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空き家の草刈り|所有者の義務・市役所に言われたら・頼み先と公表料金・補助金
空き家の敷地の草は、所有者が管理する責任を負います。空家法5条は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう空き家の適切な管理に努めることを所有者に求めています(5条そのものに罰則はありません)。ただし放置が続くと、市区町村から指導を受け、改善されなければ勧告に進み、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れます。この記事は、空き家の草刈りを頼みたい方向けに、市役所から連絡が来たときの流れ、頼み先と公表されている料金、補助金、隣地との関係を原文で整理します。
草刈りは所有者の義務か:空家法の定め
空家法5条は、空き家の所有者または管理者は「周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努める」と定めています。「努める」という書き方で、草刈りの回数や方法を決めた条文はありません。そのうえで、管理が行き届かない空き家には、市区町村長が次の段階で関わります。
| 段階 | 市区町村ができること | 根拠 |
|---|---|---|
| 空き家全般 | 所有者に、情報の提供・助言その他の援助を行うよう努める | 空家法12条 |
| 管理不全空家等 | 指導。改善されないと、立木竹の伐採などの具体的な措置を勧告 | 空家法13条1項・2項 |
| 特定空家等 | 助言・指導、勧告、命令、代執行。措置の例に立木竹の伐採 | 空家法22条 |
出典:e-Gov法令検索 空家等対策の推進に関する特別措置法(2026年10月2日取得)。
国土交通省のガイドラインが挙げる状態の例に、「雑草」という語は出てきません。草に近いものとして挙がるのは、立木の枝のはみ出し(周囲の建築物の破損や通行の妨げにつながるもの)と、害虫の発生につながる敷地内の常態的な水たまり・多量の腐敗したごみ等です。ガイドラインは、これらの例によらない場合も個別の事案に応じて総合的に判断するとしているので、草が伸びているだけで管理不全空家等や特定空家等に当たるとも、当たらないとも言い切れません。
一方、市区町村の側は、草の放置が別の問題につながると案内しています。伊丹市は、雑草や枯草がそ族昆虫や不法投棄の発生源になる可能性があるとし、草津市は害虫の発生、見通しの悪化、不法投棄、枯草による火災を挙げています(どちらも空き地のページ)。
勧告を受けたあとの固定資産税がどう変わるかは、管理不全空家とは?特定空家との違いと、勧告で固定資産税の特例が外れる条件で原文と計算例を載せています。
市役所から連絡が来たとき
西宮市は、管理不全の空き家について、所有者に現状を伝えるようにしていると案内しています。連絡が来たときの国のガイドラインの扱いは、次のとおりです。
| 場面 | 案内されていること | 出典 |
|---|---|---|
| 指導の伝え方 | 指導の内容と事由、責任者を示す。勧告の可能性と、勧告で住宅用地特例から除外されることを、あらかじめ示すよう努める。口頭でもよいが、改善しなかった場合の措置を明確に示す必要があるときは書面が望ましい | 国交省ガイドライン 第3章3 |
| 指導に応じたとき | 指導に係る措置を実施したら、遅滞なく指導の責任者に報告する。状態が改善されれば、指導の内容は履行されたことになる | 国交省ガイドライン 第3章3 |
| 勧告に進む場合 | 指導をしてもなお状態が改善されず、放置すれば特定空家等になるおそれが大きいと認めるとき | 空家法13条2項 |
| 窓口 | 空き家と空き地で課が分かれる市がある。草津市は空き家からの雑草が建築政策課、空き地の雑草が生活安心課。西宮市は空き家が建築安全課、空き地が環境衛生課 | 草津市・西宮市 |
