相続登記 読了時間:約9分

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遺言書があるときの相続登記は?必要書類は遺産分割のときと何が違うか・原本還付・自筆証書と公正証書と法務局保管の違い・遺贈のときは誰が申請するか

遺言書があるときの相続登記は、遺言で不動産を取得することになった相続人が申請します。法務局の必要書類の表に遺産分割協議書は入っておらず、亡くなった方の戸籍は、出生から死亡まで全部ではなく、死亡の事実が分かるものだけで足ります。ただし、公正証書遺言と法務局で保管された自筆証書遺言以外は、家庭裁判所の検認済証明書が付いた遺言書が要ります。遺言で受け取るのが相続人以外(遺贈)のときは、申請の仕方が変わります。

書類遺産分割協議のとき遺言書があるとき
相続の内容を示す書類遺産分割協議書と、相続人全員の印鑑証明書遺言書(検認済証明書付き。公正証書・法務局保管のものは検認不要)
亡くなった方の戸籍出生から死亡まで、在籍していた全ての戸籍・除籍謄本死亡の事実の記載がある戸籍・除籍謄本
相続人の戸籍相続人全員のもの(死亡日以降に発行)不動産を取得する相続人のもの(死亡日以降に発行)

法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」と東京ブロック管内の相続登記ガイドブックの案内(2026年10月3日に取得)。住民票・固定資産課税明細書・登記申請書は、どちらも同じです。取り扱いは管轄の法務局で異なることがあります。

自分はどの場合に当てはまるか

遺言書があると、書類は何が減るか

遺言書があるときは、誰がどの不動産を取得するかが遺言で決まっているため、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書は、法務局の必要書類の表に入っていません。戸籍も、集める範囲が小さくなります。

減らないのは、取得する相続人の住民票、固定資産課税明細書(申請する日の属する年度のもの)、登記申請書、相続関係説明図です。亡くなった方の登記簿の住所が最後の住所と違うときは、除票か附票も要ります。戸籍をどこで取るかは戸籍の集め方のページにあります。

申請書の「原因」は、遺言書を書いた日ではなく、被相続人が亡くなった日で数えます。法務局の記載例は、公正証書遺言で子1人が単独で相続した場合で、「令和4年6月20日相続」と書かれています。

自筆証書・公正証書・法務局保管で、出す書類はどう違うか

遺言書の種類で、登記に添える書類と、家庭裁判所の検認が要るかどうかが変わります。

遺言書の種類登記に出す書類検認
公正証書遺言正本または謄本(なくしたときは作成した公証役場に謄本を請求)不要
自筆証書遺言(自宅などで保管)遺言書と、家庭裁判所の検認済証明書必要
自筆証書遺言(法務局で保管)遺言書情報証明書不要

法務局の案内と、民法1004条2項(公正証書遺言には検認の規定を適用しない)にもとづきます。

遺言書の原本は返してもらえるか

東京ブロックのガイドブックの記載例では、遺言書・被相続人の死亡の戸籍・取得する相続人の戸籍の3つが、原本還付の対象として書かれています。

相続人以外がもらう遺贈のとき、誰が申請するか

「相続させる」遺言で相続人が取得する場合と、遺言で人に財産を贈る遺贈では、申請する人の決まりが違います。

受け取る人申請する人3年の申請義務
相続人(相続)取得した相続人が単独で申請(不動産登記法63条2項)あり(76条の2第1項。遺言を含む)
相続人(遺贈)受遺者が単独で申請(同法63条3項。令和5年4月1日から)あり(76条の2第1項の後段)
相続人以外(遺贈)登記権利者と登記義務者が共同で申請(60条の原則)76条の2の対象は「相続人に対する遺贈に限る」

e-Gov 法令検索の不動産登記法(2026年10月3日に取得)と、法務局の登記手続ハンドブック(令和8年4月版・相続人に対する遺贈編)。

登記のあとで遺言書が見つかったときは

遺産分割をして相続登記まで終えたあとで、遺言書が出てくることがあります。取得した法務局の案内(ハンドブック・ガイドブック・Q&A)に、登記の後に見つかった遺言書の扱いは書かれていませんでした。

よくある質問

遺言書があるとき、遺産分割協議書は必要ですか?

