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遠方の実家を現地に行かずに売るには?どこまで遠隔でできるか・IT重説と電子契約・司法書士の本人確認と委任・鍵と内覧・売る前の相続登記
宅建業法は、媒介契約の書面・重要事項説明書・契約が成立したときの書面を、相手方の承諾を得て電磁的方法で提供することを認めています(34条の2第11項・35条8項・37条4項)。国土交通省は、令和4年5月18日の施行で、重要事項説明をオンラインでも実施できるようにしました。一方、国土交通省のマニュアルは宅建業法の範囲の取扱いを示すもので、売買契約書への押印など民間の取引慣行は含まない、としています。登記は売主と買主の共同申請で、売主が現地に来られないときは、司法書士などが本人確認に必要な情報を登記官に提供する方法が、条文にあります(不動産登記法60条・23条4項1号)。実際にどこまで遠隔にできるかは、仲介会社・買取業者・司法書士の対応で決まります。
| 手続き | 遠隔で進められる範囲 | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 相談・査定 | 法令の定めはなく、会社ごとの対応。ラクウルの公式サイトは、オンライン面談・メール・チャット・電話での相談を案内 | 現地調査があるか(査定の立ち会いは不要と公式サイトにあり) |
| 媒介契約 | 書面を、依頼者の承諾を得て電磁的方法で提供できる(宅建業法34条の2第11項) | 専任の場合の報告の頻度と有効期間 |
| 重要事項説明・契約書面 | 説明はオンラインでも実施できる(国土交通省)。契約が成立したときの書面も、承諾を得て電磁的方法で提供できる(37条4項) | 売主が受け取る書面は何か。契約書の押印の方法 |
| 決済・登記 | 共同申請(不動産登記法60条)。司法書士などが本人確認に必要な情報を提供すれば、事前通知は適用しない(23条4項1号) | 司法書士の本人確認の方法。委任の範囲 |
e-Gov法令検索 宅地建物取引業法・不動産登記法、国土交通省の案内(2026年10月3日取得)。条文に書かれていない手順や費用は載せていません。
自分はどの場合に当てはまるか
- 売るか貸すか、まだ迷っている:相続した親の家を売る・貸す・残すの選び方のページにあります。
- 誰に相談すればよいか分からない:空き家の相談窓口のページにあります。
- 名義が亡くなった親のままになっている:節5にあります。手続きは相続登記を自分でやる方法のページと、相続登記のオンライン申請のページにあります。
- 登記の住所が、今の住所と違う:節4と住所変更登記の義務化のページにあります。
- 親が存命で、親名義の家を子どもが売る:親名義の家を子どもが売るページにあります。
- 今の仲介会社から変えたい:媒介契約の解除のページにあります。
- 家の中の荷物が気になる:節6と、残置物が残った家を売るページ・空き家の片付けのページにあります。
相談から媒介契約まで、現地に行かずに進められるのか
相談や査定の進め方を決める法令はなく、会社ごとの対応です。媒介契約からは、宅建業法に定めがあります。
- 媒介契約の書面(34条の2第1項):業者は、媒介契約を結んだとき、遅滞なく書面を作って依頼者に交付します。
- 電磁的方法での提供(11項):業者は、書面の交付に代えて、依頼者の承諾を得て、電磁的方法で提供できます。国土交通省は、承諾を取るための意向確認が必要とし、書面(紙)で受け取ることも引き続きできる、としています。
- 専任媒介の有効期間(3項・4項):3か月を超えられません。更新は依頼者の申出により、更新の時から3か月を超えられません。
- 専任媒介の報告(9項):業務の処理状況を2週間に1回以上、依頼者に報告します。他の業者が探した相手方以外とは契約できない特約を含む専任媒介は、1週間に1回以上です。