出典:国土交通省ガイドライン、空家法、草津市・西宮市の案内(2026年10月2日取得)。
草を刈ったあとは、報告のために刈る前と刈った後の写真を残しておくと、状況が伝わりやすくなります。神戸市も、業者へ見積もりを依頼するときは、写真を添付すると場所や状況が分かりやすいと案内しています。
時期と回数:国と市区町村の書き方
国の基本指針とガイドラインには、草刈りの回数や時期の数字は書かれていません。書かれているのは、一定の頻度で点検すること、立木の枝のはみ出しを防ぐために定期的に剪定することです。
| 出典 | 書かれていること | 対象 |
|---|---|---|
| 国の基本指針 | 空き家の所有者等は一定の頻度で点検を行う。立木の枝のはみ出しの予防には、定期的に枝の剪定等を行う | 空き家 |
| 草津市 | 春から秋にかけて、空き地の雑草を刈ってほしいという相談が市へ数多く寄せられる。悪影響が出る前に定期的に雑草等を刈り取る | 空き地 |
| 伊丹市 | 空き地の約3割以上が高さ1メートル以上(建築物のある土地に隣接する空き地は50センチメートル以上)の繁茂した雑草・枯草に被われているときなどを「適正に管理されていない土地」とし、環境保全条例に基づき指導・勧告 | 空き地 |
出典:総務省・国交省 基本指針(令和8年9月3日最終改正)、草津市・伊丹市の案内(2026年10月2日取得)。
草津市と伊丹市の案内は空き地を対象にしたもので、空き家の敷地に同じ基準が当てはまるかは、取得した案内に書かれていません。回数や高さの目安は市区町村ごとに違うので、空き家のある市区町村の窓口に確認してください。
頼み先と公表されている料金
草刈りの料金は、面積、草の高さ、刈った草の処分の有無で変わります。この記事では相場を作らず、各団体が公表している料金だけを載せます。
| 頼み先 | 公表されている内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 赤穂市シルバー人材センター(空家管理業務) | 見回り(目視・写真付き報告書)は1回3,200円。希望により、草抜きは1人1時間1,116円から、草刈機による草刈は1人1時間1,755円から(税込)。別途、事務手数料12%が加算され、材料費・処分費・機械使用料が発生する作業もある | 赤穂市の案内 |
| 明石市シルバー人材センター | 作業別料金表(令和8年4月1日改正)で、除草作業は「お見積りいたします」。作業によっては別途交通費がかかる | 料金表 |
| 西宮市(空き地) | 所有者の依頼で市が除草を受託する制度がある。料金は、市が除草業者へ外部委託する契約金額と同額で、毎年異なる。草刈機・カマの無料貸出もある | 西宮市の案内 |
| 神戸市 | 草刈協力事業者の一覧表と見積依頼書を公開。一覧表に料金の記載はなく、複数社へ見積もりを依頼して比較することを勧めている。事業者との間の損失・損害について市は責任を負わないとしている | 神戸市の案内 |
出典:各市・各センターの案内、料金表(2026年10月2日取得)。税込・税別は出典の表記のまま。
シルバー人材センターが空き家の除草を受ける例は、ほかにも赤穂市・阪南市・宝塚市・長浜市・大府市の案内にあります(いずれも市とセンターの協定)。センターごとに料金表が別なので、赤穂市の金額がそのまま他の地域に当てはまるわけではありません。見積もりは複数に取り、刈った草の処分が含まれるかを確認してください。
草刈りを定期的に頼むか、見回りまで含めて任せるかは、空き家の管理を不動産会社に委託する費用相場と業者の選び方で比べています。
補助金:確認できた2つ
空き家の草刈り費用を所有者個人に補助する制度は、今回取得した案内の中には見つかりませんでした。確認できたのは次の2つで、どちらも対象が限られます。
| 市 | 対象と金額 | 注意点 |
|---|---|---|
