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空き地の管理|所有者の義務・条例による指導と命令・管理不全土地管理命令・管理の方法と手放し方

空き地の管理は、国の法律では所有者の責務とされています。草刈りをどこまで求められるかは、市区町村の条例が決めています。条例があると答えた市区町村は471(国土交通省の調査)で、多くは指導・勧告・命令の順に進みます。自分で管理できないときは、市区町村の除草受託や草刈り業者に頼む方法と、手放す方法があります。国土交通省のガイドライン、民法、条例の原文で整理します。

方法やること費用の決まり方
自分で管理する草刈り・ごみの除去を自分で行う。草刈機を貸し出す市がある(西宮市・伊丹市)道具と燃料、刈った草の処分。伊丹市は刈草を、クリーンランドへ持ち込むか有料臨時ごみとして処理するよう案内
市区町村に除草を頼む制度のある市に、所有者の依頼で除草を受託してもらう(西宮市)。条例に定める市もある(橋本市6条)西宮市は除草面積を計測して料金を算定。市が業者に外部委託する契約金額と同額で、毎年異なる
草刈り業者に頼む現地を見てもらい、見積もりを取って依頼する。定期の草刈りに対応する業者もある面積に応じた単価。草刈り110番の公式サイトは「163円〜/㎡(税込)」と表示し、対応エリア・加盟店により異なるとする
定期の管理を委託するシルバー人材センターや不動産会社に、見回りや草刈りを頼む公表されている料金は、空き家の草刈り・管理委託のページにまとめている
手放す隣地所有者や地域団体への譲渡・貸与、売却、相続土地国庫帰属制度方法ごとに別。節6のページを参照

西宮市・伊丹市の案内、橋本市の条例、草刈り110番の公式サイト、国土交通省のガイドラインから作成(2026年10月3日取得)。

自分はどの場合に当てはまるか

所有者の管理義務:法律と条例のどこに書いてあるか

土地基本法6条1項は、土地所有者等は土地の利用及び管理並びに取引を行う責務を有すると定めています。3条2項は、土地は周辺地域の良好な環境の形成を図り、周辺地域への悪影響を防止する観点から、適正に利用し、または管理されるものとしています。この法律に罰則はありません。

草刈りの基準や罰則は、国の法律にはありません。国土交通省のガイドラインは「現在空き地の管理一般について規制を伴う措置を規定している法律は制定されていません」と説明し、市区町村が自主条例で定めているとしています。市区町村へのアンケートでは、回答した1,663のうち471が空き地等の管理や利活用のための条例が「ある」と答えています。

条例が対象にする空き地

ガイドラインが分析した198条例のうち、139は「現に使用されていない土地」を空き地と定義しています。そのうち52は、宅地化された状態の土地などに限っています。農地や山林を除く例もあり、泉佐野市の条例は田、畑及び山林を除いています。空き家の条例が、空き家と一緒に空き地を対象にしている例も17あります。

管理不全の状態と、数値の基準

条例の多くは、雑草等の繁茂によって、害虫の発生、ごみの不法投棄、火災や犯罪のおそれ、通行の妨げなどが起きている状態を、管理不全としています。数値で基準を置く市区町村もあります。

草刈りの回数や時期を定めた全国の基準は、取れた原文にはありません。

民法の責任

民法717条は、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があって他人に損害を生じたときは、占有者が賠償責任を負い、占有者が必要な注意をしたときは所有者が賠償しなければならないと定めています。竹木の栽植または支持に瑕疵がある場合にも準用されます(同条2項)。たとえば、塀や擁壁、立木が倒れて他人に被害が出た場合が考えられます。雑草そのものが対象になるかは、条文には書かれていません。

市区町村から連絡が来たとき:指導・勧告・命令の流れ

条例の多くは、指導・助言、勧告、命令の順に進みます。ガイドラインが例に挙げる三郷市の条例は、市長が期限を定めて指導・助言し(4条)、従わないときに勧告し(5条)、勧告にも正当な理由なく従わないときに命令できる(6条)とし、緊急を要する場合は前2つの手続を省略できるとしています。

