売却・活用 読了時間:約9分

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亡くなった親の名義のまま家を売れる?相続登記が先に要る理由・売る予定でも3年の期限は進むか・遺産分割の前の共有登記・売るまでの順番

買主への登記は、売主と買主の共同申請で、売主側の登記義務者になれるのは登記名義人だけです(不動産登記法60条・2条13号)。名義が亡くなった親のままの家では、相続人はまだ登記名義人ではありません。法務省のQ&Aは、相続した不動産を売却するような場合には相続登記をする必要がある、と書いています。売るつもりだからといって、相続登記の3年の期限が延びるという定めは、条文にありません(76条の2第1項)。遺産分割がまとまらないときは、法定相続分で共有の登記をする方法がありますが、共有の家の全体を売るには共有者全員の関わりが要ります。

問い原典の答え先に確かめること
親の名義のまま売れるか売主側の登記義務者は登記名義人(2条13号)。相続人は名義人ではない。法務省は「売却するような場合には相続登記をする必要がある」登記事項証明書の名義人と共有者
売る予定でも期限は進むか知った日から3年以内(76条の2第1項)。売却予定の例外は条文に無い相続を知った日
遺産分割の前に売れるか全員が法定相続分で共有(法務省Q&A)。法定相続分での相続登記の手続は法務局のハンドブックにある共有者全員が売る意思か
売るまでの順番名義の整理、売却先、買主との共同申請(60条・22条)司法書士に頼む範囲

e-Gov法令検索 不動産登記法、法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(令和7年3月27日現在)、法務局「登記手続ハンドブック」(2026年10月3日取得)。条文に書かれていない手順や費用は載せていません。

自分はどの場合に当てはまるか

名義が亡くなった親のままで、買主に名義を移せるのか

買主に名義を移す売買の登記は、権利に関する登記です。条文の並びは次のとおりです。

条文書かれていること名義が親のままだと
60条権利に関する登記の申請は、登記権利者と登記義務者が共同してする売主側にも申請人が要る
2条11号・13号登記名義人は、登記記録の権利部に権利者として記録されている者。登記義務者は、登記上直接に不利益を受ける登記名義人記録されているのは亡くなった親。相続人は名義人ではない
25条7号申請情報の内容である登記義務者の氏名や住所が登記記録と合致しないとき、登記官は申請を却下する登記記録と違う人の名前では申請できない
22条共同申請では、登記義務者の登記識別情報を提供する。提供できない正当な理由があるときは別名義人となった人に通知された情報

出典:e-Gov法令検索 不動産登記法2条・22条・25条・60条(施行日2026年6月24日、2026年10月3日取得)。

売る前に、名義をどの形にするのか

相続登記の形は、遺産分割がどこまで進んでいるかで分かれます。登記の書き方と必要書類は、各ページに任せ、ここでは売るときの注意点だけを並べます。

状況名義の形売るときの注意
遺産分割が済み、家を取得する人が決まった取得した人の名義にする相続登記売主はその人。分割から3年以内の登記(76条の2)
遺産分割が済んでいない法定相続分で共有の登記売主が複数。共有者全員の関わりが要る
相続人申告登記だけをした名義は親のまま売却するには相続登記が必要(法務省)

出典:不動産登記法76条の2、法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」、法務局「登記手続ハンドブック」相続登記②(法定相続編)令和8年4月。

相続による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請できます(63条2項)。売る前に代表者1人の名義にするか、共有のまま売るかの比べ方と、売って代金を分ける流れは、換価分割のページにあります。

売るつもりなら、相続登記の3年の期限は止まるのか

売る予定があっても、相続登記の期限の扱いは変わりません。条文と法務省のQ&Aの並びは次のとおりです。

場面期限出典
相続で取得したことを知った知った日から3年以内76条の2第1項、法務省Q&A
令和6年4月1日より前に知り、登記が済んでいない令和9年3月31日まで法務省Q&A
法定相続分で登記した後、遺産分割で相続分を超えて取得した遺産分割の日から3年以内76条の2第2項

出典:e-Gov法令検索 不動産登記法76条の2、法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(令和7年3月27日現在)。

遺産分割の前に、法定相続分の共有で売れるのか

相続人が数人いるとき、相続財産は共有で、持分は法定の相続分です(民法898条)。法務省のQ&Aも、遺産分割をしていない間は、すべての相続人が法定相続分の割合で不動産を取得した状態になる、としています。

