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親名義の家を子どもが売るには|委任状で売れるか・親が元気なら本人の意思・売ったお金と税金は誰のものか・贈与になるか
親名義の家の売主は、所有者である親です。親が売る意思を示せるうちは、親本人が契約するか、親から委任を受けた子が代理人として契約します(民法第99条・第643条)。代理権のないまま子が契約すると、親が追認しなければ親に効力は生じません(第113条)。売ったお金も、譲渡所得の税金も、売主である親のものです。
このページは、親が元気で、親名義の家を子どもが動いて売りたい方向けです。親が認知症のときは親が認知症で家を売りたいときのページに、親が亡くなった後は相続した親の家を売る・貸す・残すのページに任せ、ここでは「委任で売れるか」と「代金と税金は誰のものか」を原文で確かめます。
親が元気なら、誰が売主になるか
民法第206条は、所有者は、法令の制限内で、自由にその所有物の使用、収益および処分をする権利を有すると定めています。親名義の家を売るかどうかを決めるのは、所有者の親です。子が関わる方法は、次の3つに分かれます。
| 方法 | 根拠 | 確かめること |
|---|---|---|
| 親が売主として契約する(子は付き添う) | 民法第206条 | 親が売買の意思を示せること |
| 子が代理人として契約する(委任) | 民法第99条・第643条 | 親の委任があること、委任状の書式 |
| 委任がないまま子が親の代理人として契約する | 民法第113条第1項・第117条 | 親が追認しなければ親に効力は生じない |
出典:e-Gov法令検索 民法(令和8年6月24日施行版、2026年10月2日取得)。
委任状の書式や、不動産会社が親本人の意思をどう確かめるかは、条文に書かれていません。会社ごとに違いますので、売る前に不動産会社へ確かめてください。
委任状と登記|親が亡くなったら委任はどうなるか
売買で所有者が変わると、法務局で所有権移転の登記をします。代理人が申請するときの決まりは、次のとおりです。
| 条文 | 原文の内容 | 親名義の家で関わる点 |
|---|---|---|
| 不動産登記令第7条第1項第2号 | 代理人によって登記を申請するときは、代理人の権限を証する情報を提供する | 委任状が要る |
| 不動産登記令第18条 | 委任による代理人の権限を証する書面に、申請人が記名押印し、印鑑証明書(作成後3月以内)を添える | 親の押印と印鑑証明書が要る |
| 不動産登記法第24条第1項 | 申請人以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があるとき、登記官は申請の権限の有無を調査する | 親本人の意思が問われる |
出典:e-Gov法令検索 不動産登記令(令和8年5月21日施行版)・不動産登記法(令和8年6月24日施行版)、2026年10月2日取得。
委任は、委任者の死亡で終わります(民法第653条第1号)。売買契約や登記の前に親が亡くなると、子が受けていた委任は終了し、家は相続の手続に移ります。委任状を渡した後で親の状況が変わった場合の扱いは、不動産会社と司法書士に確かめてください。
親が認知症になり、意思表示ができなくなった場合、民法第3条の2は、その時の法律行為を無効としています。成年後見人を選んで売る流れは別のページにまとめています。
売ったお金は誰のものか|贈与になるか
民法第555条は、売買を、財産権を移転することを約し、相手方がその代金を支払うことを約する契約と定めています。親名義の家の売主は親ですので、代金を受け取る権利は親にあります。子が代理人として代金を受け取る場合も、民法第646条第1項は、受任者に、受け取った金銭を委任者に引き渡す義務を課しています。
代金を子が受け取って自分のものにしたとき、贈与にあたるかは、次の原文が手がかりです。
| 出典 | 原文の内容 | 関わる点 |
|---|---|---|
| 相続税法第9条 | 対価を支払わないで、または著しく低い価額の対価で利益を受けた場合は、利益を受けた者が、利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなす | 親の代金を子が対価なく得ると、贈与とみなされるおそれ |
| 国税庁 No.4402 | 1年間に贈与を受けた財産の合計が110万円以下なら贈与税はかからない(暦年課税) | 代金が110万円を超えるとき |
| 国税庁 No.4405 | 扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で通常必要と認められるものは非課税。必要な都度直接充てるものに限る | 預金や不動産の買入資金に充てると課税される |
出典:e-Gov法令検索 相続税法(令和8年4月1日施行版)、国税庁 タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)、2026年10月2日取得。
子が受け取った代金が、実際に贈与にあたるかは、親が代金を子に渡す意思があるか、いくらか、何に使うかなど、個別の事情で変わります。このページでは断定しません。代金の受け取り先を親の口座にするか、子の口座にするかは売買契約書に関わる事項ですので、不動産会社と税理士に確かめてください。
税金は誰にかかるか|譲渡所得と3,000万円控除
所得税法第33条第1項は、譲渡所得を、資産の譲渡による所得と定めています。資産を譲渡したのは売主の親ですので、譲渡所得の対象になるのも親です。国税庁No.3202は、計算を、売った金額(収入金額)から取得費と譲渡費用を差し引くものと説明しています。
| 国税庁の項目 | 原文の内容 | 親名義の家の場合 |
|---|---|---|
| No.3202 計算 | 収入金額から取得費と譲渡費用を差し引く。取得費が分からないときは譲渡価額の5パーセントを取得費にできる | 親が買った時の書類を探す |
| No.3202 長期・短期 | 譲渡した年の1月1日で所有期間が5年を超えると長期。相続や贈与で取得したものは、被相続人や贈与者の取得日から数える | 親が買った日からの期間で区分 |
