相続した土地を売ったときの税金|計算の流れ・取得費が分からないとき・取得費加算の期限・3,000万円控除は土地だけで使えるか
相続した土地を売ると、売った金額から取得費と譲渡費用を引いた譲渡所得に税金がかかります。所有期間は、相続したものは原則として被相続人が取得した日から数えます。譲渡した年の1月1日で5年を超えていれば長期譲渡所得で、税額は課税長期譲渡所得金額の15%(ほかに住民税5%)です。売る時期で効きかたが変わる特例が2つあり、どちらも「3年」が出てきますが数え方が別です。取得費加算は相続税の申告期限の翌日以後3年、空き家の3,000万円特別控除は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。
| 特例 | 売る期限(原文) | 根拠 |
|---|---|---|
| 取得費加算 | 相続開始の日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで。相続税が課税されていることも要件 | 措置法39条・国税庁 No.3267 |
| 空き家の3,000万円特別控除 | 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。売るのは令和9年12月31日までで、売却代金は1億円以下 | 措置法35条3項・国税庁 No.3306 |
| 両方使えるか | 3,000万円控除の対象になる譲渡から、取得費加算(39条)の適用を受けるものは除くと書かれている | 措置法35条3項 |
出典:e-Gov法令検索 租税特別措置法(施行日2026年10月1日時点)、国税庁タックスアンサー No.3267・3306(令和8年4月1日現在法令等)。いずれも2026年10月2日取得。個別の事情で結論が変わることがあるため、実際の申告は税務署・税理士にご確認ください。
税金の計算の流れ
国税庁の説明では、流れは次の3つです。
| 順番 | 国税庁の記載 | 出典 |
|---|---|---|
| 1 譲渡所得 | 土地や建物を売った金額(収入金額)から、取得費と譲渡費用を差し引く | No.3202 |
| 2 長期か短期か | 譲渡した年の1月1日で所有期間が5年を超えれば長期、5年以下なら短期。相続したものは、原則として被相続人が取得した日から計算する | No.3202 |
| 3 長期の税額 | 課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)。復興特別所得税は基準所得税額に2.1%を掛ける | No.3208 |
出典:国税庁タックスアンサー No.3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」、No.3208「長期譲渡所得の税額の計算」(令和8年4月1日現在法令等。2026年10月2日取得)。長期の根拠は租税特別措置法31条1項です。
取得費と譲渡費用には何が入るか
- 取得費:土地は、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計に、その後の改良費などを加えた額です。相続した土地では、被相続人が買ったときの額が基準になります(分からないときは次の節)。
- 譲渡費用:売るために直接かかった費用です。国税庁は、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などを挙げています。
家が建ったままの土地を解体して売る予定なら、取壊し費用が譲渡費用に入る点は押さえておけます。売るまでの固定資産税などの負担は土地の維持費のページに整理しています。
税額そのものは、売却額・取得費・特例の使い方で変わります。数字を入れて比べるなら相続不動産の譲渡所得の計算ツールが使えます(特例なし・取得費加算・3,000万円控除を比較)。
取得費が分からないとき
先祖から引き継いだ土地は、いくらで買ったのか分からないことがよくあります。
| 場面 | 原文の記載 | 根拠 |
|---|---|---|
| 取得費が分からない | 先祖伝来のものである、買い入れた時期が古いなど取得費が分からない場合は、売った金額の5%相当額を取得費とすることができる | 国税庁 No.3258 |
| 実際の取得費が5%より低い | 実際の取得費が売った金額の5%相当額を下回る場合も、5%相当額を取得費とすることができる | 国税庁 No.3258 |
| 条文の範囲 | 昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた土地等を譲渡した場合、取得費は収入金額の5%。ただし実際の取得額がこれに満たないことが証明されたときは、その額 | 措置法31条の4 |
