PR(本記事はアフィリエイト広告を含みます)
遺言書があるときの相続登記は?必要書類は遺産分割のときと何が違うか・原本還付・自筆証書と公正証書と法務局保管の違い・遺贈のときは誰が申請するか
遺言書があるときの相続登記は、遺言で不動産を取得することになった相続人が申請します。法務局の必要書類の表に遺産分割協議書は入っておらず、亡くなった方の戸籍は、出生から死亡まで全部ではなく、死亡の事実が分かるものだけで足ります。ただし、公正証書遺言と法務局で保管された自筆証書遺言以外は、家庭裁判所の検認済証明書が付いた遺言書が要ります。遺言で受け取るのが相続人以外(遺贈)のときは、申請の仕方が変わります。
| 書類 | 遺産分割協議のとき | 遺言書があるとき |
|---|---|---|
| 相続の内容を示す書類 | 遺産分割協議書と、相続人全員の印鑑証明書 | 遺言書(検認済証明書付き。公正証書・法務局保管のものは検認不要) |
| 亡くなった方の戸籍 | 出生から死亡まで、在籍していた全ての戸籍・除籍謄本 | 死亡の事実の記載がある戸籍・除籍謄本 |
| 相続人の戸籍 | 相続人全員のもの(死亡日以降に発行) | 不動産を取得する相続人のもの(死亡日以降に発行) |
法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」と東京ブロック管内の相続登記ガイドブックの案内(2026年10月3日に取得)。住民票・固定資産課税明細書・登記申請書は、どちらも同じです。取り扱いは管轄の法務局で異なることがあります。
自分はどの場合に当てはまるか
- 遺言で不動産を取得する相続人で、自分で申請する:節2から読んでください。「相続させる」遺言で子や配偶者が取得する場合も、これにあたります。
- 遺言書を見つけたが、まだ開けていない:自筆証書遺言は、開ける前に検認が要ることがあります。遺言書の検認のページにあります。
- 遺言執行者が選ばれている:遺言執行者のページにあります。
- 遺言で受け取るのが、相続人以外の人(遺贈):節5に、申請する人の違いを書きました。
- 遺言書は見つかったが、登記簿の住所と亡くなった方の最後の住所が違う:住所がつながらないときのページにあります。
- 期限と過料が気になる:相続登記の義務化のページにあります。
- 申請書づくりから自分でやる:相続登記を自分でやる方法のページにあります。
遺言書があると、書類は何が減るか
遺言書があるときは、誰がどの不動産を取得するかが遺言で決まっているため、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書は、法務局の必要書類の表に入っていません。戸籍も、集める範囲が小さくなります。
- 亡くなった方の戸籍:法務局の「遺言書がある場合」の表は、死亡の事実の記載がある戸籍・除籍謄本を求めています。東京ブロックのガイドブックも、遺言による相続の場合は、死亡の事実が分かる戸籍謄本か除籍謄本のみで足りるとしています。
- 相続人の戸籍:遺言による相続の場合は、不動産を相続することになった相続人のものだけで足ります。亡くなった方の死亡日以降に発行されたものです。
- 相続人が配偶者・子以外のとき:兄弟姉妹や孫が新しく所有者になるときは、法定相続人であることを確認できる戸籍・除籍謄本なども必要、と法務局の表の注にあります。
- 法定相続情報一覧図:これを取っていれば、写しで戸籍の提出に代えられます。取り方は法定相続情報一覧図のページにあります。
減らないのは、取得する相続人の住民票、固定資産課税明細書(申請する日の属する年度のもの)、登記申請書、相続関係説明図です。亡くなった方の登記簿の住所が最後の住所と違うときは、除票か附票も要ります。戸籍をどこで取るかは戸籍の集め方のページにあります。
申請書の「原因」は、遺言書を書いた日ではなく、被相続人が亡くなった日で数えます。法務局の記載例は、公正証書遺言で子1人が単独で相続した場合で、「令和4年6月20日相続」と書かれています。
自筆証書・公正証書・法務局保管で、出す書類はどう違うか
遺言書の種類で、登記に添える書類と、家庭裁判所の検認が要るかどうかが変わります。
| 遺言書の種類 | 登記に出す書類 | 検認 |
|---|---|---|
| 公正証書遺言 | 正本または謄本(なくしたときは作成した公証役場に謄本を請求) | 不要 |
| 自筆証書遺言(自宅などで保管) | 遺言書と、家庭裁判所の検認済証明書 | 必要 |