| No.3302 売る家 | 現に自分が住んでいる家屋、または以前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合) | 売主である親が住んでいた家か |
| No.3302 売る相手 | 親子や夫婦など特別の関係がある人に売ったものでないこと | 子が買う場合は対象外 |
出典:国税庁 タックスアンサー No.3202・No.3302(令和8年4月1日現在法令等)、2026年10月2日取得。
No.3302 は、条件に当てはまると譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。親名義で子だけが住んでいた家のように、売主の親が住んでいたかが分からない場合の扱いは、原文の範囲では判断できません。申告の前に税務署か税理士に確かめてください。相続した後に売る場合の控除は空き家の3,000万円特別控除のページにあります。
親の家を手放したいときの窓口
売る家の価格を知りたいときは、買取専門業者の査定を使う方法があります。ラクウルの公式サイトのよくある質問には、査定は無料との説明があります。「人が住んだままでも売買できますか?」への答えは「はい、問題ありません」、「相続前でも相談できますか?」への答えも「はい、問題ありません」です。
親が存命の家を子が相談できるか、委任状が要るか、「相続前」にどこまで含まれるかは、公式サイトに書かれていません。親名義の家は、売主の親の意思が前提ですので、親と話をしたうえで、査定の申込みで確かめてください。買取価格は、仲介で売る市場価格より低くなるのが通常です。ほかの業者を含めた選び方は空き家買取業者の選び方にあります。
親が元気なうちに、財産を親から子へ移す方法は、不動産を親から子へ生前贈与したときの税金と家族信託の費用のページにあります。
よくある質問
親に黙って、親名義の家を売れますか?
親の委任がないまま、子が親の代理人として契約した場合、民法第113条第1項は、本人(親)がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じないと定めています。民法第117条は、代理権を証明できず本人の追認も得られなかった代理人が、相手方の選択に従って履行または損害賠償の責任を負うと定めています。親の同意を得たうえで、委任の形を残してください。
委任状があれば、親が売買の場に来なくても売れますか?
民法第99条は、代理人が権限内で本人のためにすることを示した意思表示は本人に直接効力を生ずると定めています。親が来なくても代理人の契約が成立する余地はありますが、不動産会社や司法書士が親本人の意思をどう確かめるかは条文に書かれておらず、会社ごとに違います。登記では、委任による代理人の権限を証する書面に申請人が押印し、印鑑証明書を添える決まりがあり(不動産登記令第18条)、登記官は申請人以外が申請していると疑う理由があれば本人確認の調査をします(不動産登記法第24条)。
売ったお金は、子どもが受け取ってよいですか?
民法第555条は、売買を、財産権を移転することを約し、相手方がその代金を支払うことを約する契約として定めています。親名義の家の売主は親ですので、代金は親のものです。子が親の代理人として代金を受け取った場合は、民法第646条第1項により、受け取った金銭を委任者である親に引き渡す義務があります。子が自分のために使うと贈与にあたるかは、個別の事情によります(このページの「売ったお金は誰のものか」の項を参照)。
親が住んでいた家を売るとき、3,000万円控除は使えますか?
国税庁タックスアンサーNo.3302は、売った資産が「現に自分が住んでいる家屋」または「以前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合)」であること、親子や夫婦など特別の関係がある人に売ったものでないことなどを要件に挙げています。この「自分」は売った人、つまり売主の親です。親が住まなくなって3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るか、買い手が子ではないかを確かめてください。親名義で子だけが住んでいる家は、原文の範囲では判断できません。
親が亡くなったら、委任状はどうなりますか?
民法第653条第1号は、委任者または受任者の死亡を委任の終了事由に挙げています。親が亡くなると、子が受けた委任は終わります。その後は相続の手続になり、売却は相続人が行います。売る・貸す・残すの判断と税金は、相続した親の家のページにまとめています。
親が認知症になったら、子が代わりに売れますか?
民法第3条の2は、法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とすると定めています。成年後見人を選び、居住用の家は家庭裁判所の許可を得て売る流れは、別のページに原文でまとめています。
参考・出典
- e-Gov法令検索 民法(第3条の2・第99条・第113条・第117条・第206条・第555条・第643条・第646条・第653条)
- e-Gov法令検索 所得税法(第33条)
- e-Gov法令検索 相続税法(第9条)
- e-Gov法令検索 不動産登記法(第24条)
- e-Gov法令検索 不動産登記令(第7条・第18条)
- 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)
- 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例
- 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
- 国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
- 空き家買取専門ラクウル公式サイト よくある質問
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の売却について委任の有効性・贈与税の有無・控除の可否を示すものではありません。契約と委任状は不動産会社・弁護士に、登記は法務局・司法書士に、税金は税務署や税理士にご確認ください。サービスの内容と条件は変更される場合があるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。