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残置物が残った家は片付けずに売れる?売主の責任と買取の選び方

残置物が残った家を片付けずに売る道は、買取業者に現状のまま売る方法と、残置物の扱いを契約で決めて仲介で売る方法の2つです。どちらでも、売主の責任の基準になるのは民法562条の「契約の内容に適合しているか」で、残った家財をどう扱うかを契約に書いてあるかどうかが出発点になります。ここでは、民法・宅地建物取引業法・区分所有法の条文、国土交通省の解釈資料、ラクウルの公式サイトの記載で、売る前に決めておくことと、マンションの場合、買取業者に売る場合を整理します。

片付けずに売る方法は2つ

残置物は、売主が家の中に残した家具・家電・衣類などの家財です。家と土地を売る約束をしただけでは、中に残った家財をどうするかまでは決まりません。民法555条は、売買を「当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約すること」で成り立つ契約と定めています。何を移転する約束なのか、残置物が含まれるのかは、契約の書き方で決まります。

方法残置物の扱い注意
片付けてから売る売主が引渡しまでに撤去する撤去の費用と手間は売主持ち。頼み先ごとの費用は別の記事にまとめています
残したまま仲介で売る引渡しまでに売主が撤去するか、買主が処分するかを契約で決める決めずに引き渡すと「撤去されているはず」「処分してもらえるはず」という食い違いのもとになる
買取業者に現状のまま売る業者が残置物ごと引き取る事例が公式サイトに載っている撤去費用が買取額にどう反映されるかは、公式サイトに記載がない

買取業者の欄は、ラクウル公式サイト(2026年10月2日確認)の記載による整理です。

売主の責任の基準は「契約の内容」

引き渡したあとの売主の責任を定めているのが、民法562条以下の契約不適合責任です。どの条文も基準は「契約の内容に適合しているか」で、残置物が残っていることが責任につながるかどうかも、契約に何が書かれているかで決まります。

条内容残置物がある家では
562条引き渡された物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないとき、買主は修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しによる追完を請求できる契約で決めた引渡しの状態と食い違えば、追完を求められることがある
563条追完がされないとき、買主は不適合の程度に応じて代金の減額を請求できる代金の減額を求められることがある
564条損害賠償の請求(415条)や解除(541条・542条)も妨げない損害賠償や解除に進むこともある
566条買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、請求できなくなる。ただし、売主が引渡しの時に不適合を知り、または重大な過失で知らなかったときは別引渡しの時に分かっていたことは、この期間の制限では守られない

出典:e-Gov法令検索 民法562条〜564条・566条。「残置物がある家では」の列は、条文の基準を当てはめた整理で、個別の事案の結論を示すものではありません。

たとえば、契約で「残置物は売主が引渡しまでに撤去する」と決めたのに残っていれば、契約の内容と食い違います。「現状のまま引き渡し、買主が処分する」と決めて、そのとおりに引き渡したのであれば、残っていること自体は契約の内容の一部です。条文から言えるのは、基準が「契約の内容」だということまでで、残置物を残せば責任が生じる、とも、残しても生じない、とも決まりません。どちらになるかは契約書の文言と事情によるため、弁護士や、媒介を頼む不動産会社にご相談ください。

不動産会社が間に入るときの書面

宅地建物取引業者の媒介で売買が成立したとき、業者は契約の各当事者に書面を交付します。担保責任(契約不適合責任)の内容について定めがあるときは、その内容を書面に記載することが、宅地建物取引業法37条1項11号に定められています。

国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」には、当事者の双方が写真や告知書等をもとに既存住宅の状況を客観的に確認し、その内容を価格交渉や担保責任の免除に反映した場合等は、法的にも契約の内容を構成していると考えられるとして、書面に記載して差し支えないという趣旨の記載があります(第37条第1項第2号の2関係)。残置物にそのまま当てはまると書かれているわけではありませんが、残置物の状態を写真と書面で買主と確認し、契約に反映させる進め方は、同じ方向です。

同じ資料は、売主しか分からない事項について告知書を提出してもらい買主に渡すことを、積極的に行うことが望ましいとしています。その際は、告知書が売主の責任の下に作成されたものであることを明らかにするとも書かれています。売主が知り得る範囲を、正直に書くことになります。

「現状渡し」と書けば責任はなくなるのか

2026年10月2日にe-Govの全文で確認した範囲では、民法・宅地建物取引業法・区分所有法・消費者契約法に、「現状渡し」「現状有姿」という言葉は出てきません。国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の全文にもありません。

民法483条の見出しに「現状による引渡し」という言葉がありますが、これは、契約や社会通念に照らして引渡しの時の品質を定めることができない特定物について、引渡しの時の現状で引き渡さなければならないという債務の履行の規定です。売買契約書の「現状渡し」の一文が何を免除するのかを、この条文が定めているわけではありません。

責任を負わない旨の特約については、民法572条が「担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない」と定めています。売主が家の不具合を知っているのに、残置物があることを理由に告げずにいれば、この条文の対象になりえます。免責特約の仕組みは、契約不適合責任の免責特約とはで整理しています。

