026年10月3日)。公的な照会の制度は節3に書きました。

手がかりのある金融機関が見つかったら、その金融機関に亡くなったことを申し出て、相続の手続きの案内を受けます。全国銀行協会の流れでは、この申し出が最初の手順です(節5)。

手がかりが無いとき:相続時預貯金口座照会

口座管理法(預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律)は、2024年4月1日に施行されました(同法施行令附則)。8条1項で、相続人は預金保険機構に対し、全ての金融機関が管理する被相続人名義の預貯金口座について、金融機関と店舗の名称、預貯金の種別と口座番号の通知を求められるとしています。預金保険機構が全ての金融機関に被相続人のマイナンバーを通知し、金融機関は、口座を管理しているときはその事項を、管理していないときはその旨を答えます(8条3〜5項)。

項目内容注意
誰が申し込むか相続人(包括受遺者を含む)または代理人等相続人のうち1名でよく、他の共同相続人の同意は不要。連名での申込みはできない
調べられる口座被相続人が生前にマイナンバーを付番した預貯金口座。死後10年までの照会が対象付番していない口座は出ない。一部手続きの対象外となる金融機関がある
どこで申し込むか預金保険機構が受付を委託している金融機関。取引のない金融機関でも申し込める窓口・電子的手段・郵送の別は委託先ごとに決まる。マイナポータルからは申し込めない
手数料と期間申込み1件につき5,060円(税込)。申込みから結果の通知まで1か月程度受付後の取消し・訂正・変更は原則できない。被相続人が複数のときは、1人ごとに申し込む
結果の届き方金融機関名、支店名、預貯金の種類、口座番号などが、転送不要の簡易書留で届く。残高は含まれない申込み後に転居すると転送されず、再度の申込みと手数料が要る

預金保険機構「相続時預貯金口座照会のお申込みにあたって」「相続時預貯金口座照会利用規定」、デジタル庁「よくある質問:預貯金口座付番制度について」、口座管理法8条から作成(2026年10月3日取得)。

なぜ「生前に付番していた口座」だけなのか

付番は、預貯金者が自分の意思で、金融機関またはマイナポータルからマイナンバーを届け出て行うものです。本人の届出なく付番されることはありません(デジタル庁)。給付金などの受け取りに登録する公金受取口座とは別の制度で、公金受取口座を登録していても、預貯金口座の付番はされません。亡くなった人が付番の手続きをしていなければ、照会しても口座は出てきません。

申込みに要る書類

亡くなった人のマイナンバーは要りません。預金保険機構が、書類に載った氏名・住所・生年月日をもとに住基ネットから取得します。この3点は、確認書類の記載のとおりに申込書へ書きます。表記が違うと、マイナンバーが取れず、「手続きを完了できなかった」という通知になることがあります。戸籍の集め方は相続の戸籍謄本の集め方、一覧図の取り方は法定相続情報一覧図の取り方にあります。

結果を待つあいだの期限

民法915条1項は、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純承認・限定承認・放棄のいずれかをするとしています。同条2項は、その前に相続財産の調査ができるとしています。照会の結果が届くまでは1か月程度かかるため、借金があるかもしれないときは、放棄の期限も同時に進んでいることを頭に置いてください。手続きは相続放棄は自分でできる?にあります。

証券口座は照会の対象外

口座管理法でいう「金融機関」は、預金保険法2条1項に挙がる銀行・長期信用銀行・信用金庫・信用協同組合・労働金庫・各連合会・商工組合中央金庫と、農水産業協同組合です(口座管理法2条1項)。「預貯金」も、預金や貯金です。証券会社は含まれないため、ネット証券の口座は相続時預貯金口座照会では出ません。

証券会社の口座を調べるのは、ほふりの登録済加入者情報の開示請求です。費用と期間、必要書類は相続した株の手続きに任せ、ここでは繰り返しません。照会先が分かれることだけ押さえてください。

調べるもの照会する先対象になる条件
預貯金口座預金保険機構(相続時預貯金口座照会)被相続人が生前に付番していた口座
株などの振替株式等の口座ほふり(開示請求)付番は関係しない

口座管理法2条、預金保険法2条、預金保険機構の案内から作成(2026年10月3日取得)。ほふりの開示請求の内容は、相続した株の手続きの記事にあります。

見つかった口座の手続きの流れと書類

預金の相続の流れについて、全国銀行協会は次の4つの手順を示しています。相続の方法や内容、取引金融機関によって取扱いが異なる場合があると、同じページに書かれています。

