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相続登記のオンライン申請のやり方|法務局に行かずに出せる範囲・マイナンバーカードと申請用総合ソフト・戸籍は郵送か持参か・書面で出す場合との違い
相続登記はオンラインで申請できますが、オンラインだけでは終わりません。法務局のページには、戸籍全部事項証明書等が電子文書では発行されていないため、相続の登記をオンラインで完結することはできないと書かれています。申請情報はマイナンバーカードで電子署名して送信し、戸籍などの書面は、オンライン申請の受付の日から2日以内に法務局へ郵送か持参します。電子署名の準備が重いときは、書面で申請する道もあります。
| 申請の方法 | 必要なもの | 向いている人 |
|---|---|---|
| オンライン申請(書面の添付情報は郵送か持参) | マイナンバーカード、ICカードリーダライタ、申請用総合ソフト、申請者情報の登録 | 平日の窓口に行きにくく、パソコンでの操作と電子署名の準備ができる人 |
| 書面で申請し、窓口に持参 | 申請書、添付書類、登録免許税分の収入印紙 | 平日に法務局へ行け、窓口で相談しながら出したい人 |
| 書面で申請し、郵送 | 申請書、添付書類、収入印紙、書留郵便の封筒 | 電子署名の準備はせず、窓口にも行かずに出したい人 |
法務局「相続の登記をオンライン申請したい方」、法務省「不動産登記の電子申請(オンライン申請)について」から作成(2026年10月3日取得)。
自分はどの場合に当てはまるか
- 平日に法務局へ行く時間が取れない:申請情報の送信は自宅からできます。ただし戸籍などの書面は、受付の日から2日以内に郵送か持参が要ります。節3に書きました。
- マイナンバーカードやICカードリーダライタが無い:節2のとおり、法務局はマイナンバーカードの電子証明書が必要と案内しています。用意できないときは、節6の書面での申請になります。
- 戸籍もオンラインで取れて、全部ネットで終わると思っていた:戸籍は電子文書で発行されていないため、そうなりません。節3に理由があります。
- 期限が迫っていて、とりあえず義務を果たしたい:相続人申告登記なら、ブラウザ上の「かんたん登記・供託申請」でできます。相続人申告登記とはに、必要書類と、あとで相続登記が必要になる場面があります。
- 登録免許税をどう払うか知りたい:節4に電子納付と印紙納付の違いを書きました。税額の出し方は相続登記の費用の相場にあります。
- 相続したのがマンション:申請書の不動産の表示は、相続したマンションの名義変更にあります。
- 書類の集め方から知りたい:相続登記を自分でやる全体の手順は相続登記を自分でやる方法にあります。
オンライン申請の準備と流れ
不動産登記法18条は、登記の申請の方法として、電子情報処理組織を使用する方法(1号)と、申請情報を記載した書面を提出する方法(2号)を並べています。オンライン申請は1号です。申請情報には、申請人の電子署名を行い(不動産登記令12条1項)、電子署名を行った情報を送信するときは、電子証明書を併せて送信します(同令14条)。
| 順番 | やること | 根拠・出どころ |
|---|---|---|
| 1. 電子証明書 | マイナンバーカードの署名用電子証明書を使う。署名にはICカードリーダライタも別に要る | 不動産登記規則43条1項1号、法務局 |
| 2. 登録とソフト | 登記・供託オンライン申請システムで申請者情報を登録し、申請用総合ソフトを入れる(初めての人のみ) | 法務局 |
| 3. 申請情報を作る | 申請用総合ソフトで、所有権移転(相続)の申請情報を作る。電子署名して送信する | 法務局、不動産登記令12条・14条 |
| 4. 登録免許税 | 電子納付か、収入印紙を使う(節4) | 法務省、登録免許税法24条の2 |
| 5. 書面の提出 | 戸籍などの書面を、受付の日から2日以内に郵送か持参する(節3) | 不動産登記令附則5条、法務局 |
| 6. 補正・完了 | 不備があれば法務局から補正のお知らせが届く。完了すると登記完了証(電子公文書)をダウンロードできる | 法務局、法務省 |
法務局「相続の登記をオンライン申請したい方」、法務省「不動産登記の電子申請(オンライン申請)について」、不動産登記令・規則から作成(2026年10月3日取得)。
電子証明書は、規則43条1項により、原則は署名用電子証明書です。認定認証事業者が作成した電子証明書など(3号)は、1号の署名用電子証明書などを取得できない場合に限られます。署名用電子証明書を提供すると、現在の住所を証する情報(住民票)の提供に代えられます(規則44条1項)。法務局のページにも、住民票や住民票コード等の提供は不要になると書かれています。
受付時間にも注意が要ります。法務省の案内では、登記の申請の受付時間は平日の8時30分から17時15分までで、それ以降や休日に送信した申請は、翌業務日に受付がされます。システム自体の利用時間は、平日が8時30分から23時まで、休日が8時30分から18時までです(12月29日から1月3日を除く)。
