相続登記 読了時間:約9分

PR(本記事はアフィリエイト広告を含みます)

相続したマンションの名義変更(相続登記)|敷地権付きの申請書の書き方・登録免許税の出し方・必要書類・自分でやる流れ・司法書士に頼む場合

登記事項証明書に「敷地権の表示」がある分譲マンションなら、相続登記は建物の申請書1通で足り、敷地権(土地の持分)も一緒に移ります。不動産登記法73条により、土地だけの移転登記はできないためです。申請書には「敷地権の種類」と「敷地権の割合」を登記事項証明書のとおりに書き、登録免許税は課税価格(建物の価格と、土地の価格のうち敷地権の持分に当たる分)の1000分の4です。期限は、相続で所有権を取得したと知った日から3年以内です。

やること必要なものどこで
敷地権付きか確かめる建物の登記事項証明書(表題部の「敷地権の表示」)法務局。登記情報提供サービス(有料)でも見られる
戸籍・住民票を集める被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本、相続人の戸籍謄本と住民票本籍地・住所地の市区町村
評価額を確かめる固定資産課税明細書(申請する年度のもの)毎年4月頃に市区町村から届く
申請書を書き、収入印紙を貼る不動産の表示、課税価格、登録免許税分の収入印紙と台紙法務局の様式・記載例
提出する申請書・台紙・添付書類不動産の所在地を管轄する法務局(窓口か書留郵送)
完了書類を受け取る登記完了証・登記識別情報通知書窓口、または返信用封筒で郵送

法務省 登記手続ハンドブック(令和8年4月)、法務局の案内から作成(2026年10月3日取得)。

自分はどの場合に当てはまるか

申請書の不動産の表示は戸建てとどう違うか

戸建ての申請書は、土地と建物をそれぞれ書きます。敷地権付きのマンションは、建物の表示の中に敷地権の表示を含めて、1つの不動産として書きます。法務省の記載例(一般的な分譲マンション)は、次の項目で組まれています。

項目書くこと確かめるところ
不動産番号13桁の番号。書くと、「敷地権の種類」と「敷地権の割合」以外の記載を省略できる建物の登記事項証明書
一棟の建物の表示所在、建物の名称表題部
専有部分の建物の表示家屋番号、建物の名称(部屋番号)、種類、構造、床面積表題部
敷地権の表示符号、所在及び地番、地目、地積、敷地権の種類、敷地権の割合表題部の「敷地権の表示」

法務省 登記手続ハンドブック(令和8年4月)の記載例から作成(2026年10月3日取得)。

記載例では、敷地権の種類は「所有権」、敷地権の割合は「1000分の35」と書かれています(数字は記載例のもので、ご自身のマンションの割合ではありません)。登記の表示は、登記事項証明書に記載されているとおりに正確に書くよう案内されています。

敷地権付き区分建物は、所有権の登記が敷地権についてされた登記としての効力を持ち(不動産登記法73条1項)、敷地権の登記をした土地には敷地権の移転の登記ができません(同条2項)。そのため、土地の分を別の申請書にする必要はありません。

登記事項証明書の表題部に敷地権の表示が無い、古いマンションなどは、73条の扱いにならず、土地と建物の登記が別々に残っていることがあります。その場合は、土地の登記事項証明書も取り、土地と建物をそれぞれ申請書に書きます。どちらか迷うときは、不動産の所在地を管轄する法務局に聞いてください。

登録免許税の出し方

相続による所有権の移転の登記の登録免許税は、課税価格の1000分の4です(登録免許税法別表第一)。課税価格は、固定資産課税台帳の価格が基礎になります(登録免許税法附則7条)。

手順内容根拠
建物の価格を見る固定資産課税明細書の「価格」または「評価額」。「固定資産税課税標準額」ではない法務省ハンドブック
土地の持分を出す土地の価格に、敷地権の割合を掛ける。持分の取得は、価額に持分の割合を乗じて計算する登録免許税法10条2項
足して端数を切る建物の価格と土地の持分の額を足し、1,000円未満を切り捨てる法務局「登録免許税の計算」(複数の不動産は合計額から切り捨て)
税率を掛ける1000分の4を掛け、100円未満を切り捨てる。1,000円に満たなければ1,000円別表第一、登録免許税法19条、法務局

登録免許税法、法務局「登録免許税の計算」、法務省 登記手続ハンドブック(令和8年4月)から作成(2026年10月3日取得)。

次は計算の手順を見せるための例です。数字は仮のもので、実際の価格や割合ではありません。

項目仮の数字計算
建物の価格6,500,000円課税明細書の建物の価格
土地全体の価格150,000,000円課税明細書の土地の価格
敷地権の割合1000分の35登記事項証明書
土地の持分の額5,250,000円150,000,000円 × 35/1000
課税価格11,750,000円6,500,000円 + 5,250,000円
登録免許税47,000円11,750,000円 × 4/1000