実際に、どこまで進んでいるか

段階規定のある自治体令和2〜4年度の適用件数
指導・助言33659,717
勧告3043,296
措置命令252464
公表9526
罰則650
代執行1507

国土交通省「空き地の適正管理及び利活用に関するガイドライン」図表2-10から作成。規制の規定がある自治体を対象にした有効回答384で、適用件数は概算を含みます。

指導・助言が大半で、命令以降は件数が少なくなっています。件数が少ないことは、命令や代執行を受けないという意味ではありません。条例に規定のある市区町村では、手続が用意されています。条文が入手できた198条例のうち、命令の規定があるのは145、代執行は79、過料は28、罰金等は16です。

代執行は、命令に従わないときに行政が草刈り等を行い、費用を所有者から徴収する手続です。ガイドラインは、徴収できるのは実際に要した費用で、国税滞納処分の例により強制徴収できると説明しています。

条例による違い

市条例の定め条例
阪南市指導、勧告、命令、公表(氏名・住所・空き地の所在地・命じた措置)、代執行の順。公表の前に理由を通知し、意見を述べる機会を与える。命令・公表・代執行は令和7年条例第9号で追加空き地の適正管理に関する条例 4〜9条
泉佐野市助言・指導、勧告(環境衛生審議会の意見を聴く)、命令、公表、代執行。命令に違反した者は5万円以下の過料。生命・身体・財産への危害を防ぐ緊急の措置の費用は所有者等の負担空き地の雑草等の除去に関する条例 7〜11条・13条(令和4年4月1日施行)
富田林市命令に違反した者は10万円以下の罰金。立入調査を拒み、妨げた者は3万円以下の罰金。勧告・命令に基づいて措置をとったときは市長に報告するあき地の適正管理に関する条例 6条・10条
橋本市命令の前に弁明の機会を与える。特別の事情で解消できないときは、除草等を市長に委託でき、費用は所有者等が負担する空き地の適切な管理に関する条例 5条2項・6条
宝塚市空地の占有者は、雑草・枯木・投棄された廃棄物を除去し、不法投棄の誘発や蚊・はえ・ねずみの発生を防ぐ措置を講じる。勧告・命令、代執行、命令に従わない者の氏名の公表を定める都市の清潔に関する条例 12・14〜16条

各市の条例の原文から作成(2026年10月3日取得)。条例の内容は市区町村ごとに違うため、土地のある市区町村の条例を確認してください。

市区町村の取り組みの例

西宮市は「あき地の環境を守る条例」を制定し、定期的に空き地のパトロールを実施して、管理が行き届いていない空き地の所有者には現状を伝え、改善を依頼していると案内しています。伊丹市は、環境保全条例65条に基づき、指導勧告を行っているとしています。

他人が困っているとき:管理不全土地管理命令

民法264条の9第1項は、所有者による土地の管理が不適当であることによって、他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、または侵害されるおそれがある場合に、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、裁判所が管理人による管理を命じることができると定めています。法務省は、令和5年4月1日施行の民法の改正に含まれるとしています。

法務省は、土地の例として、ひび割れ・破損した擁壁を放置して隣地に倒壊するおそれがあるケースと、ゴミが不法投棄された土地を放置して臭気や害虫による健康被害が生じているケースを挙げ、利害関係人に当たり得る者の例を、倒壊のおそれが生じている隣地所有者、被害を受けている者としています。管理人が行う管理行為の例は、擁壁の補修工事、ゴミの撤去、害虫の駆除です。

