PR(本記事はアフィリエイト広告を含みます)
遺産分割がまとまらないとき|調停の申立ての費用(収入印紙1,200円と郵便切手)・流れ・審判・協議に応じない相続人がいるとき・費用は誰が払うか
遺産分割の話し合いがまとまらないとき、応じない相続人がいるときは、家庭裁判所に調停(または審判)を申し立てられます。申立ての費用は、調停も審判も収入印紙1,200円分で、調停には連絡用の郵便切手も要ります。調停が不成立になれば自動的に審判に進み、裁判官が分け方を決めます。裁判の費用は各自の負担が原則です。下の表に、段階ごとの内容と費用を整理しました。
| 段階 | するところ | 裁判所に納める費用 |
|---|---|---|
| 1. 協議 | 相続人全員で話し合う。全員が合意すれば、いつでも分割できる(民法907条1項) | 裁判所を使わないので、納める費用はない |
| 2. 調停の申立て | 相続人の1人または何人かが、ほかの相続人全員を相手方として、家庭裁判所に申し立てる。当事者双方から事情を聴き、解決案の提示や助言を受けながら合意を目指す | 被相続人1人につき収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手 |
| 3. 調停の結果 | 合意すれば調書に記載され、確定した審判と同一の効力になる。合意の見込みがなければ不成立で終了し、自動的に審判の手続が始まる | 審判のために改めて申し立てる必要はない(調停の申立て時に審判の申立てがあったものとみなされる) |
| 4. 審判 | 裁判官が、遺産に属する物や権利の種類・性質、各相続人の年齢・職業・心身の状態・生活の状況その他一切の事情を考慮して決める(民法906条)。調停を経ず、最初から申し立てることもできる | 審判を直接申し立てるときの手数料も1,200円 |
| 5. 審判に不服 | 審判の告知を受けた日から2週間以内に即時抗告ができる | 抗告の手数料は申立て手数料の1.5倍で、1,800円 |
裁判所「遺産分割調停」、家事事件手続法268条・272条・86条・198条、民事訴訟費用等に関する法律別表第一(令和8年6月24日施行分)。2026年10月3日取得。1,800円は1,200円の1.5倍の手計算です。弁護士に払う費用はこの表に含まれません。
自分はどの場合か(応じない・連絡がつかない・家で割れている)
遺産分割は、相続人全員の合意があれば、いつでも協議で分けられます。協議が調わないとき、協議をすることができないときは、各共同相続人が家庭裁判所に分割を請求できます(民法907条)。自分の場合を、次のように見つけてください。
- 1人が話し合いに応じない:調停を申し立てると、相手方は期日に呼び出されることがあります。呼出しを受けた関係人は出頭する義務があり、正当な理由なく出頭しないと5万円以下の過料です(家事事件手続法51条・258条1項)。合意の見込みがなければ調停は不成立で終わり、審判に進みます。
- 連絡が取れない・所在が分からない相続人がいる:裁判所のQ&Aでは、不在者財産管理人の選任の申立てをし、選任された管理人が加わって遺産分割をするとされています。
- 未成年の子と親(たとえば夫を亡くした妻と子)が相続人:利益が相反するため、親は子を代理して協議できません。家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てます。
- 遺産を隠している人がいると疑っている:遺産分割の手続は遺産を探し出す手続ではなく、ほかにも遺産があると考えるときは、原則として自分で裏付けの資料を出すことが求められます(裁判所のQ&A)。
- 家を誰が取るか、売るかで割れている:節4にあります。
- 調停の間の相続税の申告期限が心配:節5にあります。
分け方の基準になる割合は法定相続分の割合にあります。
調停の申立て先と必要なもの
裁判所の案内では、遺産分割調停は次のとおりです。
- 申立人:共同相続人、包括受遺者、相続分譲受人です。
- 申立先:相手方のうちの1人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所です。
- 費用:被相続人1人につき収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手です。郵便料は裁判所ごとに異なります。
- 書類:申立書1通と、その写しを相手方の人数分。標準的な添付書類として、事情説明書(遺産分割)、進行に関する照会回答書(遺産分割)、被相続人の出生時から死亡時までの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本、相続人全員の戸籍謄本、相続人全員の住民票または戸籍附票、遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳の写し・残高証明書、有価証券の写しなど)があります。
