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親が施設に入って空いた実家は、どうする?売る・貸す・空き家のまま残すの比べ方
親が老人ホームなどの施設に入って実家が空いたとき、売る・貸す・残すの違いは「いつまでに売るか」と「将来どの特例を使うか」に出ます。親が元気なうちに売るなら、国税庁のNo.3302にある「以前に住んでいた家屋」として、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが、3,000万円特別控除の条件です。貸していても、この点では外れません。一方、親が亡くなったあとに子が売る特例は別で、入所後に貸していないことが要件に入っています。
| 入所後の実家 | 親が元気なうちに売る(No.3302) | 亡くなったあとに子が売る(No.3307) |
|---|---|---|
| 売る | 住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る。売主は住んでいた本人 | 相続人が売る別の特例。相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る |
| 貸す | 住まなくなった日以後、どのような用途に使用してもかまわない | 入所した時から相続の開始の直前まで、貸付けの用に供されていないこと |
| 空き家のまま残す | 3年の期限を過ぎてから売ると、この特例の対象に当たらない | 入所した時から相続の開始の直前まで、物品の保管その他の用に供されていたこと |
国税庁タックスアンサーNo.3302・No.3306・No.3307(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月3日に取得)より。右の列は、要介護認定等を受けて対象の施設に入所した場合の要件の一部で、全部ではありません。
自分はどの場合に当てはまるか
- 親は元気で、実家を売るか貸すか決めたい:節2に、売る場合の特例の期限を、節3に比べ方を書きました。
- 親の判断が難しくなっている:節4と親が認知症で家を売りたいときにあります。
- 名義が親のまま、子が手続きを進めたい:親名義の家を子どもが売るにはにあります。
- 親が施設で亡くなり、家が残った:売る場合は空き家の3,000万円特別控除に、相続税の小規模宅地等の特例は老人ホームに入っていた親の自宅と小規模宅地等の特例にあります。
- 売る前に、片付けや管理を進めたい:節6と実家じまいの手順と費用にあります。
入所後に売る3,000万円特別控除は、いつまで使えるか
租税特別措置法35条2項2号は、居住用家屋で居住の用に供されなくなったものの譲渡を、居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にした場合を、特例の対象に入れています。国税庁のNo.3302も、同じ内容を「以前に住んでいた家屋」として書いています。
- 期限:住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合に限ります。
- 売る人:その家に住んでいた本人です。国税庁の質疑応答事例は、相続で取得した人が、所有者として居住したことがない家を売る場合は、この特例の対象にならないとしています。
- 売る相手:親子や夫婦など「特別の関係がある人」に売ったものは対象外です。生計を一にする親族、売った家で同居する親族なども含まれます。
- 前年・前々年の適用:売った年の前年と前々年に、この特例(または譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例)を受けていないことが要件です。
- 建物を取り壊して土地で売る:契約を取り壊した日から1年以内に結び、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、取り壊してから契約までの間、貸駐車場などに使っていないことが条件です。
- 手続き:確定申告が必要です。譲渡所得の内訳書を添えます。
老人ホームに入所した場合の「住まなくなった日」を、入所した日とするのか、ほかの日とするのかは、今回確認した範囲では見つかりませんでした。国税庁の質疑応答事例(譲渡所得)の居住用財産の項の見出し一覧にも、老人ホーム入所を扱う事例は見当たりませんでした。入所の時期と売却の時期が3年の期限の近くにあるときは、税務署か税理士に確かめてください。老人ホーム入所の取扱いが国税庁のタックスアンサーに書かれているのは、No.3307の、亡くなったあとに売る空き家の特例のほうです。
売る・貸す・残すを、何で比べるか
- 売る:期限が決まっているので、住まなくなった時期から数えて、いつまでに売るかを先に決めます。売ると決めたときの費用と流れは、家を売るときにかかる費用にあります。
- 貸す:3年以内に売るなら、貸していても節2の特例の対象です。ただし、その後に親が亡くなって子が売る特例を使う可能性があるときは、入所後に貸していないことが要件に入っています。
- 空き家のまま残す:3年の期限を過ぎると、節2の特例は使えません。親が亡くなったあとに子が売る特例では、入所後も家が物品の保管その他の用に供されていたことが要件なので、家財を片付ける時期がこの要件にどう影響するかは、原文からは分かりません。片付けを始める前に、税務署か税理士に確かめてください。
相続したあとの比べ方は、相続した親の家を「売る・貸す・残す」どう選ぶにあります。
親が売る意思を示せないときは
売買契約は、売主である親本人の意思が前提です。親が元気で、子が手続きを手伝うときと、親の判断が難しいときでは、進め方が変わります。
- 親が元気で、子が手伝う:委任状で売れるか、売ったお金は誰のものかは、親名義の家を子どもが売るにはにあります。
- 親の判断が難しい:成年後見人の選任と、家庭裁判所の許可の流れは、親が認知症で家を売りたいときにあります。