項目内容根拠
申立てができる人利害関係人。市町村長には特例がある民法264条の9、所有者不明土地法42条3項・4項、空家法14条3項
申立先土地の所在地を管轄する地方裁判所非訟事件手続法91条1項
所有者の意見原則として所有者の陳述を聴く。聴くと目的を達することができない事情があるときは例外同法91条3項
管理人の権限保存行為と、土地の性質を変えない範囲の利用・改良行為。それを超えるには裁判所の許可が必要で、土地の処分の許可には所有者の同意が必要民法264条の10
申立てにかかる費用収入印紙1,000円(1筆につき)、郵便切手6,000円(東京地裁)、このほかに予納金。予納額は裁判官が判断する東京地方裁判所の案内
管理人の費用と報酬裁判所が定める額を、管理の対象の財産から受け取る。負担するのは所有者民法264条の13
終わり方ごみの除去や雑草の伐採など選任の目的が達せられたときは、原則として取り消される東京地裁の案内、非訟事件手続法91条7項

民法・非訟事件手続法・所有者不明土地法・空家法の原文、法務省のポイント(P41・P42)、東京地方裁判所の案内から作成(2026年10月3日取得)。予納金の額は案内に記載がありません。

法務省は、所有者が発令に反対していても法律上は発令できるとしています。ただし、所有者がそこに居住していて管理行為を妨害することが予想されるなど、管理人による実効的な管理が期待できないときは、従来どおり訴訟で対応するほうが適切だとしています。

市町村長は、所有者不明土地のうち管理されていないものについて、災害の発生や周辺の環境の著しい悪化を防ぐため特に必要なときに、この命令を請求できます(所有者不明土地法42条3項)。空家法14条3項は、管理不全空家等または特定空家等について、市町村長が請求できると定めています。建物には、同じ仕組みの管理不全建物管理命令があります(民法264条の14)。

近隣の空き地で困っているとき

草津市は、近隣の空き地の管理不良の相談を市で受け付け、所有者が不明なときは市が所有者を調査するとしています。市では草刈り等はできないものの、近隣から要望が寄せられていることを所有者に伝えられるとしています。隣地から枝が越境してくる場合は隣地の竹木の枝が越境してきたらにまとめています。

自分で管理するか、頼むか

自分で管理する

西宮市は、空き地の所有者や自治会などが除草する場合に、草刈機とカマを無料で貸し出しています。貸出台数は除草面積によって異なり、原則2台までです。燃料は利用者が準備します。伊丹市も、自主的に除草する所有者に草刈り機を貸し出しています。国土交通省のガイドラインによると、管理用具(草刈り機等)の貸出を行う市町村は61です。

西宮市の案内は、作業時に長袖・長ズボン・帽子・防塵メガネ・安全靴を着用し、作業中は人から半径15メートル以上離れるよう求めています。市は事故などの責任は負えないとしています。

市区町村に頼む

西宮市は、所有者の依頼に基づいて市が除草を受託する制度を設けています。環境衛生課に相談し、現地の状況を確認したあと、雑草除去委託申請書を提出します。市が除草面積を計測して料金を算定し、納付書で納めると、市が外部の業者に発注します。除草が完了すると、作業前と作業後の写真つきの完了報告書が届きます。料金は、入札により市が除草業者へ外部委託する契約金額と同額で、毎年異なります。

ガイドラインによると、管理業者等のあっせんを行う市町村は85、行政等による管理受託は24です。市が受託する事業者を住民に紹介する例(米子市)や、ふるさと納税の返礼品として空き地の管理サービスを提供する例(鳴門市)も紹介されています。南房総市の条例は、空き地の所有者等が雑草等を除去できないときに、申出により除去をする者をあっせんするとしています(7条)。制度の有無は市区町村ごとに違うため、窓口に確認してください。

草刈り業者に頼む:公式サイトの記載

草刈り業者の一つ、草刈り110番の公式サイト(2026年10月3日に確認)には、次のように書かれています。

公式サイトには、不法投棄されたごみの撤去や、立木の伐採についての記載はありません。刈草の処分費や最低料金の記載も取れていません。草刈り以外の作業が必要なときは、見積もりを頼むときに伝えて確認してください。

管理できないとき:手放す方法

国土交通省のガイドラインは、宅地としての需要が失われた空き地について、何らかの使い途を見出す余地がある隣地の所有者や地域の活動団体への譲渡・貸与により利用機会を与えることや、農園・菜園、緑地・広場などに転換することを挙げています。所有者が高齢であったり遠方に住んでいたりして管理を続けることが難しい場合があるため、賃貸や売却、管理委託などを相談できる窓口を設け、第三者に委ねられる環境を整えることが重要だとしています。

よくある質問

空き地の草刈りをしないと、罰則はありますか?

