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亡くなった親の名義のまま家を売れる?相続登記が先に要る理由・売る予定でも3年の期限は進むか・遺産分割の前の共有登記・売るまでの順番
買主への登記は、売主と買主の共同申請で、売主側の登記義務者になれるのは登記名義人だけです(不動産登記法60条・2条13号)。名義が亡くなった親のままの家では、相続人はまだ登記名義人ではありません。法務省のQ&Aは、相続した不動産を売却するような場合には相続登記をする必要がある、と書いています。売るつもりだからといって、相続登記の3年の期限が延びるという定めは、条文にありません(76条の2第1項)。遺産分割がまとまらないときは、法定相続分で共有の登記をする方法がありますが、共有の家の全体を売るには共有者全員の関わりが要ります。
| 問い | 原典の答え | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 親の名義のまま売れるか | 売主側の登記義務者は登記名義人(2条13号)。相続人は名義人ではない。法務省は「売却するような場合には相続登記をする必要がある」 | 登記事項証明書の名義人と共有者 |
| 売る予定でも期限は進むか | 知った日から3年以内(76条の2第1項)。売却予定の例外は条文に無い | 相続を知った日 |
| 遺産分割の前に売れるか | 全員が法定相続分で共有(法務省Q&A)。法定相続分での相続登記の手続は法務局のハンドブックにある | 共有者全員が売る意思か |
| 売るまでの順番 | 名義の整理、売却先、買主との共同申請(60条・22条) | 司法書士に頼む範囲 |
e-Gov法令検索 不動産登記法、法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(令和7年3月27日現在)、法務局「登記手続ハンドブック」(2026年10月3日取得)。条文に書かれていない手順や費用は載せていません。
自分はどの場合に当てはまるか
- 親が存命で、親名義の家を子どもが売る:親名義の家を子どもが売るページにあります。
- 名義が祖父のまま、親も亡くなっている:数次相続の不動産登記のページにあります。
- 相続登記の手続と費用が知りたい:相続登記を自分でやる方法のページと、相続登記の費用の相場のページにあります。
- 登記の住所が、亡くなった親の最後の住所とつながらない:住所がつながらないときのページにあります。
- 遺産分割の話合いがまとまらない:遺産分割調停のページにあります。
- 売る時期の期限(相続税・取得費加算・3,000万円特別控除)が気になる:相続した家を売るタイミングのページにあります。
- 売る人が遠方に住んでいる:遠方の実家を現地に行かずに売るページにあります。
名義が亡くなった親のままで、買主に名義を移せるのか
買主に名義を移す売買の登記は、権利に関する登記です。条文の並びは次のとおりです。
| 条文 | 書かれていること | 名義が親のままだと |
|---|---|---|
| 60条 | 権利に関する登記の申請は、登記権利者と登記義務者が共同してする | 売主側にも申請人が要る |
| 2条11号・13号 | 登記名義人は、登記記録の権利部に権利者として記録されている者。登記義務者は、登記上直接に不利益を受ける登記名義人 | 記録されているのは亡くなった親。相続人は名義人ではない |
| 25条7号 | 申請情報の内容である登記義務者の氏名や住所が登記記録と合致しないとき、登記官は申請を却下する | 登記記録と違う人の名前では申請できない |
| 22条 | 共同申請では、登記義務者の登記識別情報を提供する。提供できない正当な理由があるときは別 | 名義人となった人に通知された情報 |
出典:e-Gov法令検索 不動産登記法2条・22条・25条・60条(施行日2026年6月24日、2026年10月3日取得)。
- 法務省の案内:相続人申告登記は不動産の権利関係を公示するものではなく、相続した不動産を売却したり、抵当権の設定をしたりするような場合には、相続登記をする必要があると、Q&Aに書かれています。
- 書かれていないこと:名義が親のままで、相続人を売主とする売買の登記ができる、と読める条文や案内は、取得した原典にありませんでした。相続登記と売買の登記を続けて、または同時に申請する方法も、原典にないため載せません。
- 名義の確認:登記記録の内容は、誰でも手数料を納付して登記事項証明書で確かめられます(119条1項)。名義人が誰か、共有者が誰かは、売る前に必ず確かめます。
売る前に、名義をどの形にするのか
相続登記の形は、遺産分割がどこまで進んでいるかで分かれます。登記の書き方と必要書類は、各ページに任せ、ここでは売るときの注意点だけを並べます。
| 状況 | 名義の形 | 売るときの注意 |
|---|---|---|
| 遺産分割が済み、家を取得する人が決まった | 取得した人の名義にする相続登記 | 売主はその人。分割から3年以内の登記(76条の2) |
| 遺産分割が済んでいない | 法定相続分で共有の登記 | 売主が複数。共有者全員の関わりが要る |
| 相続人申告登記だけをした | 名義は親のまま | 売却するには相続登記が必要(法務省) |