ブラウザ上で申請できる「かんたん登記・供託申請」は、利用可能な手続一覧の不動産登記関係に、相続による所有権移転の登記が載っていません(載っているのは、登記事項証明書の請求・建物滅失・登記名義人の表示変更・相続人申告登記の申出・検索用情報の申出)。一覧に無い手続は、申請用総合ソフトを使うとされています。
戸籍などの書面は郵送か持参か、原本還付はできるか
オンライン申請では、添付情報は原則として、作成者の電子署名が付いた電子文書で出します(不動産登記令12条2項)。相続登記に必要な戸籍全部事項証明書等は、法務局のページによれば、市区町村長の電子署名が付いた電子文書では発行されていません。そこで、添付情報が書面に記載されているときは、当分の間、その書面を登記所に提出する方法で提供できるとされています(不動産登記令附則5条1項。法務省はこれを「特例方式」と呼んでいます)。
| 書類 | オンラインでの扱い | 出し方 |
|---|---|---|
| 戸籍謄本・除籍謄本など | 電子文書では発行されていない(法務局) | 書面を、受付の日から2日以内に法務局へ郵送か持参 |
| 遺産分割協議書など書面で作ったもの | 書面に記載されているときは、書面で提供できる(令附則5条1項) | 戸籍と一緒に郵送か持参 |
| 書面で出す登記原因を証する情報(戸籍・協議書) | 書面の内容を記録した電磁的記録(PDF)も、申請情報と併せて提供する。作成者の電子署名は不要 | 申請情報と一緒に送信(令附則5条4項、規則附則22条) |
| 住民票 | 署名用電子証明書を提供すれば、現在の住所を証する情報の提供に代えられる | 提供すれば不要(規則44条1項) |
法務局「相続の登記をオンライン申請したい方」、法務省「特例方式」、不動産登記令・規則から作成(2026年10月3日取得)。
書面を出すときは、申請用総合ソフトで「書面により提出した添付情報の内訳表」を印刷して添え、原本と一緒に、登記所へ持参するか、書留郵便等で送ります。封筒の表面には、添付書面が在中している旨を書きます(不動産登記規則附則21条)。到達の期限は、受付の日から2日以内(初日、休日等を除く)です。夕方に送信すると受付が翌業務日になる点は、節2のとおりです。
原本還付はできるか
戸籍のように取り直しに手間がかかる書類は、原本を返してほしいことがあります。不動産登記規則55条は、書面申請をした申請人が添付書面の原本の還付を請求できるとし、請求するときは、原本と相違ない旨を記載した謄本(コピー)を提出するとしています。特例方式で提出した書面にも、同規則附則24条2項によりこの55条が準用されます(読み替えは「申請書の添付書面」を「当該書面」にするだけです)。
- 還付を受けられないもの:55条1項ただし書は、一定の印鑑に関する証明書と、その申請のためにのみ作成された委任状その他の書面を除いています。
- 返送を希望するとき:原本を送付する方法で受け取るには、送付先の住所を申し出ます。送付は書留郵便等で、費用は郵便切手等で納めます(55条6〜8項)。
- 相続関係説明図:法務省の登記手続ハンドブック(書面申請の説明)は、相続登記では相続関係説明図を出すと、戸籍の証明書のコピーを作らなくても、調査完了後に還付を受けられると案内しています。オンライン申請の特例方式で同じ扱いになるかは、管轄の法務局に確かめてください。
戸籍の集め方は相続の戸籍謄本の集め方に、書類の束を減らす方法は法定相続情報一覧図の取り方にあります。
登録免許税の納付方法
オンライン申請の登録免許税は、電子納付のほか、現金納付と印紙納付ができます(法務省。登録免許税法24条の2に電子納付の特例があります)。税額の出し方は相続登記の費用の相場に任せ、ここでは払い方だけを見ます。
| 方法 | やり方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 電子納付 | インターネットバンキング、モバイルバンキング、電子納付対応のATMで払う。申請情報を送信すると電子納付情報が発行され、申請用総合ソフトの「納付」ボタンから進む | 納付期限は、申請情報が到達した日の翌日から起算して1日間(休日を除く) |
| 印紙納付 | 収入印紙を買い、登録免許税納付用紙に貼って、住所・氏名・受付年月日・受付番号・税額を書き、登記所へ持参か送付 | 納付用紙は申請用総合ソフトで作れる |
| 現金納付 | 税務署などで税額を納め、領収証書を納付用紙に貼って、登記所へ持参か送付 | 登記所に現金を持参しても納付できない |
法務省「不動産登記の電子申請(オンライン申請)について」から作成(2026年10月3日取得)。
電子納付の期限は短いため、送信する日は、インターネットバンキングが使える状態にしておくと慌てずに済みます。税額を間違えて不足したときは、法務局から補正のお知らせが届き、追加で納付します。
登記識別情報の受け取り方
相続登記が完了すると、新しい名義人になった申請人に登記識別情報が通知されます(不動産登記法21条)。電子申請では、通知は原則として電子で行われます(不動産登記規則63条1項1号)。
| 受け取り方 | 申出 | 受け取る場所 |
|---|---|---|
| 電子で受け取る | 申請時に「登記識別情報通知取得用届出様式」と取得者特定ファイルを作り、登記名義人が電子署名して提供する | 申請用総合ソフトに自動でダウンロードされる |