| 阿賀野市(自治会空き家対策支援事業) | 自治会が行う空き家の草刈り・除草剤散布、樹木の枝切り・竹の伐採。薬剤費、燃料費、処分費が経費全額で、上限は1作業2,000円・空き家1件8,000円 | 対象は自治会。所有者の事前の承諾が必要で、交付決定前の作業は対象外。空き地・農地は対象外 |
| 神戸市(整備費補助・空き地活用応援制度) | 個人整備型は、雑草が生えない対策を含む空き地の整備に、補助率2分の1・上限10万円 | 市街化区域内の空き地が対象。家の庭や駐車場スペースなど建築敷地は対象外。事前申請が必要で、2026年度の受付は12月10日まで(予算に達し次第終了) |
出典:阿賀野市「令和8年度自治会空き家対策支援事業」、神戸市「整備費補助(空き地活用応援制度)」(2026年10月2日取得)。
神戸市の制度は、建物を解体して空き地にしたあとの雑草対策(防草シートや舗装など)を想定した内容で、建物が残っている空き家の敷地は対象外になるとみられます。どちらも市区町村ごとの制度なので、空き家のある市区町村の窓口で、草刈りや除草に使える補助があるかを確認してください。
隣の家との関係:枝の越境と「勝手に」切られたとき
空き家の木の枝や草が隣地にはみ出すと、民法の定めが関わります。草のうち「竹木」に当たるものが何かは条文に書かれておらず、背の低い雑草が含まれるかは取得した原文だけでは分かりません。枝や竹木については、次のとおりです。
| 場面 | 民法の定め | 条文 |
|---|---|---|
| 空き家の木の枝が隣へ越境している | 隣地の所有者は、竹木の所有者にその枝を切除させることができる | 233条1項 |
| 切除しないまま放置した | 催告しても相当の期間内に切除しないとき、所有者を知れないとき、急迫の事情があるときは、隣地の所有者が自分で枝を切り取れる | 233条3項 |
| 根が越境している | 越境した根は、隣地の所有者が切り取れる | 233条4項 |
| 隣地に入って切り取る | 233条3項の枝の切取りのため、必要な範囲で隣地を使用できる。住家は居住者の承諾がなければ立ち入れない。目的・日時・場所・方法を、あらかじめ(困難なときは使用開始後遅滞なく)通知する | 209条 |
| 木が原因で損害が出た | 竹木の栽植・支持に瑕疵があって他人に損害が生じたとき、占有者が賠償責任を負う。占有者が損害の発生を防ぐのに必要な注意をしたときは所有者が賠償する | 717条1項・2項 |
出典:e-Gov法令検索 民法(2026年10月2日取得)。
管理していない空き家でも、枝が越境していれば、催告から相当の期間が過ぎたあとに隣の人が枝を切り取れます。209条の列挙に草刈りは入っていないので、草を刈るために隣の人が敷地へ入ってよいかは別の問題として、弁護士や市区町村の相談窓口に確認してください。
逆に、隣の家の木の枝が自分の敷地に越境してきた場合は、隣地の竹木の枝が越境してきたら?改正民法233条・自分で切り取れる3条件で整理しています。
続けるのが負担なら、手放す方法もある
基本指針は、空き家の活用や除却ができない間は適切な管理を確保することが重要だとしています。草刈りや枝の剪定を毎年遠方から続ける負担が重いときは、管理を続ける以外に、使っていない家を手放す選択肢もあります。売りにくい家の買い取り先は、訳アリ物件買取ラクウルとは|買い取れる11種類と全国の実績で整理しています。
よくある質問
空き家の草刈りをしないと、罰則はありますか?
空家法5条は、所有者等に空き家の適切な管理に努めるよう求める規定で、5条そのものに罰則はありません。ただし、管理不全空家等と認められると市区町村長の指導(13条1項)、改善されないと立木竹の伐採などの勧告(13条2項)に進み、勧告を受けた敷地は固定資産税の住宅用地特例から外れます。50万円以下の過料(30条)は、特定空家等への命令(22条3項)に違反した場合の規定です。国のガイドラインの状態の例に雑草という語はなく、草の状況は個別の事案ごとに総合的に判断されます。
草刈りは年に何回すればよいですか?