住民票は施設に移すべきか
- 法律の考え方:民法22条は、各人の生活の本拠をその者の住所とします。住民基本台帳法22条は、新たに市町村の区域内に住所を定めた人に、転入をした日から14日以内の届出を求めています。施設に生活の本拠を移したかどうかが、基準になります。
- 介護保険の住所地特例:介護保険法13条は、住所地特例対象施設(介護保険施設、特定施設、養護老人ホーム)に入所して、施設のある場所に住所を変更したと認められる人が、入所の際に他の市町村に住所を持っていた場合は、その元の市町村の介護保険の被保険者のままとしています。
- 実家を売るときの特例:No.3302の要件に、住民票を移していないことは入っていません。提出書類として、売買契約日の前日の住民票の住所と家の所在地が異なる場合などは、戸籍の附票の写しなど、その家に居住していたことを明らかにする書類を併せて出すよう書かれています。
- 亡くなったあとの小規模宅地等の特例:住民票の扱いは、老人ホームに入っていた親の自宅と小規模宅地等の特例に書きました。
住民票を移したときに介護保険などの扱いがどう変わるかは、入所する施設や市区町村の窓口に、入所前に確かめます。
空き家の間の管理
- 管理の責務:空家法5条は、空家等の所有者または管理者に、適切な管理に努めるよう求めています。名義が親のままなら、所有者は親です。
- 管理を頼む:費用の目安と業者の選び方は空き家管理の委託費用に、火災保険は空き家の火災保険に、放置した場合は空き家を放置するとどうなるにあります。
- 管理が難しいとき:通うのが難しいほど遠い実家は、管理を続けるか、売る・貸す・活用のどれかに切り替えるかを、査定や提案を聞いて比べる方法があります。
よくある質問
親が施設に入ったあとに実家を売ると、3,000万円の特別控除は使えますか?
使える場合があります。国税庁のNo.3302は、マイホームを売ったときの特例の対象に、以前に住んでいた家屋を挙げています。ただし、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合に限ります。売るのは、その家に住んでいた本人(所有者)で、親子や夫婦など特別の関係がある人に売ったものは対象になりません。前年と前々年にこの特例などを受けていないことも要件です。個別の判断は、税務署か税理士に確かめてください。
施設に入ったあと、実家を貸すと3,000万円の特別控除は使えなくなりますか?
No.3302は、以前に住んでいた家屋について、住まなくなった日以後どのような用途に使用してもかまわない、と書いています。貸していても、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、この点で外れるとは書かれていません。一方、親が亡くなったあとに子が売る空き家の特例(No.3306・3307)は、入所した時から相続の開始の直前まで、家が貸付けの用に供されていないことが要件に入っています。
親が亡くなったあとに子が売ると、同じ特例が使えますか?
別の特例になります。国税庁の質疑応答事例は、相続で取得した人が、所有者として居住したことがない家を売る場合は、居住用財産の特例を受けられないとしています。その場合は、被相続人の居住用財産(空き家)の特例(No.3306)が検討の対象です。老人ホームに入所していた場合の要件はNo.3307に書かれていて、当サイトの「空き家の3,000万円特別控除」のページに整理しています。
住民票を施設に移すと、実家を売るときに不利になりますか?
No.3302の要件には、住民票を移していないことは入っていません。ただし提出書類として、売買契約日の前日の住民票の住所と家の所在地が異なる場合などは、戸籍の附票の写しなど、その家に居住していたことを明らかにする書類を併せて出すよう書かれています。住民票を移した場合の個別の判断は、税務署か税理士に確かめてください。
親に家を売る意思をはっきり確かめられないときは、どうすればよいですか?
売買契約は、売主である親本人の意思が前提です。親が認知症などで判断が難しいときは、成年後見人を立てる方法があり、居住用の家を売るには家庭裁判所の許可が要ります。流れは「親が認知症で家を売りたいとき」のページに、親が元気で子が手続きを手伝うときの委任状の扱いは「親名義の家を子どもが売るには」のページにあります。
施設に入った親の空き家は、誰が管理しますか?
空家法5条は、空家等の所有者または管理者に、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切な管理に努めることを求めています。名義が親のままなら、所有者は親です。親が自分で管理できないときに、子が代わりに見回す、管理を不動産会社などに委託するといった方法があります。委託の費用と選び方は「空き家管理の委託費用」のページにあります。
参考・出典
- 国税庁 - No.3302 マイホームを売ったときの特例
- 国税庁 - No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 国税庁 - No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋
- 国税庁 質疑応答事例 - 相続人が譲渡する被相続人の居住用財産
- e-Gov法令検索 - 租税特別措置法(第35条)
- e-Gov法令検索 - 民法(第22条)
- e-Gov法令検索 - 住民基本台帳法(第22条)
- e-Gov法令検索 - 介護保険法(第13条)
- e-Gov法令検索 - 空家等対策の推進に関する特別措置法(第5条)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、税務上の取扱いを保証するものではありません。特例の適用には他にも要件があり、法令は改正されることがあります。個別の判断は、税務署や税理士にご確認ください。広告内の「空き家の窓口」の内容は、案内ページ(2026年10月3日に確認)の表示にもとづきます。