計算の手順の例。数字は仮のもの。

注意が要るのは、土地の欄の価格です。区分所有のマンションの敷地は、一定の要件を満たすと、固定資産税が持分の割合で按分されて課されます(地方税法352条の2)。そのため、市区町村の書類の土地の欄が、土地全体の価格なのか、持分で割った後の価格なのかは、書式によって違うことがあります。全体の価格なら敷地権の割合を掛け、すでに持分で割った価格なら、さらに割合を掛けません。法務局の案内には、敷地権の掛け算の例がないため、書類の土地の欄の意味と課税価格の出し方は、申請の前に管轄の法務局と、書類を出した市区町村で確かめてください。費用の全体は相続登記の費用の相場はいくら?にあります。

必要書類

マンションは部屋を分けられないため、遺産分割協議で1人が取得するか、法定相続分で共有にするかによって、書類が変わります。法務局の案内の、遺産分割協議の場合と法定相続分の場合を合わせた表です。

書類誰のどこで
戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍(出生から死亡まで)被相続人本籍地の市区町村
住民票の除票または戸籍の附票被相続人(登記上の住所が、戸籍の本籍と異なるとき)住所地・本籍地の市区町村
戸籍謄本(死亡日以降に発行されたもの)相続人本籍地の市区町村
住民票新しい所有者住所地の市区町村
固定資産課税明細書新しい所有者(申請する年度のもの)毎年4月頃に市区町村から送付
遺産分割協議書と印鑑証明書協議で決めたとき。協議書に押印した印鑑のもの相続人が作成、印鑑証明書は住所地の市区町村
相続関係説明図戸籍の原本の還付を希望するとき申請する人が作成

法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」から作成(2026年10月3日取得)。

戸籍の束は、法定相続情報一覧図を取っておくと、相続登記の手続で戸籍の束の提出を省略できます。取り方は法定相続情報一覧図の取り方に、戸籍の集め方は相続の戸籍謄本の集め方にあります。法務局の案内は、上記以外にも必要な書類がある場合があるとしています。

自分でやる流れと、司法書士に頼む場合

自分でやるとき

相続登記を自分でやる方法の全体は相続登記を自分でやる方法にあります。

司法書士に頼むとき

法務省の登記手続ハンドブックは、専門家に相談したい場合は司法書士・弁護士に相談するよう案内しています。相続人が多い、遺産分割がまとまらない、戸籍が複雑で集めきれない、申請書を作る時間が取れない場合は、頼むかどうかを考える場面です。登録免許税は法律で決まった額で、誰が申請しても納めます(登録免許税法9条、別表第一)。頼んだときの報酬は事務所によって違うため、このページでは金額を示していません。相続登記の費用の内訳は相続登記の費用の相場はいくら?にあります。

よくある質問

マンションの相続登記は、建物と土地を別々に申請しますか?

登記事項証明書に「敷地権の表示」がある敷地権付き区分建物なら、建物の申請書で足ります。不動産登記法73条1項は、敷地権付き区分建物の所有権の登記は、敷地権についてされた登記としての効力を有するとし、2項は、敷地権である旨の登記をした土地には敷地権の移転の登記をすることができないとしています。敷地権の表示が無い場合は、この扱いにならないため、土地の登記事項証明書も取り、土地と建物をそれぞれ申請書に書きます。どちらに当たるかは、建物の登記事項証明書の表題部で確かめ、迷うときは管轄の法務局に聞いてください。

登録免許税は、土地の価格に0.4%を掛けるだけでよいですか?

相続による所有権の移転の登記の税率は、課税価格の1000分の4です(登録免許税法別表第一)。課税価格は、建物の価格と、土地の価格のうち敷地権の持分に当たる分を足したものです。登録免許税法10条2項は、所有権の持分の取得は、不動産の価額に持分の割合を乗じて計算した金額によるとしています。ただし、書類の土地の欄が土地全体の価格なのか、持分で割った後の価格なのかは書式によって違うことがあり、法務局の案内にはこの掛け算の例がありません。申請の前に、管轄の法務局で課税価格の出し方を確かめてください。

相続登記の期限を過ぎるとどうなりますか?

不動産登記法76条の2は、相続で所有権を取得した人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならないとしています。正当な理由がないのに怠ったときは、164条により10万円以下の過料に処するとされています。

相続登記の登録免許税の免税措置は、マンションにも使えますか?

租税特別措置法84条の2の2第2項の免税措置は、土地の相続による所有権の移転の登記で、課税標準たる不動産の価額が100万円以下のときに登録免許税を課さないとするもので、令和9年(2027年)3月31日までの措置です。条文の対象は土地で、建物は含まれていません。敷地権付き区分建物の敷地権の部分が対象になるかは、法務局の案内に例が無いため、管轄の法務局で確かめてください。免税を受けるには、申請書に法令の条項を書く必要があります。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案の判断は、管轄の法務局、市区町村、司法書士などにご確認ください。

運

空き家計算機 運営事務局

本サイトは個人が運営する情報提供サイトです。空き家・相続不動産の活用・売却・管理について、国土交通省・法務省・農林水産省などの公開情報をもとに記事を編集・公開しています。お問い合わせは お問い合わせフォーム よりお願いします。