出典:不動産登記法76条の2、法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」、法務局「登記手続ハンドブック」相続登記②(法定相続編)令和8年4月。
相続による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請できます(63条2項)。売る前に代表者1人の名義にするか、共有のまま売るかの比べ方と、売って代金を分ける流れは、換価分割のページにあります。
売るつもりなら、相続登記の3年の期限は止まるのか
売る予定があっても、相続登記の期限の扱いは変わりません。条文と法務省のQ&Aの並びは次のとおりです。
| 場面 | 期限 | 出典 |
|---|---|---|
| 相続で取得したことを知った | 知った日から3年以内 | 76条の2第1項、法務省Q&A |
| 令和6年4月1日より前に知り、登記が済んでいない | 令和9年3月31日まで | 法務省Q&A |
| 法定相続分で登記した後、遺産分割で相続分を超えて取得した | 遺産分割の日から3年以内 | 76条の2第2項 |
出典:e-Gov法令検索 不動産登記法76条の2、法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(令和7年3月27日現在)。
- 過料:正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です(164条1項)。法務省のQ&Aでは、登記官の催告、裁判所への通知、裁判所の判断の順に進みます。
- 正当な理由:法務省のQ&Aが「一般に認められる」と挙げる例は、相続人が極めて多数で戸籍の収集などに時間がかかる場合、遺言の有効性や遺産の範囲が争われている場合、本人の重病、配偶者暴力の被害、経済的な困窮の5つです。売却の予定は、この例に入っていません。
- 期限と売却の順番:売却の予定を理由に期限が延びる、という条文は見当たりません。期限や過料の全体は相続登記の義務化のページにあります。
遺産分割の前に、法定相続分の共有で売れるのか
相続人が数人いるとき、相続財産は共有で、持分は法定の相続分です(民法898条)。法務省のQ&Aも、遺産分割をしていない間は、すべての相続人が法定相続分の割合で不動産を取得した状態になる、としています。
- 法定相続分での相続登記:法務局のハンドブックに申請の手続があります。複数の相続人のうち一人が申請人になって申請することもできますが、申請人とならなかった相続人には、登記識別情報は通知されません。
- 売るときの識別情報:売買の登記では、登記義務者の登記識別情報を提供します。通知されなかったなど提供できない正当な理由があるときは、登記官が登記義務者に事前通知をします(22条・23条1項)。
- 家の全体を売る同意:民法251条1項の語は「変更」で、「売却」とは書かれていません。共有の家の全体を売る同意の考え方は、共有持分は売却できるかのページにあります。
- その後の分割:法定相続分で登記した後に遺産分割で相続分を超えて取得した人は、分割の日から3年以内に登記を申請します(76条の2第2項)。
売るまでの順番は、どうなるのか
条文と案内の並びから整理した順番です。法令がこの順に手続をせよと定めているわけではありません。
- 名義を確かめる:登記事項証明書で、登記名義人と共有者を確認します。祖父名義が残っていれば数次相続のページの場面です。
- 相続人を確かめ、遺産分割を進めるかを決める:戸籍の集め方は相続の戸籍の集め方のページ、協議書は遺産分割協議書のページにあります。
- 名義を相続人に移す:相続登記をします。遺産分割が済んでいなければ、法定相続分での共有の登記が選択肢です。
- 売却先を決める:仲介か買取かの比べ方は売る・貸す・残すの選び方のページにあります。
- 買主への登記を共同で申請する:登記義務者は売主、登記権利者は買主です(60条)。売主の登記識別情報を提供します(22条)。
- 売ったお金を分ける:換価分割のページと、税金は家を売る税金のページにあります。
名義が親のままでも相談できる買取の窓口はあるのか
仲介で買主を探す方法のほかに、業者が直接買い取る方法があります。相続人が相談できる窓口として、ラクウル(相続不動産の買取)の公式サイトの記載は次のとおりです。
- 揉めている最中:よくある質問の「現在、相続財産の事で揉めている最中なのですが、相談できますか?」に、「可能です」とあります。
- 相続前:「相続前でも相談できますか?」に、「はい、お気軽にご相談ください」とあります。
- 査定:「査定に立ち会う必要はありますか?」に、「その必要はありません」とあります。相談費用は完全無料と書かれています。
- 最初の一歩:「相続した実家を売却するために、まず何をしたらいいですか?」には、「相続はケースによって適切な対応が異なりますので、まずは一度お気軽にご連絡ください」とあります。弁護士・税理士・司法書士等の士業の方と提携している、とも書かれています。
- 書かれていないこと:名義が亡くなった親のままの物件を買い取れるか、契約や決済の前に相続登記を求められるか、登記の手続や費用を誰が担うかは、公式サイトにありません。登記を代行するとも書かれていません。相談で確かめることになります。
買取は、買主を探す期間がない代わりに、買取の査定額が仲介で売れる金額と同じとは限りません。
よくある質問
登記の名義が亡くなった親のままでも、家は売れますか?