出典:国税庁タックスアンサー No.3258「取得費が分からないとき」(根拠法令等:所得税法33・38条、措置法31条の4、措置法通達31の4-1。令和8年4月1日現在法令等)、e-Gov法令検索 租税特別措置法31条の4(いずれも2026年10月2日取得)。
国税庁のページは「分からない」場合を例に5%を説明していて、条文には昭和27年12月31日以前から所有していた土地等と書かれています。あなたの土地がどちらで扱われるかは、売る前に税務署か税理士に確かめると安心です。5%と実際の取得費で税額がどれだけ違うかは、取得費が分からないときのページに詳しくあります。
相続税を払ったときの取得費加算と、その期限
相続した土地を売るとき、払った相続税の一部を取得費に足せる特例があります。国税庁が挙げる要件は3つです。
- 相続や遺贈で財産を取得した人であること
- その人に相続税が課税されていること
- 相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です(国税庁 No.4205)。この2つを足すと、相続の開始からおよそ3年10か月が目安になります。条文(措置法39条1項)の書きぶりは「相続開始の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで」なので、実際の期限日は申告期限をもとに数えてください。
- 足せる相続税額は、売った財産ごとに計算します。足した結果が譲渡益を超えるときは、譲渡益相当額までです(国税庁 No.3267)。
- 相続税がかからなかった人(基礎控除以内で申告がない人など)は、この特例の対象になりません。
- 最初の表のとおり、3,000万円控除と同じ譲渡では併用できません。
加算額を入れて譲渡所得を比べるには相続税の取得費加算の特例の計算ツールが使えます。
土地だけを売るときの3,000万円特別控除
3,000万円特別控除は、家屋と敷地を売る場合が基本ですが、家屋の全部を取り壊したあとに敷地等だけを売る形でも使えます。条文(措置法35条3項2号)と国税庁の記載をそろえると、土地だけを売るときの条件は次のとおりです。
| 条件 | 原文の記載 | 根拠 |
|---|---|---|
| 家屋の条件 | 相続の開始の直前に被相続人が住んでいた家屋で、昭和56年5月31日以前の建築、区分所有でない、相続開始の直前に被相続人以外に居住していた人がいない | 措置法35条5項 |
| 取り壊しまで | 相続の時から取壊し等の時まで、家屋が事業・貸付け・居住の用に供されていないこと | 措置法35条3項2号イ |
| 売るまで | 敷地等は、相続の時から譲渡の時まで事業・貸付け・居住に使っていないこと。取壊し等の時から譲渡の時まで建物や構築物の敷地にも使っていないこと | 措置法35条3項2号ロ・ハ |
| 時期と金額 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、令和9年12月31日までの譲渡で、売却代金1億円以下 | 措置法35条3項 |
| 相続人の数 | 家屋と敷地等を取得した相続人が3人以上のときは、控除は2,000万円まで(令和6年1月1日以後の譲渡) | 措置法35条4項・国税庁 No.3306 |
出典:e-Gov法令検索 租税特別措置法35条(施行日2026年10月1日時点)、国税庁タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(令和8年4月1日現在法令等)。いずれも2026年10月2日取得。
相続前から更地だった土地や、被相続人が住んでいなかった家の敷地は、この条件の「被相続人居住用家屋の敷地等」にあたらないため、対象になりません。売却先が親子や夫婦などの特別の関係がある人のときも対象外です(国税庁 No.3306)。細かい条件と必要書類は空き家の3,000万円特別控除のページに、あなたの場合に使えるかは3,000万円特別控除が使えるかチェックにまとめています。
確定申告と、家・マンションを売る場合
取得費加算も3,000万円控除も、確定申告をすることが適用の条件です。取得費加算では「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」と譲渡所得の内訳書を確定申告書に添えます(国税庁 No.3267)。申告の手順と必要書類は売却した年の確定申告のページにあります。
土地に家やマンションが付いたまま売る場合の税金は、家を売る税金のページと相続したマンションを売ったときの税金のページをご覧ください。