国の土地基本法6条は、土地所有者等は土地の利用及び管理を行う責務を有すると定めていますが、この法律に罰則はありません。罰則を置くかどうかは市区町村の条例で決まります。国土交通省のガイドラインによると、条文が入手できた198条例のうち、過料の規定があるのは28、罰金等の規定があるのは16です。たとえば泉佐野市は命令に違反した者を5万円以下の過料、富田林市は10万円以下の罰金としています。罰則の規定がある自治体は65で、令和2〜4年度の適用件数は0と報告されています。

草刈りは年に何回すればよいですか?

全国一律の回数や時期の基準は、取れた原文にはありません。条例では、害虫の発生・ごみの不法投棄・火災や犯罪のおそれなどを「管理不全の状態」とし、数値の基準を置く市区町村もあります。伊丹市は、空き地の約3割以上が高さ1メートル以上(建築物のある土地に隣接する空き地は50センチメートル以上)の雑草や枯草に覆われているときなどを、適正に管理されていない土地としています。草津市は、春から秋にかけて草刈りを求める相談が市へ数多く寄せられると案内しています。土地のある市区町村の基準は、窓口に確認してください。

市区町村から草刈りを求める連絡が来たら、どうなりますか?

多くの条例は、指導・助言、勧告、命令の順に進みます。ガイドラインの例(三郷市)では、緊急を要する場合は指導と勧告の手続を省略できます。命令に従わないと、公表や、行政が代わりに草刈りをして費用を所有者から徴収する代執行に進む条例があります。令和2〜4年度の適用件数は、指導・助言が59,717、勧告が3,296、措置命令が464、公表が26、代執行が7と報告されています(件数は概算を含みます)。書面に書かれた期限と、求められている措置を確認してください。

隣の空き地が荒れていて困っています。どうすればよいですか?

まず市区町村に相談します。草津市は、近隣の空き地の管理不良の相談を受け付け、所有者が不明なときは市が所有者を調査するとしています。市では草刈り等はできないものの、近隣から要望が寄せられていることを所有者に伝えられるとしています。それでも改善されないときは、管理が不適当で自分の権利などが侵害されるおそれがあれば、利害関係人として裁判所に管理不全土地管理命令を請求できます(民法264条の9)。隣地から枝が越境している場合は、民法233条の定めがあります。

管理不全土地管理命令とは何ですか?費用はいくらですか?

所有者による土地の管理が不適当で、他人の権利や法律上保護される利益が侵害される、またはそのおそれがあるとき、利害関係人の請求により、裁判所が管理人を選んで管理させる制度です(民法264条の9、令和5年4月1日施行の民法の改正)。東京地方裁判所の案内では、申立てに収入印紙1,000円(1筆につき)と郵便切手6,000円がかかり、このほかに管理費用と管理人報酬のための予納金が必要です。予納額は裁判官が判断し、案内に金額の記載はありません。管理人の費用と報酬は所有者の負担です(民法264条の13)。

遠方に住んでいて、空き地を管理しに行けません。

次の方法があります。①制度のある市区町村に除草を頼む(西宮市は所有者の依頼で市が除草を受託)、②草刈り業者に見積もりを取って頼む、③隣地所有者や地域団体への譲渡・貸与、売却、相続土地国庫帰属制度などで手放す。国土交通省のガイドラインは、市区町村が管理業者をあっせんする例が85、行政等が管理を受託する例が24あると報告しています。自分の土地のある市区町村に制度があるかは、窓口に確認してください。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案の法的な判断は、弁護士、司法書士、市区町村の窓口などにご確認ください。

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