不動産登記法60条は、権利に関する登記の申請を、登記権利者と登記義務者の共同申請とし、2条13号は、登記義務者を、登記をすることで登記上直接に不利益を受ける登記名義人としています。名義が亡くなった親のままの家では、相続人は登記名義人ではありません。法務省のQ&Aは、相続した不動産を売却するような場合には相続登記をする必要がある、としています。名義が親のままで相続人を売主とする登記ができる、と書いた条文は、取得した原典にありませんでした。個別の事情は、司法書士にご相談ください。
相続人申告登記をしておけば、売れますか?
法務省のQ&Aは、相続人申告登記について、不動産の権利関係を公示するものではなく、相続した不動産を売却したり抵当権を設定したりするような場合には、相続登記をする必要があると書いています。申告登記は、3年の期限の義務を果たすための簡易な方法で、売るための名義の整理にはなりません。
家を売るつもりなら、相続登記の3年の期限は延びますか?
不動産登記法76条の2第1項は、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内に、移転の登記を申請しなければならないと定めています。売却を予定している場合の例外は、条文に書かれていません。法務省のQ&Aが挙げる「正当な理由」の例も、相続人が極めて多数、遺言や遺産の範囲の争い、重病、配偶者暴力の被害、経済的な困窮の5つで、売却の予定は入っていません。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です(同法164条1項)。
遺産分割がまとまっていなくても、売れますか?
法務省のQ&Aによると、遺産分割をしていない間は、すべての相続人が法定相続分の割合で不動産を取得した共有の状態です。法務局のハンドブックには、この法定相続分での相続登記の申請手続が載っています。ただし、共有の家の全体を売るには共有者全員の関わりが要るのが一般的で、売却の同意の要否を「売却」と書いた条文は、民法にありません(251条1項は「変更」)。共有持分の売却は、共有持分の売却のページをご覧ください。
相続人の一人だけで、法定相続分の登記を出してもよいですか?
法務局のハンドブック(相続登記②/法定相続編、令和8年4月)によると、複数の相続人のうちの一人が申請人となって登記を申請することもできます。ただし、その場合、申請人とならなかった相続人には、登記識別情報は通知されません。売買の登記では、登記義務者の登記識別情報を提供するのが原則です(不動産登記法22条)。通知されなかったなど、提供できない正当な理由があるときは別の扱いがあります。
親が生前に売る契約を済ませたまま亡くなった場合は、どうなりますか?
不動産登記法62条は、登記権利者・登記義務者・登記名義人が権利に関する登記の申請人となれる場合に、その人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人が登記を申請できると定めています。契約の効力や、登記の申請の進め方は条文だけでは分からないため、司法書士または弁護士にご相談ください。
売ったお金は、相続人でどう分けますか?
売って代金を分ける方法は、換価分割の記事に、売る前の名義の決め方、遺産分割協議書、売った利益の申告とあわせて整理しています。この記事では、売る前の名義の整え方に絞っています。
ラクウルに、名義が亡くなった親のままでも相談できますか?
ラクウルの公式サイトのよくある質問に、「現在、相続財産の事で揉めている最中なのですが、相談できますか?」に「可能です」、「相続前でも相談できますか?」に「はい、お気軽にご相談ください」とあります。「相続した実家を売却するために、まず何をしたらいいですか?」には、「相続はケースによって適切な対応が異なりますので、まずは一度お気軽にご連絡ください」とだけあります。名義が親のままの物件を買い取れるか、契約や決済の前に相続登記を求められるか、登記の費用を誰が負担するかは、公式サイトに書かれていません。相談で確かめてください。
参考・出典
- e-Gov法令検索 不動産登記法(第2条・第22条・第23条・第25条・第60条・第62条・第63条・第76条の2・第119条・第164条)
- e-Gov法令検索 民法(第251条・第898条)
- 法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A(令和7年3月27日現在)
- 法務局 登記手続ハンドブック 相続登記②(法定相続編)令和8年4月
- ラクウル(相続不動産の買取)公式サイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案について、名義が親のままで売却や登記の手続を進められるか、買取や査定ができるかを保証するものではありません。具体的な事案は、司法書士・弁護士にご相談ください。