法務局の「遺言書がある場合」の必要書類の表と、東京ブロックの相続登記ガイドブックの必要書類チェックリストには、遺産分割協議書は入っていません。遺言の内容と違う分け方にしたいときの扱いは、取得した案内に書かれていませんでした。その場合は管轄の法務局か、司法書士・弁護士に確かめてください。

遺言書があるときも、亡くなった方の戸籍は出生から死亡まで全部そろえますか?

東京ブロックの相続登記ガイドブックは、遺言による相続の場合は、被相続人が死亡した事実が分かる戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)か除籍全部事項証明書(除籍謄本)のみで足りる、としています。遺産分割協議の場合は、出生から死亡までの全ての戸籍・除籍謄本が必要です。相続人の戸籍も、遺言の場合は不動産を相続することになった相続人のものだけで足ります。

遺言書や戸籍の原本は、返してもらえますか?

遺言書・被相続人の死亡の戸籍・不動産を取得する相続人の戸籍は、コピーに「原本に相違ありません」と書いて申請人が署名(記名)押印し、原本と一緒に出せば、登記が終わったあとで原本を返してもらえます(原本還付)。戸籍の2つは、相続関係説明図を出せばこの手続も要りません。遺言書は相続関係説明図の対象に挙げられていないので、コピーを付ける方法になります。

パソコンで書いた自筆証書遺言は、相続登記に使えますか?

東京ブロックの相続登記ガイドブックのQ&A(PDFの作成日は2023年4月)には、財産目録以外もパソコンで作成した自筆証書遺言は、自筆で作る必要があるため相続登記に使用できない、と書かれています。同じガイドブックは、自筆証書遺言は財産目録以外は全て自署する必要があるとしています。判断に迷うときは、登記を申請する法務局に確かめてください。

封筒に入った遺言書が見つかったら、開けてよいですか?

民法1004条3項は、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いがなければ開封できない、としています。法務局のQ&Aも、法務局保管でない自筆証書遺言は、開封しないままで家庭裁判所の検認を受けるよう案内しています。検認の流れは検認のページにまとめました。

遺言で家をもらう人が相続人以外のとき、誰が登記を申請しますか?

不動産登記法63条3項が登記権利者の単独申請を認めているのは、「遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)」です。相続人以外への遺贈は、同法60条の原則どおり、登記権利者と登記義務者が共同で申請します。民法1012条2項は、遺言執行者がいる場合の遺贈の履行は遺言執行者のみが行える、としています。遺言執行者がいない場合に登記義務者が誰になるかや、必要書類は、取得した法務局の案内には書かれていませんでした。管轄の法務局か専門家に確かめてください。

相続登記を済ませたあとで遺言書が見つかったら、どうなりますか?

取得した法務局の案内には、登記の後に見つかった遺言書の扱いは書かれていませんでした。民法1004条1項は、遺言書の保管者がない場合に相続人が遺言書を発見したときも、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならない、としています(公正証書遺言は2項で除外)。すでにした登記をどうするかは、登記をした法務局と、司法書士・弁護士に確かめてください。

遺言で不動産を取得したあとの申請書づくりを、助けてくれるサービスはありますか?

民間のイーライフ相続登記は、案内に沿って情報を入力すると登記申請書などが自動で作成され、納める登録免許税も自動で計算されます。有料で、税込29,700円から(登録免許税と郵送費は別)、戸籍などの取得と郵送まで任せるおまかせプランは税込59,400円です。司法書士のように代理で申請するのではなく、自分で申請するための支援サービスです。相続人に18歳未満の方や法定相続人以外の方がいる場合は使えないため、相続人以外が遺贈で受け取る場合は対象になりません。

参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の登記の可否や必要書類を保証するものではありません。東京ブロック管内のガイドブックは東京ブロックの法務局が公開した案内(Q&A編のPDF作成日は2023年4月)で、取り扱いは管轄の法務局ごとに異なることがあります。申請の前に、不動産を管轄する法務局に確認してください。イーライフ相続登記の内容は、案内ページ(2026年10月3日に確認)の表示にもとづきます。

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