| 書面を窓口で受け取る | 申請情報のその他の事項欄に、登記所での交付を希望する旨を記録する | 登記所の窓口。受付番号と身分証明書等を持参 |
| 書面を送付で受け取る | 送付の方法を希望する旨と送付先の区分を申請情報に記録する | 自然人は本人限定受取郵便など(規則63条4項1号)。送付の費用は郵便切手等で納める |
法務省「不動産登記の電子申請(オンライン申請)について」「登記識別情報の通知の方法について」、不動産登記規則63条から作成(2026年10月3日取得)。
登記完了証と登記識別情報通知書は、再発行・再交付ができません(法務省の登記手続ハンドブック)。電子で受け取ったときも、ダウンロードしたものを保存しておきます。登記完了証も、書面での交付を申し出られます。
書面で出す場合との違い
電子署名の準備が重いときや、窓口で相談しながら出したいときは、書面での申請(不動産登記法18条2号)が選べます。違いは次のとおりです。
| 項目 | オンライン申請 | 書面での申請 |
|---|---|---|
| 署名・押印 | 電子署名(マイナンバーカードとICカードリーダライタ) | 申請書に押印 |
| 戸籍などの書面 | 受付の日から2日以内に到達するように郵送か持参 | 申請書と一緒に提出 |
| 登録免許税 | 電子納付、または印紙・領収証書を納付用紙に貼って提出 | 収入印紙を台紙に貼って、申請書とつづって提出 |
| 登記識別情報 | 電子で受け取る。書面も申し出られる | 書面で交付される |
| 原本還付 | 特例方式の書面に規則55条が準用される | 規則55条で請求できる |
不動産登記法・規則、法務省・法務局の案内から作成(2026年10月3日取得)。
書面で出す場合の申請書づくりを助けるサービスもあります。電子申請をするサービスではなく、案内に沿って入力した内容から登記申請書などを自動で作成し、書類に捺印して収入印紙を添付し、郵送して出す形のものです。有料で、司法書士による代理申請でもありません。
よくある質問
相続登記は、オンライン申請だけで終わらせられますか?
終わりません。法務局の「相続の登記をオンライン申請したい方」のページ(2024年3月29日更新)には、戸籍全部事項証明書等が作成者である市区町村長の電子署名が付された電子文書では発行されていないため、相続の登記をオンラインで完結することはできないと書かれています。申請情報はオンラインで送信し、書面の添付情報は後日、法務局に郵送か持参します。この書面は、オンライン申請の受付の日から2日以内(初日、休日等を除く)に法務局に到達する必要があります。
マイナンバーカードが無いと、オンライン申請はできませんか?
法務局のページは、所有者となる方が相続の登記を申請する場合、マイナンバーカード(の電子証明書)が必要になると案内しています。不動産登記規則43条1項は、電子署名に使う電子証明書として、原則は署名用電子証明書(マイナンバーカードに記録されたもの)を挙げ、認定認証事業者が作成した電子証明書などは、署名用電子証明書などを取得できない場合に限るとしています。また、署名にはICカードリーダライタも別に必要です。
夕方や休日にオンラインで送信すると、どうなりますか?
法務省の案内では、登記の申請の受付時間は平日の8時30分から17時15分までです。平日の17時15分以降や休日に申請情報が送信された場合は、送信した日の翌日(翌業務日)に受付がされます。書面の添付情報は受付の日から2日以内に到達する必要があるため、送信した日と受付の日がずれることに注意してください。システムの利用時間は、平日が8時30分から23時まで、休日が8時30分から18時までです。
登記識別情報を、紙で受け取ることはできますか?
電子申請でも、書面(登記識別情報通知書)での交付を申し出られます。法務省の案内では、申請情報のその他の事項欄にその旨を記録して申し出ます。登記所の窓口で受け取るときは、受付番号を確認し、身分証明書等を持参します。送付の方法を求めることもできます。登記完了証及び登記識別情報通知書は、再発行・再交付ができないため、受け取ったあとは保管してください。
参考・出典
- e-Gov法令検索 不動産登記法(第18条・第21条・第76条の2・第164条)
- e-Gov法令検索 不動産登記令(第12条・第14条・附則第5条)
- e-Gov法令検索 不動産登記規則(第43条・第44条・第55条・第63条・附則第21条・第22条・第24条)
- e-Gov法令検索 登録免許税法(第21条・第24条の2)
- 法務局 不動産の所有者が亡くなった(相続の登記をオンライン申請したい方)
- 法務省 不動産登記の電子申請(オンライン申請)について
- 法務省 不動産登記令附則第5条第1項の規定による申請(いわゆる特例方式)について
- 法務省 登記識別情報の通知の方法について
- かんたん登記・供託申請 利用可能な手続一覧
- 法務省 登記申請手続のご案内(相続登記②/法定相続編)令和8年4月
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案の判断は、管轄の法務局、市区町村、司法書士などにご確認ください。