戸籍に代えて「法定相続情報一覧図の写し」を提出できる場合があります(申立てする家庭裁判所への確認が必要)。一覧図の取り方は法定相続情報一覧図の取り方にあります。申立前に入手できない戸籍等は、申立後に追加で提出してもかまわないと案内されています。
調停手続では、当事者双方から事情を聴き、必要に応じて資料の提出を求め、遺産について鑑定を行うなどして、それぞれの希望する分割方法を聴いたうえで、解決案の提示や助言をして合意を目指します。
費用は誰が払うか(収入印紙・鑑定・弁護士)
「調停の費用は誰が払うか」は、費用の種類ごとに答えが違います。
| 費用 | 誰が納める・負担するか | 根拠 |
|---|---|---|
| 収入印紙(調停・審判の申立て) | 申し立てる人が納める。1,200円 | 民事訴訟費用等に関する法律3条・別表第一 |
| 連絡用の郵便切手 | 申し立てる人が納める。額は裁判所ごとに異なる | 裁判所の案内 |
| 鑑定など費用を要する行為 | 申立てによる行為は申立人、職権の行為は裁判所が定める者が納める。裁判所は概算額の予納を命じ、予納がないとその行為をしないことがある | 同法11条2項・12条 |
| 手続費用の最終的な負担 | 原則は各自の負担。裁判所は事情により、一部または全部をほかの当事者などに負担させられる | 家事事件手続法28条 |
| 弁護士に依頼する費用 | 額を示す定めは、裁判所の案内と法令に見つからなかった。このページでは金額を示さない | ― |
令和8年6月24日施行分の法令と裁判所の案内(2026年10月3日取得)。
調停では、必要に応じて遺産の鑑定を行うことがあります。ただ、鑑定の費用の額は、裁判所の案内にも法令にも書かれていません。弁護士に依頼する費用も同じで、相場を作ってここに書くことはしません。依頼を考えるときは、相談先から見積書をもらって確かめてください。
審判になったら、家はどう分けられるか
審判では、裁判官が民法906条の基準で分け方を決めます。遺産が家だけで分けにくいときは、家庭裁判所に次のことができると家事事件手続法が定めています。
| 分け方 | 審判で裁判所ができること | 根拠 |
|---|---|---|
| 売って代金を分ける(換価) | 審判をするため必要があると認めるときは、遺産の全部または一部を競売して換価するよう命じられる。必要かつ相当と認めるときは、相続人の意見を聴いて任意売却を命じられる。ただし、競売によるべきだと表示した相続人がいるときは任意売却を命じられない | 家事事件手続法194条1項・2項 |
| 1人が取って、ほかの人に金銭を払う(代償) | 特別の事情があると認めるときは、共同相続人の1人または数人に、ほかの共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えられる | 同法195条 |
家事事件手続法194条・195条(令和8年6月24日施行分)。
売って分ける場合の登記や税金は換価分割とはに、1人が家を取る場合の評価額や払い方は代償分割とはにあります。また、寄与分を主張するときは、遺産分割の審判の手続で、家庭裁判所が寄与分を定める処分の申立ての期間を、1か月を下らない範囲で定めることがあります(同法193条)。
長引くときに気をつける期限と相続税
- 相続税の申告期限は延びません:国税庁は、分割されていないということで相続税の申告期限が延びることはなく、分割協議が成立していないときは、法定相続分などに従って財産を取得したものとして計算して申告・納税するとしています(No.4208)。この申告では、小規模宅地等の特例や配偶者の税額の軽減が適用できません。
- 分割が決まったあと:実際の分割に基づいて、修正申告または更正の請求ができます。更正の請求は、分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内です。特例を適用できるのは、原則として申告期限から3年以内に分割があった場合に限られます。
- 10年を過ぎると:相続開始から10年を経過したあとの遺産分割では、原則として特別受益・寄与分を考慮せず、法定相続分(指定相続分)で分けます(民法904条の3)。期限の全体は遺産分割に期限はある?にあります。
話し合いで分け方が決まったときに作る協議書の項目は、遺産分割協議書の書き方にあります。
よくある質問
遺産分割調停の申立ての費用はいくらですか?
裁判所の案内では、被相続人1人につき収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手です。郵便料は裁判所ごとに異なるため、申立先の家庭裁判所で確認します。郵便料は保管金として納付することもできると案内されています。
調停の費用は、誰が払うのですか?