現地に行けない売主にとって、報告の頻度と手段は、買主の動きを知る手がかりです。書かれていないのは、査定の方法や精度、媒介契約の前に現地へ来てもらうかどうかです。この記事では載せません。
重要事項説明と売買契約の書面は、オンラインでできるのか
宅建業法が業者に交付を求める3つの書面と、電磁的方法で提供できるかを、条文どおりに並べます。
| 書面 | 交付先 | 電磁的方法 |
|---|---|---|
| 媒介契約の書面(34条の2) | 依頼者 | 依頼者の承諾を得て提供できる(11項) |
| 重要事項説明書(35条) | 取得し、または借りようとしている者に関する説明 | 相手方の承諾を得て提供できる(8項)。説明はオンラインでも実施できる(国土交通省) |
| 契約が成立したときの書面(37条) | 契約の各当事者(媒介の場合) | 各号に定める者の承諾を得て提供できる(4項) |
出典:e-Gov法令検索 宅地建物取引業法34条の2・35条・37条、国土交通省「ITを活用した重要事項説明及び書面の電子化について」(令和4年5月18日施行)。
- 売主の立場:35条1項は、説明の対象を「取得し、又は借りようとしている」宅地や建物に関する者としており、売主が受ける説明としては書かれていません。売主に交付される書面として条文にあるのは、媒介契約の書面と、契約が成立したときの書面です。
- 承諾が要る:国土交通省のマニュアルは、電磁的方法での提供もオンラインの説明も、相手方への意向確認と承諾が要るとしています。国土交通省の案内には、説明は引き続き対面で受けることも、書面は引き続き紙で受け取ることもできる、とあります。
- 契約書の押印:国土交通省のマニュアルは宅建業法の規制の範囲の取扱いで、売買契約書の押印など民間の取引慣行の考え方は示していない、と書いています。契約書をどう締結するかは、仲介会社に確認してください。
- 本人確認:同じマニュアルは、売買取引では、犯罪収益移転防止法に基づき、契約当事者本人(代理人を含む)であることの確認が必要、としています。確認の方法は、取得した原典に具体的に書かれていません。
- 印紙税:国土交通省の消費者向けの案内は、電子契約をした場合に印紙税がかからないことを、想定されるメリットとして挙げています。個別の契約での扱いは、税務署または税理士にご確認ください。
決済と登記は、行かずに済むのか
売買による所有権の移転の登記は、売主と買主の共同申請です。条文の並びは次のとおりです。
| 場面 | 不動産登記法の答え | 注意点 |
|---|---|---|
| 共同申請 | 登記権利者と登記義務者が共同して申請する(60条)。売主は登記義務者(2条13号) | 売主に代わって手続きをする人は誰か |
| 登記識別情報 | 共同申請では、登記義務者の登記識別情報を提供する。提供できない正当な理由があるときは別(22条) | 紛失していないか |
| 提供できないとき | 登記官が登記義務者に事前通知し、期間内の申出がなければ登記できない(23条1項) | 通知を受け取れる住所か |
| 司法書士などの代理人 | 登記の代理を業とできる代理人が、登記官に本人確認に必要な情報を提供し、登記官が相当と認めたときは、1項の事前通知は適用しない(23条4項1号)。公証人の認証でも適用しない(同項2号) | 本人確認の方法は司法書士に確認 |
| 住所を移している | 所有権の登記義務者の住所変更の登記がされているときは、前の住所にも通知する(23条2項) | 住所変更の申請は変更から2年以内(76条の5) |
出典:e-Gov法令検索 不動産登記法2条・22条・23条・60条・76条の5(2026年10月3日取得)。
- 委任:民法99条1項は、代理人が権限内で本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に直接効力が生じるとしています。委任は、法律行為を相手方に委託し、相手方が承諾することで効力が生じます(643条)。