| 自筆証書遺言(法務局で保管) | 遺言書情報証明書 | 不要 |
法務局の案内と、民法1004条2項(公正証書遺言には検認の規定を適用しない)にもとづきます。
- 秘密証書遺言:法務局の表は、秘密証書遺言も自宅などで保管する遺言として挙げています。民法1004条2項が検認の規定を外すのは公正証書遺言だけなので、秘密証書遺言には検認が要ります。
- パソコンで書いた自筆証書遺言:東京ブロックのQ&Aは、財産目録以外もパソコンで作ったものは、相続登記に使えないとしています(PDFの作成日は2023年4月)。
- 検認の手続き:申立先・費用・必要書類・開封したときの過料は、遺言書の検認のページにあります。
遺言書の原本は返してもらえるか
東京ブロックのガイドブックの記載例では、遺言書・被相続人の死亡の戸籍・取得する相続人の戸籍の3つが、原本還付の対象として書かれています。
- 遺言書:コピーを作り、「原本に相違ありません」と書いて、申請人が署名(記名)押印します。2枚以上になるときは、つづり目に契印をします。それを原本と一緒に申請書に付けて出すと、登記が終わったあとで原本を返してもらえます。
- 戸籍の2つ:相続関係説明図を出せば、コピーを付ける手続きをしなくても、原本を返してもらえます。
- 法定相続情報一覧図を使う場合:写しで戸籍の提出に代えられます。
相続人以外がもらう遺贈のとき、誰が申請するか
「相続させる」遺言で相続人が取得する場合と、遺言で人に財産を贈る遺贈では、申請する人の決まりが違います。
| 受け取る人 | 申請する人 | 3年の申請義務 |
|---|---|---|
| 相続人(相続) | 取得した相続人が単独で申請(不動産登記法63条2項) | あり(76条の2第1項。遺言を含む) |
| 相続人(遺贈) | 受遺者が単独で申請(同法63条3項。令和5年4月1日から) | あり(76条の2第1項の後段) |
| 相続人以外(遺贈) | 登記権利者と登記義務者が共同で申請(60条の原則) | 76条の2の対象は「相続人に対する遺贈に限る」 |
e-Gov 法令検索の不動産登記法(2026年10月3日に取得)と、法務局の登記手続ハンドブック(令和8年4月版・相続人に対する遺贈編)。
- 遺贈の登記の原因:遺贈の効力が生じた日、つまり遺贈者が亡くなった日で数えます。遺言書が書かれた日ではありません。
- 相続人に対する遺贈の添付書類:遺言書(公正証書・法務局保管の自筆証書以外は検認済証明書付き)、遺贈者の死亡の戸籍、受遺者である相続人の戸籍、受遺者の住民票です。
- 遺言執行者がいるとき:民法1012条2項は、遺贈の履行は遺言執行者のみが行えるとしています。遺言執行者のページに、必要になる場面があります。
- 相続人以外への遺贈の書類:取得した法務局のハンドブックに、相続人以外への遺贈の編はありませんでした。遺言執行者がいない場合に登記義務者が誰になるかも、取得した案内には書かれていません。管轄の法務局か司法書士・弁護士に確かめてください。
登記のあとで遺言書が見つかったときは
遺産分割をして相続登記まで終えたあとで、遺言書が出てくることがあります。取得した法務局の案内(ハンドブック・ガイドブック・Q&A)に、登記の後に見つかった遺言書の扱いは書かれていませんでした。
- 検認:民法1004条1項は、遺言書の保管者がない場合に、相続人が遺言書を発見した後も、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならないとしています。公正証書遺言には適用されません。
- 遺言の有効性などで争いがあるとき:法務省の相続登記の申請義務化のページは、遺言の有効性や遺産の範囲が相続人の間で争われていて、不動産の帰属が明らかにならない場合を、申請しなくても「正当な理由」があると認められる例に挙げています。
- すでにした登記をどうするか:登記をした法務局と、司法書士・弁護士に確かめてください。
よくある質問
遺言書があるとき、遺産分割協議書は必要ですか?
法務局の「遺言書がある場合」の必要書類の表と、東京ブロックの相続登記ガイドブックの必要書類チェックリストには、遺産分割協議書は入っていません。遺言の内容と違う分け方にしたいときの扱いは、取得した案内に書かれていませんでした。その場合は管轄の法務局か、司法書士・弁護士に確かめてください。
遺言書があるときも、亡くなった方の戸籍は出生から死亡まで全部そろえますか?