片付けてから売る場合

売主が撤去して引き渡す場合は、残置物の扱いで食い違いが生じにくくなります。一方で、撤去の費用と手間は売主が負います。遺品整理業者・不用品回収業者・市区町村の粗大ごみ・自分で片付けるの4通りの費用の目安と、見積もりのあとに起きることは、空き家の片付けは誰に頼む?にまとめています。

片付けの見積もりと、買取業者への査定を並べて比べると、残置物の処分にいくらかかるかが見えます。仲介で買い手がつかない家の選択肢は田舎の空き家・土地が売れない場合の対処法5選、査定を複数社で取る理由は不動産の売却価格査定の仕組みと複数社比較が重要な理由にあります。

マンションの場合

マンションの売買で売る対象は、専有部分(区分所有権の目的となる建物の部分、区分所有法2条3項)と、それに付く共用部分の持分です。区分所有法15条1項は、共用部分の持分は専有部分の処分に従うと定めています。共用部分は、専有部分以外の建物の部分などをいいます(同法2条4項)。

ラクウルの買取事例には、「エレベーターなし・3階部分。特殊清掃・残置物撤去を含め、現状のまま買い取りました」というマンション(千葉県)が載っています(2026年10月2日確認)。これは一つの事例で、同じ状況のマンションが必ず同じ条件で買い取られるという意味ではありません。

買取業者に現状のまま売る場合

残置物の片付けが重い家は、買取業者に査定を取ると選択肢が増えます。ラクウルが公式サイトに書いている内容は次のとおりです(2026年10月2日に確認)。

公式サイトのトップ・よくある質問・買取の流れ・買取事例を読んだ範囲では、残置物の撤去費用が買取額に含まれるのか、別に請求されるのかは書かれていませんでした。査定のときに確認してください。

契約不適合責任が「免除」される場合でも、民法572条のとおり、知りながら告げなかった事実の責任は特約で消せません。残置物の中身や、家の不具合で知っていることは、査定のときに伝えます。買取業者の選び方は空き家買取業者の選び方、売れない理由が値段ではなく条件にある家の買取対象は訳アリ物件買取ラクウルとはで整理しています。

売りに出す前に整理する3点

  1. 残置物の量と中身を写真で残す。撤去するのか、買主や買取業者に任せるのかを決める前に、状態を記録します。後で食い違いが出たときの確認にもなります。
  2. 誰に売るかで、決めることが変わる。仲介で個人に売るなら契約書に残置物の扱いを書き、買取業者に売るなら、残置物の撤去費用の扱いを査定のときに聞きます。
  3. 知っている不具合は書き出して、伝える。雨漏りの跡、設備の故障、近隣との取り決めなど、売主が知っていることです。免責の特約をしても、知りながら告げなかった事実の責任は消えません(民法572条)。

よくある質問

残置物が残ったままの家を売ることはできますか?

買取業者のラクウルは、公式サイトのよくある質問で「室内に物が残っている物件や不要なものが放置されている物件でも問題ありません」と答えています。買取事例にも、室内が大量の残置物で埋まった千葉県の戸建てを現状のまま買い取った例が載っています。不動産会社の仲介で売る場合は、残置物を誰がいつまでに処分するかを売買契約で決めたうえで売ります。

残置物を残したまま引き渡すと、契約不適合責任を問われますか?

民法562条が基準にしているのは、引き渡した物が「契約の内容に適合しているか」です。契約で「売主が引渡しまでに撤去する」と決めたのに残っていれば、契約の内容と食い違うことになります。「現状のまま引き渡し、買主が処分する」と決めて、そのとおりであれば、残っていること自体は契約の内容の一部です。個別の事案でどう判断されるかは、弁護士や、媒介を頼む不動産会社にご相談ください。

「現状渡し」と契約書に書けば、売主は責任を負いませんか?

民法・宅地建物取引業法・区分所有法・消費者契約法の条文の全文に、「現状渡し」「現状有姿」という言葉は出てきません(2026年10月2日にe-Govの全文で確認)。そのため、書いたことで何の責任がなくなるのかは、契約書の文言と契約の内容で決まります。さらに民法572条は、責任を負わない特約をしても、売主が知りながら告げなかった事実の責任は免れないと定めています。

マンションの部屋に家財が残っている場合も、同じ考え方ですか?

専有部分(部屋の中)に残った家財は、戸建てと同じく、売買契約でどう扱うかを決めます。売主の責任を定める民法562条以下の条文も同じです。共用部分は専有部分以外の建物の部分(区分所有法2条4項)なので、廊下などに置いてある物の扱いは、売買契約とは別に、管理規約と管理組合に確認が必要です。

残置物の撤去費用は、買取の査定額にどう反映されますか?

ラクウルの公式サイトのトップ・よくある質問・買取の流れ・買取事例には、撤去費用が買取額に含まれるのか、別に請求されるのかの記載がありません。公式サイトは、特殊清掃・遺品整理・残置物の撤去まで「まとめてお任せいただけます」としています。金額の扱いは、査定のときに確認してください。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案で売主の責任がどうなるかは、媒介を頼む不動産会社や弁護士にご確認ください。

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