- 書かれていないこと:委任状の様式、添付する書類、司法書士が行う本人確認の具体的な方法、決済の方法は、取得した原典にありません。この記事では載せません。親名義の家で委任状を使う場合は、親名義の家を子どもが売るページにあります。
売る前に、相続登記は要るのか
不動産登記法2条13号は、登記義務者を、登記をすることで登記上直接に不利益を受ける登記名義人としています。名義が亡くなった親のままのとき、売主になる相続人の名義にする相続登記を、先に済ませるのが一般的な手順です。
- 申請の義務(76条の2):相続により所有権を取得した人は、自己のために相続の開始があったことと、所有権を取得したことを知った日から3年以内に、移転の登記を申請しなければなりません。
- 遠方からの申請:法務局に行かずに出せる範囲は、相続登記のオンライン申請のページにあります。自分で出すときの必要書類と手順は、相続登記を自分でやる方法のページにあります。
- 遺産分割が済んでいない:誰が家を売るのかを決める話し合いは、遺産分割協議書の書き方のページにあります。
鍵・内覧・家の片付けは、誰がするのか
売主の鍵の預け方や、内覧への立ち会いを決める法令や国土交通省の案内は、取得した原典にありませんでした。国土交通省のマニュアルに書かれているのは、買主になろうとする者に内覧をしてもらうことは法律上の義務ではないが、推奨される、という点です。
- 媒介契約の前に聞くこと:売主が行けないとき、誰が鍵を開けて内覧に対応するか。鍵の受け渡しの方法。内覧の連絡を、売主がどの手段で受けるか。
- 管理:売れるまでの間、家の風通しや見回りを誰がするかは、空き家管理の委託費用のページにあります。
- 荷物:置いたままで売れるかは、残置物が残った家を売るページに、預け先は実家の荷物の預け先のページに、片付けの業者は空き家の片付けのページにあります。
遠方でも相談できる買取の窓口はあるのか
仲介で買主を探す方法のほかに、業者が直接買い取る方法があります。遠方の相続人が相談できる窓口として、ラクウル(相続不動産の買取)の公式サイトの記載は次のとおりです。
- 遠方の方:よくある質問の「遠方在住ですが不動産の売却をお願いすることはできますか?」に、「はい、可能です。オンライン面談・メール・チャット・電話など、様々な方法で対応させて頂きます」とあります。
- 相談費用:「相談費用は完全無料です。遠方にお住まいの方のためにオンラインでのご相談も受け付けております」とあります。
- 対象:「日本全国の相続不動産」とあり、直接買い取るため諸経費は不要、とも書かれています。
- 買取の流れ:お問い合わせ、現地調査・査定(物件を無料で調査し、買取査定金額を提示)、ご契約、買取完了(決済と引き渡し)の4つです。
- 立ち会い:よくある質問の「査定に立ち会う必要はありますか?」に、「その必要はありません」とあります。
- 書かれていないこと:ご契約や決済、登記を遠隔で進められるかは、公式サイトにありません。「可能です」は相談と依頼についての回答です。契約と決済の方法は、相談で確かめることになります。
買取は、買主を探す期間がない代わりに、買取の査定額が仲介で売れる金額と同じとは限りません。売る・貸す・残すの比べ方は、相続した親の家を売る・貸す・残すの選び方のページにあります。
よくある質問
遠方の実家は、一度も現地に行かずに売れますか?
宅建業法は、媒介契約の書面、重要事項説明書、契約締結時の書面を、相手方の承諾を得て電磁的方法で提供することを認めています。国土交通省は、重要事項説明をオンラインで実施することも案内しています。一方で、登記の本人確認、契約書の押印の扱い、鍵の預け方、家の中の片付けは、仲介会社や司法書士の対応によって変わります。この記事では、一度も行かずに売れる、とは断定しません。どこまで遠隔にできるかは、依頼する会社に先に聞いてください。
売主も、オンラインの重要事項説明を受ける必要がありますか?