東京ブロックの相続登記ガイドブックは、遺言による相続の場合は、被相続人が死亡した事実が分かる戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)か除籍全部事項証明書(除籍謄本)のみで足りる、としています。遺産分割協議の場合は、出生から死亡までの全ての戸籍・除籍謄本が必要です。相続人の戸籍も、遺言の場合は不動産を相続することになった相続人のものだけで足ります。
遺言書や戸籍の原本は、返してもらえますか?
遺言書・被相続人の死亡の戸籍・不動産を取得する相続人の戸籍は、コピーに「原本に相違ありません」と書いて申請人が署名(記名)押印し、原本と一緒に出せば、登記が終わったあとで原本を返してもらえます(原本還付)。戸籍の2つは、相続関係説明図を出せばこの手続も要りません。遺言書は相続関係説明図の対象に挙げられていないので、コピーを付ける方法になります。
パソコンで書いた自筆証書遺言は、相続登記に使えますか?
東京ブロックの相続登記ガイドブックのQ&A(PDFの作成日は2023年4月)には、財産目録以外もパソコンで作成した自筆証書遺言は、自筆で作る必要があるため相続登記に使用できない、と書かれています。同じガイドブックは、自筆証書遺言は財産目録以外は全て自署する必要があるとしています。判断に迷うときは、登記を申請する法務局に確かめてください。
封筒に入った遺言書が見つかったら、開けてよいですか?
民法1004条3項は、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いがなければ開封できない、としています。法務局のQ&Aも、法務局保管でない自筆証書遺言は、開封しないままで家庭裁判所の検認を受けるよう案内しています。検認の流れは検認のページにまとめました。
遺言で家をもらう人が相続人以外のとき、誰が登記を申請しますか?
不動産登記法63条3項が登記権利者の単独申請を認めているのは、「遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)」です。相続人以外への遺贈は、同法60条の原則どおり、登記権利者と登記義務者が共同で申請します。民法1012条2項は、遺言執行者がいる場合の遺贈の履行は遺言執行者のみが行える、としています。遺言執行者がいない場合に登記義務者が誰になるかや、必要書類は、取得した法務局の案内には書かれていませんでした。管轄の法務局か専門家に確かめてください。
相続登記を済ませたあとで遺言書が見つかったら、どうなりますか?
取得した法務局の案内には、登記の後に見つかった遺言書の扱いは書かれていませんでした。民法1004条1項は、遺言書の保管者がない場合に相続人が遺言書を発見したときも、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならない、としています(公正証書遺言は2項で除外)。すでにした登記をどうするかは、登記をした法務局と、司法書士・弁護士に確かめてください。
遺言で不動産を取得したあとの申請書づくりを、助けてくれるサービスはありますか?
民間のイーライフ相続登記は、案内に沿って情報を入力すると登記申請書などが自動で作成され、納める登録免許税も自動で計算されます。有料で、税込29,700円から(登録免許税と郵送費は別)、戸籍などの取得と郵送まで任せるおまかせプランは税込59,400円です。司法書士のように代理で申請するのではなく、自分で申請するための支援サービスです。相続人に18歳未満の方や法定相続人以外の方がいる場合は使えないため、相続人以外が遺贈で受け取る場合は対象になりません。
参考・出典
- 法務局 相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等
- 東京ブロック管内法務局・地方法務局 相続登記ガイドブック(概要編)
- 東京ブロック管内法務局・地方法務局 相続登記ガイドブック Q&A編
- 法務局 登記手続ハンドブック 遺贈による所有権移転登記/相続人に対する遺贈編(令和8年4月版)
- 法務省 相続登記の申請義務化について
- e-Gov法令検索 不動産登記法(第60条・第63条・第76条の2)
- e-Gov法令検索 民法(第1004条・第1012条)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の登記の可否や必要書類を保証するものではありません。東京ブロック管内のガイドブックは東京ブロックの法務局が公開した案内(Q&A編のPDF作成日は2023年4月)で、取り扱いは管轄の法務局ごとに異なることがあります。申請の前に、不動産を管轄する法務局に確認してください。イーライフ相続登記の内容は、案内ページ(2026年10月3日に確認)の表示にもとづきます。