国の基本指針とガイドラインに、草刈りの回数や時期の定めはありません。基本指針は、空き家を一定の頻度で点検すること、立木の枝のはみ出しを防ぐために定期的に枝の剪定をすることを求めています。草津市は、春から秋にかけて空き地の雑草の相談が数多く寄せられると案内しています。回数の基準は市区町村ごとに違うため、空き家のある市区町村の窓口に確認してください。
遠方に住んでいて、草刈りに通えません。どこに頼めますか?
基本指針は、遠方でやむを得ず自分で管理できない場合は、空き家の管理を行う事業者などに定期的な管理も含めて委託することが考えられるとしています。シルバー人材センターが空き家の除草を受ける例が、赤穂市・阪南市・宝塚市・長浜市・大府市などの案内にあります(市とセンターの協定)。神戸市は草刈協力事業者の一覧表を公開しています。料金は面積や草の状態で変わるため、複数に見積もりを依頼して比べてください。
隣の家から、草や木の枝について苦情が来ました。まず何をすればよいですか?
民法233条1項は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、隣地の土地の所有者が竹木の所有者にその枝を切除させることができるとしています。空き家の木の枝が隣地に越境している場合は、隣の人からこの定めに基づいて切除を求められることがあります。神戸市は、管理者の連絡先を近隣や自治会に伝えておくと、周囲の安心につながるとしています。市区町村から指導が来ている場合は、刈った後に窓口へ報告できるよう、作業の前後の写真を残しておくと状況が伝わりやすくなります。
知らないうちに、隣の人に庭の草や木を切られていました。違法ですか?
民法233条3項は、催告しても竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき、所有者を知ることも所在を知ることもできないとき、急迫の事情があるときは、境界線を越えた枝を土地の所有者が切り取れるとしています。その切り取りのために必要な範囲で隣地を使うことも209条で認められています(住家は居住者の承諾が必要)。一方、209条の列挙に草刈りは入っていません。個別の事情で結論が変わるため、弁護士や市区町村の相談窓口に確認してください。
空き家の草刈りに使える補助金はありますか?
今回確認できたのは2つです。阿賀野市は、自治会が空き家の草刈りや除草剤散布をしたときの薬剤費・燃料費・処分費を、上限1作業2,000円・空き家1件8,000円で補助します(所有者個人ではなく自治会が対象)。神戸市の整備費補助は、建築敷地ではない空き地の雑草対策の整備に上限10万円(補助率2分の1)で、家の庭や駐車場スペースは対象外です。市区町村ごとに有無が違うため、空き家のある市区町村の窓口で確認してください。
参考・出典
- e-Gov法令検索 空家等対策の推進に関する特別措置法(第5条・第12条・第13条・第22条)
- e-Gov法令検索 民法(第209条・第233条・第717条)
- 国土交通省 管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)
- 総務省・国土交通省 空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針
- 神戸市 空き家・空き地の維持管理
- 神戸市 整備費補助(空き地活用応援制度)
- 阿賀野市 令和8年度自治会空き家対策支援事業
- 赤穂市 赤穂市シルバー人材センターの空家管理業務について
- 明石市シルバー人材センター 作業別料金表
- 西宮市 空き地の適正管理
- 西宮市 空き家の適正管理
- 草津市 ”空き地”は適正に管理しましょう
- 伊丹市 空き地の適正な管理について
- 阪南市 シルバー人材センターと「空き家等の適正な管理の推進に関する協定」を締結しました
- 宝塚市 空地・空家管理で宝塚市シルバー人材センターと協定
- 長浜市 空家等の適正な管理の推進に関する協定
- 大府市 大府市シルバー人材センターと空家等の適切な管理の促進に関する協定を締結
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、料金・補助金・窓口は市区町村やセンターごとに異なります。個別の判断は、空き家のある市区町村の窓口、弁護士、司法書士にご確認ください。