宅建業法35条1項は、説明の対象を、業者の相手方等のうち「取得し、又は借りようとしている」宅地や建物に関する者としており、売主が受ける説明としては書かれていません。売主に交付される書面として条文にあるのは、媒介契約の書面(34条の2)と、契約が成立したときの書面(37条)です。ただし、実際の進め方は仲介会社の運用によって異なるため、売主として何を受け取るのかを、媒介契約の前に聞いてください。
電子契約にすると、印紙税はかかりませんか?
国土交通省の消費者向けの案内は、電子書面で交付を受ける場合の想定されるメリットとして、電子契約をした場合に印紙税がかからないことを挙げています。個別の契約についての印紙税の扱いは、取得した原典に書かれていないため、この記事では確定した扱いとして書きません。税務署または税理士にご確認ください。
司法書士に頼めば、法務局にも行かずに登記できますか?
不動産登記法23条4項1号は、登記の代理を業とすることができる代理人が、登記官に、申請人が登記義務者であることを確認するために必要な情報を提供し、登記官がその内容を相当と認めるときは、登記官から登記義務者への事前通知は適用しない、と定めています。司法書士がどのような方法で本人確認を行うか、売主本人が面談やオンラインで確認を受けるかは、条文には書かれていません(法務省令の定めです)。依頼する司法書士にご確認ください。
委任状を書けば、代理人が売ってくれますか?
民法99条1項は、代理人が権限の範囲内で、本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に直接効力が生じるとしています。委任は、当事者の一方が法律行為を相手方に委託し、相手方が承諾することで効力が生じます(643条)。ただし、委任状の様式、添付する書類、代理人が行える範囲は、取得した原典に書かれていません。親名義の家の場合は、親名義の家を子どもが売るページもご覧ください。具体的な事案は、司法書士や弁護士にご相談ください。
登記の名義が亡くなった親のままでも、売れますか?
不動産登記法60条は、権利に関する登記の申請を、登記権利者と登記義務者の共同申請とし、2条13号は、登記義務者を、登記をすることで登記上直接に不利益を受ける登記名義人としています。名義が亡くなった方のままのとき、売主になる相続人の名義にする相続登記を先に済ませるのが一般的な手順です。相続による所有権取得を知った日から3年以内の申請は義務で、76条の2に定めがあります。個別の事情は、司法書士にご相談ください。
売主が立ち会わなくても、買主の内覧は進められますか?
売主の鍵の預け方や内覧への立ち会いについて、法令や国土交通省の案内に定めは、取得した原典にありません。国土交通省のマニュアルには、買主になろうとする者に物件の内覧をしてもらうことは法律上の義務ではないが、推奨されると書かれています。売主が行けないときに誰が鍵を開けるかは、媒介契約の前に、仲介会社に確認してください。
遠方に住んでいても、ラクウルに相談できますか?
ラクウルの公式サイトのよくある質問に、「遠方在住ですが不動産の売却をお願いすることはできますか?」「はい、可能です。オンライン面談・メール・チャット・電話など、様々な方法で対応させて頂きます」とあります。相談費用は完全無料で、遠方の方にはオンラインでの相談も受け付けているとも書かれています。この「可能」は相談や依頼の話で、売買契約や決済、登記まで遠隔で完結するかは書かれていません。「査定に立ち会う必要はありますか?」には「その必要はありません」とあります。契約や決済の方法は書かれていないため、相談で確かめてください。
参考・出典
- e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第34条の2・第35条・第37条)
- e-Gov法令検索 不動産登記法(第2条・第22条・第23条・第60条・第76条の2・第76条の5)
- e-Gov法令検索 民法(第99条・第643条)
- 国土交通省 ITを活用した重要事項説明及び書面の電子化について
- 国土交通省 不動産取引に関するお知らせ(オンラインでの不動産取引について)
- 国土交通省 重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明 実施マニュアル(令和6年12月版)
- ラクウル(相続不動産の買取)公式サイト
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の取引について、遠隔で売却や登記の手続きを進められるか、買取や査定ができるかを保証するものではありません。具体的な事案は、仲介会社・司法書士・弁護士にご相談ください。