申立ての収入印紙と郵便切手は、申し立てる人が納めます(民事訴訟費用等に関する法律3条)。そのうえで、手続費用は各自の負担が原則です(家事事件手続法28条1項)。裁判所は事情により、負担すべき者以外の当事者などに全部または一部を負担させることもできます(同条2項)。
弁護士費用は、誰が払うのですか?
弁護士に依頼した費用の額や、ほかの相続人に請求できるかどうかは、裁判所の案内と法令からは確認できませんでした。このページでは相場の金額を示しません。依頼を考えるときは、相談先の見積書で確認してください。
相続人の1人が、話し合いに応じません。どうすればよいですか?
遺産の分割について協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人が家庭裁判所に分割を請求できます(民法907条2項)。相続人のうち1人または何人かが、ほかの相続人全員を相手方として調停を申し立てます。最初から審判を申し立てることもできます。
調停に呼ばれたのに行かないと、どうなりますか?
呼出しを受けた事件の関係人は、期日に出頭しなければなりません。やむを得ない事由があるときは代理人を出頭させられます(家事事件手続法51条2項)。正当な理由なく出頭しないときは、5万円以下の過料に処されます(同条3項、258条1項で調停に準用)。合意が成立する見込みがなければ調停は不成立で終了し、遺産分割の調停は審判の手続に進みます(同法272条)。
調停が不成立になったら、どうなりますか?
裁判所の案内では、話合いがまとまらず調停が不成立になった場合は、自動的に審判手続が開始され、裁判官が、遺産に属する物や権利の種類・性質その他一切の事情を考慮して審判をします。法律上も、調停を申し立てた時に審判の申立てがあったものとみなされます(家事事件手続法272条4項)。
調停を経ずに、いきなり審判を申し立てられますか?
民法907条2項は、協議が調わないときに家庭裁判所へ分割を請求できると定めていて、調停を前提にしていません。ただし、審判事件が係属している場合でも、裁判所は当事者の意見を聴いて、職権で事件を調停に付すことができます(家事事件手続法274条1項)。
審判の結果に納得できないときは、どうすればよいですか?
遺産の分割の審判に対して、相続人は即時抗告ができます(家事事件手続法198条1項1号)。期間は、審判の告知を受けた日から2週間の不変期間です(同法86条)。抗告の手数料は、申立ての手数料の1.5倍とされていて、遺産分割では1,200円の1.5倍で1,800円です(民事訴訟費用等に関する法律別表第一)。
調停で不動産鑑定をするときの費用は、いくらですか?
裁判所の案内では、調停では必要に応じて遺産について鑑定を行うことがあるとされています。鑑定の費用の額は、裁判所の案内と法令には定めがなく、このページでは示せません。費用を要する行為について、裁判所が当事者に概算額の予納を命じることがあります(民事訴訟費用等に関する法律12条1項)。
連絡の取れない相続人がいるときは、どうすればよいですか?
裁判所のQ&Aでは、所在の分からない相続人がいるときは、不在者財産管理人の選任の申立てをし、選任された不在者財産管理人が不在者に代わって遺産分割協議に加わることで遺産分割ができるとされています。相続人に未成年の子と親がともにいるときは、親は子を代理して協議できないため、特別代理人の選任の申立てが必要です。
相続人の1人が遺産を隠していると疑っています。調停で調べてもらえますか?
裁判所のQ&Aでは、遺産分割の手続は遺産を探し出すことを目的とした手続ではないとされています。調停で、遺産の範囲や内容について意見を聴いたり、必要な資料の提出を促したりすることはありますが、ほかにも遺産があると考えるときは、原則として自分でその裏付けとなる資料を提出することが求められます。
亡くなった人の借金も、調停で分けられますか?
裁判所のQ&Aでは、被相続人の債務は法律上、相続開始によって法定相続分に応じて当然に分割されるため、原則として遺産分割の対象にならないとされています。調停で特定の相続人が債務を相続すると合意しても、相続人どうしの内部関係を決めたにすぎず、債権者に主張できるわけではありません。
参考・出典
- 裁判所 遺産分割調停
- 裁判所 裁判手続Q&A(家事事件)
- e-Gov法令検索 家事事件手続法(第28条・第51条・第86条・第193条から第195条・第198条・第258条・第268条・第272条・第274条)
- e-Gov法令検索 民事訴訟費用等に関する法律(第3条・第11条・第12条・別表第一)
- e-Gov法令検索 民法(第904条の3・第906条・第907条)
- 国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の遺産分割の進め方や費用は、家庭裁判所、弁護士、司法書士などの専門家にご相談ください。