売るまでの順番は、どうなるのか

条文と案内の並びから整理した順番です。法令がこの順に手続をせよと定めているわけではありません。

  1. 名義を確かめる:登記事項証明書で、登記名義人と共有者を確認します。祖父名義が残っていれば数次相続のページの場面です。
  2. 相続人を確かめ、遺産分割を進めるかを決める:戸籍の集め方は相続の戸籍の集め方のページ、協議書は遺産分割協議書のページにあります。
  3. 名義を相続人に移す:相続登記をします。遺産分割が済んでいなければ、法定相続分での共有の登記が選択肢です。
  4. 売却先を決める:仲介か買取かの比べ方は売る・貸す・残すの選び方のページにあります。
  5. 買主への登記を共同で申請する:登記義務者は売主、登記権利者は買主です(60条)。売主の登記識別情報を提供します(22条)。
  6. 売ったお金を分ける:換価分割のページと、税金は家を売る税金のページにあります。

名義が親のままでも相談できる買取の窓口はあるのか

仲介で買主を探す方法のほかに、業者が直接買い取る方法があります。相続人が相談できる窓口として、ラクウル(相続不動産の買取)の公式サイトの記載は次のとおりです。

買取は、買主を探す期間がない代わりに、買取の査定額が仲介で売れる金額と同じとは限りません。

よくある質問

登記の名義が亡くなった親のままでも、家は売れますか?

不動産登記法60条は、権利に関する登記の申請を、登記権利者と登記義務者の共同申請とし、2条13号は、登記義務者を、登記をすることで登記上直接に不利益を受ける登記名義人としています。名義が亡くなった親のままの家では、相続人は登記名義人ではありません。法務省のQ&Aは、相続した不動産を売却するような場合には相続登記をする必要がある、としています。名義が親のままで相続人を売主とする登記ができる、と書いた条文は、取得した原典にありませんでした。個別の事情は、司法書士にご相談ください。

相続人申告登記をしておけば、売れますか?

法務省のQ&Aは、相続人申告登記について、不動産の権利関係を公示するものではなく、相続した不動産を売却したり抵当権を設定したりするような場合には、相続登記をする必要があると書いています。申告登記は、3年の期限の義務を果たすための簡易な方法で、売るための名義の整理にはなりません。

家を売るつもりなら、相続登記の3年の期限は延びますか?

不動産登記法76条の2第1項は、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内に、移転の登記を申請しなければならないと定めています。売却を予定している場合の例外は、条文に書かれていません。法務省のQ&Aが挙げる「正当な理由」の例も、相続人が極めて多数、遺言や遺産の範囲の争い、重病、配偶者暴力の被害、経済的な困窮の5つで、売却の予定は入っていません。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です(同法164条1項)。

遺産分割がまとまっていなくても、売れますか?

法務省のQ&Aによると、遺産分割をしていない間は、すべての相続人が法定相続分の割合で不動産を取得した共有の状態です。法務局のハンドブックには、この法定相続分での相続登記の申請手続が載っています。ただし、共有の家の全体を売るには共有者全員の関わりが要るのが一般的で、売却の同意の要否を「売却」と書いた条文は、民法にありません(251条1項は「変更」)。共有持分の売却は、共有持分の売却のページをご覧ください。

相続人の一人だけで、法定相続分の登記を出してもよいですか?

法務局のハンドブック(相続登記②/法定相続編、令和8年4月)によると、複数の相続人のうちの一人が申請人となって登記を申請することもできます。ただし、その場合、申請人とならなかった相続人には、登記識別情報は通知されません。売買の登記では、登記義務者の登記識別情報を提供するのが原則です(不動産登記法22条)。通知されなかったなど、提供できない正当な理由があるときは別の扱いがあります。

親が生前に売る契約を済ませたまま亡くなった場合は、どうなりますか?

不動産登記法62条は、登記権利者・登記義務者・登記名義人が権利に関する登記の申請人となれる場合に、その人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人が登記を申請できると定めています。契約の効力や、登記の申請の進め方は条文だけでは分からないため、司法書士または弁護士にご相談ください。

売ったお金は、相続人でどう分けますか?

売って代金を分ける方法は、換価分割の記事に、売る前の名義の決め方、遺産分割協議書、売った利益の申告とあわせて整理しています。この記事では、売る前の名義の整え方に絞っています。

ラクウルに、名義が亡くなった親のままでも相談できますか?

ラクウルの公式サイトのよくある質問に、「現在、相続財産の事で揉めている最中なのですが、相談できますか?」に「可能です」、「相続前でも相談できますか?」に「はい、お気軽にご相談ください」とあります。「相続した実家を売却するために、まず何をしたらいいですか?」には、「相続はケースによって適切な対応が異なりますので、まずは一度お気軽にご連絡ください」とだけあります。名義が親のままの物件を買い取れるか、契約や決済の前に相続登記を求められるか、登記の費用を誰が負担するかは、公式サイトに書かれていません。相談で確かめてください。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案について、名義が親のままで売却や登記の手続を進められるか、買取や査定ができるかを保証するものではありません。具体的な事案は、司法書士・弁護士にご相談ください。

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