手順やること気をつけること
1. 申出取引金融機関に、口座の名義人が亡くなったことを申し出る申し出と同時に、口座の入出金などは原則として制限される
2. 必要書類の準備遺言書の有無、遺産分割協議書の有無などで必要な書類が変わる戸籍謄本・印鑑証明書などが基本。金融機関ごとに異なる場合がある
3. 書類の提出金融機関所定の相続手続書類に記入し、相続人が署名捺印して提出する書類は金融機関の数だけ出す
4. 払戻し等提出後に、金融機関で払戻しなどの手続きが行われる日数がかかる場合がある

全国銀行協会「預金相続の手続の流れ」「預金相続の手続に必要な書類」から作成(2026年10月3日取得)。

ネット銀行やネット証券で、申出や書類の提出をWebや郵送で受け付けるか、どの書類が要るかは、金融機関によって異なります。全国銀行協会の案内も「取扱いは金融機関により異なる」までで、各社の取扱いは書かれていません。口座が見つかった金融機関の、相続の案内ページで確認します。

遺産分割が終わる前でも、各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち、相続開始の時の債権額の3分の1に自分の法定相続分を乗じた額まで、単独で払戻しを請求できます(民法909条の2。債務者ごとに法務省令で定める額が上限)。金額の出し方と手順は亡くなった人の銀行口座の凍結と解除にあります。

貸金庫がある場合

貸金庫は、銀行内の小さな金庫を有料で貸すサービスです。全国銀行協会によると、開閉は専用カード、鍵、暗証番号などの方法で借りた本人だけが行い、銀行員が勝手に開けることはできません。実際のサービスの内容や取扱いは銀行によって異なるとされています。亡くなった人が借りていた貸金庫を相続人が開ける手続きの共通の書類や流れは、取得できた原文に見当たらないため、ここでは書きません。

場面手がかり次にすること
貸金庫があるか分からない鍵や専用カード、契約書類、通帳に残る利用料の引落し見つかったものに書かれた銀行・支店名を控える
貸金庫があると分かった契約した銀行・支店その銀行に、貸金庫の契約者が亡くなったことを申し出て、開ける手続きの案内を受ける
貸金庫を開けた中身(通帳、証券、権利証、現金など)遺産分割や相続税の申告のために、中身を一覧にして控える

全国銀行協会「「貸金庫」は身近で便利なサービス!」から作成(2026年10月3日取得)。「次にすること」の欄は、上の案内を受けた一般的な進め方の目安です。

口座や貸金庫が複数の銀行にまたがると、申し出と書類の提出は、その銀行の数だけ繰り返すことになります。

よくある質問

通帳もキャッシュカードも見つからず、ネット銀行を使っていたかも分かりません。公的に調べる方法はありますか?

預貯金については、預金保険機構の相続時預貯金口座照会があります。相続人が申し込むと、亡くなった人名義の預貯金口座のうち、生前にマイナンバーを付番していたものの所在(金融機関名、支店名、預貯金の種類、口座番号)が郵送で通知されます。手数料は1件5,060円(税込)、結果が届くまで1か月程度、死後10年までの照会が対象です。付番していなかった口座は通知に出ません。証券口座は対象外で、株は証券保管振替機構(ほふり)の開示請求で調べます。

相続時預貯金口座照会で「該当口座なし」と出ました。口座は無いということですか?

そうとは限りません。預金保険機構の利用規定は、「該当口座なし」には、口座は存在するが付番が完了していない場合と、照会を行った期間内に金融機関から回答がなかった場合も含まれるとしています。また、照会結果は口座の有無や相続する口座を証明するものではないとされています。通知が無かった金融機関に心当たりがあるときは、その金融機関に直接、相続の手続きを申し出て確認します。

相続人が何人かいます。照会は全員でしないといけませんか?

全員は要りません。デジタル庁のよくある質問は、相続人のいずれか1名で照会を行うよう案内しています。預金保険機構の資料も、照会できるのは相続人等で、他の共同相続人の同意は不要としています。連名での申込みは受け付けられません。

照会の手数料は、結果が「該当口座なし」でも返ってきませんか?

原則として返金されません。預金保険機構の資料には、お申込み受付後は、預貯金口座に付番されていないなどの理由で金融機関から該当口座がない旨の結果通知を受けた場合を含め、原則として手数料を返せないと書かれています。例外は、預金保険機構が亡くなった人のマイナンバーを確認できず、通知ができない場合で、委託先の金融機関を通じて返金されます(振込手数料相当額が差し引かれることがあります)。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案の判断は、取引先の金融機関、預金保険機構、司法書士などにご確認ください。

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